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地下アイドルのファンですが、そこで知り合った女性との関係で悩んでいます……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室190】


✳️今週のお悩み✳️
私は地下アイドルが好きで暇さえあればライブやイベントに行きます。そこで知り合った女性との関係で悩んでいます。その人は50代。見た目はお互い年相応に普通です。地下アイドルの場合CDをいっぱい買えば、サイン会やチェキ撮影会で一対一状態でアイドルから僕も愛してるとか大好きとか言ってもらえます。表面上は「あれは営業トーク」なんてファン同士で言ってますが、みんな舞い上がっちゃいます。その50代の女性もアイドルが自分に少しくらい女性として好意を抱いてくれてると思ってるようです。そして私に毎日のようにLINEや現場でアドバイスしてきます。「大好きです!なんていつも言うよりダメ出しをした方が一風変わってて好かれる。女の子はツンデレが良い」とか「下手に歳が近い歳上女性よりぐっと歳上な女性の方が良いみたい」とか。 私は音楽が好きなのにこのように恋愛の土俵に勝手に立たされることも嫌ですし、ごく普通の50代の女性に女性として思いっきり見下されてることもストレスです。そもそもアイドルはファンを恋愛対象として見ていない点、一般的な恋愛市場で見れば私は20代の夫がいる既婚者だが彼女は未婚である点など本気で口論すれば私が勝てるでしょう。ただ私が本気で口論して、その内容を彼女がそれを他人に話した場合、アイドルにささやかな擬似恋愛感情を心の中に抱いて楽しんでる年配の女性まで傷つけてしまうのが嫌です。狭くて濃密な人間関係なので自然なフェードアウトは難しいです。まわりを傷つける可能性があっても彼女の言うことにびしっと反論してしまうべきでしょうか。それともまわりからどう思われようと彼女を無視すべきでしょうか。

(ぽっぽ・34歳・東京都)


宇多丸:
そっか、僕はいまいちわかってなかったけど、今はこういう、男性の地下アイドルシーンもあるんですね。

とりあえず、アイドルというエンターテインメントを誰がどう楽しもうと、人に迷惑かけない限りはそれぞれの勝手、というのは大前提として……、その50代の女性のように、そこで自分のイズムを一方的に押しつけてきたりするのは、もちろん迷惑千万ですよね。ぽっぽさんがイラッと来るのも、まぁごもっとも。

その人が言ってることも、なんだかなぁって感じですもんねぇ。
特に、「ダメ出しをした方が一風変わってて好かれる」ってこれ、アイドルに限らず、誰かの熱心なファンがしてしまいがちな発想で、気持ちとしてはわからなくもないんですけども……、はっきり言って、言われた側は、表面上どう返してるかわかりませんけど、内心はやっぱ、普通にムッとしてることが多いと思いますよ(笑)。

実際、たまにそういうファンがいるよねって話、いろんな人とよくするんですよ。
自分はあなたのことを誰よりもわかってますよ、そのへんのやつらとは違いますよ、っていうアピールなのかなんなのか、わざとこっちがちょっと嫌がりそうなことを言ってきたりする人っていうのが、どのジャンルにも一定の割合でいるっぽいんだけど……、少なくとも僕が話をした限りの人はみんな、「心理として理解できなくはないけど、やっぱり単に失礼なだけだよね(笑)」って感じで、まぁいちいち本気で怒るわけでもないけど、間違いなく喜んでるわけでもない。

こばなみ:
そういうファンの方ってわりといるんですね。

宇多丸:
うん。別にアイドルとかでなくとも、不特定多数の支持者がつくような立場であれば、たいていの人は大なり小なり経験してることなんじゃないかと思いますけど。
しかも、今はSNSとかもあるし、地下アイドルとかは接触の機会も多いから、そういう声が本人に届きやすいじゃん。
もちろん誰だってファンは大事にしたくもあるから、表面的には「言ってくれてありがとうね」みたく返してくれる人も多いだろうし、問題の女性もまさにその「営業トーク」を真に受けたんだろうけど……、実はやっぱりムカっとさせてたり、最悪けっこう傷つけてたりするかもよ?っていう話ですよ。

ホント、みなさんもね、今後どなたかを応援するようなときは、気をつけたほうがいいよ!
 「よかれと思ってのこと」だからこそ、客観的に見れば対象との距離感を見失った、ヤバい言動を取ってしまいやすい、っていうこともあるからさ。

その人が言ってる「女の子はツンデレが良い」っていう決めつけもなぁ……、言うまでもなく、みんながみんなそういうのが好きってわけじゃないし!
 そもそも別に好意も興味も抱いてないような相手に「ツン」な態度取られたって、ただ「感じわりぃなコイツ」って思うだけだよ!(笑) 
もちろん、ぽっぽさんのおっしゃる通りというか、まぁ言うまでもなくですけど、一般に「アイドルはファンを恋愛対象として見ていない」わけだし。

ということで、その50代の方にぽっぽさんが感じられていることは、もちろん全然間違ってない。
たぶんだけど、ほかのファンの人たちも実は同じように思ってるんじゃないの? 「あの人、ちょっと困っちゃうよね」って。

ただ、ぽっぽさん自身懸念してる通り、だからってそれを本人に直接ぶつけて、わざわざ揉めることもないじゃないかとも思いますけどね。つい言い返したくなるのもわかるけど、ここはやっぱ、「スルー力」でしょ!
 「は~そんなもんすかねぇ」とか言って、適当に受け流しときゃいいんですよ。いちいち相手にするまでもないじゃない。

こばなみ:
何か言い返して逆恨みされたら嫌ですしね。

宇多丸:
いやそれはもう、間違いなく根に持たれると思いますよ!
 狭いところで付き合っていかなきゃいけないからこそ、無用なわだかまりを残すようなことはできる限り避けたほうがいいよ、そりゃ。

問題はむしろ、ぽっぽさんが、その人の言うことを真正面から受けとめすぎ、ちょっとムキになりすぎってことのほうなんじゃないか、という気すらしますけど。

こばなみ:
なかなかガチ怒りになっていますよね。

宇多丸:
「一般的な恋愛市場で見れば私は20代の夫がいる既婚者だが彼女は未婚である点など本気で口論すれば私が勝てるでしょう」とか、よっぽど悔しい思いしたんだな、というのは伝わってくるけども(笑)、逆に言えば、そこまで大人げない、「あんたなんかと一緒にしないでよ!」的な怒り方をしてしまうくらい、彼女のことをマジで脅威に感じてしまってもいる、ってことでもあるわけじゃないですか。

なんか、もうちょっとこう……、さっきから言ってるように、その女性の言動がイタめなのはわりと誰の目にも明らかなレベルなだけにさ、「とは言え私も実質似たようなもんだけどね、テヘッ!」くらいに、鷹揚に構えられないもんかなって。
勝つだの負けるだの言いだしてる時点で、ハタから見ると、限りなく同じ土俵に立っちゃってる感じなんですよ。もっと意地悪な言い方をすれば、ちょっと近親憎悪入ってるんじゃないの?みたく見えちゃうというか。

こばなみ:
そこ気づいて、うまくスルーできるといいですね。

宇多丸:
そうだね。せっかく、曲がりなりにも同じ人を、おそらくは決して人数も多くはないなかで応援してる同士なんだからさ……、「ほかの人から見ればきっと同じ穴のムジナだし(笑)、気持ちもわかるんだけどね」くらいの余裕スタンス、なんとか保てませんかね。
それこそ、ぽっぽさんが本当に、「一般的な恋愛市場で見れば」その人のほうがより厳しい立場にある、と思ってるんだったらさ、そのぶんさらに切実に、「アイドルという幻想」を必要としてるのかもしれない、と考えてあげることもできるはずじゃん?

もし、とは言えあまりにも、的外れな説教を一方的にされ続けるのが辛いようなら、ほかのファンの人で信用できそうな ……、つまり口が堅そうな人を選んで、一度、腹を割った話をする機会を持ってみるのはどうですかね。そういう陰口というか愚痴吐き出しは、全然必要悪だよ!
 そしたらたぶん、さっきも言ったけどわりとあっさり「そうそう、みんなあの人にはちょっと困ってるんですよね~」みたいな感じで認識を共有できて、ぽっぽさんも、一気に楽になれたりするんじゃないですかね。
もちろん、秘密厳守は絶対のルールとして、ね。

仮に、そこまで信頼できそうな人がそのなかで思い当たらないようなら……、じゃあやっぱり、そこの人脈はその程度のものだとわりきって、アイドル本人の応援にだけ、できるだけ意識を集中させるようにしてくしかないよね。まぁ、そこが一番肝心な部分ではあるんだから。

それにしても……、これだけ対象と距離感が近いってことは、ファン側も、変な勘違いなどしないよう余計に自戒してかないとダメってことなんだから、どっちかっていうと完全に、上級者向けですよね、地下アイドルって。
今回の相談のように、ファン同士の間柄まで異常に狭く濃くなってゆきがちなわけで……、ぽっぽさんも、その50代の方をいい反面教師として、健全なヲタライフ、楽しんでくださいね!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年5月6日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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