素敵な企業だと思っていたら、「明日から7時出勤しろと言ったら来ますか?」など圧迫面接! 転職活動ではよくあることなの ?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室350】
✳️今週のお悩み✳️
現在、転職活動中の31歳です。今年入籍し、引っ越しをし、通勤に片道3時間かかるため、現職を3月末に退職する方向で転職活動をしております。幸いにも上司から転職先をご紹介いただき、「こんなチャンスがくるなんて!」と思える素敵な企業だったので事前に書類を送付し、早速面接いただくことになりました。先日、いざ面接に行ってきたのですが、2人いる面接官のうちの1人が圧迫面接(?)と思える態度で、「残業はできますか?」「明日から7時出勤しろと言ったら来ますか?」など、仕事なんだから最善策であればやるに決まってんだろボケ、という具合の質問ばかり。デザイナー職に応募しているのですが、ラフスケッチを手描きしていると言ったら「なぜペンタブで描かないのか、遅すぎる」と注意されてしまいました(描く行為は同じなので、修正スピードさえ問題なければどちらでも良いと考えています)。そのほか、「なぜこのソフトを使ったことないのか?」というニッチなソフトについての質問や、よく行く美術館を聞かれたので、デザイナーなら通じるであろう場所を答えたら「そこは知りません」と返答されてしまい、なかなかポジティブな会話にならずに50分間が終了しました。今後は課題が出たので、課題を提出し、次は役員面接の予定です。ですが、「求人は公募してるので良い人が先に決まれば断ります」と言われています。上司にも面接内容を報告したところ、人間関係が難しそうであれば辞退してもいい、との助言をいただきました(面接官と上司は関わりない間柄でした)。素敵な企業と思っていたので、面接のギャップに驚いたこと、初めての圧迫面接でうまく返答できなかったことなど、モヤモヤしております。それとも、書類で落としたかったけど紹介だから嫌々面接してもらったのか……? 本当に深夜まで残業があるなら続けられないかも……、など妄想が止まりません。仕事内容に興味はありますが、面接を思い出すと腹が立って、先日駅でナチュラルに地団駄を踏んでいました。 このようなことは転職活動でよくあることなのでしょうか。お二人の冷静な目線で喝をいただけると幸いです。
(つねこ・31歳・東京都)
宇多丸:
圧迫面接って、こんなふうに今もそこらで、当たり前のようにやってるんですかね?
昔はよく聞いたけど……、そんなドッキリカメラみたいなことして人をはかろうって時点で、ろくなもんじゃねぇなって僕は思っちゃいますけども。
こばなみ:
しかも内容もひどいですよね。残業できるかとか朝7時から出勤しろとか、何かちょっと今の時代に合ってなくないですか。そういう意味でもちょっと危険!?
クリエイティブ職だとしても、こんな会社ある?って思っちゃいました。
宇多丸:
デザイナーって、いいように使われだすと、本当にキリがなくなる職種でもあるからね。
線引きはビシッとしといたほうがいいですよ。
こばなみ:
この業界でも残業、残業ってできなくなりつつありますし、働きすぎで訴えたり、辞めたりする社員もいるから、会社も気をつけていると思いますけどね。
宇多丸:
なのに、つねこさんが受けた面接はこのていたらくですよ。
質問に答えたのに話をまともに受けてくんないとか、ちょっとひどくない?
こばなみ:
この面接官だけが変なのですかね?
宇多丸:
まぁその可能性もあるから、次の役員面接くらいまでは受けてみてもいいんじゃないかと思うけど。
そこで、前の面接で労働条件についてこういうことを言われたんですけど……くらい聞いてみるのも、こちらの権利としてありじゃないのかなぁ。
にしてもさぁ……、「求人は公募してるので良い人が先に決まれば断ります」って、そんな失礼なこと、わざわざ言う?
こばなみ:
やっぱこの面接官が変……!?
宇多丸:
か、会社全体がおかしいのか。
まぁ、こうやってこっちも、先方を見定めている場面でもあるわけだよね、企業面接って。 役員面接の雰囲気次第で、もうこれお話にならないなと思ったら、とっとと帰ってくればいいんじゃない?
こばなみ:
「残業できますか?」って面接で聞かれるにしても、どういう場合とか、説明がふつうはあるわけじゃないですか。そういうのもないんですね、この会社。
宇多丸:
どんな採用面接であれ、労働条件に関しては詳細を確かめておくべきなのに変わりはないですからね。
妄想してる場合じゃないよ、今のうちにちゃんと聞いとこう!
ちなみに、有名な企業だから中身もしっかりしてるなんて保証は、ぜんぜんないですよね。 むしろ、老舗大会社とかのほうが、体質として腐りきってるってパターンもあるから。
こばなみ:
今の会社は、上司が転職先を紹介してくれるなんて、それも含めていい会社なんでしょうね。
そうするとなんか辞めるのがもったいない感じもしますね~。
リモートワークとかで続けられたらいいのに。
宇多丸:
前も言いましたけど、働き手の幸福度を決めるのは、「職種じゃなくてメンツ」ってとこ、はっきりありますからね。
まぁまぁいい人たちというか、問題ないメンバーに囲まれてるならそれだけで、超ラッキーなんだよね。
こばなみ:
メンツ! 本当にそうだと思います。大きい会社なら、同じ社内でも部署が変わったら全然違うとかもあるでしょうし、上司が変わるだけでも全然違うでしょうね。
宇多丸:
紹介してくれた上司も、だからそこで無理することないよ、とは一応言ってくれてるわけだよね。
ま、これに関しては「人間関係」とくくって済む問題なのかな、とはやや思うけど……。
ちなみに、それとは別にちょっと気になるのは、入籍して引っ越ししたからこの問題が持ちあがってるわけだけど、ダンナ側の事情はどうなっているんですかね? つねこさんだけが一方的にキャリアを危機にさらして転職しなきゃいけないのだとしたら、おいおいなんだよそれって感じもちょっとしちゃうけど。
こばなみ:
そうであれば、そこもきちんと腹落ちするよう、旦那さんと話し合ってほしいですね。
宇多丸:
とにかくなんにせよ、足元見られるような転職はやめたほうがいいのは間違いないわけで、条件をしっかり確認したうえで、組織として感じ悪いなと思うんならふつうにやめといてもいいと思いますよ。
妥協して転職したはいいけど、やっぱり実は環境が劣悪で、結局心身病んじゃいました、とかになったら、元も子もないよ。
役員面接受けてみたらすべて杞憂だったことがわかった、とかならまだいいけどね……。
こばなみ:
コロナ禍で行動の制限もあるし、大変だと思いますが、いい職場が見つかることを祈っております! がんば!