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ジムから帰って即寝。時間の使い方がわからず、ダイエットと生活が両立できません……!【ライムスター宇多丸のお悩み相談室203】


✳️今週のお悩み✳️
私の悩みは「ダイエットと生活の両立」です。私は実家住まいの25歳です。平日は10~16時までデスクワークの仕事をしているのですが、仕事に慣れて余裕が出てきたこととダイエットのために5月から火~金曜帰宅前の17時半~19時までスポーツジムに通い始めました(運動未経験者です)。ところが最近、ジムと仕事とそれ以外の生活とのバランスがとれなくなってきました。ジムから帰ってくると疲れているので、着の身着のままで寝てしまうことが増えました。20時頃に寝て深夜3時頃に起きれば良いほうで、遅くて早朝6時頃に目覚めます。コンタクトもお化粧もつけっぱなしのまま、床で寝てしまっているので身体にもよくありません。実家住まいなので家事は母に任せきりですが、せめて洗濯物をしまったり皿洗いをするくらいはしたいのに、近頃はサボってばかりです。ジム自体は体を動かす間はストレス発散になって良いと思っているのですが、帰ってきてからは時間が足りなくてイライラします。できれば仕事のスキルアップの為に資格の勉強もしたいですし、上司や同僚との会話のタネに新聞や本、テレビを見ておきたいです。趣味の絵を描いたり、家族と他愛のない話をしたり、生産性のないただの娯楽も楽しみたいです。欲を言えばダイエットも家事も仕事の勉強も趣味もしたい! 一日24時間以上ほしい!です。それなのに、自分の体力が無いせいで帰ったら即寝てしまって一日を睡眠にあててばかりです。今日も眠気覚ましにコーヒーを飲もうとお湯を沸かしていたら、椅子に座っている間に寝てしまいました……。正味6時間しか働いてないのに我儘な悩みだと思いますが、時間の使い方がわからなくなってきました。宇多丸さんやこばなみさんは生活時間の優先順位や割り当てをどんなふうに決めていらっしゃるのでしょうか?
(ノミクイネモノ・25歳・大阪府)


宇多丸:
まずこれ、単純に「いきなり激しく運動しすぎ」ってだけのことなんじゃないの?って感じもしますけど(笑)。
少なくとも今のノミクイネモノさんの心身が、まったくついていけないレベルの負荷をかけちゃってるらしいのは、明らかなんじゃないですかね。

こばなみ:
運動初心者なのに、いきなり火水木金って。4日もジムに行ってるんですもんね。

宇多丸:
毎日ランニングしてる人とかは、1日でも走らない日があると気持ち悪いとか言うけどね。
ノミクイネモノさんは、そこまで体に習慣が染みついてくれる前に、この調子じゃ早晩挫折しちゃうんじゃないかなぁ……。

あと、1日仕事を終えた後の、夜帯にやってるのも良くない気がする。
日課のように運動してる人ってたいてい、朝、仕事行く前とかにやってない? そのほうが頭も体もシャキッとする、みたいなさ。

こばなみ:
体にとっても朝のがいいって、私の通ってるジムのトレーナーも言ってましたよ。

宇多丸:
なんにせよ現状は、日常生活に支障をきたしちゃってるんだか
ら、やりすぎなのは明らかでしょ。
まぁ、実家住まいなんだし、そこまで家事負担もないはずなんじゃないの、って気もちょっとするけど……、「せめて洗濯物をしまったり皿洗いをするくらいはしたい」って、それ「手伝い」の範疇だよ!(笑) 自立してる人はそれ以前に、掃除洗濯炊事の全工程こなしたうえでほかのもろもろやってるんだよ!

とにかく、ジムに通う頻度を減らすとか、メニューを楽なものにするとか、もしくは自宅で気軽にできる運動、例えばなわとびとかそういうのから始めて、まず最低限の基礎体力作りをするとか、自分の今のレベルに合わせた運動に今すぐ軌道修正するべき、というのはたしかなんじゃないかと思いますけど。

こばなみ:
賛成! 月並みな意見で恐縮ですが、無理するのが一番身体によくないと思う。

宇多丸:
気になるのは、ノミクイネモノさんはどうも、ダイエットに限らず、一事が万事、何に対しても……、言わばライザップ型思考というかさ(笑)、どんなもんでも「重い負荷や高いハードルをクリアすることで初めて身につく」もんだ的な、常に「やらなきゃ」「がんばんなきゃ」っていうプレッシャーに追い立てられるような考え方にとらわれちゃってるような感じが、ちょっとするんですよね。
資格を取るとか、話のタネを仕入れるために勉強しなきゃっていうようなのから、本来そういう圧迫感から解放される時間であるはずの趣味や団らんまで、「がんばってクリアしなきゃならない」タスクのように考えちゃってる。

もちろん、いろんなことに意欲があるっていうのはいいことだし、あれもしたいしこれもしたいのに1日24時間じゃ足らないよ!っていうのは僕もよく思うことなんで、気持ちとしてはわかるんですよ。
でも、そうやって「ホントはあれがしたいのに」「ホントはこれをしなきゃなんないのに」って気ばかり焦ってても、結局、最初の一歩を踏み出す敷居が高くなって逆に腰が重くなっちゃうばかりで、実際にはなにひとつ手をつけられないままいっつも気疲れだけはしてるっていう、なんだかとってもバカバカしい状態に陥りがちでもあると思うんですよね。

でも、たとえば読書っていうのひとつ取っても、そんなにがんばって、無理してがっつり時間を作らなきゃできないようなこと? っていうか、そもそもそれって、「がんばって」やるようなことなの?っていうのがあるわけですよ。
僕だったら、電車で移動中とか、仕事の合間の待ち時間とか、トイレに大のほうをしに行ったときとか、あとはお行儀悪いけどご飯食べてるときとか、とにかくちょっと時間が空いたら、ちょっと読む、っていう感じが多いんですけど、それだって別に「がんばって」そうしてるわけじゃなくて、そのときそのときでホントに読みたいものがあるから読んでるっていう、それだけのことで。だからこそ、生活サイクルのなかに自然に組み込まれているわけですよ。
もし仮に、僕にとっての読書が、重い腰を上げてえいやっと取りかからなきゃいけないようなものだったとしたら、僕はもっとほかの、「自分がいま本当にしたいこと」のほうを優先させてると思います、余裕で。

ましてテレビとか新聞とか、少なくとも一般人にとっては、まさしくなにかの合間に、片手間で見たり読んだりするものの代表格なんじゃないの?
 そんなもんにいちいち気合い入れて「見ておく」「読んでおく」なんて考え方してたら、疲れちゃうだろうに……。

こばなみ:
ながらでできることもありますしね。

宇多丸:
だし、趣味の話にいたってはもう……、たとえば、ホントに絵が描きたいっていう人、そのことの優先順位が本気で高い人は、そのための時間を捻出することを特に苦とも思わず、合間見て好きに描いてますけど、ってだけのことだろうと思うんですよね。
誰に頼まれたわけでもないんだし、ほかのことで疲れてやる気が出ないんだったら無理してやることもない……、だって趣味って、そういうことでしょう? そういう、本来ストレスを発散するためのものに対して、「やれない」「やれてない」って思いばかり勝手に募らせて、かえってストレスをため込むって、こんなバカみたいな話ないでしょう。

たしかに、さっきも言ったように1日の時間というのは限られてるし、「アタシ、なんもできてない!」って気分になるのもわかるんです。
でも、焦ったところで時間が増えてくれるわけじゃなし、ぶっちゃけ、一生かけたって結局「やりたいこと全部」をこなすなんて、どだい無理なことでもあると思うんですよね。ちょっと悲しくなる真実ではあるけども。
僕も、家に溜まってる「積ん読」になっちゃってる本のうち、正直けっこうな割合が、このまま手つかずで終わっちゃうんじゃないかって思うし(泣)。

じゃあ、どうやって物事に優先順位をつけていけばいいのかっていうと……。
僕はこれに尽きると思います。
「いまこの瞬間、自分が本当にやりたいこと」。
つまるところ、これをつきつめてゆくしかないんじゃないかなぁ、というのが僕の考え方ですね。

たとえば、やらなきゃいけないことというか、やっといたほうがいいようなことがほかに山ほどあったとしても、「いま」ゲームがものすごくしたい!んだとしたら、そこで「いま」まさにゲームをやることで得られる快感とか安らぎっていうのは、代替が効かないものじゃないですか。
「いま」寝たい!でもなんでもいいんだけどさ。

こばなみ:
「いま」飲みに行きたい、も!

宇多丸:
もちろん、それで後悔することも多々あるんだけど……(笑)。
ただ、そういうときってむしろ、「よくよく考えてみればそれほどいますぐしたいってわけでもないことを、なんとなく惰性でやっちゃった」っていうようなパターン、要は「いまこの瞬間、自分が本当にやりたいこと」の、掘り下げ不足が原因だったりすることが多いんじゃないじゃないか、って気がするんですよね。

やっぱさ、「いま、本当にしたいこと」を心おきなくしてるときって、何をやるにせよ、言ってみれば「吸収率が抜群に良くなる」っていう面が絶対にあると思うんですよ。
運動するにしろ勉強するにしろ、無理してやってたり、人から言われてやらされてる場合とはくらべものにならないくらい、自分が本当に興味があったりモチベーションがあるものに向かってるときって、自然にいろんなことが頭に入ってきたり、身についてきたりするもんじゃん? 
つまり、そっちのが結果的に効率もいいと思うんですよね。さっきも言ったように、日々の生活サイクルにも自然に取り込んでゆきやすいだろうし。

あ、日々の生活と言えば、ノミクイネモノさんに関しては、やっぱ実家住まいってところで、本当の意味で「自分の暮らしを自分で律する」っていう意識がまだしっかり確立できてない、という部分も大きいのかなという感じは少ししました。
いっそこの機会に自立して、これまでお母さんにやってもらってた家事全部を自分でこなさなきゃならなくなれば、わざわざジムに通ったりしなくても、じゅうぶんなカロリー消費ができちゃうんじゃね?(笑)

だいたい、いきなりそこまで激しく運動しなきゃならないほど、ダイエット必須!って感じの体型なんですかね。
食いすぎをちょっと改めるとか、その前にもっと楽にできることいっぱいあるだろ、って思っちゃうんですけど。

こばなみ:
みんな食べたいし痩せたいのです!

宇多丸:
いや、仮にモリモリ食っちゃったとしてもさ、そのぶんいつもよりちょっと多めに歩く、たとえば駅や会社でエスカレーターやエレベーターを使わないで階段を使うようにするとか、とにかくわざわざお金を払ってジムに行く前に、日常のなかでいつもよりちょっとだけ多めに体を動かすことなんて、いくらでもできるじゃん?って僕は思っちゃうんですよ。

いまって、スマホや携帯に歩数計ついてるじゃん? 
僕はあれ見て、「今日は大して動いてないからこれ以上炭水化物は摂らないでいいや」「そのぶん明日は多めに歩くようにしよう」とか、うっすらでも頭のすみに置いて調整してたりしますけど。

あとは、これもあくまで思い出したときに、という範囲でですけども、できるだけ正しい姿勢、正しい体の使い方で、要は「正しく歩く」よう、しばらく意識を集中させたりとか。
そういう、ふだんからのちょっとした心がけだけで、もうだいぶ違ってくると思うんですけどね。

こばなみ:
宇多丸さん、自分も含めですけど、ダイエットをしたい人は、そうやって「ふだんから気をつける」がなかなかできない人なんですよ!

宇多丸:
だからそこで、さっき言った、「いまこの瞬間、自分が本当にやりたいこと」をしっかりつきつめろ、っていう話が出てくるんですよ。
みなさん、単にメシどきだからとか、ちょっと口ざみしいからってだけで、ご飯やおやつを食べちゃったりしてませんか?
 そこで、自分の体調や気分にもっとしっかり向かい合ってみれば、「いや実は、いまはそんなに腹減ってるってわけでもないな」とか、「今日はいつもより全然少なめでいいな」とか、その時点の真の必要に応じた、いろんなケースがありうるはずでしょ、本来は。
なのに、毎日朝昼晩、時間がきたからって機械的にほぼ同じ量を口に運んでたら、そりゃ現代人、太りやすくもなるでしょうよって。まして、1日ほとんど動かずボケっとしてただけなのに、間食までしっかりとってたりしたらさ(笑)。
要するに、「惰性で食事をしない」ようにするというか。「いま私は、本当にそこまで食べたいのか?」というのを、毎回ちゃんと自分自身に問い直すというか。

こばなみ:
逆に、「いま私は、そんなに痩せたいのか?」って問いかけるのもあるかもしれないですが……。

でも、実家にいるとバランスが取れた食事なので、太らなそうな気もしますけどね。けっこうお菓子とか食べちゃってるのかな?

宇多丸:
運動したことないのにいきなりジムに週4で通いだして、結果心身がついてゆかずクッタクタ……っていうこの事態もさ、溜まり溜まった日々のゆるみを、「一気に」なんとかしてやろうっていう、要はある種の甘い了見からきてるものじゃないですか。
でも、仮にそういう短期集中型のライザップ方式でなにかダイエット的な目標を達成したとしても、そもそもの「自分自身を律する」意識が身についていないような人は、やっぱりその水準を自力で維持することができなくて、すぐリバウンドしちゃったりしがちなわけで。
だからやっぱ本当は、ノミクイネモノさんくらいまだ基礎体力ができてない人は、ジム通いの前に、生活習慣の見直しをきっちりやることから始めるべきじゃないかなぁ……。

こばなみ:
ただ、お金を払ってるからこそ行かなきゃって気持ちになることもありません?
私はそれで半ば強制的に行っていますけどね。あ、だからなかなか痩せないのか……。

宇多丸:
「行かなきゃ」「半ば強制的に」って意識の人は、やっぱいまいち効率上がらない、っていうのの、まさに典型ですね(笑)。

こばなみ:
にしてもダイエットの相談から、一人暮らしのすすめっていうのがなかなか思い切った提案でしたね。

宇多丸:
一人で暮らすと、なにより時間の使い方が根本から変わってくるからね。
ノミクイネモノさんのように、いろんなことに貪欲な人には、1日の時間配分が基本自分次第っていうの、向いてるかもしれませんよ。
生活全体がフレックスタイム制!みたいなもんだからさ。

こばなみ:
私もイマイチ効果が出てないジム通い、考え直してみようかなと思いました。けっこう辛いんですよね……。
本当にいま食べたいのか、痩せたいのか、何したいのか、考えながら行動することで変わるかも!と思えたので、意識してみようかなって。
気持ちも生活もいいサイクルになると、毎日が充実してきて、自然と体型も整ってきたりするかもしれないですね。
そこ期待しつつ、一緒に心がけていきましょう~!




【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2017年8月5日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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