✳️今週のお悩み✳️

宇多丸さん、こばなみさん、こんにちは。10歳年上の同僚に告白したら、「困ります。勘弁してください。今後は仕事上の話しかしません」という返事。その後も冷たい態度をとられています。今まで2人で仕事帰りに食事したり、軽口を叩き合ったり、仕事の相談をしたり、いい関係だったのに、私の勘違いでその関係を壊してしまいました。信頼を失いました。少なくともあと半年は2人で共通の業務をしなければなりません。32歳にもなって恥ずかしいのですが、私はどうすればいいでしょうか。

（カラス・32歳・青森県）

宇多丸：
ちなみに、10歳年上って42歳ですよね。まさかとは思うけど、既婚者だったりはしないよね？　
もし、すでにご結婚されてて、ハナからまるっきりその気もなかったら、そりゃ困惑して態度が硬くなるような人もいるだろうけど。

こばなみ：
書いてはないので、さすがに独身なんじゃないですかねぇ。

ただ私は、ちょっとこのセンパイ、大人なんだから、もう少し優しい言い方ないのかな、とは思っちゃいました。

宇多丸：
そうねぇ。告られ慣れてなくて、テンパりすぎてるのかな。
カラスさんも、断られたのはまぁ仕方ないとして、ここまで邪険にされるとは思わなかったってことだよね。

こばなみ：
それまで、仲良しだったわけですしね。

宇多丸：
で、まぁ、恋愛に関してはいさぎよくあきらめるしかないとして、結果としてひどく気まずくなってしまったこの関係をどうするべきか、少なくとも残り半年をどう乗りきればいいのか、と。

でもさ、今こう言ってて、改めて思ったんだけど……、気まずいのは、彼も同じなわけじゃない？　
で、その原因を作ったのは、ご自身でもおわかりの通り、完全にカラスさんのほうなんだからさ。
彼にしてみりゃ、これからまだ半年は一緒に仕事を続けなきゃならないことがはっきりしてるこの段階で、お互い気まずくなるリスクも当然考えられるのに、なんで今告った？って感じだったんじゃないのかな。

「私の勘違いで」ってくらいだから、カラスさん的には、ほぼ100％勝算あり！というような感触があったのかもしれないけど……。
でも、もし仮にホントにそこまで決定的に脈アリだったのだとしたら、そのときはもう、放っといたってなるようになっちまうもんだろうし……、なんにせよカラスさんが、後先とか相手の気持ちとかをよく考えず、うかつに先走ってしまったことには変わりない。

僕もさ、最初相談文を読んだときは、なにもそんな急に冷たくなることないじゃんねぇ、としか思わなかったんだけど、よくよく彼の立場になって考えてみると、カラスさんのそういう一種の身勝手さに、ちょっとイラッと来てしまう気持ちも、わからないじゃないかもしれない、という気がしてきました。
職業意識の高い、真面目な人であればあるほど、仕事ナメてんの？　何しに職場来てんの？という怒りも加わってしまってるかもしれないしね。

それこそ、半年後にその仕事がひとまず終わって、お疲れ様～！っつって、仲間意識ゆえの別れがたさみたいなムードがちょっとでも漂ってるタイミングだったら、またそれなりに対応も違ってたのかもしれないけどさ。打ち上げで酒飲んだりして、いつもより少しだけ気が緩むチャンスもあったろうし！

こばなみ：
それはなんだか素敵なストーリー！

宇多丸：
ま、それでも結局フラれることには変わんないかもしれない、とは一応言っておきますが……（笑）。
でも、今回ほど極端に態度を硬化させてしまうようなことには、やはりならなかったんじゃないかなぁという気もしますよね。

ということで改めて、カラスさんがここからどうすべきか、ってことについてですけど。

思うに、前に「男友達から告白されて困ってる」って相談があったじゃん？　
あれのちょうど正反対の立場、って感じで考えてみればいいんじゃないかな。

まずはっきりしてるのは、何度も言うように、曲がりなりにも安定していた関係性を崩しちゃったのはこっちなんだから、その修復に努める責任というか、最低限、これ以上あっちに気まずい思いをさせないよう気を遣うべきなのも、もちろんもっぱらこちら側、ってことだよね。
なので、とりあえずはやっぱり、特に仕事環境にまで影響を及ぼしてしまったということに関しては、くれぐれもしっかり謝っておくべきなのは当然として……、ただそこで、やたらと空気を重くしてしまうのも、それはそれで、向こうに余計な精神的負担をかけているという意味で、やっぱ勝手な話だなぁってことに変わりはなくなっちゃうからさ。
せめてよどんだムードがまぎれるよう、努めて明るく話しかけるとか、お詫びがてら軽いお土産でも持ってくとか……、とにかく、空回りしようが道化になろうが、下手に下手に歩み寄って、この件に対するできる限りの誠意を見せる、ってことに尽きるんじゃないですかね、結局のところ。

でも、これって単純に、仕事上で相手を怒らせちゃったとき、すべてに通じる話でもあるよね。
カラスさんも、ここはあえて恋愛ファクターを外して考えたほうが、より正しい対処ができるかもしれないですよね。

こばなみ：
恋愛感情を入れるとごちゃごちゃしてしまいますもんね。

宇多丸：
で、そうやって誠意の限りを尽くして、お詫びして歩み寄って、それでもまだ向こうが頑なにプンプンしたままだったとしたら、その時点ではじめて、「コイツ、いくらなんでも怒りすぎじゃね？」とか考えてみればいいんじゃないかと。

いずれにしても、仕事場に限らず、狭い人間関係のなかでの恋愛には気をつけましょうね、めんどくさいことになりかねないから……という、まぁよく言われる話の通りですよ。

こばなみ：
ただやっぱり、一緒に仕事をしたり共同作業をすると、恋心が芽生えたりするじゃないですか？　私自身は、実はその感じが全然わからない＆経験ナッシングなんですけども。料理合コンとかも、そのロジックですよね。

宇多丸：
一緒にしとくとすぐくっついちゃうって、お前らウサギか！とかちょっと思っちゃいますけど（笑）。
ま、こればっかりは、恋に落ちてしまった当人にしかわからないことですもんね。
いざそうなってしまったら、年齢も経験もまったく役に立たない、みたいなこと、やっぱあるんだろうなぁ……。

こばなみ：
次は社外で素敵な人が見つかるといいですね。
今回失敗したことを省みたり、これから彼に誠意を見せたり、必死でやることって、カラスさんのまた新たな魅力になっていく気がしました。それに一度沈んだら、もうそれ以上最悪なことはない！　あとは上がるだけだもん。いい出会いがあることを祈っております！

【今週のお絵描き】

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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2016年10月15日に公開したものを再編集し、掲載しています。

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