会社や同僚の愚痴や不平不満ばかり話してくる先輩。職場の苦手な人とどう付き合っていけば良い?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室240】
✳️今週のお悩み✳️
私の相談は、職場の苦手な人との付き合い方についてです。会社の先輩がとにかくネガティブで、話を聞くのに疲れてきました。社員みんなでいるときは面白おかしい楽しい人だったりするのですが、一緒に帰ったり2人きりになると会社や同僚に対する愚痴や不平不満ばかりで辟易します。こっちは楽しく仕事しているのに、私も同じように不満を持っている前提で話をされるのも正直理解ができません。最近ではネガティブモードじゃないときの先輩も嫌になってきてしまって、向こうにもそれが伝わっていると思うし、先輩も私のこと苦手なんじゃないかな?と考えたりします。あの人にも良いところはある……と思い直したりするのですが、やっぱり無理!となる瞬間があって気持ちがシーソーみたいに安定しません。なるべく接触を減らせばいいのはわかっているのですが、小さな会社なので上手く避けることも出来ずしんどいです。なんとなく合わない人と、どう付き合っていけば良いですか?
(パン奈・27歳・千葉県)
こばなみ:
「小さい会社なので上手く避けることもできず」ってありますが、みんながみんな合うわけじゃないから、むこうも合わない、こっちも合わないって、ある程度距離をとって付き合っていっていいんじゃないかって思いますけどね。下手に合わせなくていいというか。グチは嫌!って態度に出してもいいと思うし。
宇多丸:
誰とでも100%うまくやる、なんてありえないもんね。
ちなみにこれ、ストレートに、「なるほど。私はそうは思わないですけどね」とか、話を聞いたうえで自分の意見も付け加えるんじゃダメなの?
こばなみ:
ぜんぜんいいでしょ!
それを言ってるから、伝わっていて「合わない」ってことになってるのでは?
宇多丸:
じゃあお互い合わない同士、フィフティフィフティで問題ないじゃんねぇ(笑)。
まぁたしかに、そういう愚痴とかに同調しないと怒る、みたいなタイプもいるけどね。 でも一方では、なまじ相手に合わせて同意してたら、ほかの場所でも「パン奈さんもそう言ってたよ~」みたく吹聴されちゃって、こっちまで同類っぽく見られてしまったりする危険性もあるもんなー。
僕ならやっぱり、めんどくさいから「ははぁーなるほどねぇーそんなもんですかねぇー」とかできるだけ心を込めずに言って(笑)流そうとしちゃうかもですけど。
こばなみ:
適当に合わせてただけなのに「宇多丸さんも不満に思ってるみたいだよ」とかって、どこかから耳に入ったらどうします?
宇多丸:
腹立つ!(笑)
まぁ、よほど重大な件じゃない限り、ネタになった当事者に直接会う機会があるときに話して誤解を解けばいいかな、って感じですかね。
実際、近いような事態もあったことあるけど、たいていは「どうせそんなことだろうと思ってたし気にしてないよ」って言ってくれますけど。
でもそれって結局、事実上余計にめんどくさいことになっちゃってるわけだもんね。
だからやっぱり基本的には、相手に合わせて自分の意見を曲げたりするのって、良くないんですよ。 さっきも言ったように、相手の言い分にもちゃんと耳を傾けたうえで、「そうですか……、私はこう思いますけど、ね」って、やんわりとこっちの考えも主張するくらいは、別に問題ないはずだと思いますけどね。
ただ……、またちょっと視点を変えてみると、普段はそういうノリじゃない人が、二人きりになるとネガティヴなことばかり吐き出してる、っていうことはさ、少なくともパン奈さんに対しては特別に気を許してる、ってことでもあるわけじゃん? ほかに言えるような人がいないんだな、って考えると、たまには黙って受け止めてあげてもいいかな、くらいに思えてきたり……、ちょっとしないかな? まぁパン奈さんは、その先輩のことをもうすっかり嫌いになりかけちゃってるみたいだから、今さらあんまりきれいごと言ってもしょうがないかもだけど。
こばなみは、部下にこういう相談されたらどうする?
こばなみ:
わたしもちょっとこの先輩、パン奈さんにしか話せないなんてかわいそうって思っちゃったんですよ。だから、聞いてやってね~、とは言うかもしれない。
それがもうどうしても嫌なら、やっぱり無理して一緒にいなくていいんじゃない? 放っておけばいいじゃん!って言いますかね。
でもまぁ、そういうことがあった場合って、だいたいお互いに離れていきますよね。
宇多丸:
文字通り「適当に」距離をとって付き合っていくしかないよね、普通に考えたら。
なんか言われたら「あ~、ま~ま~ま~、あ~、ま~ね~」を繰り返すとかさ(笑)。 露骨に否定はしてないけど、積極的に肯定もしていない感じ。
こばなみ:
そうですね。こいつたいして聞いてないなってわかったら、話す方もめんどくさくなってきますもんね。
宇多丸:
ただ、人間どっかで、なんかしら愚痴的なものはこぼしてしまう生き物でもあるわけだよね。
たとえばさ、パン奈さんも、その先輩に対する愚痴を、ここで我々に言ってるわけじゃん?
そう考えるとやっぱり、先輩の言動に、同意は別にしないでいいし、無理してまでいちいち付き合うこともないけど、心情は理解してあげて、という気はちょっとする。
何かこちらには見えてない理由で苦しみ続けてるのかもしれないし……、ま、それをこっちにぶつけてくんなよ、としか思えないならそれはそれで仕方ないけど。
こばなみ:
会社って、そんなに逃げ場がないわけじゃないですしね。
宇多丸:
友達作りに来てるわけじゃないしね。
よくさ、バイト先にいる親父の話がくどくて……みたいなの、みんな笑い話にしてるじゃん? それってつまり、一生その人と付き合うわけじゃないし、ってことだよね。
掟ポルシェさんの名著「男の!ヤバすぎバイト列伝」なんか、そんな話ばっかりですよ! 書いてる掟さん自身が、そういう人たちに輪をかけてまたヒドい、っいうのもあるんだけどさ(笑)。
こばなみ:
あと、仕事のことを第一に考えると、シンプルで良いのかなと。
このプロジェクトの目標を達成するのだ! がんばるのだ!と思ってると、多少なにかあっても、「あ~ま~精神」でなんとかなる気もする。
宇多丸:
そうなんだよね。
多少性格に問題あっても、仕事さえできてればオッケーというか。
そんななか、またその先輩に「今日帰りちょっと付き合ってくれない?」的に誘われたりしたとしたら……。 僕なら、その人が本気で嫌いじゃないなら、「嫌ですよ! 先輩の愚痴、聞き飽きたもん!」みたく、冗談ぽく茶化しながら、わりと直接言っちゃうかもなー。 「人の悪口ばっか言ってるとシワが増えるから嫌でーす」とか、あくまで調子はギャグっぼく。
こばなみ:
その雰囲気に持ち込めればいいですよね!
宇多丸:
要は辛いこと嫌なことがあっても、その場でユーモアに転化できると一番強い、ってことなんですけどね。
こばなみ:
かなり相手に愛情を持っていて、本質的にはやさしい行為ですよね。
宇多丸:
それが難しければ、やっぱり「あ~ま~精神」ですよ。
あ~ま~、ま~ね~、あ~、まぁまぁまぁ、あ~ま~ね~って。
こばなみ:
は、腹立つ~!(笑)
宇多丸:
こっちがイラっときてれば向こうもイラッとする、それは仕方ないことだから。
相手に共感するか、突き放すか。そこから先は個別の判断なので……、あとはパン奈さん、頑張って!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2018年6月23日に公開したものを再編集し、掲載しています。