見出し画像

【ライムスター宇多丸のお悩み相談室434】夫や上司、不機嫌な男性が怖い。でもなんで私がこんなに気を遣わないといけないの?


✳️今週のお悩み✳️
夫や上司など、機嫌が悪い男性が怖くて仕方ありません。自分が怒らせたわけではないと思うのですが、なにかしらの理由で機嫌が悪い彼らにビクビクしてしまいます。しかし話さなければならない用事もあるので、おそるおそるチャレンジしています。そんなことを毎度繰り返していると、心の奥底から「なんで私がこんなに気を遣わないといけないのか」という怒りのような思いが溢れてきます。彼らを怒らせずに、でもこの思いを伝え、せめてもう少し怖くない顔でいてもらうにはどうしたらいいでしょうか。
(カッパ巻・41歳・会社員・東京都)


怖い顔をしたい、とかって気持ちがあるんですかね。威厳とか。


つっても、その根底にあるのは「言わずともわかれ」っていう、むしろはっきり幼児的と言っていい精神性なわけですからね……。

言うまでもなく、社会のなかで生きる成人として非常に問題がある、恥ずかしい態度ですよね、「機嫌が悪い」なんて。

なにか不満なことがあったとしても、そもそもいきなり一方的に怒りだしたりするべきじゃないというのも当然だし、ましてそれを最低限でも言葉にして表明することすらせず、勝手に飲み込んでおいて、「とにかく自分は不快なんだ!」っていう負のバイブスばかりを蓄積~発散するなんて、マジただの赤ちゃんじゃん!って話ですよ。

対話による解決の糸口が一個もないんだもの。


もう、どうしたいのよ!! どうもしたくないんでしょうけど……。


あえて言えば、まさにカッパ巻さんがそうさせられているように、ただただ周りをビクビクさせて、「気を遣わせたい」んでしょうね、要するに。


性格悪すぎ!


というかやはり、人間的に幼い、ってことだと思いますけど。

なんにせよいい歳になるまでその調子で来ちゃってる以上、今さら誰かに何か言われて振る舞いを改めるとかも、まぁまず望めないことでしょうしね。

厄介なのはさ、そうやって機嫌悪くなって周りに気を遣われたりするのが、じゃあ本人的には心地いいのかっていうと、べつにそういうわけでもなさそうで……、逆に、意味なくビクビクされてることを察知して、それにも腹を立てだしたりして。

お前がそうさせてんだろ!ってことなんだけど(笑)。

だから、いつも不機嫌な人って、自分のなかでどんどん不機嫌さを再生産してくしかないようなサイクルに、否応なく入っちゃってるんですよね。

発火点自体はたぶん、こっちからすれば「ムカっとさせたのは申し訳ありませんでしたけど……、そこまで怒ります?」って程度のことだったりすると思うんだけど、そういう人って、自分の怒りの正しさに、酔っぱらっちゃってるからさ。

普通に落ち着いて話し合えば済むことなのに、自分のなかで勝手にどんどん、怒りを高速増殖させてしまってたりして。

だから、もし仮にその態度はよくないですよって誰かから指摘されても、「はあっ!? 俺が悪いってのか!?」とか、さらに大逆ギレしてくる可能性も大っていう……。


その怒りの増殖はどうやって止められるのですかね?


原理的には無理ですね。

さっきから言ってるように、不機嫌って「言わずともわかれ」っていう幼児的な自己中心性のあらわれなので、そもそも話し合える糸口がない。

あえて言えば……。

たとえば、めんどくさいけど勇気を振り絞って、「そのぶっきらぼうな態度、いつも怖くて物が言いづらいので、改めてもらえませんか」とかなんとか、一回だけでも真正面から意見をぶつけてみたとして、もちろんさっき予想した通りさらなる逆上を招くだけかもしれないけど、少なくともそれで、そいつが「なにやら怒っている」ということが、初めてはっきり、言ってみれば顕在化するわけじゃない?

そしたらそこでようやく、「にしても、一方的に怒りすぎです」っていうようなことも、改めて指摘できるようになるし。
もし相手がそこで怒声なんかあげたりしたら、それこそが言わば「動かぬ証拠」になるわけだからさ。

うまく行けば、向こうも事後的に反省する余地がちょっとは出てくるかもしれない。

そんな感じで、とにかく一回、誰の目にも明らかなレベルで爆発させてしまう、という荒療治は一応、考えられなくもないかな……。

ま、面倒だしやっぱり怖いしで、あんまり楽観的におすすめできるような手でもないですけどね。

ちなみにそういう人って、意外と自分自身では、それなりに「アンガーマネジメント」的なことがちゃんとできてる、って自己認識だったりするんだと思いますよ。
つまり、「怒りを黙って飲み込んでる」時点で、オレ大人! ちゃんとガマンしてえらい!とか思ってたりするんじゃないかなー、おおかた。

ハタから見るとその様子こそが「不機嫌」なんだけどね!(笑)


もう本当に面倒くさいな!


面倒くさいよ。
不機嫌ってそういうことじゃないですか。

前に「つい舌打ちしてしまう」っていう相談があったけど、それで言ったら、四六時中舌打ちしてて、それが周囲には丸聞こえ!みたいな。


怒りがおさまるのを待つしかないってことですかね。


ただ、上司とかは公の人間関係なんだから、理不尽なことをされたなら正攻法の抗議で返していい、というのはありますよね、当然ながら。

あと、これもいつも言ってることだけど、そいつに対して同じような問題を感じている人たちも同じ場所に一定量は必ずいるはずだから、できればそこと連帯することで、ちょっとは楽になってくるところもあるのかな、とは思いますが。

無論、ただの幼稚なわがままに真剣に悩んだり立ち向かったりすること自体ムダ、と考えて、単にほっとく!というのも、職場だけの話でとはいえ実害がそこまで大きくないようなら、普通にアリなスタンスではありますよね。


そう考えると、上司の方が割り切って接することができそうな気がする。ダンナさんの方が大変なのですかね。


そうかもね。

そうは言っても、仮にもパートナーとして半永続的に一緒に生きてゆこうとしてる相手に、実は内心ビクビク気を遣い続けるしかないなんて、やっぱそのままでいいとはとても言い難い話なのも、間違いないもんね。

まず、「彼らを怒らせずに」は、いったんちょっと、置いとこう。
そこを怖がりすぎると、結局はこっちがガマンすればいいんでしょ、的な結論しか出なくなっちゃうから。

まぁつまるところ、「あなたは気づいてないかもしれないあなたのこういう面が私は本当に嫌だし迷惑だから、本気で向き合って直してほしい」ってことをしっかり伝えて、相手もそれを真摯に受けとめる……、要は「きちんと話し合う」以外に、本質的な解決のきっかけなんかない、ってことになりますけどね、当たり前すぎだけど。

「人格批判をしているわけではなくて、パートナー同士としてのルールやマナーをお互い改めて確認したいんだよね」みたいに、ある程度穏当な言い方に持ってくこともぜんぜんできると思うし。

そこから先は、ダンナさんがどんな人かによる、としか言えないけども……。


なんかこれ、自分も気をつけないとなぁと思いましたよ。
知らず知らずでやってる可能性、大あり。


それはそうだね。

自戒を込めて!
僕自身にも残念ながらそういう面がたしかにあったりもするからこそ、その心理がすごく想像つく、みたいなところはありますからね、実際。


性差はあるんですかね?


言いたかないけど、あると思うなぁ……。あくまで社会的なものとしてね。
というのは男のほうがやっぱり、この世界に甘やかされてきてますから。

あとは言うまでもなく、怒りの発露にともなう暴力性や権力性の圧も、女性とは基本くらべものにならないわけで……、有害の度は、明らかに同じとは言えないですよね、

ということで、先方との距離感などによってその後のアプローチは変わってくるでしょうが、いずれにせよ、理由もよくわかんないままただただ気を遣わされたりビクビクしなきゃならない筋合いなんか、本来カッパ巻さん側には1ミリもないことは確かなんですから。

正面から戦うにしろ、精神的距離を取ってシカトするにしろ、そこだけは揺るがぬ自信として持ち続けていただければ、と思います。


これ読んで、本当に本当に自分も気をつけようと思いましたよ。どこかで不機嫌を出していることって絶対あるから。そんな一人ひとりの小さな改善が積もっていって、少しでも全体的に良い方向にいったらいいのになぁと思いました。

カッパ巻さんの心中お察ししつつ、穏やかな方向にいくことを祈っております!



【今週のお絵描き】

画・宇多丸




【全国書店やAmazonで発売中】
「ライムスター宇多丸のお悩み相談室」、ついに書籍化!! 幻冬舎より発売中!
執拗に、フェアに、意外と優しく、時に興奮しながら、とことん考え答えた人生相談34!
★詳しくはこちら


<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

※6/21にニューアルバム『Open The Window』、ついに発売!
詳細はこちら

※7/9からはKing of Stage Vol. 15
Open The Window Release Tour 2023-2024がスタート!
詳細はこちら


女子部JAPAN こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



☟☟☟ 新着記事情報はTwitterでお知らせしています ☟☟☟
よかったらフォローお願いします!


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

最後まで読んでいただきありがとうございます!! 新着記事はX(Twitter)でお知らせしています☞