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最近、髪の毛を洗うのをサボっています。日常生活のサボりが定番化しないよう、自分を律するにはどうしたらいいですか?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室383】


✳️今週のお悩み✳️
小さな悩みなようで大きな悩みかもしれないので、恥を忍んで応募させていただきました。ここのところ寒くなっており乾かすのも面倒くさいので、実は髪の毛を洗うのをサボっていることがあります。2日に1度くらい洗います。リモートワークも多いので、ひとりだしいいやと、もう少しサボってしまうこともあります。それ自体はそこまで問題ない(!?)気もするのですが、日常生活のサボりが定番化していくと、いくところまでいってしまうのでは?という心配もあります。でも面倒くささが勝ってしまうこともあるわけで……。変なご相談で申し訳ありません。自分を律するにはどうしたらいいでしょうか。
(モーモー・38歳・会社員・東京都)


宇多丸:
まずモーモーさんに言いたいのは、日本女性が毎日髪を洗うようになったのは、歴史的に見れば、はっきり言ってぜんぜんここ最近のことです!

昔のシャンプーのCMとか見るとわかりますけど、少なくとも1980年代半ばくらいまでは、毎日洗う人というのはかなりの少数派だったと思いますよ。

「朝シャン」が1987年の流行語大賞になってるということは、逆に言えばそれまではそんな習慣は浸透していなかった、ってことでもあるわけだから。

実際、体質によって違うだろうけど、やたらと洗うのが髪や頭皮に必ずしもいいとも限らないだろうしね。

だから、2日に1度で特に不快でもないんだったら、別にいいんじゃね? てか、それってホントにただの普通じゃね?という気もしますけど。

こばなみ:
友達にも2日に1度洗っていて美髪の人、いましたよ~!

宇多丸:
ただ相談は、そこまではいいとして、ってことなんだよね。

この調子でどんどんだらしなくなってしまうかも、と。

こばなみ:
一線越えちゃったらどうしようってことですよね。

宇多丸:
ちなみにモーモーさんは、おうちはきれいにしてますか?

生活を整えるなら、やっぱりまずは住環境から始める以外にないですよ。

実は僕も最近、まぁまぁ劇的に持ち物を整理しまして。

そうやっていったん、かなり片付いているところまでがんばって持って行ってみると、以前の、いろんなもんがぐしゃぐしゃと放り出されたまんま、みたいな状態が、マジでありえないものに思えてくるというか、二度とアレには戻るまいという気持ちに、わりと本気でなるわけですよ、やっぱり。

こばなみ:
コックピットみたいなときとかですか?

宇多丸:
いや、あそこまではさすがに近年は行ってなかったですけど。

それでもやっぱ、引っ越しして10年以上とか経つと気がゆるんできちゃうのか、結局は相当な量の本や洋服が、きちんと収納具とかに入れられないまま、あちこちに積まれて堆積しちゃってはいましたよね、恥ずかしながら。

もちろんいくら減らしたとて、その後も本とかは、当然のように絶え間なく増え続けはするんだけど……、ただ、ひとつの基準として、今はうち、ルンバがいるからさ(笑)。

ルンバちゃんの邪魔になるから、床にモノを置きっぱにしたり積み上げだりは決してしないぞ、という心がまえに、自然になるわけですよ。

こばなみ:
うち、ルンバが掃除できない状況……(恥)。

宇多丸:
じゃあまずは、ルンバの通り道をしっかり確保する、というのを、さしあたっての目標にしてみれば?

ルンバ、コキュコキュ動いてるの見るとすごく不憫になるし(笑)、こっちもできるだけスペースを空けるとかして、力になってあげたくなるんですよね。

なんにせよ、もう前みたいな状態には絶対に戻すまい!とは心底思ってますよ。今のところ、ですけどね。

こばなみ:
宇多丸さんは完全にそっち側の人になったってことですよね。少しさびしい……。

宇多丸:
ただ、実は最大の問題は、どうそこまで持ってくかじゃなくて、「いかにその水準を維持するか」って部分なんですよね。

ただ表面的にきれいにしましたというだけじゃなく、今どきっぽい表現をするなら「持続可能なシステム」として、家を常に一定の整頓度に保つ生活習慣を構築しないと、意味がない。

つまり、暮らしのサイクル全体の話に、どうしたってなってくるんですよ。

こういう言い方すると、すごくストイックにやってゆかなきゃならない、みたいに聞こえちゃうかもしれないけど、そんなことはなくて……、というか、ストイックすぎると逆にダメなんですよ。

要は、ちょっとでもツラいと感じるようだと、長続きしないから。

むしろ、いったん「自分にちょうどいい」サイクルができてしまえば、あとはそのままそれを回していけばいいだけだから、そこからは意外と楽にもなるんですよ。

なんだかんだ言ってやっぱ、家の中が自分にとって心地よくなってると、それ自体がモチベーションにもなるし……。

だからたぶん、そこがポイントなのかもですね。

少しでも多く幸せを感じながら生きてゆくために、みなさんも、「自分が“快”と感じるセッティング」を日ごろからもっとはっきり意識化しておきましょうよ、というようなことはこの連載でも常に言っていることですけど、生活態度に関しても同じくで。

歯を食いしばって完璧を目指したりするんじゃなくて、「自分が“快”と感じる」範囲を見定めて、キープできてればいいわけでしょう。

モーモーさんはサボりぐせがついてしまうと歯止めが効かなくなるかもしれない、というのを心配されているけども、多少サボってもご自分の“快”ゾーンにギリ収まってりゃ問題ないんだし、そこであんまり「やっちまった~!」みたいにならないほうが、持続性のためにはむしろいいんですよ。

こばなみ:
1か0か、みたいに考えないほうがいいってことですよね。

宇多丸:
そうそう。

だから、「自分を律する」って考え方自体、あんまり良くないかもしれないですよね。

もっとこう、長距離走の構えであるべきというか……。

「一部の隙もない完璧」を保つのを目指すんじゃなくて、たまにはちょっとサボっちゃったり、少しだけバランスが崩れてしまったりするときもある、ということも想定のうちに入れた、言ってみれば「バッファー」込みのサイクルをこそ、構築するべきなんですよね。

これは、あらゆるシステム作りに共通することかもしれない。

たとえば僕の場合、中古買取屋さんのダンボールをいつも一個だけ余計に、資料部屋の隅に用意してあって。

本やDVDやゲームソフトが棚に入りきらなくなったら、その度に、失礼ながらレギュラーとしては残れなそうなものをなんとなくでいいから選り分けて、そこに順次プールしてゆく。

で、いっばいになったらフタをして、引き取ってもらう……、そういうサイクルで今はやるようにしてるんです。

つまり、収納具に入るぶん以外に、ダンボール一個分のバッファーを常に残している、ということですね。

そんな感じで、とにかく無理なく自分の“快”がキープできるラインを見定めるのが、まずは大事なんじゃないですかね

あと、モーモーさんが一人暮らしなのかはわからないけど、やっぱり「他者」の目線を意識しないで済む状態が続くと、部屋とかは汚くなりがちですよね。

同居人とかがいれば、最低限そことの間で守るべきルールとかマナーがどうしたって生じてくるから、そこまで行きすぎたことには、まずならないんじゃないかと思うけど……。

仮に一人暮らしだったとしたら、定期的に人を招く習慣をつければいいんじゃない? 

不潔がられるなんて論外、なんならイケてる風に見られたい、と思うのがやはり人情だろうからさ。

それがすごく強いモチベーションになるんじゃないかと思いますけど。

もちろん、コロナ禍でそれも憚られる、というのもあるだろうけど、だったらやっぱし、少なくとも今は多少だらしなくても問題ないじゃん、ということじゃない?

こばなみ:
ちなみに私は人が家に来るタイミングで片付けるのですが、人がこない部屋にすべてを押し込めるという、引き出しでもデスクトップのフォルダでもそうですけど、とにかくどっかにぶっ込んじゃえっていうことで、根本的な片付けができないのです。

宇多丸:
「見ないことにしている」空間を作っちゃうわけだよね。気持ちはもちろんわかるよ。

そんなのは精神衛生上、とっとと片付けちゃったほうがどんだけ楽になるか、ってことではあるんだけど……、でもまぁ、さしあたって「整って見える」空間を家の一角にでも作れるなら、まだマシなほうではあるんじゃない?

あとは、少しずつその「整って見える」ゾーンを広げてゆく、みたいなことをしてゆけばいいんじゃないかな。

ちなみにさっき言ったルンバのために道を空けてあげる作戦も、要は「ルンバという他者」の存在を意識する、という話ではあるよね(笑)。

こばなみ:
でも、ルンバが入れないようにする赤外線のブロックを、多めにつくっちゃうとダメじゃないですか?

うちがそうなんですけども、赤外線でルンバが来れないエリアに物を積んでおり……。

宇多丸:
そんな機能があるのね。

使ったことないし知らなかった……。

つまり今のこばなみは、家が多少乱雑でも、気持ち悪いってとこまでは行かない、ってことだよね。

こばなみ:
そうなんですけどね……。

宇多丸:
なら、別にいいんじゃない?

自分自身でも実は気に病んでたり、イライラしたりしてたりするのでないのであれば。

でもね、そんな感覚も、意外と簡単に変わりますからね。

僕自身、かつての自分は、本当は心の底でいつも感じていた不快感を、単に「見ないようにして」いただけだったな、と今は思いますもん、やっぱり。

それだけ今の改善された住環境を僕はすっごく“快”と感じているし、失いたくないと思っている、ということでもあるわけですけど。

こばなみ:
すごいですね、そこまで変わるとは!

そのための仕組みを作る、というのはなるほどって思いました。

ダンボールのバッファー作戦はやってみようかなぁ。

宇多丸:
自分なりにコントロールした空間にいる“快”が、面倒くせぇ!に勝った、というか。

逆に、その面倒くせぇ!を優先させた先に待っているであろう“不快”のことも、より明確に意識するようになったから。それは嫌だなぁ、と。

だからホント、禁欲主義じゃなくて、むしろ快楽主義としての、適度の整理整頓なんですよ。ゆえに、無理にがんばったりもしないし。

こばなみ:
基準って本当に簡単に変わるもんなんですね。

自分のこと、片付けができない人間だって諦めてたけど、できないことはないんですねぇ。

宇多丸:
そうだね。

モーモーさんも、ご自分が“快”と感じる「ちょうどいい」ラインを、これから少しずつでも見つけていけばいいんじゃないですかね。

それが結果、やっぱり2日に1度しか髪洗わない、でもまったく無問題!


【今週のお絵描き】

画・宇多丸




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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

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女子部JAPAN こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。


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