好きな人のエッチしてる姿を第三者目線で見たい。私の性癖は変ですか?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室201】
✳️今週のお悩み✳️
私は性癖が変かもしれません。好きな人のエッチしてる姿を第三者目線で見たい願望があります。なので、彼氏と誰かがやってる姿を見たいです。でももちろん叶いません。たぶんデリヘルとやってって言ったら、別れようと言われちゃいます。だから元彼には枕と擬似エッチをしてもらってました。でもやっぱり本物を見たい。そして好きな人じゃなきゃ満たされません。どうしたら良いでしょうか……笑
。
(寂しガリヤ・25歳・東京都)
こばなみ:
これまでにない相談ですね。こういった願望、男の人は聞いたことあるけど。
宇多丸:
いやホント、男性向けポルノの世界では、いわゆる「NTR(寝取られ)」ものジャンルが、近年びっくりするような勢いで定番化しつつあるんですけど、女の人でもそういう嗜好、やっぱりある人にはあるんだ~、って思いました。
たぶん、本来欲望の在りかたに性差なんて別にない、ってことなんでしょうね。これまでは、古い社会的規範とかに縛られて、みんな勝手にいろいろ思い込んでただけで。 まぁ、当たり前だけど誰かの意思に反することを現実に強要したりするようなもんじゃない限り、基本的にはいいことなんじゃない? 固定観念の縛りから、どんどん解放されていくっていうこと自体は。
こばなみ:
年齢や環境にももちろんよるのかもしれないけど、女性もわりとオープンに性的な話もしますしね。昨日ヤッてきた!みたいに話している人がいたとして、それをちょっと前は、嫌そうな目で見る同性もいたけど、最近そうでもないんじゃないかなって。そういうことあるよね~、みたいな比較的ライトな感じ。
で、寂しガリヤさんは、元カレには自分の性的志向を話していたんですよね。じゃあ、今の彼とはどうする?ってことですけど……。
宇多丸:
さっきも言ったように、「NTR」願望自体は、今や別に、そこまで特殊な性癖ってわけでもないかもしれないですよね。
考えてみれば昔から、それこそスワッピングとかだってあったわけだし……、「自分のパートナーが他の人と性行為してるところを見て興奮する」という心理そのものは、わりと珍しくない範疇じゃない?とは思うけど。
だいたい、「ノーマルな性欲」ってなに?って話ですよ。
こばなみ:
たしかに基準とか、これが普通とかないですもんね。
宇多丸:
「プレーンな異性の裸を見て興奮するべし」とか?(笑) 中学生男子ならそれで十分かもしれないけど……。
現代人の性欲って事実上、限りなく文化的な刷り込みの割合が大きいものだからさ。
とにかく、寂しガリヤさんの願望が特に「変」だなんて僕はまったく思わないし、そこをあんまり後ろ暗く感じる必要もないと思う。
ただ、欲望の在りかたとしての「NTR」がかなりポピュラーになったということと、それを現実にパートナーとのプレイとして実践するということの間には、やっぱりかなり大きな隔たりがあるのもたしかだろうからね。
前も言ったけど、どれだけ不埒な妄想をはばたかせようとなんの問題もない自慰行為と、目の前の「他者」とがっつり対峙しなきゃならないセックス……つまり言ってみれば「性的ファンタジー」と「性的コミュニケーション」って、「性的」っていう共通項があるだけで、実際にはほとんど正反対のアクションだからさ。 なので、寂しガリヤさんが危惧している通り、いきなり彼に「NTR」プレイを持ちかけたりしたら、ドン引きされたり怒り出されたり、あるいは、いざ実際にやってみたらやっぱり心にしこりが残って付き合いづらくなっちゃったとか、とにかく、カップル関係に取り返しのつかない傷を残してしまうというようなリスクも、もちろん十二分に考えられますよね。
ということは逆に、彼側の性癖、実はやりたかったことともばっちり一致して、より円満な関係を築いてゆける可能性だって、ゼロじゃないってことでもあるわけだけど。 だからまずは、彼に「そのケ」がちょっとでもあるのかどうか、それこそベッドのなかで、お互い性的なムードが最高潮に高まったタイミングを見はからって、さりげなーく探ってゆく、っていうのがまぁ、とりあえず正攻法ではあるでしょうね。 で、少しでも脈がありそうなら、ちょっとずつちょっとずつ、それとなくソッチ方向に誘導してゆくとか。 そうやって、いったん彼の頭のなかに「あ、そういうプレイもアリなんだ」という種を植えつけることができれば、意外と実現も夢ではない……かもしれない(笑)。
それにしても、これは今回の寂しガリヤさんのケースに限らずですけど、自分が密かに抱いている性的嗜好をパートナーに理解してもらえるか、共有してもらえるか、もしくはせめて許容してもらえるかどうかって、なかなか人には相談しづらいけど、意外とけっこうよくある、それでいてかなり深刻な悩みなんじゃないかなって気がしますよね。一番近しい人に本当の自分を見せられないって、こんな辛いことってないでしょ。
たとえばもっとハードコアな性癖が身に染みついてる人とか、ホント大変だと思うよ。それこそ、実はゴリゴリのスカトロなんですけど……みたいな人とかさ。誰かに打ち明けること自体、すっごく勇気が要ることじゃん。まぁ、今はインターネットがあるから昔に比べたら同好の士もまだ見つけやすいだろうけど、それにしたって、さ。
それは極端な話に聞こえるかもしれないけど、誰だって大なり小なり、そういう密かなモヤモヤを抱えつつ、おそるおそる相手とのすり合わせを試みては、うまくいったりいかなかったり……ってまぁ、概ねそんな感じで生きてるんじゃない? パートナーにわかってもらうのがどうしても難しそうなら、しょうがないからそっち方向はこっそりまた別のお相手を見つけて解消するとか、やっぱりポルノや風俗で満足するようにするとか、なんとかだましだましやってくしかないってだけでしょ、そりゃあ。
こばなみ:
そういえば、男性の友達がストーリー仕立てでしたいという彼女がいて、一度やってみたけど、あまり乗れなかったと言ってました。
宇多丸:
結局、すべてはしょせん相性というか、いつも言うように「ご縁」だからねぇ。まぁしょうがないっちゃしょうがない。
ちなみに寂しガリヤさんは、逆に彼から「実はオレもそういうのに興味あって……、キミがほかの男とヤッてるところが見たいんだけど」って持ちかけられたら、どうなんですかね? ぶっちゃけ、自分が見られるのは絶対に嫌!って反応だったとしてもおかしくないけど……。 もし仮に、そっちはそっちで全然アリ!って感じなんだったら、それこそ二人仲良くスワッピングでもなんでもガンガンやってってくださいよ、って感じで一気に万事解決なんですけど(笑)。実際、なんにせよそういう際どいプレイを共通に趣味にすることで円満を保ってるようなカップルも、普通にいっぱいいるでしょ。
いずれにしても、繰り返しになりますが、まずは彼にソッチの資質があるのかどうか、折を見て慎重に探ってゆく、っていうところから始める以外ないと思いますよ。いきなり具体的プレイを提案したりするのは、たしかにちょっと危ないと思うから。 で、なんとか行けなくもなさそうなら、次は、カップルで利用できる風俗を探すとか、そういう段階ですかね……、知り合いに頼むわけにもいかないし、かと言ってまったく知らない素人も逆に怖いしねぇ。
こばなみ:
ハプニングバーとかってどうなんですか?
宇多丸:
僕も行ったことないからわからないしなんの責任も持てないですけど、そういうとこでとりあえずライトなプレイ感覚に慣れておくっていうのも、たしかにひとつの手かもしれないですね。
とにかく彼と、趣味合うといいね!
万が一今回がダメでも、いつか理想のお相手とめぐり会えることをお祈りしております。
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年7月22日に公開したものを再編集し、掲載しています。