既婚ですが、いまだに男性からちやほやされたいという欲求が捨てられません。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室196】
✳️今週のお悩み✳️
私は30代前半の既婚女性、子どもはいません。ここでしか相談できないのですが、いまだに男性からちやほやされたいという気持ちが捨てられないことが悩みです。独身時代はかなりモテてちやほやされたと思います。しかし結婚した直後1~2年まったくモテなくなり、自分は女性として魅力がなくなってしまったのではないかという焦燥感にかられました。身なり等に気をつかったところ、今は何人かの男性から誘われて、食事に行ったりしています。夫は私にはもったいないくらいいい人で、夫婦生活に不満はなく、そういった男性と一線は超えるつもりはないのですが、夫への罪悪感があります。また歳を重ねて一生このままちやほやされ続けるわけがない、とも思いますし、いい歳して恥ずかしいとも思います。どうしたら私のこの欲求を他へ向けることができるでしょうか。
(ねこまる・32歳・東京都)
宇多丸:
最近前ほどモテねぇなぁと思ってちょっとおしゃれに気を使いだしたら、いきなりまた次々とお誘いがかかりまくるって、どんだけベースの資質が高い人なんだ!?(笑)
こばなみ:
ねこまるさん、かなりのかわいさなのだと思います。
宇多丸:
それにしても、いくつになってもちやほやされたいって、そんなの誰でも思うことじゃないの?
そのこと自体を、そこまでネガティブに考えることないと思うんですけど。
こばなみ:
既婚だからってことで後ろめたく思いすぎなんですかね?
宇多丸:
まぁ、誘われた男性たちとの食事、つーか事実上デートは、もちろんダンナさんには内緒なんだろうからね。
言ってみればスーパーライトな浮気をしてるわけだから、それなりに罪悪感があるのは当然だろうけど。
でもさ、結婚してるからと言って、あとは性的に枯れてゆくしかない、なんて決めつけることも別にまったくないわけでさ。 少なくともねこまるさんは、自分がそうなってゆきかけてるのに気づいて、耐え難くなってしまったわけでしょ? だったら、それを適度に発散しようってのも、ごくごく健全な話なんじゃないですかね。
なので、もちろん、毎度この手の話になるたびに繰り返し言ってるように、くれぐれもダンナさんを不用意に傷つけることがないよう細心の配慮はするべき、要は死んでもバレないようにするべき、というのは当然としても……、それでねこまるさんの気が少しでも晴れるなら、むしろ夫婦生活を円満にするためにも、プラスになることなんじゃないですかね。
「一線は超えるつもりはない」っていうのもさもありなんで、つまり、性的欲求の話じゃないんですよね。 自分の「現役感」を確認したいだけ、というか。男だってそういうの、全然ありますからね。
ただ、ひとつだけ注意してほしいのは、たとえねこまるさんはそういうつもりだったとしても、食事に誘ってくる男性たち側も同じようなテンションだとは、まったく限らないので! ぶっちゃけ向こうは、あわよくば一線越える気マンマンで来てるケースも多いだろうし、下手すりゃめんどくさいことになる可能性だって、そりゃ当然ゼロじゃない。
つまり、スーパーライトとは言え、ダンナに言えないという意味では限りなく浮気に近い遊びをしてるのはたしかなんだから、言うまでもなくダンナにバレるリスクと、もうひとつは、やはり相手がいることだから必ずしもこっちの思うようにはなってゆかないかもしれないというリスク、このふたつは、当たり前だけど最低限覚悟しておくべきでしょうけどね。
とは言えとにかく、女性としていつまでも現役でいたいという気持ち自体は、最初に言ったように誰にだってあるもんだろうと思うし、それがあるからこそ、前向きにいろいろ努力したり、実際「自分が好きな自分」に近づいてゆくこともできたりするんだろうから、全然恥じるようなことじゃないと思いますよ。
それって、「欲求を他へ向ける」ことでは本質的に解消されないものなんじゃないかって気もするし……、たとえば、なにか趣味に打ち込むとかって方向に持ってくとしても、そもそもねこまるさん自身が、「それと引き換えに性的な勝負から“降りた”自分」っていうのを、やっぱりなかなか良しとはできないんじゃないか、受けいれることができないんじゃないか、って気もするんですよね。 若いうちから基本ちやほやされ続けてきたから、そうではない自分、というのに慣れてないというか……(笑)。 でもホント真面目な話、これって大げさに言えば、その人なりの尊厳というものを、どう保ってゆくか、って問題だからさ。そう簡単にあっちこっち、振り替えが利くようなものでもないだろうと思うんですよ。
ねこまるさんはさ、どうやらこと対異性に関しては、ちょっと本気出しただけですぐてきめんな効果が現れちゃうみたいなんで(笑)、やっぱリスクコントロールだけはしっかり心がけつつ、あくまで心身のメインテナンスってことで、その得意分野での気晴らしも適宜欠かさない、ってくらいの感じでいいんじゃない? それこそ「いい歳」のオトナがわきまえるべき、自己管理の範囲と言っていいんじゃないかとも思うし。
ま、独身時代からかなりモテてきたとのことなので、僕なんかに言われるまでもなく、近寄ってくる男たちを適当にいなしてゆくのは、そこそこ慣れてるのかもしれないけどね。
こばなみ:
いまだってやってのけてるわけですもんね。
モテ期、うらやましい~。
宇多丸:
でもホント、結婚してようが子どもがいようがいくつになろうが、「投げてない」人のほうがやっぱり、いろんな意味でいいじゃんと僕は思いますよ。
こばなみ:
異性に向けてだけじゃなくてですよね。男性ももちろん気になるけど、女性からの視線のほうが私は気になります。変に思われてないかな~、とか。
宇多丸:
要はやっぱり、「自分が好きな自分」でいられるかどうか、ってことなんだよね。
ねこまるさんの場合はそれが「異性に絶え間なく好意を寄せられる自分」っていうだけで……、しかも、それを比較的思い通り、その気になればサクッと実現できるような力を、実際持ってるんだからさ! ちゃんと自分のことをわかったうえでそうしてるんだったら、まったく恥ずかしがることなんかないですよ。
「歳を重ねて一生このままちやほやされ続けるわけがない」っていうのも、ねこまるさんは明らかに普通よりはモテる人なんだからさ、そりゃ寄ってくる年齢層は相応に上がってゆくだろうけど、そこんとこ過剰な高望みさえしなければ、あとはもちろん「投げ」さえしなければ、そのへんの人よりはどう考えてたって、それなりに色っぽいお誘いは途絶えないはずですよ。そんだけ恵まれた条件で悲観なんかされたら、我々みたいな低フェロモン体質組は、いったいどうすりゃいいの!(笑)
こばなみ:
まんまとモテモテ、そんな奇跡ないですよ!
私もいくつになっても投げやりにならないのはもちろん、低フェロモン体質として、より一層の努力が必要と改めて実感しました。ふは~、がんばろっ。
宇多丸:
くれぐれも、ヤケドには気をつけてね!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年6月17日に公開したものを再編集し、掲載しています。