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3カ月前にできた彼と将来的には結婚して退職するつもりです。会社からは期待されているので心苦しく……、このまま居続けるべきか悩んでいます。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室298】


✳️今週のお悩み✳️
結婚はせず自分一人分の人生を楽しもうと思っていた29歳会社員です。ところが、3カ月ほど前にひょんな事から久々の彼氏(2歳年下)ができました。お互いに会った時から昔から知ってるような気分で、結婚するならこの人だなと直感がありました。まだそうなるようにしようというような話しか出ていませんが、今までの頑なな独身主義がもはや跡形も無く自分で驚いています。彼は隣県に住んでいて少々遠距離かつ全国転勤のある職業です。個人的に私はまったく構わないのですが、問題は私の職場です。
なかなか若い人材の集まらない小さな会社なので私が最年少です。2年前に中途入社した会社ですが、面接時に将来的に結婚の予定はあるかと聞かれ、まったくそのつもりは無いと豪語していたのです。そのため、オールマイティに業務ができるようにと長期計画でいろいろな指導を受けて、数少ない20代社員として期待されているのだなと伺えます。ただ、やはりそこに給料が見合わないのが、若い人材がいない要因だな……とは思いますが。
つまり、私としてはいずれ彼と結婚するつもりなので将来的に退職すると思うのですが、更なる私の業務の計画をしている会社に今まだこのまま居続けるべきかを悩んでいます。何年も勤続することにはならないと思いながら、私のステップアップに注力してもらっている現状が心苦しいのです。彼はデートの別れ際などに「こっちで仕事探さない?」と言います。婚約もしていないしと冷静になろうとすれど、心は揺れます。上司に会社の将来的な話をされたりすると、曖昧な笑みになってしまいます。現状のまま様子見で目をかけてくれる会社で何も言わず働く方がいいのか、打ち明けて早々に退職の意を示して彼の近くで働くべきか、アドバイスをお願いします。
(こまこ・29歳・兵庫県)


こばなみ:
会社側としては、そう遠くない未来に退職するなら、早く言ってよ~!とは思っちゃいましたけど、言い方も難しいですよね。

でも仕事が好きで続けたいというのなら、それも込みで相談したほうがいいですよね。こんなに期待されてる会社なら、なんらか一緒にいい方法を考えてくれそうな気もしますけど。

宇多丸:
僕がまず思ったのは、どうして彼側に合わせるのが前提になってるんだろうって。

もちろんそれも選択肢のうちに入ってていいけど、なんでいきなりその一択!みたいなことになってんの?っていう。

だってこまこさんは、言ってみれば幹部候補生的な、期待のホープなわけでしょ? 彼とくらべても、そう簡単に軽んじられていいような立場じゃないと思うんだけど。

彼側がいくら稼いでるのか知らないけど……。

こばなみ:
彼は、全国転勤がある大企業とかなんですかね!?

宇多丸:
まぁ、こまこさん自身が当然のように辞めるほうを選んでるってことは、給料もたいしたことないし、そもそもそこに未練があんまりないから、なのかもしれないけどね。

彼も、普段の会話からそういうテンションがわかってるからこそ、そういう提案をしたのかもしれないし。

だったらやっぱり、一刻も早く会社には伝えるべき、ってことだけど。

こばなみ:
でも本当に未練がないのかどうかは、ちゃんと自分自身とお話したほうがいいと思いますけど!

宇多丸:
だし、彼とももうちょっとしっかり話し合っといたほうがいい気はしますが。

たださ、仮にそれでホントに彼が住んでいるあたりで仕事を探したとしても、彼だって、いずれどっかに転勤するかも、なんでしょう?

一般的に転勤族のパートナーって、どうしてんだろ。

こばなみ:
だいたいは旦那さんについていってるんじゃないですか?

子どもが小さいうちは。子どもが中学生とか高校生になれば、単身赴任とかじゃないですかね?

宇多丸:
奥さんも仕事バリバリやってる場合は?

こばなみ:
この間、そういう夫婦がいて、いつでも旦那さんの転勤についていけるように奥さんはフリーライターになったって。

宇多丸:
結局、奥さん側が一方的に、パートタイム、もしくは専業主婦になるかの二択ってこと?

なんかそれって……、いまどきどうなの。

こばなみ:
私はオットが転勤あるかもしれない職業なんですけれども、そうなったらついてはいかないですね。週末婚!

宇多丸:
それでいいじゃんね。

とにかく転勤族って、なんかすごく旧態依然とした家族像、夫婦像を前提としているんですね、いまだに。

ちなみに、「面接時に将来的に結婚の予定はあるかと聞かれ」っていうのも、関係ないだろ!って話だよね。

女は普通みんな寿退社するもんだってことかよ。いつの時代の話してんの?って。

こばなみ:
結婚は関係ないですね。出産は気になるかもしれないですけど。

宇多丸:
でもさ、それすらも、そういうことを女性特有のハンデっぽく言うのはやめね?って世の中にみんなでしようとしてるんじゃなかったの?

これがまだ日本社会の現実ってことなのかな……、げっそりですね。

まぁとにかく、こまこさん自身も、現状の職場に対する思い入れはさほどないようだからね。

じゃあ辞めれば?としか言いようがない。

こばなみ:
私もそう思いますけど。会社側もいきなり辞めます!だと困っちゃうと思うので。

宇多丸:
それにしてもさ、個人的にはやっぱり、たかだか結婚くらいでそこまでがらっと人生のコース変えちゃうのかぁ、とは思っちゃうけど。

曲がりなりにも会社の将来を託されてたような、力のある人だったんだろうにさ。

こばなみ:
もったいないですよね。

宇多丸:
……でもさ、ちょっと待った!

これ、付き合いだしてまだ、3カ月なんだよね?

しかも、隣県とはいえ遠距離なわけだから、休みのたびに会ってたとしても、せいぜい15回くらいしかデートしたことない段階、ってことなんじゃない?

だとしたら、あまり冷静な状態とは言えないかもですよね。

毎日でも会いたいのになかなか会えない、というのが、余計に渇望感を強めている可能性が高い。

それはそれで結構なことだけど、そこで人生全体を左右するような判断をすぐにしちゃうのは、ちょっと早まりすぎなんじゃないか、という感じもしますよね。

「お互いに会った時から昔から知ってるような気分で、結婚するならこの人だなと直感がありました」って、いい感じの遠恋3カ月目ならそんくらいはみんな言うんじゃないですか(キッパリ)。

こばなみ:
こまこさん、冒頭でも「結婚はせず自分一人分の人生を楽しもうと思っていた29歳会社員です」って書いてるけど、29歳で結婚しないとか決めるの早いし! そういう生き急いじゃうところがあるのかもしれないですね。

ってことは、じゃあまだ会社に言うのは早いか。

宇多丸:
こまこさんはさ、当初の結婚する気ない宣言にしたって、彼氏ができたら途端に翻してしまうくらいで、そこまで強い意志をもって生き方をチョイスしていたわけじゃない、どころかむしろ、実はそのときそのときの状況に合わせてきただけ、とも言えるわけですよ。

だから、やはりこの機会にいったん、自分は本当にはどういう人生を歩んでいきたいのか、改めてちゃんと考えてみたほうがいいんじゃないですかね。

もちろん、せっかく今は超ホットな恋愛状態にあるんだから、その勢いに乗って一気に思いきりジャンプしてしまう! 考える前に跳ぶ!というのも、ひとつの手ではあるんだけどね。

しょせん人生なんて、慎重に考えようが迂闊にふるまおうが、どっちがいい結果になるかなんてわからないんだから。

ただ客観的にみると、あなた今かなりのぼせあがってる感じがしますよ、というのは言っておきます。

そして、やっぱり個人的には、仕事も結婚も両方取ればいいじゃん、というのが僕の意見。

もしもやはり、今の仕事に対してそこまでモチベーションがないなら、できるだけ早く会社に伝えて、がっかりされてください。

そこだけは覚悟しないといけない。

こばなみ:
なんかやっぱり、もったいないなぁとは思ってしまう。

宇多丸:
社会から「そう簡単に替えがきかない存在」として扱われるって、とても恵まれているというか、大きく言えば人生に充実を感じるかどうかの、重要な境目なんじゃないかと僕は思うんですよね。

もちろん給料の問題もあるだろうけど、キャリアアップするにしても、ここで辞めたらちょっと、中途半端感は否めないんじゃないかなぁ。

こばなみ:
2年って短いと思いますけどねぇ。

宇多丸:
ま、あんまり説教くさくなりすぎてもなんなんで、我々の意見はこのくらいにしときましょう。

それまでの生き方を根本からぐらつかせるくらい、ドンピシャに思える相手に出会えたということ自体は、文句なしにいいことだと思うんで。

とにかくあとは、自分でよーく考えたうえで、彼とももう少ししっかり話し合ってみては?ということで。結論はそこからでも遅くないと思いますよ!


【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2019年10月19日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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