✳️今週のお悩み✳️
宇多丸さん、こんにちは。付き合って5年になる私の彼氏（自営業）は、派手な業界の仕事でいつも忙しくしており、沢山の人と接する機会のあるいわゆる「人気者」です。私は普通のOLで、実生活でもそれほど友人はおらず、淋しいわけではないのですが彼に比べるととても地味な世界で生きています（仕事は一所懸命頑張っていますし、趣味もあるので幸せに暮らしていますが）。二人でいるととても楽しくて、喧嘩もあまりせず仲良くしておりますが、華やかな世界をたくさん知っている彼はいつまで私に興味を持ってくれるのだろうかと不安になる事も多々あります。 具体的な質問じゃなくて恐縮ですが、一般人の奥様がいらっしゃる宇多丸さんから見て私と彼がこれからも仲良くやっていけるアドバイスみたいなものがあれば、嬉しいです。
（マナミ・29歳）

宇多丸：
ちなみにですね、僕だってハタからみたら華やかな業界にいるように見えるだろうし、そういった交遊関係がないとは言わないけども、

普段はいたって地味。

基本的に、奥さんと飲みに行くとか、一人で映画行くとか、ばっかりなんです。大人しい生活を送っております。

こばなみ：
以前も「部屋の隅で本を読んでるタイプ」って言ってましたよね。

宇多丸：
そう。僕もいわゆるここでいう「人気者」ってやつにカテゴライズされかねないけれども、引っ込み思案の人見知りだし、仕事上いろんな人と会うけど、ふだん待ち合わせてまでして会う人は限られてるし…。

これは前も言ったけど、基本的に俺、友達をこれ以上増やす必要ないと思ってるから。
それにね、クラブなんかに行くと疲れるわけですよ。知り合いと10人以上会うと疲れない？
人によって自分ってキャラクターが違うから、たくさんの人と会うと、一人何役もこなさなきゃならない。

それにクラブとかだと、場所も場所だし、コミュニケーションが雑。
「テレビみたよー」とかって言われて、本当はもっと細かく説明したいのに「こっちもさー、大変ですよー」っていうような心ない返事になっちゃったりして、ちゃんと話せないのも、辛い。

こばなみ：
宇多丸さんの生活が決して派手ではないことがよくわかりました。で、一方、奥様はどんなタイプなんですか？

宇多丸：
奥さんは俺より顔が広い（笑）。

交友関係が広いんですよ。

こばなみ：
なるほど。でもマナミさんはそれほど友達もらず…、彼に比べると地味…って。彼氏の友達とか仕事相手に紹介されてはいないのですかね？

宇多丸：
もしね、彼氏との世界が完全に分断されてて、彼氏のまわりのことを全然知らないんだよねって話だと、それはそれで問題だけど、そこまでではなさそうなんだよなぁ。

ただ、彼氏が彼氏サイドの人たちに、きちんとマナミさんを紹介することがあってもいいよね。
僕ね、誰かと一緒に飲んでるとするじゃないですか。で、飲んでる相手と気が合いそうであれば、わりとその場に奥さんを呼んじゃったりするんですよ。

のように。彼氏サイドから尊重してもらう経験が１回でもあると、自信がついていいかもしれないよね。

こばなみ：
彼氏は派手な業界で自営業ということは、フリーのクリエイターとかですかね？

宇多丸：
でもさぁ、そもそもだよ、華やかな世界ってなに？って話だよね。

こばなみ：
あとは芸能界とか？ マスコミとか？

宇多丸：
華やかっていうけども、

仕事ですから！！！

仕事に華やかもクソも…、

でも仕事だし！！！っていう。

たとえばさ、芸能人と仕事をするとしましょう。でもこの彼氏、そこでミーハー的に喜ぶ歳、立場でもきっとないでしょうよ。
華やかな世界とかいうけども、
たとえばファッション系だったら、ファッションショーのモデルはたしかに華やかに見えるがしかし、体型を維持したり、地味な努力もしているわけですよ。デザイナーだって、服をデザインして発注したりなんなり。在庫を管理したりさ！

何度もいうけどさ、その華やかってさ～！

テレビだって、裏では大道具さんがセットをカンカンカーンって作ってる部分もあるわけで、出演者だってバラエティ番組なんかでおもしろいことを言うために、どれだけ集中してピリピリしてるか…。

ミーハーでそこにいるわけじゃない。

きっと彼氏は「華やかっていうけどさ、あなたと一緒で仕事だよ」って言うと思うよ。

こばなみ：
しかしですよ、キレイな人もまわりにいそうだし…とかって心配になったりもするのでは？

宇多丸：
仮に芸能界ならば、そういう女性がいかに付き合いづらい人種であるかって彼氏は知っているはず！
女優さんとかアイドルとか、いくらキレイでも、恋愛対象ではないって人が多いと思いますよ。
あんまり褒められた言い方じゃないかもしれないけど、中身は実質「男」っていうか。

えぐい仕事相手でしかない。

とても一緒に付き合ってやすらぐ相手ではないと思うんですよ。

こばなみ：
逆に女優さんとかアイドルも、そっちはそっちで悩みが多そうですね。

宇多丸：
これは、マナミさん自身もわかっていると思うけど、

「実態がない不安」

なんだよね。これからも仲良くやっていけるアドバイスが欲しいっていうけど、これからも仲良くやっていけますよ！

こばなみ：
大丈夫！

宇多丸：
にしてもさぁ、これって岡田有希子の「ファースト・デイト」、つまり、

♪クラスで一番目立たない私を選んだ理由はなぜ～？

みたいなことでしょ。
俺、あの曲好きなんだけどさ。なぜ？　なにか企みでもあるのでは？って思っちゃうっていうね。

こばなみ：
「君に届け」もそうですよね。クラスで地味な女の子とリーダータイプの人気者のラブ…。

宇多丸：
少女漫画みたいだね。

女子たちの憧れの世界じゃない？

こばなみ：
うらやましーですよー！！！

宇多丸：
それでもまだ気になるならさ、彼氏に聞けばいいじゃん。

お悩み相談って結局、結構な比率で「それ、普通に本人に聞けばいーじゃん！」「言えばいーじゃん！」ってことが多いよね。

それに、二人だけだったらうまくいくのですが…、というなら、それでいいじゃん！
なぜ余計なファクターを持ち込んで、その良好関係を危険にさらす？
人気者にもかかわらず、彼氏は見せびらかし用のトロフィー彼女じゃなく、マナミさんをこそチョイスしてるわけでしょ？
どの程度の人気者かはわからないけど、「疲れたよー」なんて帰ってきてホッとしてるんじゃないの？
心やすらぐ場所なんじゃない？

こばなみ：
ヒューヒュー!!

結論：
華やかな世界なんていっても
仕事ですから！！！！！
逆にこの少女漫画的な展開は女子の憧れですよ。

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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2013年9月21日に公開したものを再編集し、掲載しています。

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