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膀胱炎は働き盛りの女性に多い!? よくある泌尿器トラブルと予防法

女性が通いやすい泌尿器科を開設した佐藤亜耶さんに教えてもらいました。

アラフォー・アラフィフともなると、忙しさや更年期、ストレスなどでその時期特有の悩みやトラブルが出てくるもの。その中でも、なかなかまわりに相談しづらいのが、尿もれや頻尿などの悩み。受診のタイミングも難しいし、どの科にかかったらよいかも迷ってしまいますよね。

そこで今回は、女性が通いやすい泌尿器科を開設した、「自由が丘ウロケアクリニック」の院長である佐藤亜耶さんに、アラフォー女子が悩みやすい泌尿器トラブルについてお聞きしました。

(テキスト:女子部JAPAN編集部・アリ/イラストレーション:オギリマ サホ)

自由が丘ウロケアクリニック 院長
佐藤亜耶さん

日本大学医学部卒業後、研修医を経て同大学泌尿器科に入局。
その後、関連病院でさまざまな診療経験を積み、小児科の知識と経験を活かした小児泌尿器科の診療も行う。
女性と子どもに特化した、自由が丘ウロケアクリニックを2019年に開院。

デリケートゾーンの悩みは、
どこに相談すべきかわからない!?

アラフォー世代になると、ホルモンの減少や体の変化にともなって、デリケートゾーンにもさまざまなトラブルが出てくるそう。佐藤先生によると、クリニックに訪れる患者さんの声で一番多く聞かれる悩みは、頻尿や尿もれだといいます。

とくに尿もれは、30代後半から悩んでいる人も多いトラブルだとか。出産の影響を受けて産後の時期に起きる場合もあれば、出産経験がなくても女性ホルモンの低下によって筋肉量が減ることで起きる場合もあるそう。

また、アラフォー世代以降は、デリケートゾーンの乾燥やかゆみ、膀胱炎、骨盤臓器脱(骨盤の中におさまっている子宮や膀胱、直腸などの臓器がだんだん下がり、膣から出てきてしまう病気のこと)などの悩みも多くなってくる時期だと言います。
このような症状が出た時に、みなさんはどの科に相談すればよいか迷ってしまうことはありませんか?

<ここがポイント!>

佐藤先生:
「デリケートゾーンの悩みが出たときに、なんとなく症状や不快感はあるけど、実際にどこが悪いのかがわからない……という人が多いんです。また、相談や受診をするなら、婦人科がいいのか、泌尿器科なのか、皮膚科なのか、どこに行けばいいかわからないという声もよく聞かれますね。

基本的には、頻尿や尿もれ、膀胱炎など“おしっこ”に関する悩みであれば、泌尿器科へ。膣のトラブルであれば婦人科にいくのが良いでしょう。実際に治療が必要になった場合は、スムーズに受けられるからです」

とはいえ、泌尿器科は男性がかかる科というイメージが強いのが現状。女性の泌尿器にまつわるトラブルは年齢とともに増えていくのに、男性の患者さんに混じって泌尿器科を受診するのに抵抗がある……という声が非常に多いようです。

そこで佐藤先生は、「女性が気軽に相談でき、通いやすい泌尿器科が必要だ」という思いから、女性と子どもに特化した泌尿器クリニック『ウロケアクリニック』を立ち上げました。外観も病院らしくなく、スタッフも全員女性のみ。気軽に受診してもらえる雰囲気づくりにもこだわっています。

ちなみに、ウロケアクリニック の“ウロ”とは、泌尿器科という意味の“ウロロジー”からきているとか。誰にでも抵抗なく通えるクリニックを目指すために、クリニック名にもこだわったそうです。


骨盤底筋を鍛えることで、
尿もれの予防と改善ができる!

尿もれは、50〜60代以降のシニア世代に多いトラブルというイメージを持っている人も多いかもしれませんが、実は30代後半から注意すべきだと佐藤先生は言います。

✅尿もれのサインチェックシート

□くしゃみや咳をした弾みにもれてしまう 
□知らぬ間にもれてしまう
□ジャンプや縄跳びでもれてしまう    
□トイレまで我慢できずにもれてしまう

このように、ちょっとした弾みに尿もれしてしまうような軽めの症状であれば、骨盤底筋を鍛える体操をするだけで、症状はしっかり改善できるそう。また、この体操は予防にもつながるので、まだ症状が出ていなくても習慣づけておくことがとても大切です。

<ここがポイント!>

佐藤先生:
「骨盤底筋体操を行うことで、尿もれの改善や予防ができるだけでなく、骨盤の中の血流もよくなります。そうすると、デリケートゾーンのさまざまなトラブルも自然と減ってくるんです。

また、骨盤底筋体操は骨盤臓器脱の予防にも効果があります。骨盤の中には尿道や膣、子宮、肛門などの臓器が全部入っています。それらの臓器を支えている骨盤が緩んでしまうと、将来的に臓器脱などのトラブルにつながります。
なかには、排便のトラブルに悩んでいるケースもありますね」

このような症状が今はなくても、将来悩まないように備えておくことも大切。若い頃は自然治癒力が高いので、尿もれの症状が出ても一時的なもので治ってしまうこともあります。
しかし、一度ダメージを受けてしまうと、加齢とともに症状が出てくることも多いよう。そうならないためにも、若い頃からしっかりと骨盤底筋は鍛えておくことが大切だそうです。

また、尿もれは妊娠や出産が大きな要因のひとつではありますが、出産経験がない人でも、同じように注意が必要。年齢を重ねて、女性ホルモンの減少で筋肉量が減ったり、体重が増えたりすることで、尿もれの症状が出てくることもあります。
出産経験の有無に関わらず、すべての女性は、早いうちから骨盤底筋体操でしっかり骨盤底筋を鍛えておきましょう。

一方、頻尿で悩んでいる人や頻尿の予防に関しても骨盤底筋体操は効果的ですが、今すぐできるのが膀胱訓練だそうです。

<ここがポイント!>

佐藤先生:
「頻尿に関しては、おしっこ間隔のトレーニングをする“膀胱訓練”をすることをおすすめしています。膀胱が過敏になってしまう“過活動膀胱”の場合は治療が必要ですが、そこまで程度がひどくない場合は、2〜3時間おしっこに行くのを我慢するトレーニングが有効です。

おしっこにちょっと行きたいと思ってすぐ行ってしまうと、実はどんどん頻尿になってしまうんです。リモートワークで家にいる時間が多いのであれば、膀胱訓練をするチャンスです!」


疲れやストレスを溜めないのが、
膀胱炎にならないための鉄則!

アラフォー世代は、仕事や育児で忙しいなど、何かとハードワークが多い時期。佐藤先生によると、忙しい日々の中で疲労が溜まったり、ストレスを抱えたりしてしまうと、膀胱炎になる人が非常に多いと言います。それは、自律神経の乱れが、免疫力の低下に影響するからです。

<ここがポイント!>

佐藤先生:
「女性は尿道が短いので、菌が膀胱に入り込んでしまいやすいんです。免疫力があれば、それに抵抗できるのですが、免疫力が低下していると膀胱炎になってしまいます。膀胱炎は尿路感染症なので、抗生物質を飲んで治療をしないと、繰り返してしまうことが多いです」

✅膀胱炎の受診の目安

□夜中に何度もおしっこに行く(頻尿) 
□下腹部がムズムズしたり不快感がある
□おしっこをしても残尿感がある    
□おしっこをするときに痛みや血尿がある

上記のような症状があったら、すぐに泌尿器科か婦人科へかかりましょう。

<ここがポイント!>

佐藤先生:
「膀胱炎は病院に行けば比較的早く治りますが、なかなか忙しくて病院にかかれない人もいますよね。市販薬を使って自力で治そうという人もいますが、漢方が主成分の市販薬では、根本的に菌を消すのが難しいんです。クリニックでは、抗生物質をしっかり飲んでもらい、もう一度受診をしておしっこに菌がいないかを確認してから薬をやめてもらいます」

気圧の変化や季節の変わり目などの影響でも、膀胱炎になる人が多いそう。また、最近のコロナ下でのストレスや、リモートワークで体を動かさないなどの影響で、膀胱炎になる人も増えているとか。

なるべくストレスを溜めず、軽いストレッチなどで体を動かすように心がけましょう。また、水分をしっかり摂り、体が冷えないようにすることも大切です。

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泌尿器系のトラブルの中でも、尿もれや頻尿などは、アラフォー世代になると症状が出はじめている人も増えてくるそうです。
膀胱炎などは、働き盛りの忙しい世代にとっては身近な病気。できるだけ泌尿器科にかからないためにも、日常生活でできることを実践してみましょう。

疲れやストレスを溜めすぎない、体を冷やさない、規則正しい食生活や睡眠を取るなどで、免疫力を高めておくのも大事ですね。
また、骨盤底筋体操や膀胱訓練を習慣づけることで、尿もれや頻尿、骨盤臓器脱の予防にもつながります。

「あの時やっておけばよかった!」と後悔するのではなく、今からできることをやって備えておきましょう!

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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2021年9月13日に公開したものを再編集しています。


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