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夫のひとり言にイラッとします。家が狭いので物理的に回避するのも難しく……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室435】


✳️今週のお悩み✳️
夫のひとり言をやめさせたいです。結婚して10年以上経ちますが、なぜか今になって、無性に気になるようになってきました。自宅で仕事をしているときや、何か作業をするときによくブツブツ言っていて、耳障りです。何度もひとり言はやめて欲しいと伝えたのですが、癖になっていて直らないようです。対策として、ひとり言が聞こえるたび、すぐに「何?なんか言った!?」とわざと聞いて、ひとり言を言っていることに自覚を持たせるようにしているのですが、「別に何も言っていない」もしくは「◯◯のことを考えていただけだけど?」と、まるでこちらが気にしているのが不思議だというような返し方をされるのもイラッとします。私から小言を言われた後に一人でゴニョゴニョ言っていたりするのも腹が立ちます。私は言いたいことをはっきり言うタイプで、夫は何か言われても言い返さず黙り込んでしまうタイプなので、ひとり言を利用して文句を口走ることで発散しているんだと思うのですが、こちらは余計に腹が立つので言いたいことがあるならはっきり言って欲しいと伝えても、「別に何も言っていない」の一点張り。夫と暮らしていく限り、このストレスと付き合っていくしかないのでしょうか……。家が狭く、各部屋にあまり区切りをつけていない生活スタイルなので、物理的に避けるのも難しいところです。
(たんこぶ・41歳・フリーランス・東京都)


この文面でたんこぶさんは、ダンナさんのひとり言を、どっちかと言うとやはり舌打ちが無意識に出ちゃってる系の、わりとネガティブな感情の発露として、最終的にはまとめていらっしゃいますよね。

もちろん、たんこぶさんとの問答がひとしきりあったあとのブツブツは、なにか不満を吐き出している様子のように見えておかしくないし、まぁ明らかにその確度も高いと言えるでしょうが……。

ただ、その前の時点の、仕事や作業中のひとり言は、べつに悪意があるわけじゃホントにないとも考えられるという点で、「文句を口走ることで発散している」というのとはちょっと、いったん切り分けて考えたほうがいいんじゃないかな、という気がしますが。

実際、本当に悪気もなにもなく、考えてることを無意識に口にしちゃってるだけ、っていう人はたくさんいると思うし……、それが周囲にどういう印象を与えているか、というのはまた別問題としてね。

たとえばスーパーで棚を見ながら、まぁまぁまわりにも聞こえるような音量で、「晩ごはん、何にしようかな~? あら、お野菜こんなに高いのか~!」みたいな(笑)。

そこまで可愛らしい感じじゃなくても、とにかく「つい声に出しちゃいがち」な人、全般を責めたくはないな、と僕は思うんですよね。

正直言うと僕自身、どちらかと言えば自分が前にしでかした恥ずかしいミスとかが不意に頭をよぎって思わず「クソクソクソ!」みたいなやつだけど(笑)、自宅でひとり言、けっこう言っちゃってるほうだとも思うし……。

指摘されたら普通に「あっ出ちゃってた? ごめんごめん!」って謝りますけど。

その点、今回のケースがちょっと厄介なのは、もともとのひとり言がどんなニュアンスだったかの如何にかかわらず、すでにもう言った言わないっていう、言ってみれば口ゲンカ的な領域に入っちゃってますからね、事実上。

いずれにせよ、「なんか言った?」「言ってない」っていう言い合い段階から先の、「話し合い」になるところまで持ってかないと、文字通り話にならない感じではある。

現状はまだ、ダンナがたんこぶさんの訴えを真剣に取り合ってない状態のまま、ただなんとなく終わっちゃってるだけのように見えますよね。

もうちょっとこう、ダンナがこっちの言うことに向き合うしかなくなるまで、話を詰めていくのは難しいんですかね?

「いや、あなたは自覚ないかもしれないけど、たしかに普段からひとり言が多いし、今もそうだったんだよ」「無意識でホントに悪気もないんだろうけど、私にしてみたら、横向いてブツブツ言われてるだけだとなにか不満でもあるのかとやはり気になるし、不安にもなってしまう」「だから、意識できる範囲で気をつけてほしいし、もし言ってしまったとしても、いまのように私が指摘したらそれをちゃんと受け止めてほしい」みたいな、何段階かの論法でさ。


現状は、話を詰めきる前に、悪い方向に思い込んでしまってる感じでしょうか。


ひょっとしたらお互い、そうかもしれないよね。

とにかく、たとえばさっき言ったようなことを一回きちんと(無論、穏やかに)伝え切ったならば、今度はダンナ側に、自分のひとり言癖を自覚して、それに対してたんこぶさんが当然抱きうる不安を積極的に払拭するよう努力するという、義務が生じると思うんですよね。

ひとり言を完全にやめるとかいう前に、それがすぐそばで暮らしているパートナーに与える印象とその責任、というところをまずは自覚するべきというか。

それでもまだ「言ってない」の一点張りから動かない、というような場合に初めて、ダンナ側の人間性、人格の問題になってくるのかなと。


たんこぶさん、「ひとり言をやめさせたい」って書いてますが。


もしかしたら、専門医的なところで「治す」ことができるような症状なのかもしれないけどね。

それにしたってやっぱり、まずはダンナ側が自分のひとり言癖とそれがたんこぶさんに与えている影響というのを自覚する、というのが、すべての第一歩であることに変わりはないわけですから。

なんなら、今度こっそり録音して、後から本人に聞かせてみたりすれば? 

感じ悪いかな?


動かぬ事実、ですもんね。自分が言ってることを認めざるをえないですよね。


ただしまぁ、そこまでしたらどうしたって、対立感は強まっちゃうかもしれないよなぁ、やっぱり。

だいたい、そんなことでもしなきゃ話を聞こうとしてくれてない時点で、なかなかな溝の深さだとも言えるけど……。

最初にこっちが言った時点で素直に聞いてくれよなー、マジで!(笑)


いろいろ働きかけても、結局聞いてくれなかった場合は……?


そこだよねぇ……。

つまり、こっちがやめてほしいって訴えていることを、やめようともしてくれないようなやつがなぜか「パートナー」、ってことだよね、大変残念な話ですが。

相手が変わろうとしてくれない以上、あとはもうこっちの問題……我慢か行動か、の二択になっちゃいますよね。

つまり、それでも一緒にいたいと思えるのか、もしくは物理的精神的に距離を置くしかないのか。
それは当然、たんこぶさんが決めるしかないことなわけですけども。

たしかにこの文を読む限り、ダンナの受け答えもちょっとぶっきらぼうすぎるというか、たんこぶさんに気を遣っている感じがかなり希薄ではあるしな……。

あとね、「家が狭く、各部屋にあまり区切りをつけていない生活スタイル」、これはやっぱり、イライラが溜まりやすいのは間違いない。

円満な共同生活にまず必要なのは、「間取り」です!


1LDKで二人暮らしの身としては、それかなり実感しております。


物理的にどうにもならないならせめてパーテーションで区切るとか、音を気にしたくないときは耳栓とか。

なんかひと工夫はしたほうがいいよ!


ただ、10年経った今になって、っていうのは、他のことも絡んでいるのですかね?


たしかにね……。

少なくとも、欠点や偏りさえも愛おしい、とは思えなくなってきちゃったのは間違いないわけで。

なんなら、日々の一挙手一投足にもついイラッとしてしまうような気持ちの距離が、すでにかなりできちゃっている……というのが、そもそものベースにあってのこの話、なのかもしれない、ひょっとしたら。

文面のなかに、「とはいえ普段は仲良くて」とか「とはいえ基本は優しい人で」みたいな、フォローというか、ダンナに関するポジティブ描写がいっさいないのも、そう考えると気になってくるあたりですね。


ダンナさんへの感情を自覚してないから、余計期待しちゃったりしてイライラするってこともあるのかな。


逆にダンナにしてみれば、「なんで今になって急にガミガミ言うようになった?」という感じかもしれないし、あるいはそれ以前に、あっちはあっちで過剰に心を閉ざすモードに入ってしまうようななにかが、どこかのポイントであったのかもしれない。

なんにせよ、夫婦として今はあんまりいい雰囲気じゃなくなっちゃってる、というのがこの問題の根本にあるんじゃないか?というのは、一度自問自答してみてもいいあたりかもしれないですね。

といっても、冷静になってもろもろ整理してみれば、そこまで取り返しのつかないこととも限らないんじゃないか、という気も僕はするんですが。

それこそさっき言ったみたいに、適切な距離感を保てるような生活習慣/空間に切り替える、なんならちゃんと離れた個室とかがあるようなところに引っ越す……とかまで含め、とにかくお互いがずっと横にいることで生じるストレスをできるだけ減らすようなシフトチェンジを思い切ってすることで、意外と気分がガラッと変わって、気づいたらひとり言もあんまり気にならなくなってました、みたいなことだって、ぜんぜん可能性として考えられると思うんですよね。

もちろん反対に、そう簡単に解決することじゃないかもしれないわけだけど……。

とにかく! たんこぶさんとダンナが、今からでも実りあるコミュニケーションを取れるようになること、心から願っております。


人生、長いですからね。穏やかに話せるよう、深呼吸してファイトです! 私も引っ越し先、早く探そう~。



【今週のお絵描き】

画・宇多丸





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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

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女子部JAPAN こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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