見出し画像

私に好意的な上司(既婚)を好きになってしまいました。すると彼の態度が急変!働きづらくなり、転職を考えています……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室441】


✳️今週のお悩み✳️
私は都内の中小企業に勤める社会人です。昨年のことになります。同じ部署の上司(部長・既婚・35歳)に片思いをしてしまいました。なぜ片思いをしたかというと、二人きりで飲みに連れていってくださったり、LINEが頻繁に続いたり(2時間くらい途切れずに続き、ほぼ毎日やりとりがある状態でした)、飲んでいるときに遠回しに私が社内のお気に入りであるかのようなコメント(「可愛い」「同い年くらいだったら、きゃん。さんのこといいな~って思ってると思う」など)をさらっと話すタイプの方だったので、からかっているだけとわかっていながらも好きになってしまいました。

テレワークのときは電話を繋げながら作業通話をしたり、仕事が終わったあとに1時間ほど雑談の通話が続くことがあったり、(今思うと仕事に集中しろという話ですが……)弱い部分も見せてくださったり(彼のプライベートに関わることなので割愛します)したので、「恋愛関係ではなくとも、仲は良いと思ってくれてるのかな」と思っていました。

そんな状態が3~4カ月ほど続いたのですが、彼に依存してしまっている自分がいました。そのことに気づかれたのだと思います。急に彼の態度が変わり、LINEのやり取りもなくなり、雑談も二人きりではしてくれないようになりました(大勢での会話しかできない状態です)。いろいろと悩んだ結果、私も彼に依存してしまっていて悪い部分があったと大いに反省しました。彼の態度もイラッとはくるのですが、よくある、仕方のないことだと思っています。

これを踏まえたうえで私が悩んでいるのは「転職をするかどうか」ということです。小さな会社のため、たとえ部署異動をしても頻繁に顔を合わせてしまいます。気まずい、というか、踏ん切りはついたとはいえ以前と態度の違う彼を見るのが悲しくなってしまいます。

彼は直属の上司のため、仕事のことで相談しようにも、必要以上に冷たい言葉で返されることが多くなりました。(「あなたより、自分や周りの仕事の方が大変だ」「いろいろあなたのためを思って厳しく言っている」など。頑張って達成した仕事に対しても「年次が浅いからまだ難易度の易しい仕事をさせている」的なことを言われたり……)

もちろん自分にも至らないところはあるとは思うのですが、もう少し上司として適切な対応をしてほしいと思っています。一対一のコミュニケーションをしようとするとなんとなく避けられたり、仕事や態度の不満を伝えても、「どこの会社に行っても不満とか不平はあると思う」的なはぐらかされた回答をされます。

最初は恋愛的な悩みだったのですが、今は仕事のモチベーションに関わる悩みとなっています。会社のほかの先輩にも二人ほど相談したのですが、彼の味方をするようなコメントを返され(彼は仕事ができ、全方位に優しい方なので周りからの信頼が厚いです)、自身の悩みが解決するどころか、より深く落ち込んでしまいました。また、会社にはコンプライアンス委員会などはあるのですが、あまり効果的に働いているような雰囲気ではありません。

仕事の内容自体は楽しく、また、あまりお給料の高い職種でもないため、転職したところで、今の会社以上の待遇を受けられるか、生活水準を落とすことになってしまわないかなど、そういった心配も大いにあります。なんだか転職活動にも踏ん切りがつかない状態です。

仕事のモチベーションが上がらず、淡々とこなす日々です。もはや何に悩んでいるのかよくわからなくなってきてしまいました。こんな私に、なにか言葉をかけてくだされば幸いです。
(きゃん。・25歳・会社員・神奈川県)


片思いの話から始まるから、恋愛の悩みかなと最初は思うんだけど、最終的にはこれ、「当初はかなり親密なアプローチをしてきた上司が、手のひら返しで冷たくなったせいで、職場にいづらくなってる」って話だよね?

そんなの、シンプルにハラスメント案件じゃないの?


なんなんですか、これ!?


まず、序盤の距離の詰め方からして、その人、わりと一線を超えちゃってると思うんですよね。


普通に考えてまず部下に「かわいい」とか言わないですよね。

仕事で二人で飲みに行くのはあるかもしれないけど、2時間途切れずにLINEとか、やっぱ信じられない。


おそらく実際は、もっとキモいこといっぱい言ってると思いますよ、その人(笑)。

まず大前提として、既婚未婚関係なく、仕事上強い立場の人間しかも男性が、遠回しにであれはっきり自分から積極的かつ個人的に、恋愛もしくは性的なニュアンスを含む好意を伝えてきてる……、少なくともそう受け取れてもおかしくない言動を取っている、ってこと自体、普通に問題あるでしょ。

よしんば結果的にきゃん。さんも彼に好意を抱き返したのだとしても、本来なら厳しく自重すべき方向にむしろいきなりグイグイ引き寄せてきた上司側に、そもそもの責任があることに変わりはない。

その上、おおかたどっかでビビりだしたんでしょうけど、仕事上の態度まで180度変わって過剰に冷たくなるとか、言語道断!

ここまで来たらはっきりパワハラ認定領域でしょ。

目下きゃん。さんが事実として働きづらさを感じてしまっていること含め、100%、彼の責任!

仮にさ、五億歩譲ってこれを「人間関係がなまじ恋愛手前まで行きかけたがゆえにかえってこじれてしまった話」だとして解釈したとしても、やっぱ最悪じゃん! そいつの身勝手さズルさ幼稚さって。

きゃん。さんは、もっとはっきり彼を、軽蔑していいと思いますよ。

ただ、残念ながら例によってというか、よりによってそんなやつが社内では評価されていて、こちらが相談できそうな部署も人もいない……、なんだか社会全体の縮図のような話ですけどね。


仕事ができて全方位に優しい、そんな人がこんな行動って怖くないですか? 裏の面というか。


というより、その調子で自信満々&順風満帆、だからこそきゃん。さんからも好意を感じてたかった、ってだけのことで、彼のなかでそこに矛盾はないんだろうと思うよ。

要は、この間の相談に出てきた無神経な上司たちと同じで、「性的に旺盛」とか「モテる」とかってことが「できる男」のロールモデルに含まれる、という、古き悪しき男社会イズムを無批判に継承しちゃってる組、ってことなんだと思いますよ、言っちゃえばこの人も。


やつらか……。


その集団全体がそんな「古き悪しき男社会イズムを無批判に継承」してるんだとしたら、そこに適応順応してるやつほど出世するというのも、ある意味当然で。

ゆえに、せっかく相談した先輩二人ともそいつの味方っていう、さらに地獄みたいな話にもなっちゃって……。

たぶんだけど彼自身、その後のきゃん。さんに対する当たりが強いこと、なんなら当初距離を詰めたことに関しても、自分なりの正当化の理屈は用意できてるんでしょうね。


本当にひどい。


で、小さな会社だし、社内での解決能力はどうやらないかもしれない、と。

しかしだからって、こっちが転職まで考えなきゃならないなんて、そんなクソみたいな理不尽をむざむざおすすめする気持ちには、我々も無論、到底なれないので……本来ならそいつこそが会社にいづらくなっていいくらいなのに!

だとしたらやっぱりまずは、毎度おなじみですけども、公的機関に相談、というのがとりあえずの順番でしょうね。


再掲しておきますね。

東京都労働局 雇用環境・均等部
※均等部の中でもいくつかの担当が分かれているので、特に雇用均等・両立支援担当(TEL 03-3512-1611)が相談内容に最も適しているのではないか、ということでした。


あともちろん、転職に動くくらいならばやはりその前に、社内のコンプラ部門に正面から持ち込んでみる、というのも、普通にやっていいと思いますけど。

その人との初期LINEとか、証拠としてちゃんと取ってあったりするといいんですけどね。

なんにせよ、「いま、公的機関にも並行して相談させていただいてまして」とか言えば、さすがに会社側もかなりビビるんじゃないの?


ビビりますし、大騒ぎかと。


その会社だって、いまどきそんな理由で女性社員が職場にいづらくなって結局辞めちゃいましたなんて悪評が広がっちゃったり、絶対してほしくないはずだよね。


これもし、自社で起こったとしたら、どうしようと思って、いま吐きそうになりましたよ。

弊社、小企業ゆえ部署異動もないから、ホント吐いちゃう。吐いても解決しないんだけども。

この会社のコンプライアンスも本当にビビると思いますよ。効果的に動かざるを得なくなるんじゃないかな。


百歩譲って、単に仲がいい上司と部下のままいればまだ良かったものを……途中で急に態度を変えてきた時点で、きゃん。さんに対してやっぱり何か後ろ暗いものがあるってことを、自ら明かしてるようなもんじゃないですか。

なのに、きゃん。さん側が一方的にすべてを飲み込んでその場を去らなきゃならないなんて、そんなバカな話はないよ。

もちろん、最終的にきゃん。さんがその職場をどう評価してゆくか?というのはご自身の判断次第なんだけども……。

とにかく、自分が悪くもない件を最初からあきらめて全部ひっかぶる必要なんかないですよ、ということは、僕らから強くお伝えしておきたいあたりですね。


腹立つし、吐きそう……。

そしてお願いだから、きゃん。さん、自分が悪かったと思わないでくださいね!



【今週のお絵描き】

画・宇多丸



【全国書店やAmazonで発売中】
「ライムスター宇多丸のお悩み相談室」、ついに書籍化!! 幻冬舎より発売中!
執拗に、フェアに、意外と優しく、時に興奮しながら、とことん考え答えた人生相談34!
★詳しくはこちら


<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

※ニューアルバム『Open The Window』が発売中!!!
詳細はこちら

※現在、King of Stage Vol. 15
Open The Window Release Tour 2023-2024がスタート!
詳細はこちら


女子部JAPAN こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。




みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

最後まで読んでいただきありがとうございます!! 新着記事はX(Twitter)でお知らせしています☞