将来田舎暮らしをするのが夢ですが、同棲中の彼を説得できる自信がないので踏ん切れない……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室318】
✳️今週のお悩み✳️
私には将来田舎暮らしをするという夢があります。地元から上京して東京で暮らして28年、東京の生活にも慣れたのですが、楽しいことはたくさんあるものの、人の多さや忙しくピリピリとした毎日を送るのに、そろそろ疲れてきてしまいました。地元はそれなりの都会なので、地元に戻るというよりも、いわゆる田舎での暮らしがしたいという欲求が強まっています。ひとりで移住フェアに行ったり、候補地に一週間かけて見に行ったり、積極的にリサーチした時期もありましたが、結局一体どのタイミングで切り替えていいのかが決められず、気がついたら4年が過ぎて行きました。私には同棲中の彼がいるのですが、彼が私より10歳若いこともあり、都会から離れることは当分考えられないと言っていて、私自身も、彼の人生も変わってしまうようなことなので、説得できる自信もないので、それが1番大きな踏ん切れない原因です。自分の夢を、パートナーに共有して供にしてもらう、というのはハードルが高過ぎて……。何から始まればいいのか、お知恵をお借りしたい次第です。よろしくお願いします。
(にゃおラー・46歳・会社員・東京都)
宇多丸:
にゃおラーさんにとって、田舎暮らしというのが、人生計画のなかでもホントに本気でプライオリティ高めのほうに位置していて、いまのお相手とはそこのビジョンが少なくともすぐには共有できなさそう、だけどそれが理由で別れたくもない、ということならば……、とりあえず「遠距離パートナー」シフトで行ってみりゃいいんじゃない?
こばなみ:
それこそ今後どんどんリモートでなにかするっていうのが普通になっていくだろうから、コミュニケーションもいけるのでは。
宇多丸:
そうそう、リモートパートナー。時流に乗ってるねー!(笑)
しかし実際、地元でもない田舎で新たに暮らし始めるのって、なかなか大変だったりうまく行かなかったりすることもあるって聞きますしね。
にゃおラーさんもそのことは百も承知でおっしゃってるんでしょうが。
だとしたらなおさら、そこに対する覚悟やモチベーションが現状あんまりない人をいきなり巻き込むのは、やはりよろしくないですよね。
まずそもそも、にゃおラーさん自身が田舎暮らしをまだしたことがない段階で、他の人なんか説得しようがないんだよね。
自分だってどうなるかわからない、言わば賭けをしようとしているわけだから。
こばなみ:
自分でもまだいいか悪いか、わかんないわけですよね?
まだ、確実なものがなにもない状態ってことですもんね。
宇多丸:
なので差し当たっては、彼とはダメになるかもしれないリスクを背負いながらにはなるけども、やはりそれが本当に人生でやりたいことだって思うならば、まずはやってみちゃえば?というのが僕の意見。
で、実際に田舎暮らしはいいぞォ~、楽しいぞォ~っていうところまで持ってってから、改めて彼を誘えばいいんじゃない?
それまでは、週末とかには遊びに来てよ、私もそっちにちょいちょい行くからさ、ってくらいのスタンスでいく。
こばなみ:
まずはそれがいいと思う。0か1かじゃなくていいと思います!
宇多丸:
そのうち、やっぱこっちだね、的な結論が見えてくるかもしれないし。
あるいはその田舎で、『WOOD JOB!』の伊藤英明ばりの野生的な男を見つけて夢中になっちゃったりして(笑)。
ま、このケースに限らず、パートナーったって、時間が経てばお互いの人生のビジョンが違ってきちゃうこともあり得るし、そこですり合わせができるのかどうかみたいなことは、どこのパートナーシップにも程度の差こそあれいずれは起こることですから。
こばなみ:
宇多丸さんだったらどうします?
宇多丸:
僕自身は、地元東京以外では生きてけない、ツブしのきかない男なので(笑)、もしパートナーがそういうことをどうしてもしたいって言い出したら、やっぱじゃあ遠距離でやってこうよ、ってことにするかなー。
悪くないんじゃない? 週末は別荘に行く感覚で行き来するのも。
こばなみ:
仕事にもよるかもですね。リモートでできるものもあるし。にゃおラーさんはどうするんだろう?
自給自足とか、起業するとかも考えているんですかね?
宇多丸:
いきなり食えるレベルで農業とかやるのも明らかに難しいんじゃないか、という気がしますが……。
こばなみ:
よく食べ物はもらえるって聞きますけどねぇ。
移住フェアとかに行ってるのなら、ウェルカムモードの地域に行くのかな。
宇多丸:
たしかに、そういう意味では移住しやすい環境がそれなりに整ってるところをしっかり選んではいらっしゃるんでしょうしね。
まぁとにかく、まずは自分自身が「やっぱ田舎暮らし、いいじゃん!」と本気で実感できるレベルまで持っていってからじゃないと、現時点であまり乗り気じゃない人を巻き込むのは危ないし難しいし、という感じですよね。
逆に、そこまで行きゃあ彼だって、「意外とアリ、か?」となってくる可能性も高まるわけだし。
すっかり土地に慣れた状態であちこち案内してあげたり、人に紹介したりすれば、安心度も違うでしょうから。
ま、それも彼のなかの都市生活優先度がどの程度なのかにもよるわけだけど……。
移住そのものがいい悪いではなく、向き/不向きもあるし、いい土地や人に当たるかどうかの運/不運もあるし。
こばなみ:
やってみないとわからないですもんね。私は免許がないから諦めてますけども……。
宇多丸:
僕もー。
ただ、たとえばその車の運転も、都市の密度やスピードとはまたまったく話が違うんでしょうから、もっとぜんぜんハードルは低くなるのかもだけど。
あとはまぁ、ネット環境さえ整ってればいいか、みたいな部分もいまは確実にあるだろうし。
ちなみに、医療に関しては、地方によっては東京よりずっと充実してたりするところも多いそうですよ。
東京は何しろ、人に対して病床数やマンパワーが圧倒的に少ないって、知人の医師が実際に言ってました。
まぁ、もちろん今となっては、なんにせよしばらくは、引っ越しなんかはお預けでしょうからね。
少なくとも、人口密度が低めなところに住む利点というのが改めて浮上してきた時期なのは間違いないわけだから、彼ともう一度話し合うにはいいタイミングなのかもしれないよ。
ちなみに僕の場合は、免許がないのに加えて、虫が超嫌いなので……、やっぱマジ無理。
こばなみ:
虫が理由!? それはビックリ!
ということで、にゃおラーさん、とにかく夢があるってのはいいなって思います! 状況次第ですけど、落ち着いたころに行動できるよう、応援しています。ファイトー!!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2020年4月18日に公開したものを再編集し、掲載しています。