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結婚して7年、子どもはまだできません。友達や仕事関係で飲むときの「子どもはいいよ~」などの会話がキツイ……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室293】


✳️今週のお悩み✳️
こんにちは。私は42歳で夫と二人暮しです。結婚して7年、子どもはがんばっていたけどもできませんでした。といってもまだ諦めきれず、病院通いはやめましたが挑戦中です。そんななか、友達や仕事関係で子持ちの人たちとご飯を食べたり、お酒を飲んだりするのですが、だいたい子どもの話になりますので、正直キツイです。ニコニコ聞いたり、話を盛り上げるためこちらから質問したりするんですけど、そうすると「子どもはいいよ~」となり、思わず「欲しいんだけどできなくて(いろいろやってみたけどできない)」と言いたい気持ちもあるのですが、場がビミョウになりそうで、やめています。友達のご飯会はしばらく行かなくてもいいかと思うのですが、仕事のはそうはいきませんので、こういった気持ちをやんわり伝える方法や、うまいこと話題を変える方法など、教えていただきたいです。そして、こんなとき、宇多丸さん、こばなみさんならどうしますか? うじうじした相談でスミマセン!
(きのぴー・42歳・東京都)


宇多丸:
「子どもはいいよ~」か……。

言ってる側にはもちろん悪気なんかないはずだし、なかなか公然とは異論を差しはさみづらい「善きこと」なだけに、たとえばきのぴーさんみたく、内心それに傷つく人もいる、ということが、なかなかわかってもらえない場合も多いのが、残念ながら現状だよね。

そして、似たようなことは、間違いなくそこらじゅうで起こっている。

これがさ、本気で子どもとかどうでもいいと思ってる人だったら、あーそうなの、ってサラッとスルーもできるんだけど、きのぴーさんは実質そこの価値観は共有してもいるわけだから、いちいち面倒だし気まずいし、当然辛くもあるよね。

こばなみ:
私、結婚して改めて思ったんですけど、子どもはどうなの?って、やっぱり聞かれるものなんですね。

年齢がいってるのであまり聞かれないかと思ったけど。

宇多丸:
世の中は進歩してて、そういう無神経なことはみなさんそうそう言わない時代になってるのか、と思いきや……。

そう言えば僕もこの間、とある集まりの場で、その人は僕よりさらにひと回り以上年上の社会的にはそこそこ成功した男性なんだけど、結婚してけっこう経つ女性に向かって、当たり前のように「子どもはつくらないのか? 旦那は欲しがってるだろう?」と言い放っているのを目の当たりにして、愕然としたのを思い出しました。

その女性は、こんなヤツに何を言っても無駄だとおそらくは悟っているからか、苦笑しながらサラッと流してましたけど。

僕も、もともと好感持てなかったおじさんだったけど、二度と口聞きたくない級に嫌いになりましたよ……。

こばなみ:
なんでそれ聞くんですかね。気になるんですかね、やっぱり。

宇多丸:
それが倫理的、社会常識的に、当然だとでも思ってるんでしょうよ。

だからたぶん、仮にその場で「そういうこと言うもんじゃないですよ」って諫めたとしても、なんでそんなこと言われるのか理解できないだろうし、ゆえに十中八九、逆ギレしてくる。

正面から相手にしなかった彼女は賢明でしたよ。

ただ、そいつは単に、人の生き方に干渉してくる無神経なバカ野郎ってだけだけど、きのぴーさんのまわりの人たちは、そういうわけでもないからね。

その人にとって自分の子どもの話が目下のメインイシューだ、ということ自体に罪はないはずだし、それがタブーみたいになっちゃうというのも、それはそれでまたおかしい気がする。

と同時に、そんな子どもがメインイシュー派の中には、ちょっと疑義を申し立てただけで、烈火のごとく怒ってしまったりする人も、いがちだったりしますからね、正直。

たぶん、自分の子育て全般を、否定されたような気分になっちゃうんだよね。実際にはそんなこと言われたわけじゃなくとも。

さてこれ、どうしたらいいんだろう……。

こばなみ:
友達の会合は行かなくてもいいかなって言ってますけど、仕事のはもう、極力スルーで乗り切るしかないのですかね。

宇多丸:
まぁ、この件に限らず、仕事上の付き合いというのは、しょせんこの程度の距離感の相手だし、と割りきって済ますが吉、みたいなところはありますよね、大なり小なり。

あとはさ、たぶんだけど、きのぴーさん自身も、子どもを持つ/持たないということに対して、あと少し気を楽にというか、もうちょいニュートラルなスタンスで臨めるようになれればいいんですけどね。

要は、周囲が押しつけてくる価値観をうっかりこっちも内面化して、要らぬ引け目や欠落感を感じてしまったりしないようにする、ってことだけど。

クリーピーナッツじゃないですけど、「みんなちがって、みんないい」としか言いようがないんだから、特に人生の価値なんてものは。

いつも言ってますけど、子どもを産みさえすれば幸せになれるというもんでもない、というのは言うまでもないし……、最終的に、苦しみの元以外のなにものでもなくなってしまう、というようなケースだって、そこまで珍しいわけじゃない。

ただ、そうやって、目先の幸不幸を尺度にしてもキリがないですからね。

そんなこんなも含めてその人固有の人生だ、ということにこそ真に豊かな意味とか価値があるんであって、それは子どもがいようがいまいが同じことですから。って、当たり前の話してますけどね。

だいたいね……、「子どもはいいよ~」って屈託なく言ってくる人の大半は、要はただ単に、「子どもがまだ小さい」だけだから!(笑)

こばなみ:
たしかに高校生とか大学生のお子さんがいて「子どもはいいよ~」とかって状況、あまりないですもんね。

宇多丸:
なんならさ、そうやって実際に子育てしている側の人だって、子を持つ=絶対善、みたいな思い込みがないほうが、ずっと楽になるんじゃないですかね。

こばなみ:
あと、前に宇多丸さんが言っていた、養子や里子をもらう、という選択もあるんですかね。

宇多丸:
里親になった経験を描いた
古泉智浩さんの漫画がとにかく素晴らしくてね。みなさんにおすすめしたいですが。

ただ、聞いたところによると日本の養子システムってすごいハードルが高くって、なかなか僕らが想像するようには機能していないらしく。

僕はそれ、ちょっといかがなものかな、と考えていますけど。

それより個人的にはやはり、きのぴーさんがいずれ子どもを持つかどうかとは関係なく、世の無神経にいかに対抗してゆくか、のほうをここでは考えたいな。

僕の経験上ではやっぱり、正面から言い返しても、こっちが嫌な思いして終わることが多いんだよなー……、相手が悪いと、変わった人、歪んだ価値観の持ち主、呼ばわりされかねない。

こばなみ:
前になんかの話で誰かの子どもの話になって、そんなときにわりと数年前に結婚してて子どもがいない人が、ごく普通に「うちはがんばってるけどできないんだよねー」って言われたことはありますけどね。みんなも「そっかー」って言って、なんとなく子どもの会話はあまりしない、みたいのはあって。

そのときは、場は普通というか、ぜんぜんビミョウな感じではなかったですよ。

宇多丸:
そっか。

ただ、こっちから「がんばってるけど、できない」って言わなきゃいけないというのも、なんか腹立たない?

なんでそんなセンシティブな告白しなきゃならないんだというのもあるし、結局こっちがなんか足りてない、劣っている、みたいなことになっちゃってるのもおかしいし。

たとえばさ、「こればっかりはね!」とだけ、ちょっと強めに言うのはどう?

それなら、選択的に産まないのか、妊活してるけど結果が出ないのか、どちらとも取れる余地があるいっぼうで、これ以上この話続けるなよ、というプレッシャーははっきり与えることができるじゃん。

それでもまだ相手がなんか言ってきたら、重ねて「ま、そうなんですけど、こればっかりはね!」と、さらにもうちょい強めのトーンで言う。

いくらなんでもそこまで来れば気づくし、諦めるでしょ? まともな人なら……。

こばなみ:
そうですね。それでも突っ込んでくるような無神経なら、付き合わなくていいよ、もう……。

それにしても「こればっかりはね!」は、ほかのことにも使えそう。

宇多丸:
マジックワードですね。

「結婚しないの?」に対しても使えるし……。

「メジャーリーグから指名こないかと思ってるんですけど、こればっかりはね!」「宝くじ、なかなか当たらないんですけど、こればっかりはね!」(笑)。

こばなみ:
「宝くじはいいよ~、当選はいいよ~」(笑)。

すみません、なんか楽しくなってしまって。

宇多丸:
とにかくさ、子どもの件に限らず、自分の物差しだけで価値観を一般論化してしまわないようにするって、僕らも日ごろから気をつけないといけないことですよ。

こばなみ:
自分の物差し一般化、絶対やってると思う。心当たりもあるし、本当に気をつけようと改めて思いました。

宇多丸:
そんなこんなで、人生こればっかりは! 世の中こればっかりは!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2019年9月7日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
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詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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