あちこちで自撮り&SNOWを誘ってくる友人。うまく回避するには?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室278】
✳️今週のお悩み✳️
友人の自撮りの誘いをうまく回避する方法を相談させてください。友人(34)と私はお互い独身で、もともと共通の友人を介して知り合いました。年齢的に周りは結婚出産で段々と出掛けられる人が減っていき、2人で遊ぶようになったという経緯です。グループでいる時はそんな様子はないように感じたのですが、2人で出掛けてみると、彼女は10代の子たちのようになんでもないところで自撮りをします。もちろん一人で勝手に撮っているのなら好きにしてくれていいのですが、「ほら一緒に♫」と言って私を誘います。旅行先などで、背景と一緒にとかならいいのですが、普通のカフェや街中のちょっと”映える”壁などを見つけると自撮りです。しかもSNOWのようないわゆる盛りアプリを使うので、補正された顔に動物の耳や鼻などがプラスされます。正直、私はそれが苦痛で仕方がありません(他人に自分のそんな写真を持っていられるのも嫌です)。なので「自分の顔好きじゃないから」と言って断ると、「大丈夫! かわいいから!」と返され、「私が(あなたを)撮ってあげるよ」と言うと「アタシ自撮りの方がいい感じに写せるんだよね」と言われてしまいました(多分画面で自分のキメ顔を確認出来るから)。補正が反応しないように変顔や顔を背けたり、不機嫌丸出しの仏頂面にしたりもしましたが、「ちゃんと(かわいく)写ってよ~」でした。誘いたいところはたくさんあるのですが、それが苦痛すぎて愛想笑いすら引きつってしまうようになってきたので最近はこちらから声をかけるのはやめています(もともと向こうからはたまにしか誘ってこない)。自撮りに誘ってこなければまったく問題ありません。どうにかうまく回避する方法はありませんか?
(米・34歳・東京都)
宇多丸:
僕も正直、普通の自撮りに混ざるくらいならまだしもですけど、SNOWってアレ、ちょっと苦手ですね。
こういうのが無条件でかわいいとか楽しいとか、誰もが思うと決めつけないでほしいなっていうのは、前からずっと感じているあたりなので。
米さんの気持ちもよくわかりますよ。
こばなみ:
これ、直接は嫌だって言ってないんですよね?
宇多丸:
文面から判断する限りはそうですね。
おそらくそのご友人は、米さんが内心思っているように、「そもそも写真を撮られるのが好きじゃないし、SNOWとかで勝手に飾りつけられるのはもっと嫌」って人も実は世の中にはたくさんいるんだということを、想像もしていない。 そんな価値観があるなんて思ってもみなかったという段階でしょう、現状は。
だから、まずはそれを知って、理解してもらわないことには何も変わりませんよね、やっぱり。 それに対してどんなリアクションが返ってくるかはわからないけども。
あなたから見てかわいいとかかわいくないとか、そういう問題じゃないから!っていう。
こばなみ:
噛み合わない返答されちゃってますからね。
宇多丸:
ルックスに対する自意識と、あなたから見て私の顔がセーフであるってことは、なんの関係もないから!ってことですからね。
でもご友人は、そこにそこまで大きな齟齬が生じてるってことに、まったく気づいてすらいない。
ひょっとすると米さんは、その方とのそういう「合わなさ」自体にすでに軽く嫌気がさしてる状態なのかもしれないけど……、だとしたらなおさら、もし今後もそれなりにお付き合いはしてくつもりならば、特に自分がされて嫌なことについては、やっぱり最低限ちゃんと理解しといてもらわないと、でしょ。
「補正が反応しないように変顔や顔を背けたり、不機嫌丸出しの仏頂面にしたり」って、そんなふうにいちいち感じ悪くしたりするのも大変だろうし(笑)、そのわりに誰の得にもならないと思うんで。
こばなみ:
そうですよね。あとそういえば、もともとはグループで友達だったけど、2人で会うようになったんですよね。グループのときは撮らなかったんですかね?
宇多丸:
好意的に考えれば、それってつまり、米さんには特別に心を開いているから、ってことでもあるかもしれないけどね。
それだけに、それがかえって人を遠ざけることもありうる、なんていう今回のようなケースなんか、思ってもみないという。
とにかく、そこがわかってもらえるかどうかで、今後の付き合い方も自ずと決まってくるんじゃないですか。
こばなみ:
そういう価値観がある、そういう人もいるってことを、きちんと丁寧に言うしかないってことですよね。
でもきちんと嫌だってことを言えば、わかってくれるんじゃないですかね?
私は写真は嫌いじゃなけど、SNOWのノリは苦手ですね~。自分の顔がかわいい風になるのがドキドキしちゃう。ホントはそんなキャラじゃないだろって。
宇多丸:
僕はさ、あれをやってる間、はしゃいだふりをしなきゃいけない感じが苦手なんだよね。
絵面に合わせて、「にゃー」とか言わなきゃいけない空気じゃん?(笑) キツいよ!
甘いものが嫌いな人もいるんです!みたいな感じだよね。 おいしいのにー、とか言われても、そんなもん好みの違いだからしょうがねぇだろ!っていう。
そういうときにさ、相手があまりにもわかってくれなさそうだと、こっちもめんどくさくなって、それ以上のコミュニケーションをあきらめてしまうってことも、現実にはよくある。 ただ、薄い関係の相手ならそれでもいいけど、継続的に会わなきゃいけないような人だと、結局余計にめんどくさくなるだけだったりするんだよね。米さんがまさにそこに陥っているわけだけど。
だからやっぱ、早めにちゃんと言うに越したことはないんだよね。 そのご友人にとっても、それが原因で米さんと疎遠になってしまうというのはどう考えても本意じゃないでしょうし、話せば普通にわかってくれるんじゃないかとも思いますけど。
こばなみ:
友人だって、自撮りがしたいから米さんと付き合ってるんじゃなくて、米さんと会ったり話したり、遊ぶほうが目的でしょうしね。
宇多丸:
あと、ひょっとしたらこの連載の読者のなかにも、「え、そうなの? 自撮りやSNOW、嫌な人っているの?」って方もいらっしゃるかもしれないよね。
だとしたらそこを啓蒙する意味でも、この話題を取り上げる意義はあったんじゃないかなと思います。
まぁ、ケータイが普及して以降、写真を撮るってことが、すべての場面についてまわるようになってるからねぇ。
こばなみ:
加工も本当に進化していますよね。
就職の面接用に写真館で撮った写真を見て、いつも加工するのが普通だから、「これ、自分の顔と違うんですけどー」とかいう人、いるそうですよ!
宇多丸:
就活用の写真って、やっぱ補正とかはしないのがマナーだったりするんですか?
こばなみ:
私……、実は写真館でバイトしていたので、就職写真の頬骨を出てるのをちょっと減らして、少し目を見開いたように調整したんですよ。自称・加藤あい風(笑)。そうしたら、いまの会社に面接に行ったとき社長に「小林さんですよね?」って聞かれて、「この人、何言ってんだろか?」と思ったんですけど、後日聞いたら、全然違うじゃん!と思ったからそう聞いたそうで……。今はネタになっていますけど、はい、すみません!
宇多丸:
(笑)。まぁとにかく、やりたい人はやればいいし。
やりたくない人もいる、ということだけわかってもらえてれば!
【今週のお絵描き】
*** *** *** *** *** ***
この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2019年4月27日に公開したものを再編集し、掲載しています。