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尊敬していた講師(60歳)と二人で飲みにいったら突然抱きつかれキスをされ……。このモヤモヤ、どうしたらいい?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室207】


✳️今週のお悩み✳️

宇多丸さん、こばなみさん、こんにちは。 ショックなことがあり、自分でも意外なほどダメージを受けているので 相談させてください。自分と同業で、尊敬していた人が講師をつとめる学校に通っていたのですが、その学校が修了した後、仕事について相談をしたく、その人にメールを送りました。すると、飲みにいこうかという話になり、2人で飲み屋に行きました。お店で飲んだ後、その人の仕事場が近くだったので、そこに寄ることになったのですが、 突然抱きつかれてキスをされ、胸を揉まれてしまったのです。その人は60歳くらいで、穏やかなおじいちゃんのような感じなのでまさかそんなことをするとは思っておらず、尊敬していた分ショックでした。その後、謝罪と反省を伝えるメールが来て、責めることもできず、無難な返事を返しました。 自分の言動を振り返ってみましたが、特に誤解されるようなことはしていなかったはずです。それでも、こんなことが起こったこと自体、自分が悪いのではと思ってしまいます。その学校の人たちとの付き合いはこれからも続けたいと思っているので、 信頼できるクラスメイトに相談しようかとも思いましたが、なかなかできません。 何度もそのことが浮かんではモヤモヤして、やらなくてはいけないことが手に付かず、困っています。どう考えれば、このことを吹っ切れるでしょうか? いつも宇多丸さんの言葉に勇気をもらっているので、ぜひアドバイスをいただけたらうれしいです。どうぞよろしくお願いします。

(おかゆ・36歳・東京都)


宇多丸:
まず、なによりも声を大にして言わなきゃならないのは、この件に関して、おかゆさんが責任や罪悪感を感じる必要は、1ミリたりともないよ!ということですよね。
あなたはなにも悪くないから!
 こういうセクハラとか性暴力の話になると、性懲りもなく「やられた側にも隙があったんじゃないか」みたいなことを得意げにヌカしだす輩が、残念ながらいまどきも一定割合はいたりするんだろうけどさ。ホントに……、バッカじゃねぇの!
 「他人の意志に反する行為を強制的に行って、その人の尊厳や権利を侵害した」ってこと自体がとにかく絶対的にアウト!なんだからさ。
それを、危険な目に遭うリスクを軽減するしないっていう、あくまで各人が自分のために考える問題とゴッチャにしてんじゃねぇよっていう。
わかりやすく言えば、目の前の女性が、どれだけ肌もあらわなセクシールックをしてたとしても、それでもやっぱり、なんであれ同意も得ずにいきなり性的接触を強行したりしたらダメでしょ!っていう、本当に、あったりまえの話ですよね。
しかも、このケースの場合、さっき言った事前のリスク回避っていうレベルでさえ、おかゆさんの見通しに甘さがあったとは、とても言いがたい状況だと思いますよ。
だって、もともと先生として尊敬して、信頼してる人でしょ。すでに安定した関係性が築かれていると考えて、サシ飲みしたり二人きりになることに、おかゆさんがさして警戒心を抱かなかったとしても、それは誰も責められないことでしょう。
というか、立場上、力関係の差が明白にあるわけだから、彼からの申し出は無下にはできないというところもあるでしょうし……、要は、パワハラ構造も思いっきり含んでいるわけですよね、これ。二重に悪質だよ!

こばなみ:
ひどい話ですよね! いきなりそんなふうにされたら、ショックだし、怖いし、その場でなにも抵抗できないですよ……。モヤモヤする気持ち、同性として想像できます。本当に大変でしたね。

宇多丸:
まぁ、「60歳くらいで、穏やかなおじいちゃんのような感じ」っていう見立てに対しては、「いやいや還暦程度じゃ、現実にはどいつもこいつも、まだ全然ギラギラしてるだろ!」みたいなツッコミはできるかもだけど……、『マイ・インターン』のデ・ニーロみたいなのは、はっきり言って幻想です! 
でも、それとこれとは、またまったく別のレベルの話だから。
「信用と力関係差を利用した性的行為の強要」っていう下劣極まりない行為に対して、おかゆさんが一方的な被害者であるということに、なんの変わりもない。
そもそもその講師側も、生徒に性的欲望を抱くのはまぁ内心の自由としても、ホントにそういうアプローチをかけるということへの自戒が、行動からほとんど感じられないもんね。なんか、最初からそのつもりで段取り立ててたんじゃないの?っていう感じが、どうしてもしてしまう。
ということで、改めて言っておくけど、おかゆさんがこの件に関して責任を感じる必要はいっさいないし、この講師にはもっとストレートに怒っていいと思いますよ。
それこそ、しかるべき場所に持ち出せば、彼の社会的生命を絶つこともできる、級の事件かもしれない。特に、ほかにも、これまでにも、実は似たようなことを繰り返していたのかもしれない、とか考えるとね……。
ただまぁ、ここから先どうするかっていうのは、結局やっぱ、おかゆさんの判断次第だから。
僕らは彼の日ごろの人となりとかを直接は知らないし、その詫びメールの実際の文面なんかもわからないから、ここではちょっと、厳密にはジャッジしきれないところもあるので。
たとえば、仮にも謝罪と反省の意は示しているわけだから、それを受け入れて、赦してやるのかどうか……。
無論、再びその人と向き合うということ自体、相当のエネルギーや勇気を要すると思うんで、そこまでのコストを払う価値があるのか、という点も当人としては考えざるを得ないだろうし。
なんにしても、とりあえず「責めることもできず、無難な返事を返しました」っていう最初の反応は、おかゆさんのどこかにまだ「自分もちょっとは悪かったのではないか」みたいな考えがあったからだろうと思うから、何度も言ってるように、そこはしっかりと思い直していただいて。
そのうえで、彼を断罪するのかどうか、するとしたらどの程度までやるのか、といったことを、もう一度よく考えてみてほしいですね。
どっちにしろ自分のなかで、いったんはそこにはっきりした整理をつけないと、モヤモヤは完全には晴れないと思うから。
たとえば、これはあくまでひとつの選択肢として考えてほしいけど、社会的制裁を与える、というところまでいかなくとも、文面で「尊敬し信頼していたぶん、心から失望した」みたいなことをきっちり伝えて、心に深くクギを刺しておく、というくらいのやり方もあると思うし……。
ちなみに、その講師から送られてきたメール類は、なんかあったときの証拠として、念のため全部保存しておくようにしたほうがいいんじゃないかな、とは思いますが。なんなら今後は、会話する機会があればそれも録音しといたほうがいいかもしれない、くらいだと個人的には思うけど……、まぁ、そこまでやるのかどうか含め、改めてちょっと考えてみてくださいよ。

こばなみ:
吹っ切るにはどうしたらいいですかね?

宇多丸:
とにもかくにもまずはやっぱり、しつこいようだけど、自分にはいっさい責任がないことなんだというのを、しっかり認識するってことですよね。おかゆさんはいっこも悪くない! 
で、どうしても気が晴れないようなら、たとえばですけど、性被害に遭った女性にための窓口、さしあたって匿名で相談できるようなところもいっぱいあると思うんで、とにかくそういう専門機関を当たってみるというのも、もちろんひとつの手じゃないですかね。

こばなみ:
たとえば「SARC東京(性暴力救援センター・東京)」。こちらは、24時間365日いつでも電話相談を受付けています。産婦人科の診療や警察への通報・付き添い・弁護士や他の相談機関への紹介も行っているようです。

ほかにも、NHK福祉情報サイトハートネット内「テーマ別情報 性暴力被害」に性暴力被害に関する相談窓口・支援団体の一覧がありましたので、よろしければ参照くださいませ。

宇多丸:
個人的にはやっぱり、最低限その講師には、自分のしたことがいかに一発退場!級の行為なのか、どんなかたちであれイヤってほど思い知らせてやりたいですけどねぇ。二度と同じようなことを繰り返させないためにも。
マジで、これ以上男の評判下げないでくれよ……(泣)。
ただホント、これからどんな選択をするにせよ、おかゆさんにはどうか、言うまでもなく無理しない範囲でいいから、胸を張って、元気でいてほしいですね。
何度でも言います。悪いのは100%そいつ!


【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年9月16日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
こちら


女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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