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【新潟】古い市場に息を吹き込んで誕生した「沼垂(ぬったり)テラス商店街」

日本全国でがんばっている女性を紹介する「のぼり坂47」プロジェクト。今回は、新潟県新潟市で、リノベーションして生まれた「沼垂テラス商店街」を管理・運営する、株式会社 テラスオフィスの高岡はつえさんに活動について聞きました。


長屋をリノベーションして生まれて、ここでしか出会えない商店街


私は、株式会社テラスオフィスという会社で、新潟市の沼垂地区にある「沼垂テラス商店街」を管理・運営しています。

新潟市中央区の元港町である沼垂(ぬったり)地区には、数十年にわたって市場として使われていた古い長屋の建物がたくさんありました。それをリノベーションし、2015年4月に誕生したのが「沼垂テラス商店街」です。

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昭和34年の沼垂市場

商店街を誕生させる1年前の2014年に、弟とともに管理会社、株式会社テラスオフィスを起業。さびれていた沼垂エリアの地域活性を目標に掲げ、当時の所有者から長屋の土地・建物を買い取り、舵を切りました。

その後、商店街をスタートさせるにあたり、さまざまな種類の店舗を募り、2020年6月現在では、25店舗ほどが集まる商店街を形成するにいたりました。

商店街のコンセプトは、「ここでしか出会えないモノ・ヒト・空間」。カフェや居酒屋、雑貨やアクセサリーショップ、青果店からギャラリーまで、ここでしか出会えない、バラエティに富んだ店舗が集まっています。

私たちは、そうした店舗の管理を行うほか、イベントの企画や、商店街内にある惣菜店や雑貨店の経営も行っています。今は、商店街のさらなる活性化を目指して、商店街周辺にサテライト店をつくるなどの活動も行っているんです。

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朝市イベントの様子(2019年5月5日)

「実家のあるこの地域をどうにか元気にしたい!」と、弟と起業を決意

そもそも「沼垂」は、自らが生まれ育った場所です。私が幼かった頃はまだ市場が機能していて、ヒトとモノであふれ、活気があったのを記憶しています。

ただ、商店主の高齢化や、郊外に大型店ができるなどの郊外化、モータリゼーションなどが進むにつれ、市場の店舗は次々に閉まっていき、2000年代にはシャッター街になりつつありました。

私の実家はこの地で大衆割烹店を営んでおり、地域の盛衰を数十年にわたって見てきた父の「この市場(の空き店舗)を活用して何とかできないか」という強い意向もあり、大衆割烹二代目である弟と一緒に、市場を復活させる活動をするという決断にいたりました。

それまで会社員だった私は、職を辞めて起業したわけです。当然ながらはじめての経験であり、また銀行から多額の融資を受けてのスタートだったので、会社経営も手探り、かつ、借金を抱えた不安でドキドキ。幸いなことに、家族の理解と後押しがあったことで、起業に専念することができました。

スタートから現在まで、トライ&エラーの繰り返しが続いていますが(笑)、会社員だった頃とは違う苦悩を味わいながらも、その分、得られた成果や喜びは大きいと感じています。

私たちの活動はいわゆる「まちづくり」です。“まち”や“商店街”にはたくさんの人が関わり、その思いや考え方もさまざま。いろんな意見を集約し、それをとりまとめ、決断していくということは、一筋縄にはいかないこともしばしばあります(汗)。

調整役として動く場合、ときには憎まれ役、叱られ役にもなり、心が痛む場面もいくつか経験しました。でも、へこたれず、「誠実・丁寧」に仕事をすることで少しずつ「信頼」を得られれば、というスタンスで臨んでいます。

誕生してから6年目、駆け出しの商店街なので、発展途上で課題も抱えています。イベントなどでは多くの来場者を迎えられるものの、普段の来街者数は商店街としては、まだまだ少ないのが現状です。なんとかこの商店街を全国の方々に知っていただき、足を運んでいただきたいと、SNSなどの情報発信はもとより、さまざま企画を思案。

商店街を全国発信するツールとして、名物のお菓子「沼ネコ焼」を開発したり、商店街の成り立ちを綴ったコンセプトブックの発行を行ったりと、いろんなアクションを繰り返し行っています。

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「沼ネコ焼」を実演販売する様子


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「沼垂テラス商店街」のコンセプトブック


私は、この仕事をはじめる前まではずっと会社員をしていて、自分が起業するとはそれまで考えたこともありませんでした。でも違う世界や価値観に足を踏み入れてみるのも悪くない!

新たな発見や、人とのつながり、新しい自分に出会うこともあります。違う世界に飛び込んでみること、新たなアクションを起こしてみること、ワクワクやドキドキを味わうこと……オススメです!


つながりやコミュニケーションが生まれる場所を、未来へ

今は、新型コロナウイルスの影響により、先が見えにくい状況ではありますが、私たちの商店街のコンセプトである「ここでしか出会えないモノ・ヒト・空間」に添ったビジョンや考えた方は変わりません。

ここ沼垂テラス商店街でしか出会えないモノ、またそれを創り出すヒト、そのヒトやモノが醸し出すここ沼垂の独特な雰囲気や空気感を、実際に足を運び、ぜひ味わっていただきたいと思っています。

また訪れてくれた人に、ここ沼垂をより楽しんでいただけるよう、商店街周辺のサテライト店を増やしていく活動とともに、このまちを気に入って住みたいと思っていただけるような、そんなまちづくりを続けていきたいと考えています。

沼垂エリア周辺には空き家・空き店舗が多く、そこを利用して新たなお店を開業するという活動も少しずつ進めています。起業家と空き家・空き店舗のオーナーの間に入ってマッチングしていくのですが、必ずしもすべて事がスムーズに運ぶとは限りません。1年に1店舗開業できるくらいのペースで丁寧に対応しています。

新型コロナウイルスの影響で、“新たな生活様式”と言われているなか、未来のカタチやあり方もそれに合わせていかねばならないことを前提としつつも、根本的にはヒトとヒトとのつながりやコミュニケーションは、どんな時代でも大切であり、求められるものだと思っています。

沼垂テラス商店街は、そういったつながりやコミュニケーションが生まれる場であり続けたい。

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冬市イベントの様子(2019年)


ここでの出会いから、新たなコミュニティができたり、新たな仕事が生み出されたり、協業したり、困ったときには支えあうことができたり。もともと古くから人情味あふれる場所だっただけに、そこは未来にもつなげていきたいと考えています。

★好きな言葉★

「明日は明日の風が吹く!」

たくさんのヒトと接し、またいろいろな活動をしていると、くよくよしたり落ち込むことも少なくありません。でも、素早く気持ちを切り替え、また、物事を柔軟に考えられるよう、自分に言い聞かせる意味で気に入っている言葉です。


長屋をリノベーションして生まれた
沼垂テラス商店街

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新潟市中央区の元港町、沼垂(ぬったり)エリアに2015年春に誕生した商店街。カフェ、陶芸・ガラス工房、惣菜店、雑貨店、古本屋などの個性的なお店が、リノベーションされた長屋の建物にズラリと並び、ノスタルジックな雰囲気の中で買い物や体験が楽しめる。

<アクセス>

新潟駅から徒歩20分。

バス停「沼垂四つ角」下車、徒歩2分。

Webストアも開店中

運営・管理会社:株式会社 テラスオフィス

住所:〒950-0075 新潟市中央区沼垂東3丁目5-22

電話:025-384-4010

メール:info@nuttari.jp





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