人を好きになる入り口が”顔”というのは間違っているのでしょうか?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室276】
✳️今週のお悩み✳️
人を好きになる入り口が”顔”というのは間違っているのでしょうか?
もちろん、いくら顔がタイプでも、性格が合わなければ好きになることはありません。ただ、性格は話してみないとわからないし、仲良くなってから段々とわかっていくものだと思っているため、まず最初に「この人いいな」と思うキッカケは、いつも顔や見た目の雰囲気です。
しかし、最近いいなと思った人たちは、仲良くなったら「俺の言うことを聞いてればいい」と言ってくる俺様だったり、自分が影響受けた起業家を紹介したいと言ってくる怪しい人だったり、「好き」とは言うけど「付き合おう」とは言わずに体の関係を持とうとする人だったり、ろくな人がいません。高校生以来、まともに好きな人ができたことがなく、約10年彼氏がいません。焦りを感じて、25歳頃から合コンや婚活パーティーなど出会いの場に積極的に行くようになったのですが、出会ったのは上記のような人たちで、いい出会いがありません。周りの友達にも「男を見る目がなさすぎる」と言われてしまい、今後自分はどうやって男の人を見極めればいいのかがさっぱりわかりません。宇多丸さん、こばなみさんは、どうやって人を見極めていますか? 教えてください。
(あめ・27歳・東京都)
宇多丸:
ルックスから入るのはもちろん悪いことじゃないでしよ。
理屈を超えた好意が前提にあるからこそ、後から必ずやってくる軋轢や衝突もなんとか乗り越えていこうっていうモチベーションが持てる、という面はたしかにあると思うし。
ただ、あめさんはその結果、内面的には全然好みじゃないような人ばかり当たってしまうと。
ちなみに、見た目にはまったくその予兆はなかったんですかね? 一見マジメそう、おとなしそうに見えたのに、ちょっと付き合ってみたら文に書いてあるような感じが露呈した、ということなのか、そもそも若干アブないムードを醸し出しているようなタイプだったのか。 どっちなのかによってだいぶ話も変わってくると思うけど、この文からはわからないね。
マネージャーおさない:
私、実はオラついた人が好きだったんですけど、うまくいかないと思って、顔の趣味を変えたんです。
宇多丸:
えーっ!
そんなこと、できるもんなの?(笑)
マネージャーおさない:
ギラギラしている人の顔が好きなんですけど、もっとゾーンを広く取るようにしたんです。
三上博史みたいなタイプが好きだけど、中村倫也や高橋一生まで広げる。 本当は濃い顔が好きなんだけど、そこもあり、というように。
宇多丸:
ストライクゾーンを想像力で広げていく、ということか。
それは、わかる気もする。
ただ、本当にホントの好みって、やっぱどうしたって抵抗不能!になっちゃう場合もあるじゃない?
参考作品として、映画『寝ても覚めても』をオススメしておきたいですね。 東出昌大が顔は完全に同じだけど中身は正反対な男2人を演じているんだけど、唐田えりか演じる主人公は、常識人で優しくてなんの問題もないはずのイマ彼よりも、やはりどうしても、何を考えてるかわからなくて安心できないけどカリスマ性満点の元カレに、惹かれ続けてしまう。 恋というものの、言わば「呪い」的性質を描いているわけ。途中なんかほとんどホラーの領域ですよ。
こばなみ:
へぇ~、観よう!
宇多丸:
あめさんが、もし仮にやっぱりオラつきタイプを見た目からして好んでいて、だけど中身までオラついてるのは嫌!ってことなんだとしたら、まさにさっきのおさないさんみたいに、根本的に好みの方向を軌道修正する努力をしてみるしかないんじゃないかという気もしますが。
一回よっぽどな目に遭ってトラウマ級に懲りでもすればさすがに好みも変わるかもしれないけど、もちろん割りに合わなさすぎるし、それ以前にあめさんは危機察知能力が高くてそこまで至りもしないんだよね。
こばなみ:
私はオラオラの魅力が1ミリもわかりません。だって怖いもの。
宇多丸:
世の女性がみんなそっちだと僕らみたいなソフト系男子は嬉しいんですけどね(笑)。
ただまぁ、本当に心から好みのタイプを変えられたり拡張できたりしたんならいいけど、そうじゃないのに、実は気乗りしないまま誰かと付き合ってみたりするのも、結局誰も幸せにならないことになりそうで、オススメできないですしねぇ……。
でもね、危なっかしい人をこそセクシーに感じてしまうというのは、ある種避け得ない、普遍的な現象でもあると思うんですよね。性的なことが「イケないこと」とされているうちは。
逆に「安全」な人というのは、基本的には歓迎されるんだけど、ともすると「退屈」に転じがちだったりもするわけで。
たとえば、ダメンズにばかり行きがちな人とかさ、そいつと付き合う厄介さを、恋愛としての起伏、「激しさ」として受け取っている、ってところがあるんじゃないかな。 だから逆に無風の人との「凪」状態は、物足りなく感じちゃう、みたいな。
こばなみ:
私は肉食好きでも肉食でもないけど、その感じはわからなくもない、ですね。
宇多丸:
で、じゃあどうすればいいのか、というところで身もフタもない結論を言ってしまえば、「数撃つ」しかないです!
こういう見た目や雰囲気の人だから中身はこう、みたいな固定的な因果律なんか存在しないし、先入観からの決めつけで人に接してったらいよいよ出会いのチャンスが減るだけですよ。
その意味で、今までは単にたまたまロクなやつに当たらなかっただけだし、逆に言えば、ルックスも中身もばっちりあめさん好み!な人だって、どこかには絶対いるわけですから。
とにかく、「ご縁」を導き入れたければ、できるだけ確率上げてゆく、以外の方法はないです。 納得できるまでトライ&エラー! 普通にこれしかない! さっき言ったようにあめさんは危機察知能力も高いんだから、むしろガンガン行きゃいいんだと思いますけどね。
こばなみ:
今回は男の人の見極めということでしたけど、想像力を広げたり、痛い目みたりしながら、積み上げていくしかなさそうな。積み上げてもハプニングはあるだろうし、だからこそ人生はおもろいのかもしれない!?
あと、あめさん、年齢で比較して焦ったりはしなくてもいいと思いますよ~。それこそ、みんなちがって、みんないい、だし!!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2019年4月13日に公開したものを再編集し、掲載しています。