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付き合って5年。彼は電話もメールもくれないし、誘うのも計画するのもいつも私。たまには彼からの提案も味わいたい……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室22】


✳️今週のお悩み✳️
付き合って5年目の彼がいます。 1ヶ月に1~2回デートをしています。 会えば楽しく過ごしていますが、誘うのもいつも私。計画するのも私。彼から というのが一切ないです(;´∀`) 普段 メールも電話もほとんどしてくれません(;_;) もぅ5年もこんな感じだし、会ってる時は楽しいので諦めてはいますが、たまには彼からの提案というのも味わってみたいです(^^)♡ 何かいい方法はありますか?
(らん・広島県)


宇多丸:
あの…、この「誘うのも計画するのも彼からというのが一切ない」件、僕も20代前半の頃とかは、当時の彼女によく怒られてた気がしますね。放っておくと何もしてくれないって。だって面倒くさくて…。

こばなみ:
ただただ、面倒くさいだけなんですか?

宇多丸:
うん、面倒くさいだけ。で、「つまんない男ね!」とか言われていたかも。

こばなみ:
今は変わりました?

宇多丸:
うん、まぁ、食事に連れていったり、奥さんも興味ありそうなところだったら誘って行ったりとか、一応してますよ。
これ、カレもらんさんに段取りを組んでもらうのにすっかり慣れきっちゃってるんだよね。甘えてるというか。
それに、こういう提案とか仕切りとかが得意じゃない人もいるからなぁ。

二人はこの先、同棲とか結婚とかするんでしょうかね?
そうするとカレ、ますます受動的になっていくことは間違いないよね。

こばなみ:
あと、らんさんが仕切り屋っていう説もありますけどね。

宇多丸:
誘うったって、どうせキミは、ハナから自分が行きたいところしか行く気ないでしょ!って思われてる可能性もあるよね。連れてったら連れてったで、文句を言われたり。

たとえばさ、「今日なに食べにいこうか?」とか一応相談している風なんだけど、カレの意見をことごとく否定したこととかありません? それって要するに、キミのなかでは最初からどこに行きたいかは決まってるんでしょ!ってパターンとか。

こばなみ:
あるあるある。

宇多丸:
僕も奥さんに、「絶対あなたは“本当に行きたいところ”は決まってるんだからさ、キミが決めてよ!」って、よく言ってますけどね。
ただ、そうすると「それを会話から探り出してほしいのよ!」とも言われるんで、延々と「寿司では……、ない? 肉では……、ない?」なんてやってますけども。

こばなみ:
うちの父はこのカレのタイプかも。基本的には何も提案しないし、文句も言わないですね。◯◯◯行こうよ!なんて決めたところを見たことがない。すべて母が仕切るので、その結果、家庭では権力なし。偉い順に並べると、母、弟、私、父の順ですね。

宇多丸:
結婚したら、カレはまさにそういうお父さんになっていくんだろうね。
でもね、じゃあ逆に、すべてを仕切りたがる、昔ながらの父権的な「強さ」を志向してるようなカレなら良かったのか?という問題もあるじゃない。
そうじゃなくて、ぼわ~んと指示に従って置物のようにそこにいる、主張もしないけどジャマでもない、そういう男の人の良さっていうのも、やっぱ確実にあるんじゃないかな。

こばなみ:
それはそう思います。家庭を仕切ったりというわかりやすい強さはないけれども、いつもニヤニヤしていて、優しいとか。
私はお父さんが厳しいとか怖いとか、そういう印象が皆無な家庭環境で育ってきたので、逆に仕切り屋で「これ食うぞ、ついてこい!」みたいな強めの男の人とか、けっこうビビリますね。
ただ、母はいつもイライラしてる。意見がないとかハッキリしないとか。でもいざ、父が少し意見をすると、それはそれで気に入らないみたいですぐ却下するので、結局はもう母が最初から決めればいいじゃんって話になる。

宇多丸:
ひょっとしたら、らんさんも、そういう相手の出ばなをくじくようなことを、付き合った当初にしてしまっていたのかもしれないよね。
たとえばさ、付き合いたての頃に、「ジャン=クロード・ヴァン・ダムの最新作やってるから行こうよ!」とか、彼としてはノリノリで提案したのに、「(それはないっしょ的な発音で)え~!! それよりアタシ、IKEA行きたいんだけど!」的なやりとり、ありませんでしたか?

もちろん、ヴァン・ダムの映画に彼女を誘うほうが普通は間違ってるわけだけど、別にそれでフテ腐れたわけじゃなく、むしろ「学習」した結果として、「だったらデートではキミの行きたいところに行こうよ」ってスタンスになっていったのかもしれない。

こばなみ:
らんさんが決めたほうがお互い幸せなんじゃないかと、よかれと思って黙っている可能性もありますよね。

宇多丸:
ただその、メールも電話もほとんどしないっていうのはなぁ。ちょっと受動性の度が過ぎてるかもしれないですね。
こういうカレは、もし仮にらんさん側からずっと連絡してこなかったら、どうするんですかね。
まさかそのままスルーッと付き合いが途切れちゃうとか?

こばなみ:
いや~、そしたらそしたで、ちょろっと連絡は来るんじゃないですか。仲が悪いとか興味がないとかではなさそうだし。

宇多丸:
でもね、俺も特に電話での会話は、なんかめんどくせーっていうのはありますね。悪意とかではまったくないんだけど……だって、用もないのに電話って! それも、わりとすぐ会える間柄なのに、とかはホント理解に苦しむんですよ。だったらさっさと直接会って話す段取りでもつけたほうがマシじゃない?

あっ、でもひょっとして、その「用もないのに…」って気分こそ、女の人側からすると理解し難かったりするのかな。
俺は電話に出た途端、「で、用件は?」って感じですからね。

こばなみ:
元気? いま何してる?とかはないんですね。

宇多丸:
たぶん俺が、「いや、何もしてなかったよ〜」ってふんわり言えるような時間の使い方をしてないから、何かしら「ジャマされた」的な気持ちがどこか入ってきちゃうのかもしれない。
でも電話って、間違いなくそういうある種の「ぶしつけさ」を含んでいる通信手段なのも確かだと思うけどね。

だから、メールはまだ、こっちの都合がいいときに返信できるから、全然気にならないんですよ。
いま電話するとしても、たとえば奥さんに「いまスーパーの前にいるけど、何か買ってくものある?」とか、
やっぱはっきりした用件がある場合に限られますよね。

母親から来た電話とか、俺、「はいはいはい、あー、はいはい、はーいはいはい、はいどーも、はいどーも」的な、ものすごくせかせかした受け答えしてるらしいですよ。だって、面倒くさいんだもん!

こばなみ:
えー、やだ! 怖い〜!! 奥さんはなんて言ってるんですか?

宇多丸:
よくないよ!って怒られてますけども。でもね、ホントに悪気はないんですよ。面倒くさいだけ!
本題に戻ると、とにかく、らんさんはカレからの提案を味わってみたいんだって話でもあると思うから、たとえば、らんさんの誕生日のタイミングとかで、「あなたの計画したコースで今年はもてなしてほしい」って、一度カレにはっきりお願いしてみたらどうかな?
さすがにそこまで言われれば、よっぽど性格悪い人じゃない限り、なんとか考えてくれますよ。

そこでポイントは、
「あなたが、そうやって不慣れなことを私のためにやってくれること自体が、うれしい」
という気持ちをちゃんと伝えること。

らんさんはカレに、別に石田純一みたくなってほしいわけじゃないでしょ?
花束も買い慣れてる、女の人を喜ばせ慣れてる、みたいなさ。
そうじゃなくて、普段は絶対花なんか買わないような不器用なカレが、恐らくはちょっと照れながら、店員さんにおずおず聞いたりして、頑張って選んできてくれた花だからこそうれしいって、そういうことでしょ?
私はあくまでそういう「気持ち」が欲しいんだ、というのをちゃんと伝えれば、カレ側が感じているであろうハードルも、だいぶ下がるんじゃないかな。

こばなみ:
だったらそこで、どんな花であろうと文句は言っちゃダメですね。

宇多丸:
そう! なかにはやっぱり心ない女子もいて、「え~? この季節にこの花~?」なんて言っちゃうんですよ。せっかくこっちが選んだのに、趣味に合わないとか。
俺も本当に女の人が喜ぶプレゼント、わかんないんだよね。女の人のプレゼントは女の人に聞いた方がいい。

こばなみ:
絶対そうだと思います。

宇多丸:
とにかく、とりあえず誕生日とかクリスマスのタイミングでカレに提案をしてみましょう。
そして、そこでカレが提示してきたものが、いくらギクシャクしてたり、あなたの趣味とは合わなかったりしても、絶対に頭ごなしに否定しないこと。

こばなみ:
難しいと思いますが、ぐっとこらえて!


結論:
男女において電話やメールに対するテンションの違いは確かにある(悪気なし)。
それは置いといて、まずは今年のクリスマス、
プレゼントではなく「カレの仕切り」をおねだりしてみよう。


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2013年11月30日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
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詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。


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