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自分の話ばかりする知人。私の意見はひろってもらえず、悲しくなります。的外れなことを言っているのでしょうか?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室174】


✳️今週のお悩み✳️
友達といいますか、知人との付き合いについて相談があります。その人は女性で3つ年上で、同じ会社ではないのですが、仕事で知り合った人です。たまに食事をしたり、メールをしたりする仲なのですが、「会話」ができません。というのも、相手は自分の話しかしないので、私がいつも聞いているというスタンス、相手からどう思う?と聞かれて答えてもまったくひろってもらえず、一方的な話の展開になっていきます。それが嫌というわけではないのですが、少し悲しくなります。私が的外れなことばかりを言っているのでしょうか。それでしたら、改善したいと思っています。それとも「そういうカテゴリーの人」ということで、割り切ったほうがいいのでしょうか。宇多丸さんやこばなみさんのまわりにもそういう人はいますか?
(バッテリー充電中・36歳・東京都)


宇多丸:
あーでも、こういう人ってけっこう、普通にいません?
 悪気もなにもまったくなく、とにかく自分の話しかしないっていうタイプ。

たとえば、年齢や経験を重ねて、すでにそれなりの実績や社会的地位があったりして、自分の人生に揺るぎない自信を抱いてるような人って、大なり小なり、すべての会話が要は自慢話!みたいになってく傾向、ある気がしますけどね。酔っぱらってきたりすると特に……って、 まずはてめぇが気をつけろよ、って話なんだけどさ(笑)。

そういう人ってさ、その人の話を受けて、こっちが「わかります、僕の場合もこういうことがあって……」みたく、まぁ順当に話を広げようとしても、たぶん格下のエピソードだの意見だのにはまったく興味がないんでしょう(笑)、露骨に気のない相づちとかで流したり、なんなら食い気味で割り込んででも「でもそれは違ってね、僕なんかの時代はさぁ……」って始めたりして、結局すぐまた、さっきまでの自慢や持論の続きにあっさり回帰してったりするよね(笑)。
そういう意味ではたしかに、少なくとも「対話」としては成り立っていない、という言い方もできるんだけど。

たださ、それでうんざりしちゃってもう二度と会いたくない、ってなることだって当然考えられるわけだけど、バッテリー充電中さんのケース同様、その後もなんだかんだで継続的に会い続けてる友達とか知人っていうのも、なぜかいたりするわけじゃん? 
なんでかと言えば、それはやっぱり、それでもたまには会いたいと思わせるようななにかが、その人にあるからなわけで。
とはいえ話はおもしろいとか、勉強になるとか、あとはそういう欠点含めて可愛いと思えるとか……、どっちにしたって完璧な人なんていないんだから、とにかくそんな風に、どうしても憎めないとか許せちゃうとか、自分にとってそういう部分があるってことでしょ、その人に。

だから、僕の場合はもう、そういう人と飲んだりするときは完全に割りきって、目上の人なら聞き手に回って「アゲ」に徹するし、ホントに気の置けない友達同士ならいっそお互い一方的な持論のぶつけ合いで楽しむってこともあるし……。

こばなみ:
会話がお互い一方通行すぎて、おもしろいパターンってのもありますね!

宇多丸:
そうやって、バッテリー充電中さんとその年上女性がそうであるように、別に「それが嫌というわけではない」仲っていうのも、実際あり得るわけじゃんよ。

なので、「私が的はずれなことばかり言ってるのでしょうか」なんて反省はいっさい必要なし!
 ご自分でもおっしゃってる通り、「そういうカテゴリーの人と割り切ったほうがいい」ってことに尽きますよ。

こばなみ:
私もこれ、思い当たる人がいますよ。

4つ上の知人なんですけど、飲んでても私はほとんど質問されないので、9割方彼女の話で構成されるという……。内容は趣味のベリーダンス、営業仕事の武勇伝、モテ自慢など……。

もちろん、最初は「どうして私のこと、あんまり聞いてくれないんだろう?」ってバッテリー充電中さんみたいに気にしてたんですけど、最近は逆にもうこの噛み合わなさがおもしろくなってきてしまって、取材みたいに「それで?」「そのときどう思ったの?」などとむしろ積極的に聞く係になっています。話は基本おもしろくはないので、おもしろいところを引き出すように試行錯誤してみたり。
仕事みたいになってます(笑)。

で、あまりに聞き込みをしたからか、この間メールが来て、ベリーダンスの発表会のムービーができたから観てねって。

宇多丸:
バッテリー充電中さんの知人の方もそうかもしれないけど、要はそこまでちゃんと話を聞いてくれる人が、実はほかにあんまりいないっていうのもあるんじゃないのかな。
だから余計に一点集中型になっちゃって、たまに会ったときに一気に吐きだそうとする、ってとこもあったりするんじゃないか。
会おうって誘ってくるのも、だいたいあっちからだったりするでしょ? 基本、さびしがりやなんですよ。

こばなみ:
それはあるかもしれないです。そしてなんだかもう彼女が愛おしくもなってきちゃってます。

宇多丸:
そう思えるなら、それはそれで問題ないわけだもんね。

ま、バッテリー充電中さんの、たまに虚しくなってくるような気持ちも全然わかりますけど……、もちろん、もし仮に、会っててもこっちはまーったく楽しくないし、人としてもいっさい好きになれない!くらいの感じなんだったら、無理して付き合い続けることないし。徐々に距離を置いて、フェイドアウト狙ってくしかないよね。

もっともそうなったらそうなったで、さっき言ったように向こうもホントはきっとかなりさびしい人だろうから、必死で追いすがってくるかもしれないけど……、そう考えてみるとやっぱり、「たまに付き合うくらいしてあげたっていいのかな」って気にもちょっとなったりするよな。
逆に言えば、そんな淡い同情の念さえわいてこないような相手なら、なにをどうしようと無理ってことですからね。我慢してまで一緒にいることはないですよ。

ちなみに、個人的に最近よく思うのは、今回の相談のようにわかりやすく人の話を聞かないタイプってわけじゃなくとも、我々が日々している「会話」って、実はそもそも、それほどお互いの言ってることを全部しっかり聞いてるわけでも、それをちゃんと理解して考えたうえで返してるわけでもなくて、もっと反射的に、経験則に基づいて「まぁだいたいこんなもんだろう」的に反応してるだけ、みたいな局面が大半なんじゃないかと思うんですよね。

適切な例かわかんないけど、ドトールで「エスプレッソのMお願いします」って言った直後に、「エスプレッソですね、サイズSとMがありますが」ってハキハキ返されたときの、あの虚しさというか……(笑)。コミュニケーションの不可能性!とか、ついつい大きい言葉を使いたくもなっちゃう瞬間ですよね。

こばなみ:
あるあるー!!

宇多丸:
同じく店員さんの行動が機械的になっちゃってるパターンだと、映画館でパンフ買うときに、「あ、袋いらないです」って言って、向こうもはっきり返事してたのに、会計済んだらやっぱり無意識に袋に入れようとしてて、「あ、だから袋いらないです」って若干のイラ感込みで繰り返すことになる……みたいなのも、ホントによくある。マジで5回に3回の勢いですよ。

でも実際、我々の日常的なコミュニケーションって、程度の差こそあれ、概ねこんくらいのアバウトな認識がベースになってると思うんですよね。

毎週ラジオで映画評やってて、その反応とかを見ていても、あくまで「その人がもともと思っていたこと」とか「もともと抱いていたイメージ」に沿って僕の言ったことを曲解したり誤解してるようなケースっていうのが、けっこうな割合であって……、「え、そんなこと言ってないよ!?」とか、「その件はちゃんと言及してるだろ!」とか、そんなんばっかりだよ!(笑) まぁ、そこまで込みで要するに自分の力足らずのせい、と考えるようにはしてますけど……。
なんにしても、つくづく人間って、これはもちろん僕自身も含めての話だけど、よほど意識的に自分を律さない限り、基本「自分の聞きたいことしか聞かない、聞けない」生き物だよなぁって思いますよ。

こばなみ:
情報を無意識に取捨選択してますよね。

宇多丸:
まして普段の会話なんか、ほぼほぼ脊髄反射みたいなもんだと思っといたほうがいいですよ。

バッテリー充電中さんのご知人みたいな人たちは、その傾向が、普通よりちょーっとだけ強め、ってだけなんですよ、たぶん(笑)。
そこを、その人なりの個性として受け入れられるかどうか。いま一度ご自分のお気持ちと、相談し直してみてはいかがでしょうか。


【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年1月7日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
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詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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