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子どもの小学校で保護者に挨拶しても無視されることが憂鬱。ママ友付き合いも上手くできず困っています……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室411】


✳️今週のお悩み-1✳️
子どもの小学校の行事などで学校へ行ったりすると、私は面識がないママ友にも挨拶をするのですが、知っている人にしか挨拶をしない風潮があるのか無視をしてくる人が多く、無視をされるととても気分が悪くて学校へ行くことが毎回憂鬱です。こちらも挨拶しない方が良いのかなと思ったり……。学校に気軽に話せるママ友がいないので今年から学級委員に立候補してみましたが、コロナの為、活動も少ないです。このモヤモヤは子どもが小学校を卒業すれば解決するのですが、ママ友関係の付き合いが上手くできず、本当に苦手で困っています。
(みっち・40歳・主婦・三重県)


宇多丸:
相談文を読んでいて思ったのは、ママ友に限らず、もっと関係が近くないとダメということなのかなんなのか、とにかく「他人からのカジュアルな挨拶」に返事しない人って、たしかに世の中けっこういるよなぁ、ということで。

僕も実は、まぁまぁな確率でちょいちょい無視され続けてますよ(笑)。

もちろん、単純に気づいてない、聞こえてない見えてない、ってケースだって当然あるだろうから、いちがいにどうこう言うのもあんまりよくない面があるかもしれないけど……。

まぁ、そうした単純なすれ違いの可能性というのも常に頭に置いておくべきなのは言うまでもないこととして、ここでは便宜上、とりあえず怪訝そうな表情をしたとか、明らかにこちらのことは認識しているっぽいのに、的な話として進めてゆきますが。

で、たぶんだけどこれ、積極的な敵意の表れ、意地悪としてのシカトというのとも、またちょっと違うんじゃないかと思うんです。

そういういじめ的なことって通常、むしろもっと近い距離感のなかで生じるものでしょ。

でもこの場合、そこまでの関係性もないわけだから。

じゃあなんなのかというと、要は「“想定してない人”からのアプローチにはどう反応していいかわからない」系の人たち、ってことなんじゃないかと思うんですよね。

「身内とそれ以外」の区別がはっきりしすぎている内向き思考というか、おおむねそんなことなんじゃないのかなぁというのが、僕の推論でして。

たとえば、同じマンションに住んでてエレベーターが一緒になったりしたら、たとえ知らない同士でも「おはようございます」「こんばんは」くらいは言い合うもんでしょ、と僕側の常識としては思うけど、実際は、何も返してこない大の大人もやっぱり、意外と多いんですよ、僕の子どものころからの経験則上。

それこそ逆に怪訝そうな顔をされたりして……よっぽど僕が不審に見えてるのかもしれないけどさ(笑)。

あとは、「知らない人と話しちゃいけません!」って教えが染みついてるのかもしれないですけど。

あるいは、仕事先で働いている警備員さんたちとかに僕はいつも「お疲れ様です」って会釈してるんですけど、新人っぽい人ほどやっぱり、無反応である率は高い。

それって要は、出入りする客から自分が頭を下げられることをまったく想定していなかっただけなんだろうな、と。

なので、別にむかっとしたりもまったくしないんだけど。

こばなみ:
私も挨拶の件では思うことありますね。仕事上でも、一方が感じよく挨拶をしているのに、一方はしないとか、しても小声で何を言ってるかわからない返しだとか。リモートの会議だとなおさらあるのかも……。

宇多丸:
ただまぁ、対人コミュニケーションがホントに極度に苦手な人というのもいるわけだから、なんにせよやっぱり、こっち側の一方的な基準だけでいきなり腹を立てたりはしないほうがいい、とは言えるんじゃないかと思うけど。

僕は、自分から挨拶するということと相手から返事があるかどうかということは、わりと別問題として考えているかもしれないですね。

つまり、挨拶は基本、自分がしたいからしてるだけ、自分の気持ちとしてやってるだけだから、という。

明らかにこっちからのアプローチには気づいているのに何も返さない人というのは、実際どういうつもりかはともかく、心や視野が閉じ気味である、ということはたぶん間違いないわけでしょ?

で、それはあくまで先方の問題なんだから、こっちはこっちで、こっちなりに引き続きちゃんとする……しか、とりあえずはなくない?

これは、とかくままならないこの世の中でいかに腐らず生きてゆくべきか、という、より普遍的な問いにもつながってゆく話だと思いますが。

逆にさ、みっちさんのまわりでも、まだあんまり話したことないのに気持ちよく挨拶し返してくれる人がいたならば、その人こそ今後の友だち候補、とも言えるわけじゃないですか。

挨拶はそのリトマス試験代わり、とでも位置づけておけばいいんじゃない?

こばなみ:
その考えは、いいですね!

宇多丸:
気軽に話せる人がいないというのが悩みならばなおさら、誰にでもこちらから積極的に挨拶する習慣は継続してったほうがいいかもよ、ということですよね。

仮に万が一、結局ひとりもまともに返してくる人がいないような超絶ハズレ集団だということが判明しただけだったとしても、だったらなおのこと、そんな人たちと必要以上に関わることなくない?って話だから。

こばなみ:
今回はもう1つ、ママ友に関するお悩みが届いていますので紹介しますね。みっちさんのと合わせて、ママ友関係の付き合いについても考えていけたらと。


✳️今週のお悩み-2✳️
ママ友がなかなかつくれず悩んでいます。そもそも、子どもの歳が近いだけの共通点、子どもの話題もあまり立ち入ったことは聞けず何を話していいのやら。
(もも・37歳・パート・兵庫県)


宇多丸:
僕には子どもがいないのでわかんないんですけど、そもそもママ友って、つくらないとなんか不都合が出てくるようなもんなんですかね?

こばなみ:
私もママ歴がないので、編集部メンバー+αに聞いてみました! 子どもが小学校高学年~高校生くらいのやや先輩ママですかね。

<Q1.ママ友ってつくらないといけないもの?>

・学校まわりや子どもの様子を知るのに、最小限1~2人はつくれると安心で頼れる存在になります。

・無理につくらなくてもいいけど、いたら心強いかなぁ。でも考え方が大きく違うと疲れる存在。

・ママ友は、自分だけのためなら、つくらなくても良いと思う。

・マストではないけど、いると心強いですね。私自身はママ友には助けられたことがたくさんありましたが、子どもが小学校の低学年のうちは、学校や地域のことを気軽に聞ける人がいると安心だけど、中学年以降はいなくても困らない気がします。

・いなくてもいいけど、そうだと情報がまったく入ってこない。

・「ママ友」と呼ばれる存在、いると良いとは思います。仕事の場所、趣味の場所、どんな場所にも心の内側を話し合える友だちがいるのは良いですよね。子育ての場も同様。「いけない」という質問表現に意思を感じますが、逆にそのへんどうですか? そういうコンディションの人は、全然つくらなくて良いと思います! そういう温度感の人には、近づかれたほうも対応に困るのでは?

こばなみ:
ママ友がいて良かったこと、良くなかったことも聞いたんですけど、思った以上に情報収集や助け合いが必要なのだなぁと感じました。

<Q2.ママ友をつくって良かったことは? 逆に良くなかったことは?>

◆良かったこと

・自分の知らないいろいろな情報を得られたり、子ども同士の関係が円滑になったり。

・先輩ママならいろいろ先のお話が聞ける。宿題の内容を子どもが忘れても同じクラスなら聞ける。他の子はどうしているんだろう?という情報が入る。

・何よりも、ママ友がいると入ってくる情報の量が違う。先生の性格、どこの病院や習い事がいいか、インフルエンザの流行状況、行事のときに用意すると良いもの、受験について……、いままさにそれが知りたかった!という情報の宝庫です。

・子どもの交流から始まりましたが、いまは子どもも仕事も遊びの話もできる近所の力強い友だちです。誘われるままに出かけた結果、テニス、スキー、キャンプなど子どもにいろいろ体験させることができ、充実した子育て時間になったように思います。

・子どもの成長を一緒に喜ぶことができた。困ったときに助けてもらった。自分では仲良くならなそうな人とも、子どものおかげでいろんな人とつながれた。

・グチや不安を言ってスッキリした。

・コロナ感染で隔離のときに、買い物に行ってくれました。あとうちはパパがいないのを知ってるので、お出かけのときにうちの子どもも連れて行ってくれたりします。

・世界が広がった。自分が変わった。見識、やさしさ、仕事への考え方、家族のあり方、自分がどんだけ矮小に生きてきたか、ママ友たちを通して知りました。一生の付き合いになるだろう、という友だちもできました。仕事上(業界内)の友だちとは、考えが180度違うようなアドバイスもたくさんもらえて、発見があります。

・困ったときに助け合えること。病気になったときは子どもの幼稚園の送り迎えをしあったり、預かりあったり。ここの病院がいい、この本がいいなど、情報交換をしたり。小学校の情報、中学の部活の情報、高校受験、大学受験、先輩ママはいろんなことを知っていて、頼りになりました。

・自分だけの人脈では出会わなかっただろうな、と思うような人とも出会える。家具職人、医者、花屋、中学校教諭、看護師、ベラルーシ人、マレーシア人、ヤンキーだった人、県で神童と呼ばれていた人など、たくさんの経歴の人がいて話を聞くのが面白かった。

◆良くなかったこと

・子どもが関わってるから、苦手な人と離れにくい。考え方や育て方の違いに戸惑ったこともあった。でもそれはママ友界隈に限った話ではなく、会社でも学校でも親戚でも同じなのでは?

・近所に知り合いが増えたことで、ノーメイクで気軽に家を出るということができないのがちょっと不便。

・自分をしっかり持っていないと、流されてしまったり、意見に振りまわされたりしちゃうのかな。私自身は外ランチなど、お金を使いすぎてしまったなぁと。

・共通の知り合いが多いし、人間関係がわりと密なので、「聞いたよ~」みたいな感じで話したことが回ってきたり。なので、ネガティブな話はママ友にはしないことにしています。

こばなみ:
ちなみに、どこでママ友に出会ったのかも聞いてみました。

<Q3.どうやって見つけたのですか?>

・「見つけよう」と思わず、子どもがいく先々にいる保護者で、なんとなく。近所だった、同じ習い事だった、同じ部活だった、同じクラスだった……などで自然に。

・うちはサッカークラブに入ってたから、ママ同士で連絡先を交換。お互い協力することが多いから仲良くなりました。

・私のママ友は子どもが児童館、幼稚園に通っていたときに知り合いになった方々です。

・子どもの同級生のママ。役員を一緒にした方だったり、公園仲間だったり。

・幼稚園の送り迎えで顔を合わせているうちに、挨拶するだけの仲からだんだんと雑談、情報交換などへ会話が広がっていきました。小学校や習い事でも同じパターン。共通の知り合いがいることがわかると、輪が一気に広がる。

宇多丸:
最終的にホントの友人同士になってゆけたようなケースは言うまでもなくだし、情報収集の助けになるという点もやはりバカにならないものがあるんだなぁという感じだけど、とくに「世界が一気に広がった」ことを挙げている人が複数いたのが、印象的でしたね。

それってまさに交友関係を広げてゆくということの意義そのものと言えるだろうし、むしろそれまであまり接点がなかったような人たちとの出会いこそ貴重、ということにもなるわけだから、なぜママ友をつくったほうがいいのかという考え方のベースとしては、けっこう悪くないんじゃないかという気がしました。

いっぽう、どうやって仲良くなっていったかに関しては、皆さん案の定「自然に」としか言いようがない感じですよね。

だからまぁ、こちらひとりがジタバタしてもしょうがないものではあるのかもしれない。

それにしても、前にも言いましたけどやっぱり、これら多種多様なケースを最初からひとまとめに「ママ“友”」と言うしかない、このネーミング自体にもちょっと問題があるんじゃないかとは、僕は改めて思ってしまうあたりですが。

とりあえずはただの局地的な知り合いでしかないはずなのに、誰もがそこで「友だち」をつくらなきゃいけないのか、という無用のプレッシャーは、少なからずここからも生じてるんじゃないかという気が僕にはしますが。

こばなみ:
それについてもちょっと聞いてみました。

<Q4.ママ友という言葉について>

・2種類存在するかなぁ、と感じます。①学校、部活情報を共有する役立つ友だち。共有話題が終了すると解散。②自分の話と子ども話と両方話せるマルチな友だち。楽しい限り解散しない。①は必要に応じて友だちになっていく環境ですが、②は自分が友だちとして、楽しそう、信頼できる、環境が近いという方を選んで友だちになっていくので、長く付き合える大事な関係になっていくように思います。

・ママ友は知り合いですね、きっと。気が合って会うとなれば、それは友だち。「ママ」っていう職業に就いている人たちが仕事以外で気が合って仲良くなることもあるし、仕事のお付き合いまでってこともある、みたいな感じかも。

・「ママ友」って言葉、好きじゃないのに、人に説明するときに「ママ友」って使っちゃうの、なんなんでしょうね? 「友だちって言ってしまっていいのかな?」といった遠慮ですかね? そして「友だちってなんなん?」と、わからなくなりました(汗)。

・「ママ友」だけが呼び方や関係性をあーだこーだ言われている感じがしますが、当事者たちはもっと気楽に使っている言葉ではないでしょうか。

・軽いタッチのネーミングのせいで、いろいろ誤解が起こりそうですよね。私は、お友だち本人に「(あなたは)ママ友」とは言いません。まったく関係ない(深く説明する気もない)第三者に関係性を説明するときに、「ママ友が~」という使い方をします。そういう荒っぽい呼び名だと思っています。

・「ママ友」という言葉を使うと、「住んでいるエリアが近くて、子どもの年齢も近い。お互いの家族構成のこともなんとなくわかる。共通の知り合いも(たぶん)多い」という情報がいっぺんに含められて便利なので、誰かに説明するときによく使っている気がします。

宇多丸:
この言葉を便利にライトに使っている方々が普通に多いのもわかります。だからこそこれだけ当たり前のように流通してるんだろうし、そこを非難したいわけではないのでお気を悪くされたらホントすみません!

ただ、その雰囲気にすんなり収まらないことで多少なりとも悩んでいる人たちも、少なくともここに送られてくる相談文を読む限りはやはり、一定数いるように思えたので。ならばと軽く問題提起をさせていただいた次第です。

ただまぁやっぱり、僕もこばなみもなるほど現時点で当事者ではないので、ひょっとしたらここから先は、たとえば子育て雑誌とかの専門メディアで議論してほしいあたりかもしれないですよね。その需要が、実際にはどの程度あるのかにもよるだろうけども。

まぁそれとは別に、アンケートでそれっぽいことを書いてらっしゃる方もいましたけど、そもそも「友だち」って概念自体のよくわかんなさ、という問題もたしかにあるとは思いますが……。

いずれにしても、無理してつくろうとはしなくていい、ってところは、どうやら皆さん共通してますからね。

だいたい友だちって本来、意図的に「つくる」というより、いつの間にか「できる」ものだろう、というのもあるし……、その意味では恋愛以上に「ご縁があれば」の世界かもしれないですよね。

なので、勇気出してちょっと積極的になってでもお近づきになりたい、と思うような人が目下ももさんのまわりにいない限りは、やはりわざわざ何かがんばらなきゃいけないようなものではない、ということに尽きるんじゃないでしょうかね。

こばなみ:
今回いろいろ話を聞いてみて、私が思っているよりも、子育てに必要な情報や、助け合う場面が多いんだなぁと勉強になりました。想像以上でした!

ももさんの「何を話していいか」ってことを考えると、多くの人が情報収集を求めていると仮定するならば、「雨の日は何をして遊んでいますか?」とか「新しいクラスに慣れましたか?」などの子どもの生活についてのライトな質問や、地域に根付いた「小児科はどこに行っていますか?」「○○○を習わせたいんですが、おすすめはありますか?」などの質問あたりから始めてみるのはいかがでしょうかね。こちら、編集部のママたちからのアドバイスでした!



【今週のお絵描き】

画・宇多丸




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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

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女子部JAPAN こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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