週2回ジムに行ってもお菓子を食べてしまい、痩せないどころか太っていっています。この弱さをどうしたらいい?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室316】
✳️今週のお悩み✳️
ダイエットしようとジムに通って1年になりますが、夫がお菓子を買ってくるので、ついつい食べてしまったり、外食も多いのでお腹もぽてっとしています。週2回以上ジムに行って運動しているのにぜんぜん痩せません。それどころか太っていっています。意志の弱さもあるのですが、それを認められず、どうしても夫のせいにしてしまう自分がいます。痩せたい、だけど食べたい。この弱さをどうしたらいいでしょうか。
(ポテト大好き・42歳・会社員・東京都)
宇多丸:
ちなみに僕も、ポテチがん食いとか、たまにですけど普通にしてますよ。
こばなみ:
そうなんですか!? でも宇多丸さん、太ってないですよね。
宇多丸:
まあだからたぶん、それを上回るエネルギー消費をどこかできっちりしていて、帳尻を合わせてるってことなんでしょうね。
ジムとかは相変わらずまったく行ってないんで、おそらく日々の暮らしのなかでそれをやっているんだと思う、無意識的にせよ。
昼がっつり食ったら夜は軽めにしたり、歩いたり階段を上ったり……。
逆にポテト大好きさんの場合、「週2回以上ジム行ってるし」っていうのが、「だからこんくらい食べてもいいでしょ」って、言わば免罪符になっちゃってるとこはないですかね?
少なくとも今のペースでは、摂取量のほうがどうやら勝っちゃってるようだから。
こばなみ:
ちなみにわたくし、結婚式までの2カ月で、なんだかんだ2日1回くらいジムに行って、鶏肉ばっかり食べて痩せました。最後は禁酒も。辛かった~!
宇多丸:
そこまでやりゃそりゃ痩せますよね。
僕もジムは行ってないけど、週に2回2時間のライブをやってたら痩せました!(笑)
それと、毎日3時間の生放送をやると痩せます!
ちなみに僕もどうしても外食が多くなりがちでもありますけど、要はやっぱり、バランスじゃないですか?
自炊してたって偏ったもんばっか食ってたんじゃしょうがないわけだし。
何をどのくらいどのタイミングで食べるか、その日のカロリー摂取量と消費量をなんとなくでもはかりにかけつつ……。
それこそスマホは歩数計がついてるんだから、そういうのもしっかり目安にしたりして。
こばなみ:
もっと中期でみながら、なんとなく調整してるわけですよね?
宇多丸:
そうね。
だから、今日は動いたわりに食ってないなって日は普通にがっつり行くしポテチも貪るし……、でも基本的にはやっぱり、規則正しく食べすぎず、間食はしないかほどほどに、が一番ですよね、言うまでもなく。
こばなみ:
あと私は記録をしていたんですよ。
食べたものを全部写真に撮って、トレーナーに送っていたんですけど、やっぱり撮ると「こんなに食べてるのだ!」って実感できます。逆に目標カロリーを数日守れると、よ~し! この調子だ!と続けられたり。
宇多丸:
いわゆるレコーディングダイエットというやつですね。
いいんじゃないですか? 要は自分が何食ってるのかをきちんと把握する、直視する、ってことだよね。
ただまぁ同時に……、好きなご飯を食べるって、嬉しいことじゃないですか。人生の歓びの少なからぬ割合を占めるくらい。
それを、ある程度犠牲にしてまで痩せたい理由とはなんなのか、というのは一度改めてちゃんと考えてみてもいいんじゃないかな。
もちろん、健康上の理由、それこそこのままだと早死にしちゃうから!とかはもちろん、すっごく大きな動機になり得ますよね。
こばなみみたいに結婚式までに納得できるところまで持ってきたい!というのもあるだろうし。
要は目的もあんまりはっきりしてないのに、ただ苦行めいたダイエットや運動だけやろうとしても、そりゃ長続きしないだろうな、という気もして。
まさしく「不要不急」というか(笑)。
ダンナさんにも、「これのために頑張ってるんだから、あなたも本気で協力してよ」って、意識を共有してもらいやすくなるじゃないですか。
で、そう言った以上は自分自身も、もはや人のせいにはできないわけだから、覚悟もさらに決まるだろうし、生活習慣上どこがホントに問題なのか、見つけやすくもなるんじゃないか。
こばなみ:
あと、痩せるって体重のことを思っている人が多いけど、筋肉をつけたほうがいいですよね。自分も以前は体重ばっかり気にしてたんですけど、筋肉量を増やすと太りにくくなるし、見た目が違う、と実感しました。いま戻っちゃいましたけど~(苦笑)。
宇多丸:
だよね~。やっぱ筋肉か……。
こばなみ:
食べなきゃ痩せるけど、肉がぽよぽよになっちゃうから。
宇多丸:
ただ体重落とせばいいってもんでもないわけですね。
ひたすら食事抜くとかは、マジやめたほうがいい。
こばなみ:
あと年齢も考慮ですかね。
40歳過ぎらたら代謝がぜんぜん悪くなって、どんどん太っていきます。
宇多丸:
僕は若いころはずっとガリガリ、30代が一番太ってて、40歳過ぎてからまただんだん痩せてきたんです。
要は30代になっても、20代のままのペースで食っちゃってたのね。
そしたら、代謝が落ちてるぶん当然太っちゃって。
あ~、これがおじさん化するってことなんだ、まさか腹の出たおじさんとして生きていくとは思わなかったよ、としばらく思っていたんだけど、そのうちまた、みるみる痩せてきて。
こばなみ:
何か気をつけてたんですか?
宇多丸:
まぁ、いちいち大盛り頼むのやめたとか……、よく言われるように、「満腹」と「満足」の違いを意識するようにしたというか。
あと、歳とると自然に脂っこいものとか、食いたくなくなるじゃん?
こばなみ:
わかります! 焼き肉とかいっぱい食べられなくなった。
宇多丸:
焼き肉そのものはぜんぜん食うけど、カルビじゃなくて赤身ロースになった、みたいなことでしょ?
こばなみ:
それです!
宇多丸:
あとね、病気するといいよ!(笑)
僕の場合、大腸憩室炎やったじゃない? そこでお医者さんからの生活指導として、野菜中心の食事にしていったほうがいいですよって言われてさ。
そしたら現金なもんで、やっぱ身体に良さそうなもののほうが、なんだかおいしく感じられてくるんですよ。
実際ホントにうまいサラダとか、ヤバいですからね。「うんま!」ってなるよ。
それと、前も言ったかもだけど、ジム通いもいいけどさ、それ以前にみなさん、日々の生活のなかで、楽なほうダラけられるほうに流されて生きていませんか?と。
たとえば、電車に乗るたび座ろうとしたり、隣に階段があるのにエスカレーターを待つ列にダラダラ並んだり……。
痩せたい痩せたいっていう人がそこで余分にエネルギー溜めこんでどうする?っていう。
たとえば、上下5階以内ならエレベーターやエスカレーターを使わず絶対階段!とか、自分内ルールを課してさ。
それを守らないとなにか不吉なことが起こる!的なジンクスを自己暗示するとかして(笑)、とにかく生活習慣自体に、ちょっとだけキツめのエクササイズを組み込んでいく!という。
まぁなんにせよ、現状に対してなんらかの負荷をかけていかないとなかなか痩せてかないのは明らかっぽいんだから、それに見合う確固たる目標を掲げる必要があるというのは、まず間違いないんじゃないですかね。
ポテト大好きさんに限らず、人間誰しも弱いもの、だからこそ!
こばなみ:
たしかに目的がないと続かないですよね。あと、本当にコツコツ続けるしかないんだろうけど。
宇多丸:
ま、普通に「自分が好きな自分になる!」ってことでもいいからさ。
ゲームのレベル上げ感覚になれればちょっと楽しくなってきたりしないかな。
こばなみ:
少し効果が出るとやる気がますますでますしね。
宇多丸:
あとさ、毎度食べるものの「質」も、意外とやっぱり関係ないかな。
ポテチも、どうせならいい油を使った、高めのヤツを食べる!
こばなみ:
フラダンスの絵のとか? 菊水堂とか?
宇多丸:
僕はもっぱらフラダンスですよ!
あれは揚げが硬めで食べごたえがあるので、実はそんなにたくさんは食べられない、という効果もある。
とにかく、「食べない」路線のダイエットより、質がいいものをバランスよく取るよう心がけたほうが絶対いいでしょ。
そもそも、生きてて楽しくなくなっちゃうような方向で頑張るのは、なーんか本質を見失ってないかという感じが、個人的にはしちゃいますね。
うまいもん食って、運動して。
あとはゆっくり風呂につかって、ストレッチでもする!
こばなみ:
風呂でマンガ読むといいですよ!
あと、ちゃんと寝る! 寝ると痩せますよ。
宇多丸:
その意味では布団乾燥機も、おすすめですよ。毎日ポカポカで極楽、眠りの質も大幅アップ!
だから要は、いわゆるクオリティ・オブ・ライフを上げよう、ってことじゃない?
痩せるのなんのって近視眼的な話じゃなく、要するに生きていていい感じ!を目指そうよと。
そのためには、ちゃんと自分の心やカラダの声に耳を傾ける、というのも大事で。
「待てよ、ホントに私はいま、これをこんな量欲しいと思っているのか? 惰性で食べようとしてるだけじゃないのか?」とか、一度立ち止まって考えてみる。
あるいは、ポテチならポテチを、いったん心底嫌になるまで食べるのも手か……。
行くところまで行くっていうデスマッチ。ポテチが死ぬか私が死ぬか!
こばなみ:
私はポテチじゃないけど、最近どか食いしちゃってるんですよね……。
どか飲みして、何時間も食べてる。それがダメなんだと思うんですけど。
宇多丸:
そこで酒のつまみとして、ぬか漬けとかをバリバリ食えばいいんですよ。
うまいのは本気でうまいからね。「うんま!」ですよ。
こんな話してたら、いい野菜食べたくなってきたなー!
サラダとか、ホント一番クオリティの差が出るからね。
火を通せないから、ごまかしがきかない。
それだけに、元気なレタスやキャベツの「うんま!」は、そんじょそこらの肉じゃ太刀打ちできませんよ。
また、おいしいドレッシングもいっぱいありますしね……。
こばなみ:
家でちょっといいドレッシング買ってきたり、もいいですよね。
宇多丸:
外食でも、サラダの質でその店の真の実力がわかったりしますよ。
ホントにうまいとこは、噛んだ瞬間「うんま!」ですよ!
で、そうやってクオリティ・オブ・ライフが底上げできてくると、相対的に間食お菓子の「うんま!」とかも、そこまででもないかもな、って思えるようになるんじゃないか。
とにかく僕としては、サラダの「うんま!」に一度当たって欲しいです。
我慢としての健康食ではなくて、サラダで積極的に「うんま!」が出るようになればもう、こっちのもんじゃないですか?
こばなみ:
だからまずは、いい店いこう! いいもん食べよう!ってことですかね。
宇多丸:
前から言ってますけど、酒もそうです。
いい酒はやっぱり、あんまり変な二日酔いとかにならない。
そこでわざわざ、ジャンクなもの食べようって気にもならなくなってくるしさ。
若いころと違ってもろもろ抵抗力が下がってるんだから、身体に入れるものは精査するに越したことはないし、そのほうが実際ホントの意味で「うんま!」にもなるんですよ、きっと。
少なくともそういう考え方をするようにしてくことで、ちょっとは違いが出てくるんじゃない?
こばなみ:
もし時間があれば、自分でつくるのもおすすめ!
わたくし最近、ぬか漬けをはじめたんですよ。
「うんま!」だし、今日は何を漬けてみようかって、楽しみも増えましたよ。
宇多丸:
いいじゃないの! いいじゃないの!
とにかくそんなふうに、ヘルシーな生活のほうがうれしい!たのしい!大好き!な思考に、自分を意識的に持っていく。
そのためにまず、目的を明確にする。
こんな感じでいかがでしょうか?
ま、なんにせよ無理ない範囲でね……。
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2020年4月5日に公開したものを再編集し、掲載しています。