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私は30歳、処女です。男性からするとどういうイメージ?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室139】


✳️今週のお悩み✳️
わたしには、周囲の友人にも誰にも言っていない一つのコンプレックスがあります。来月、ついに30歳になりますが、未だに処女です。ある種のヴァージンクイーンになってしまいました。 月に2、3回違う人からデートに誘われたり、自分から誘ったりもするので、特に男性に困っているわけでもないんですが、深い関係に進むのがなんだかとても抵抗がある……というより面倒なのです。それと、デートするとその人のアラが見えてしまい、なんだかそれ以上進めなくなってしまうのです。誰かと深い関係になるのが煩わしくてたまりません。結局ニャンニャンして終わり……みたいな感じで早30年たってしまいました。ただ、女同士で集まると必ずセックスの話にもなるのですが、この歳で処女っていうのに食いつかれるのも面倒で適当にはぐらかしていました。が、最近ははぐらかすのすら面倒になってきました。男性からすると、30過ぎて処女っていうのはどういうイメージなんでしょうか? 「引くわ」と思われそうで怖いです。適当に「結婚するまでしないって決めてた」とか嘘ついた方がいいでしょうか。この際、20代のうちに男を買った方がいいのではとすら思います。はあ……、このままだと40歳の童貞男ならぬ、40歳の処女野郎になってしまいそうです。
(浪漫非行・29歳・神奈川県)


宇多丸:
本筋とは関係ない部分ですけど、「ニャンニャン」って……。
浪漫非行さんはたぶん、イチャイチャする、くらいのニュアンスで使ってるんでしょうけど、80年代を生きた人間の感覚からすると、「ニャンニャンする」は、完全に「セックスする」って意味だよ! 
たとえば『夕焼けニャンニャン』って、まさにそういう時代のタイトルだから。
今は使い方が変わったのかな? なんにせよ、アラフォー以上の人には誤解される恐れがあるかも、ということは一応……。

それはさておき、大前提としてまず言っとくけど、何歳で処女だろうが、好きでそうしてるぶんには、全然いいんじゃないですか?
 世間体的なことを気にして、たいしてやりたくもない、そのわりに面倒も多そうなことにわざわざ体を張るなんて、アホらしいし、絶対むなしくなるからやめといたほうがいいと思いますよ。世間とやらも、それで別に褒めてくれるわけじゃないから!

一応、30過ぎの処女に男はどういう印象を抱くのか?という件にお答えしておくと……、ぶっちゃけ、その人が発散している性的魅力の度合いによって、だいぶ話は変わってくると思いますよ、それはやっぱり。
見るからにモテなそうな人だったら、実態はどうあれ、「したくてもできなかった」んだろうな、と半ば自動的に思っちゃうだろうし……、いやまったく、失礼極まりない話なんだけどさ! 
でも、それはきっと、男女逆にしても同じことじゃない? 冴えないブサイクなおっさんがまだ童貞ですって言っても、なぜ?なんて聞くまでもなく、「ああ、そりゃそうでしょうね」って、みなさんも勝手に納得しちゃうでしょ?

それより微妙な気分になるのは、浪漫非行さんがまさにそういうタイプっぽいけど、異性に困ってるようには見えない、なんならモテそうにさえ見えるような人の場合だよね。
「したくてもできなかった」わけではなさそうなんだから、なんらかの理由でそもそも「したくない」のか、それともあえて「しない」選択をしてるのか……、どうしてもいろいろ邪推しはじめちゃいますよね。
ま、これも男女逆でも同じか。イイ歳したイケメンが女の人とセックスしたことないって言いだしたら、「ゲイなのかしら」とか、やっぱ考えちゃうでしょ。

いや、浪漫非行さんだってマジな話、実は単に、これまでは男性相手だからピンと来なかっただけ、なのかもしれないよ?
 少なくとも、もっと深い関係になりたい!と思えるような相手が、異性だとは限らないよね、誰にとっても……というのは、映画『キャロル』を観て、改めて思ったあたりなんですけども。

こばなみ:
日本でも、区のパートナーシップ証明書の発行などで、LGBTに関して前よりはタブー感も薄れてきた気がしますし、まわりを見渡しても、けっこう 普通に異性愛じゃない人だっていますから、それに対していちいち何か言ってる方が変!という時代にはなってくるんじゃないですか。

宇多丸:
ま、要は異性同性問わずってことだけど、浪漫非行さんが、単にまだ本当にビビーッとくるような人に巡り会えてないだけ、という可能性も、あるはあるよね。
好きーっ!って気持ちより、アラのほうが気になってしまう程度の相手としか付き合ってこなかったっていうかさ。

なので、そこはそれほどめんどくさいってわけじゃないんだったら、これまで通りいろんな人とのデートなりなんなりを重ねて、これぞ!って出会いの確率を上げる活動は、続ける意味もそれなりにあるんじゃないですか。なんなら性別超えて射程を広げてみること含めて。

なんにしても、そんなに好きにもなれないような人と今すぐ無理して付き合うこたぁないのは間違いないし、処女だって、今さら慌てて捨てたところで誰に自慢で きるわけでもないんだから……、さしあたっては、パッと見そんなに恋愛経験がないようにも見えないくらいの感じなんだったら、めんどくさい詮索除けとして、適当にウソついてやりすごしときゃいいんじゃん?って気もするけど。

「長い間ご無沙汰だけど、今はそっちに興味があんまり湧かないだけ」くらい言っとけば、よっぽど図々しいやつじゃない限り、それ以上深追いはしてこないんじゃないかな……って、甘いか?(笑) 想像を絶して無神経な人、ホント多いからな~。

ただ、ウソつくにしても、「結婚するまでしないって決めてた」は最悪の部類だよ! 
処女ってものに一番重たい意味づけしてることになっちゃってるじゃん、それ。三十路で処女ってことより、その理由にそれこそ「引くわ」!

実際、浪漫非行さんは、人の欠点が気になってしまってここまで来てるってことは、いわゆる「理想が高い」タイプなのはたしかなわけじゃん? 
「セックスするほどの相手」に求める基準がかなり高めというか狭めというか……、「ま、このへんで手を打っとくか」的なわりきりができなかったってことでしょ。
つまり、もともと性行為っていうのをちょっと重く捉えがちなところはあるんだよな……。

ちなみに、お付き合いとして「深い関係」になるのが煩わしいだけで、たとえば極度の潔癖性だとかで、性的な接触自体に嫌悪感がある、というわけでもないんだよね? 
浪漫非行さん的に「ニャンニャン」が正確にはどんな行為を指しているのかはわからないけど、ともあれ肉体関係一歩手前、くらいの段階までは何度か行ったことがあるってことだもんね。

だったら、ものは試しにサクッと一回ヤってみる、っていうのも、それで浪漫非行さんの気が楽になるんだったら、全然ありだと僕は思いますよ。
食わず嫌いってこともあり得るし。

たとえば、「性経験が貧弱なのを引け目に感じて卑屈になってしまうくらいなら、いっそあとくされのない“プロ”におまかせして手っ取り早く済ませてしまえ」って、僕より上の世代の男性には、わりと普通にあった発想なわけですよ。まさしく「小僧、ソープに行け!」(※)型解決策(笑)。

(※)作家北方謙三による80年代の伝説的人生相談連載『試みの地平線』で連発された決めゼリフ

いまどきはたぶん、その女性版みたいなのも、そこそこ出てきてたりするんじゃない?
 浪漫非行さんは自虐的に言及されてますけども。

こばなみ:
調べるといろいろあるみたいですね。

宇多丸:
実態がどうなのかとか僕は知らないから、あんまり無責任にすすめるのも良くないのかもだけど、やっぱり、100%ナシってわけじゃないと思うなー、プロ。

あるいは、その月2、3回のデート相手のなかから、比較的経験豊富そうで優しくて、あとこれは必須だろうけど絶対に口が堅そうなやつを見つくろって、事情をちゃんと理解してもらった上で相手してもらうとかね。
戸惑いながらも喜んでお手伝いしてくれる男性、いっぱいいると思いますよ。

いったん肉体関係を持った相手と、常にその後もお付き合いが続くってもんでもないし……。
ヤることはヤったけど、なんだかパッとしないなと思えば、なんとなく距離を置いたり、ときにははっきり別れを告げたりして、また別の機会に備えていく……、フリーの大人はみんな、多かれ少なかれそうやってトライ&エラーを重ねてるわけだからさ。

とにかく女性は、経験の質さえ問わなければ、「ヤること」自体は簡単なはずなんですから。
まして浪漫非行さんはそこそこイケてそうだしさ。

だからもう、したいならする! したくないならしない! どっちでも好きなようにすればいいじゃん!ってだけの、シンプルな選択の話でしかないんじゃないかなぁ。

まぁ、ある程度の年齢を越えて、結婚はおろか恋愛の気配すらなかったりすると、周りがやいのやいのうるさくて仕方なかったりするんでしょうけどね、特に女の人は。

こばなみ:
女子同士とか、親戚とかね、ありますよ、ありますよ。
私の場合、結婚しないの? 仕事が忙しすぎるんじゃないの?の2大テーマ。

宇多丸:
うるせーよ!  ほっとけ! 
それ、なんて言い返してんの?

こばなみ:
あ~、まぁ~ね、縁がなくて~、とか。

宇多丸:
相手の言うことに半分乗っかってやっちゃってんじゃん! 余計調子こかせかねないよ! 
そんなの、「うっせーバカ! 黙ってろ!」でいいよ。

そういうしょーもない圧力に抗っていくためにも、まずは浪漫非行さん自身が、誰のためでもなく、「自分は本当にはどうしたいのか」ということを、もっと突き詰めて考えておくべきでしょうね。
その上で出してる結論なら、誇りを持って貫けばいいと思うし。

それにさ、はっきり言って、まだ29歳じゃん。
この先、誰と出会うか、どう心境が変わるかなんて、まだまだまるっきりわかんないんだから。

それこそ、ウン十年無風状態で生きてきたのに、白髪混じりになって突然、老いらくの恋に目覚めちゃったりとかさ。あり得ない話じゃないから。

そういう可能性含めて、何が人生の「正解」かなんて誰にもわからないし、もっと言えば、「正解だけ」を選んでゆくのが豊かな人生なのか?っていう問題もあるしさ。
大事なのは、ちゃんと自分の頭で考えて、自分の責任で選び取った道か、ってことだけですよ。

こばなみ:
そうだ! そうだー!!

回り道とか、普通じゃないとか誰にどう思われようが、自分で納得して選んだ生き方なら、それが一番素敵なことですよね。
そう信じて、私もがんばる!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2016年3月19日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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