ヘアケア商品を勝手に使う兄。こんなことで悩む私はケチ?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室26】
✳️今週のお悩み✳️
私は兄と二人暮らしをしています。私は、美容マニアで、スキンケア商品に結構な金額をかけています。最近、洗顔、ヘアケア商品がなくなるペースが早いなと思ったり、あれ?こんなとこに置いたっけってことが増えていて。兄が勝手に使ってるみたいなんです。勝手に使った?という言葉がどうしても言えなくて。証拠もないですし。けど、勝手に使われるのは何だか嫌というか。これからも黙って使い続けられるって考えたらとても悲しくなります。こんな悩みを持った私ってケチなんでしょうか。今後どうしていくべきかとても悩んでいます。ちなみに、このこと以外で兄に不満はなく、仲良くやっています。
(こじやま・25歳)
宇多丸:
あ、きた! 同居問題。
これはまず、こじやまさんにとって洗顔やヘアケア商品というのがどれほど大事なものなのか、そもそもお兄さんがよくわかってない、というのが根本にあるかもしれない。
僕もそういうとこちょっとあるからわかるけど、こっちにしてみれば、そういうスキンケア商品とかって、他の個人的な趣味グッズと違って、洗面台とかお風呂場とか、共有空間に置いてあるわけじゃん? だから、何も言われなきゃそりゃ使っちゃうよ!っていう。
そんなに大事なもんなんだってことが、そもそもよくわかってないんですよ。
ちゃんと説明されればこっちだってわかるんだけどね。
女の人がスキンケア商品とか物色してるのを見ると、「同じようなのいっぱい持ってるのに、また新しいの買うの?」とかついつい思っちゃうけど、要するにそれは、例えば僕にとってのエアガンみたいなものなんだと。
知らない人にはきっとどれも同じに見えるであろう、同系統の銃をすでに何丁も持っているんだけど、しばらくするとやっぱりまた、新しいのが欲しくなっちゃう、みたいな。
あるいはビデオ収集とか、フィギュア集めとか、なんでもいいんだけど、とにかくそういう、こっちにも理解できる趣味と同じようなものなんだ、と言われれば、なるほどそれは確かに侵しちゃならん領域だな、とあっさり納得もできるわけですよ。
お兄さんも悪気は決してないはずだから、まずはそのへんを改めてちゃんと説明してはどうでしょうか。
こばなみ:
で、実際、共有していくのか、別のを買うのか?ってところですよね。
宇多丸:
この際、お兄ちゃんが使うヘアケアやスキンケア商品を選んであげて、プレゼントしてあげるのはどうですか?
コレは、俺の!という線引きが明白であれば、お兄ちゃんもそれだけを使うようになるんじゃないかな。
ネコにおしっこさせるポイントを覚えさせるようなものです。
しつけの類だと思ってください。
こばなみ:
思い出した! わたしもシャンプーやコンディショナーにはけっこうこだわってまぁまぁ高いのを使っているのですけど、泊まりにきた友達がそのコンディショナーを全容量の1/3くらいブシャーッて出して使ってて、すごい頭にきました! 「あ、私、ケチなのか」と思って最初は言わなかったけど、次の日もブシャーッってしたから思わず、怒ってしまって…。
で、次に泊まりにきた時は、特売かなんかでラックスのシャンプーとコンディショナーのボトルを買っておいて、コレ使ってって渡しました。またブシャーって自分のでやられるのが本当に嫌だったので…。
宇多丸:
そしたら居候はラックス使ってたでしょ?
こばなみ:
ブシャーって使ってました。
宇多丸:
ブシャーって使う人はね、高いものもラックスも見分けがつかないんですよ。なんでも同じだと思ってるから、ブシャーなわけでしょ。
ただ、ブシャー側の言い分からすると、「だって使っちゃダメとか書いてないで共有スペースに置いてあるんだもん! そら使うだろう!!」っていうのもあるわけですよ。
消耗品っていうのは、どうしてもそういう誤解をされやすい。
だからちゃんと言えばいいんだよ。で、違うモノをあたえれば喜んで使うんだから。特売品でいいんだよ!
こばなみ:
でも、ケチかなと思っちゃってなかなか言えない気持ちもわかる…。
宇多丸:
ケチもなにも、ブシャーは値段もなにもわかってないんだから!
だったらさ、最初に高いほうのシャンプーは「ワンプッシュ◯◯◯円だから」とか警告しておけばいいんじゃない?
とにかく、本当に気づいてないんだってば、プシャー派はさ!
こばなみ:
承知しました!
宇多丸:
これさ、よく異性問題でもありがちだけど、「いきなり怒られても、そもそもこっちは何で怒られてるかわかってない」ってのはあるよね。
何で怒られてるかわかってない人に怒っても仕方ないんだよ。
悪気は本当にないの!
だから、「自分のルールがみんなのルール」だと思っちゃダメだよね。まずは怒らずに話してみないと。とくに同居とかする人は本当にコレ大事。
こばなみ:
以前の相談の「汚部屋問題」でも、それありましたね。
宇多丸:
たとえさ、こっちが正しいルールだと思ってても、キレイ好きの人にとってのキレイと、そうじゃない人にとってのキレイのルールはそれぞれ違うんだから。擦り合わせもしてないのに、怒っちゃダメってことだよね。
今回なんて、家族でさえ、ルールが違うわけだから。他者と暮らしているんだってことを忘れないで!
結論:
消耗品は大事なものだと理解されにくいので、怒らずきちんと説明を。
いっそこの際、お兄ちゃん用の商品をプレゼントするのもあり。
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2014年1月11日に公開したものを再編集し、掲載しています。