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50歳、人生100年時代の折り返し地点に差し掛かり、ここらで起業など弾けたい! だけど迷いもあり、モヤモヤしています。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室303】


✳️今週のお悩み-1✳️
私は先日50歳になりました会社員です。独身です。悩みというのは、人生100年時代になり、折り返し地点に差し掛かったことによる「迷い」です。生活雑貨の商品企画部の管理職として働いており、業績が悪いというわけではないのですが、社風や部のメンバーは井の中の蛙という感じで、新しいことに挑戦するような環境ではありません。ここらで思い切ったことをしたい、弾けたい、たとえば起業など?とも思うのですが、勇気が出なかったり、迷いもあり、モヤモヤしております。宇多丸さんも、ほぼ私と同じ歳だと思うのですが、人生折り返し地点でのモヤモヤはありますでしょうか。これから挑戦したいことなど、ありますか? 実現へのアドバイス、もしかしたら励ましが欲しいのかもしれないのですが、お声がけいただけると嬉しいです。何卒、よろしくお願いします。
(チャッカマン・50歳・東京都)


宇多丸:
いまの職場が無風状態すぎて、っていうことだよね。業績は悪くないというから安定はしているんでしょうけどね。

チャッカマンさんは独身ということだけど、貯えもそれなりにある感じなのかな?

こばなみ:
こういう相談って余裕あるなぁと思いました。子育てとかしてたら、こういう悩みにならないかと。

宇多丸:
いまの生活水準を維持できるかどうかで、みんな汲々としてるもんね。

こばなみ:
宇多丸さんは、同年代ですけど、環境が違うか……!?

宇多丸:
僕は前から、冒険心もなけりゃ計画性もまるっきりない、ただただ目の前のやるべきことを精一杯こなしてきただけ、ってタイプですよ。

それでいままでのところ別に退屈はしてないし食うにも困ってないから、まぁ特に問題は感じてないんですけど。

ただ、最近ちょっと思うのは……、ツアーで全国をまわる合間に、各地の美術館に行くのがここんところの趣味なんですけど、多少早起きしてでも足を伸ばそうって気分になってきたのは、「いまめんどくさがって行かなかったら、きっとここ、結局一生行かないだろうな……、それはさびしいな」と考えるようになったから、というのが多分にあって。

要は、「人生の有限性」を強く意識するようになった、ってことですよね。

その意味では僕も、折り返し地点を過ぎての心境変化、あるっちゃあるかもしれない。

こばなみ:
少し焦りはじめた、ということですか?

宇多丸:
その一種であるとは言えるかもしれない。

こばなみ:
それは最近思ったことなんですか?

宇多丸:
そうかな。 

場所だけじゃなく、たとえば仕事で会うような人だって、下手するともう一生直接会うことはないかもしれないってこと、実際のところたくさんあるわけでしょ。

そう考えるとやはりすごくさびしいし、そのぶんこの二度とない瞬間を大事にしなきゃ、とも思ったりするわけですよ。

だからチャッカマンさんも、やりたいことあるならやればいいじゃん! 限りある生に悔いを残さないように!ってことに尽きるわけだけど。

ただ、チャッカマンさんの場合、「起業など?」とかぼんやりしたこと言ってるくらいで、自分が本当にはどうしたいのか、いまのところはまだそこまで具体的にビジョンがあるわけでもないようですからね。

そこ含めて、まぁいわゆるミドルエイジクライシスそのもの、といったところでしょうね。

とにかくいまのうちになにかしなくちゃ、と気ばかり焦って、という。

ちなみにですが、起業=会社をやめるってこと、なんですよね……?

そこまでリスクを背負ってもやりたいことがあるのかどうか、ってことだよね。

こばなみ:
いまはないのだと思うんですけど、このままここにいていいのかな、みたいなことですよね。

宇多丸:
こばなみはそういうのある?

このままここにいていいのか、もっと違うなにかがあるんじゃないのか、みたいなの。

こばなみ:
前はそれで悶々としていたことはありましたけど、今はこの会社をどうにかするぞ!というのがあるから……。

宇多丸:
責任感ややりがいが出てきてしまった、と。

こばなみ:
そうですね。毎日、いろんなことが起こるし、それに対してどうしよう~! とりゃ~!って考えて対応して進めてって感じで忙しない。でも充実はしているのかな。

宇多丸:
その意味でこのチャッカマンさんのケースはやはり、職場が無風、という状態があればこその悩み、という面もあるのかな。

でも、だとしたらなおさら、それだけのんびりしていて安定してる会社、という利点を活かして、そのままシレッと仕事しながら次の道を模索、ってことでいいんじゃないのかなぁ。

こばなみ:
ゆっくり準備してもいいんじゃないですかね。

60歳なのか65歳なのかわからないけど、今から準備して定年したら起業する、とかもありえるのでは?

まだ60歳、若いですし。退職金もらってずどんといくとか!

宇多丸:
ねぇ。

それまでに資格を取る、とかもあるんじゃないかな。

こばなみ:
資格はいいですね。安定収入もありながらそれできたらいいですし、気持ちも充実もするのではないでしょうか?

宇多丸:
たぶん、いまみたいに、モヤモヤを抱えたまま実際にはなにもしないで時間ばっかり過ぎていく、というのが一番アホらしいんじゃないですかね。

やるならやるし、やらないならやらないで、のほほんとしてられればそれはそれで別になんの問題もないわけだけど。

なにがしたいのか、なにができるのか、もうちょっと自分の気持ちや体力と相談したり、調べてみたりしてみてもいいんじゃないか。

あるいは、そこまでリスクを負うような一大ジャンプ!とかじゃなくとも、それこそ僕みたいに、新たな趣味を見つける、とかレベルでもぜんぜん人生は輝いてくれたりするわけじゃないですか。

50歳なんて、スポーツだってまだ余裕でいけるし、なんだってできるっちゃできる歳ですよ。

人生50年時代ならまだ25歳ですからね(笑)。

こばなみ:
今回はアラフィフのお悩みがもう1つ届いておりますよ!


✳️今週のお悩み-2✳️
私の夫は49歳なのですが、急に顔のシミについて気にしはじめました。これまで容姿を気にしたことなどほぼなく、服装などもずぼらではありませんが積極的におしゃれというわけではありません。なのに急にシミを気にし出し、レーザー治療などについて私に聞いてきたりします。そんなものは自然にみんなそうなるのだから放っておけばいいのに、と私は思うのですが、そうでもないのでしょうか? 宇多丸さんは美肌だと思いますが、シミなど気にされていますか? その年頃の男性の心理を教えていただけると助かります。
(ツルリンパ・46歳・東京都)


宇多丸:
この旦那さんの気持ち、僕はすごくわかりますよ!

僕もね、前はほっぺにちょっとだけ目立つシミがあって、それが年々大きくなってきた時期があったんですよね。

まぁ、別にそこまで若く見られたいとかモテたいとかってことに執着するようなガラでもないんだけど、美肌は一応、ルックス関連では数少ない自慢ポイントだったからさ(笑)。

主に自分自身の気分として、これ一個あるかないかでは、やっぱりだいぶ違うよなぁとは思って。

ツルリンパさんの旦那さん同様、だったらレーザーとかでサクッと取っちゃうのも手か、とか考えたり、まわりに相談したりしてましたよ。

ただ、そうこうするうちに、僕の場合はなぜか、そのシミが消えてきちゃったんで。

こばなみ:
えええー!? なんで?

宇多丸:
わかんない!

愛用の化粧水つけるくらいしかお肌のケアはしてないんですけど、だんだん小さく薄くなってきて、いまはほとんど消えちゃった。

不思議だよねぇ(笑)。

でも、もしあのまんまシミが大きく濃くなる一方だったりしたら、やはりなんらかの手を打とうとしてたんじゃないかと思いますよ。

「そんなものは自然にみんなそうなるのだから放っておけばいいのに」って言うけど、それはさ、女性のみなさんがお化粧したりネイルしたりするのと同じで、僕がいつも言ってる「自分が好きな自分でいる」ためのちょっとした努力なんだから、他人がとやかく言ってどうなる話でもないんですよ。

だから、ツルリンパさんの旦那さんがそれで気分が良くなるんなら、別にシミ除去くらいサクッとやればいいんじゃない?って思うけど。

オレもうおじいちゃんだ……って、しょんぼりしてくいっぽうとかよりは、よっぽどいいでしょ。

もちろん誰だって老いからは逃げられないわけだけど、だからこそ、「自分が好きな自分でいる」ために、シャキッとするよう心がけてゆきたいものだな、と僕は考えてますけどね。

こばなみ:
私たち女性はファンデーションで隠せますけども、男性はあまり隠せないですしね。

宇多丸:
たまにさ、超~イケてる感じをキープしつつ、「特になにもしてませんけど?」みたいなこと言ってる人、いるじゃない? 雑誌のコメントとかでさ。

あんなの、真に受けちゃダメだから!

要は、「私はもともと持ってるもののレベルが違うから……、みなさんは大変ですねぇ」っていう、ただの自慢だよ!(笑)

その意味では、僕のさっきの「特別なケアとかしてないけど美肌」だの、たまに言う「運動なんかなにもしてないけどタフ」だのも、同じく全部自慢話ですね(笑)。参考にならない!

もっとも、僕だって当然、よく見りゃ普通に歳はとってますからねぇ。

どうしたって経年変化はしてゆくんだから、せめて自分が望むかたちで加齢してゆきたいものですよね、っていう。

こばなみ:
ちなみにどの辺に加齢を実感するんですか?

宇多丸:
それはやっぱり、肌の張りとか、肉の削げ方とかかなぁ。

でも、それが嫌ってわけでもないんですよ。

むしろ、若いころよりいまの自分のほうが、ぜんぜん納得度高い。

それに、どんな年齢だろうと、10年も経てば「あのときは若かったなぁ」って思うもんなんだから。

50歳だって絶対に、遠からず「あのときは若かった、なんでもできた」って思う日が来るんだよ、それは必ず。

こばなみ:
たしかに~!

宇多丸:
つまり我々は、常に「いまこの状態が一番若い」のです!

だから、もう何歳だからどうこう、みたいな考え方でいろんなことを諦めていったりとか、やっぱりあんまりしないほうがいいんじゃないかなぁ、とは思っちゃいますよね。

チャッカマンさんもクルリンパさんの旦那さんも、悔いを残さないよう、好きなだけジタバタしてみりゃいいんじゃないですかね!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2019年12月7日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
こちら


女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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