酒好きの酔っ払い三十路女に惹かれるメンズはいるの? 2人で盛り上がって楽しかったのに付き合うに至りません。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室156】
✳️今週のお悩み✳️
大酒飲みな自分を変えたいです。お酒が好きでほぼ毎晩飲んでいます(芋焼酎ロックや日本酒、白ワインが好き)。つまり女子っぽくないオヤジスタイル。かれこれ4年は彼氏募集中でして、その間に2人きりで飲みに行く機会も何度かはありました。皆最初は口を揃えて、お酒飲める子の方がいーじゃんと言います。私は酔うのは早いのですが潰れるまでに至らないので、酔ってからずーっと喋べくり倒します。これが原因かはわかりませんが、飲みに行って2人で盛り上がって楽しかったのに付き合うに至りません。私的には2人で飲に行く=彼氏にしたい対象なのですが……、ちなみにワンナイトも何人かいました。。。話が逸れましたが、こんな酒好きの酔っ払い三十路女に惹かれるメンズはどこかにいませんか? (ちなみに今も酔ってます) 宇多さんよろしくお願いいたします。
(おペコ・30歳・東京都)
宇多丸:
まずこの、「飲みに行って2人で盛り上がって楽しかったのに付き合うに至りません」ってとこに関してはさ、ちょっと生々しい話で恐縮なんだけど、一応男の立場から、「こういう要因も考えられるんじゃね?」という推論を言わせていただくと……。
あのー、女性の皆さんもなんとなくはご存じかとは思いますが、要はですね、過度にアルコールを摂取した状態だと、男性というのは、ソッチのほうの機能というのがですね、あんまり、役に立たなくなっちゃうわけですよ。これ、かなりの確率で。
なので、直接的にはそれが理由なんじゃないですかね?
おペコさんとの飲みが盛り上がれば盛り上がるほど、ホントは性的な気分もそこそこアガってきてたのだとしても、「でも今夜は正直、仮にいざそういう雰囲気になったところで、絶対オレが役に立たないだろうからな~……、その恥辱だけは絶対に避けたいところだし、相手にも失礼! やはりここは無難に、単に楽しく飲み上げて終わり、がオトナの立ち振る舞いというものでしょう!」的に、あらかじめ強く自戒しちゃってるってとこはあるんじゃないかなぁ。
だから、ホント難しいんだよね。 酔っぱらわないと恥ずかしくて色っぽい雰囲気になんかとても持ってけないくらい小心なくせに、そのために飲んだら飲んだで、その日はもう使いものにならない。 そこでバランスをとりかねている男性って、けっこう多いんじゃないかと思いますね。あんまり取り沙汰されないことだけども。
こばなみ:
みんなどうしてるんですかね?
宇多丸:
僕が聞きたいくらいですよ(笑)。
あと、おペコさんはたぶん、僕と酔い方が似てますよね。 酔っぱらうは酔っぱらうんだけど、寝ちゃったり前後不覚になっちゃったりはなかなかしなくって、ハイテンションでおしゃべり、って状態が長く続くっていう。 で、意識もわりとしっかりしてるつもりなんだけど、後から思い出そうとすると終わりのほうはもうなに話してたかよくおぼえてない……とか、まぁだいたいそんな感じなんじゃない?
だから、「お酒飲める子の方がいーじゃん」っていう気持ちも、全然わかりますよ。 ただそれ、ホントは、「自分と同じくらいのペースで」っていうただし書きが頭につくんだとは思いますけど。 そういう意味では、おペコさんが飲んべえだってことは、僕みたく同じくらい飲む相手にとっては、むしろプラス要素たり得るってことですよね。 もちろん、暴れたり吐いたりしないとか、毎度しっかり自力で帰れる程度には酒量も一応はコントロールできてるとか、そういう酒飲みとして最低限のマナーが守れてるのは前提として、でしょうけど。
少なくとも、「酒好きの酔っ払い三十路女」“だから”パートナーが見つからない、なんてことは絶対ないはずですよ。同じ条件でモテモテの女の人だって山ほどいるよ! そこを言い訳にしないほうがいいと思います。
ちなみに、おペコさん側からしても、お付き合いの相手として他の条件的には申し分ないんだけど、残念ながら下戸、みたいな男性はナシなんですかね?
こばなみ:
ナシじゃないですか?
私はおペコさんよりは飲めないけど、酒好きなのでそう思うもん。まったく飲めない人といるのは、こっちも申し訳なくなっちゃうというか……。
宇多丸:
たださ、お互いあまりにもしっかり酒好きだと、途中で目的が変わっちゃいがちっていうのはあるかもね。
たしかに恋もしたいけど、今はただただ、もっと酒が飲みたい、このまま楽しく飲り続けたい……って方向にその場では気持ちが行っちゃうっていう。それならなんとなく想像もつくけどね。
でも、おペコさん、「ちなみにワンナイトも何人かいました」ってことなんだもんなぁ……、とりあえず深い仲になるってとこまではクリアしてる、男性側も先ほどの懸念を吹き飛ばして見事お役を果たしてる(笑)、なのにそこから関係が続いていかないって、どういうことなんだろう?
想像するに、やっぱり、お酒ってファクターが大きすぎるのかもしれないですよね。 どうしたって「酔った勢いでやっちまった」ってところにカテゴライズされちゃいがちというか。 向こうは向こうで、「どうせあのときは酔ってたからああなっちゃっただけで、きっとホントはオレのことなんかそんなに好きじゃなくて、今ごろ後悔してたりするに違いない……」って思い込んでたりするかもしれないし。
だから問題は、酔った勢いでヤったところまではいいんだけど、いつもそのままの状態ですぐ解散しちゃってる、ってことなんじゃない? そこからいったん眠るなりなんなりしてさぁ、そこそこアルコールが抜けるまで一緒にいて、それでもやっぱりお互いイイ感じじゃない?って確認し合うところまで持ってかないと、関係が安定しないんじゃないかっていう。
例えば、二人で楽しく飲んで、イイ感じになってきたとする。 そしたら、とりあえず飲み屋から出て、ホテルでもどっちかの家でもなんでもいいから、とにかく「今日はこのまま朝まで一緒にいない?」と誘ってみるわけですよ。
それこそ、 「♪モーニングコーヒー飲も~うよ~ 二人で~」 ってやつですよ
こばなみ:
それ、いい!
宇多丸:
で、別にすぐヤったりしないでいいから、とりあえず二人で、寝る!
この作戦、最初に言った男性側の機能不全への懸念(笑)が、時間を置くことで、ある程度解消されるっていう効果も期待できますからね。一石二鳥!
とにかく、きっかけはあくまで飲みでもいいから、そこから今度はできるだけ酒要素が薄まるまで一緒にいることで、二人の「素」の関係性のほうをどんどん濃くしてゆく、って考え方ですよね。 夜!酒!って空気がすっかり抜ける領域まで、相手を引きずり込んでゆく。 そのために、とにかくいったん寝る。文字通り「寝技」に持ち込むわけですよ!
こばなみ:
思い出した!
数年前に、そのとき気になってた人と3時くらいまで飲んでて、その後「家でWiiやろう!」と言われ、Wiiやって寝こけて、そしてコトがとんとん進んだ、ということがありました。その人は、Wiiで酒を抜いていたのかもしれない(笑)。
宇多丸:
それに、それだけ既成事実として長い時間一緒にいると、そのことだけでもう、一種特別な絆が生まれたような気がしてくるもんじゃない?
それは当然錯覚かもしれないんだけど、少なくとも、長時間一緒に過ごしても苦にならないっていう、いずれ付き合うんだったら絶対にクリアしなきゃならない条件はもう、事実上超えられちゃってるわけだからさ。
実際、誰かと誰かが付き合うってことになるときには、そういう風に「いつもより比較的長く一緒にいる」っていう過程が、実はほぼ必ず入ってるんじゃないかって気もするくらい。
その意味では、別にどこかで泊まって寝るっていうところにいきなり行かなくとも、散歩したり、ファミレスに居座ったりでもいいから、とにかく日が昇って、言わばシラフの時間帯になるまで、ダラダラ引っ張り続けることが肝心なのかもですね。
いずれにせよ、酒でお互い緊張を解いてからの『モーニングコーヒー』作戦、 マジでかなり実効性高いんじゃないですかね。 翌日休みの日を狙って、ロングスパンで計画を練ってみては?
こばなみ:
何気なく口ずさんでいた歌が、こんなに実用的だったとは!
宇多丸:
さすがつんくさん(笑)。
ということでおペコさん、色恋沙汰にまったく縁がないってタイプでもなさそうだから、次回チャンスが訪れた際には、ぜひ我々の『モーニングコーヒー』提案、試してみてください!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2016年8月6日に公開したものを再編集し、掲載しています。