口が軽く、自分のことをついペラペラと話してしまい、揶揄されたり……。直すにはどうすればいい?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室264】
✳️今週のお悩み✳️
私は昔から口が軽いところがあり、自分のことをついペラペラと話してしまうところがあります。この癖で揶揄されたり、軽蔑されたりします。自分でも意識して直そうとしてますが、つい気が緩んだりしてしまうとぽろりと一言が出てしまったり、ペラペラと話してしまうところがあります。いったいどうすればよいでしょうか。
(Yuumi・27歳・東京都)
宇多丸:
ということでまずは、あけましておめでとうございます~!
今年も、できるかぎりみなさまのお悩みに寄りそって、少しでも助けになるような回答を心がけてゆきたいと思います。
こばなみ:
はい、私も精進してまいります。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします~!!
では宇多丸さん、さっそくお悩み解決、いきましょう~!
自分のことをペラペラ言って揶揄されたりってことは、もうそんなことまで言わなきゃいいのに!というようなことまで話しちゃうってことかな、と思ったんですが。たとえば、下ネタとか? 意識外でペラペラ出ちゃうんじゃないですかね。
こういうことって、宇多丸さん、あります?
宇多丸:
そうねぇ~……。
ま、「口が軽い」っていう表現は普通、人の秘密を簡単にバラしちゃうとか、すぐ噂を広めちゃうとか、そういう方向で使うもんだと思うけど……、その意味で自分はと振り返ると、そこまで悪質な言いふらしとかはもちろんしないけど、ごくたま~にやっぱり、「あっ?……これ、まだ言っちゃいけない件だったんだっけ!?」みたいな口すべらしをしちゃうことはゼロじゃないから、正直、決して口が固いほうとは言えないと思う。とても恥ずかしいことだけど。
あとはさ、僕の場合いまは毎日3時間生放送やってて、常に&瞬時になにかに反応していかなきゃいけないわけだけど、そうするとやっぱどうしても、「えっ、なに言ってんだオレ!」とか、「なんて表現しちゃったんだ!」とか、要は言った直後に大後悔! みたいな局面が、恥ずかしながらちょいちょいは出てきてしまうもんで……、当然それは、僕が立場に対してまだまだ未熟だから、ということに尽きるわけだけど。
でもまぁ、そういう「口は災いのもと」的な失敗、大なり小なり誰でもあるはあるんじゃないですか? そんなことわざがあるくらいなんだから。
で、それに対してどうしてくべきかっていうと……。 たとえば、「同じ過ちは繰り返したくない!」って強く思うような件に関しては、「なぜいまの発言がよくなかったのか」「なのに、なぜ自分はそんな発言をしてしまったのか」という風にどんどん問題の本質を突き詰めてって、その根っ子にあるはずの自分の考えの甘さや誤りをできるかぎり直視するようにする、とかですかねぇ。 自分の一番ダメなとこ、醜いとこに真正面から向き合うことになるわけだから、なかなか辛い作業ではありますけども。 要は、そういうことを言ってしまう自分を、「ちゃんと嫌いになる」ところまで持っていく、というか。
こばなみ:
たしかに、少しかもしれないけど、心の奥底でそう思ってる部分があるから、ふとした瞬間に口から出ちゃうってことですもんね。
宇多丸:
それこそ、自分のなかにもどこかやっぱり差別意識があったんだな、とか……、ホント、てめぇでは意識高いつもりでいればいるほどキツい話だけど!
もうちょっと罪がないあたりだと、ついガキっぽい「もっとボクに注目して!」精神が出ちゃって、余計なひとこと挟んじゃったんだな~、とかさ。
こばなみ:
そういうとき、ありますよね!
宇多丸:
たださ、「口は災いのもと」を根本から防ぎたいなら、そりゃなにしろハナから「あんまりしゃべらない」のが一番なわけだけど、それで本当にいいのか?って問題もあるじゃん。
他人同士が集団生活を営むうえでさ、いつもペラペラしゃべってる人っていうのも、やっぱり必要だったりしない?
こばなみ:
みんなが慎重にしゃべってたら、つ、つまらない……。
宇多丸:
だし、なんか重くるしいじゃない。
だから、いつも無駄口を叩いてるやつって、集団のなかには一定量必要なんだと思いますけどね。風通しのよさを確保するためにも。
揶揄されたり、下に見られがちだってことだけど、それだって逆に言えば、「親しみやすい人柄」ってことでもあるわけじゃん。 相手も軽口叩きやすいように自然とさせてるというかさ。
自分自身を含めた誰かを傷つけるような発言でないかぎり、よくしゃべるってこと自体は、そこまで悪いことじゃないはずだよね。
同じくペラペラ派として、こばなみはどう対策してる?
こばなみ:
対策じゃないけど、人に注意されて気づいたりはしますね。
最近、社長に注意されたのは、私の癖なんだと思うんですけど、恥ずかしいからオットのことを話すのときに下げて言っちゃってたんですよ。そうしたら、聞いてて気持ちがよくない、と言われて。私としてはギャグで言ってたんだけど、やりすぎなのかなと思って、そこは気をつけております。
あとは、自分もそういうところがゼロじゃないので偉そうには言えないけど、人が言ってて嫌だなと感じる言葉を、さっき宇多丸さんが言っていたように、それって根本的にはどう思ってるのかな?とか考えたりする。で、自分も気をつけようって戒めたり。人の振り見て我が振り直せ作戦ですかね。
宇多丸:
なるほど。
まぁやっぱりそんな感じで、反省の繰り返しですよね、我々のようなタイプは。
でも同時に、そうやって日々の空間を言葉で埋めるような人がいなければ、どんだけ世の中ギスギスしっぱなしか、って面も確実にあるはずですから。
たとえば、「世間話」ができるって、けっこう大事なことじゃない? 接点もないし、共通の話題もない。それでも場の空気を友好的に保つためだけのコミュニケーションが取れる人って、けっこう偉くないかな?って僕は思うんですけど。
それこそそこで、話すことも思いつかないしやむなし! で、自分の話しちゃって後から大後悔……とか、人としてキュート以外の何者でもないですよ。 逆に、たとえば二人っきりで部屋にいるのに、平気で押し黙ってるとか、ちょっと嫌じゃないですか。
こばなみ:
そっちのが辛い~。
宇多丸:
もちろん、こういう連載やってりゃ百も承知なことですけど、口下手な人とかも普通にたくさんいるからね。それはそれで、無理することもないと思いますけど。
いずれにせよ、物事には常に両面があるっていうことですよ。 しゃべりすぎって、そりゃ悪い面もあるかもしれないけど、積極的にコミュニケーションして、最低限「敵意のなさを示す」ってだけで、やっぱりその場はきっちり和むもんだったりするしさ。間違いなく存在意義はありますよ。
たとえ突っ込まれたりバカにされがちだったりしても、近寄りがたい、怖い、話しかけづらい、あの人には冗談言えない、みたいな人より、少なくとも人生楽しそうなのは、間違いなくペラペラ派ですって!
ま、そういう僕自身がまさしくペラペラ派だから、自己弁護めいてはいるんですけど(笑)。
こばなみ:
たしかに、上滑りしてんなと思いながらもこの場をどうにかせねば~とかでペラペラしゃべり続けてることってありますね。
宇多丸:
そんな僕たちは、ちゃんと頑張ってる!
当然ですが、自分を含めて人に不利益を与えるような口すべらしについては、さっき言ったように厳に己を戒めてゆくべきとして……、元からあった美点まで失わないようにはしたいものですよね。
こばなみ:
そうですね! そこんとこ気をつけて、今年もペラペラ派、しまっていこーぜぃ!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2019年1月5日に公開したものを再編集し、掲載しています。