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顔がデカい。見た目のコンプレックスはどう克服すればよい?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室20】


✳️今週のお悩み✳️
顔が大きいのが悩みです。子供のころからうすうす気が付いていたのですが、大人になって写真をとると隣の人と一回りくらい違いうことでショックをうけました。どうしようもないので気にしないようにしているのですが、ついつい気になって先日も彼に「顔が大きい」と冗談で言われたことにマジギレしてしまいました。整形する気もないので気にしないようにしたいのですが、見た目のコンプレックスはどう克服したらいいでしょうか?
(もじ・東京都)


宇多丸:
もじさんはさ、要はたぶん、背もそんなに高くないんでしょ。頭身の問題なわけだから。顔が大きいけど身体も大きければ、相対的にあまり気にならないのだとしたら・・・。
鍛えて身体を大きくするのはどうですか?

こばなみ:
肩幅の関係もありますよね。私も顔のわりに肩幅が狭いので、小学生の頃は顔がデカいって言われてましたよ。今もたまに言われますが、どうにもならないので気にしないようにしてますけども。

宇多丸:
ただね、僕がちょっと気になるのは、世の中の傾向として、というより女の子たちの傾向として、モデルさんみたいな体型の人と比べてどうこう言いがち、というのがあるでしょ。もじさんも、ひょっとしてそこに流されちゃってない?とは思う。
だって、そりゃ程度にもよりますけど、顔が大きいことそのものは、本来決してマイナスなことばっかりじゃないはずなんですよ。

たとえばアイドルは、あんまりスタイルが良すぎる子は人気出づらかったりする。今は篠田麻理子みたいなパターンもアリになってそれはそれでいいことだと思うけど、本来はそれなりに顔が大きくないとむしろダメ。頭身も含めて「カッコいい」より「愛らしい」ことの方が重要だから。昔のアイドルなんてホントみんな、短足、大根足、O脚・・・、でもそこが身近な感じで良かったんだよ。

漫画のキャラクターとかもそうだよね。「頭や手足が大きい=愛らしい」みたいな法則あるじゃん?
手塚治虫が『鉄腕アトム』のなかで言ってることで、アトムも時代によって頭身が違うんだけど、カッコよく頭身小さめに描くとどうしても不人気で、やっぱり3~4頭身の、ちょっとちんちくりんな感じに戻すと人気が戻って不思議だって。

ちばてつやの「おれは鉄兵」もそう。あ、古い漫画ばっかりですみませんねぇ。
これも連載開始当初は、どっちかっていうと直前までちば先生がやってた『あしたのジョー』寄りなお兄さん体型だったのに、キャラクターが人懐っこくなっていくにしたがって、だんだん背が縮んでいって、最終的には4頭身くらいになってましたもん。

そもそも人間っていうのは、顔の前面にコミュニケーション能力を集中させる方向で進化してきてるわけでしょ。他の動物と比べてみればわかるけど。
だから顔が大きいっていうのは、その意味で人間という生き物としては有利な個体であるはずなんですよ!

歌舞伎役者は顔が大きい方が良しとされるっていうのも、つまりその方が表情がよく見えて「感情移入されやすい」から、ってことでしょう。これ、たぶん日常でも同じことで。

普段、人と直接やりとりするときって、ほとんどが顔と、せいぜい上半身しか見てなくないですか? 体全体のバランスがどうこうなんて気にしちゃいないでしょう。そこで、顔が大きいっていうのはむしろ「コミュニケーションしやすい」印象を与える武器になってるはずなんですよ。
逆に、顔が小さいことで押しが弱く見えちゃってたり、どこかよそよそしく取られちゃったりして、そここそがコンプレックスになってる人も絶対いるはずなんだから。

ということで、もじさんの顔の作りがどうだかわからないからなんとも言えないけど、顔が大きくてかわいい方に転じるっていうことは全然ある。
しかもだよ、彼氏もちゃんといて、その彼氏が冗談で言うくらいなんだから・・・、もちろんモデル的な美とは違うけれど、彼はまさに、そここそがチャーミングだとも思ってるって証拠なんじゃないの?

こばなみ:
本当にヤバかったら、言わないですよね。

宇多丸:
そうそう。本人が欠点だと思っているようなところも含めて友達や恋人は大好きだったりするわけだから。
コンプレックスがないようなツルンとした人間だったらいいのか? デコボコしてたほうが人間らしいじゃん!

こばなみ:
ってのは、他人事だから言えますよね・・・。

宇多丸:
もちろん、「自分をより良く見せたい」って範囲の努力ならどんどんするべきだと思いますよ。単純に服のコーディネートでもだいぶ変わるでしょ。

肩幅に対して顔の大きさが気になるなら、胸元があいた服を着るとかなんとか・・・、ファッション誌のそういう特集を普通に参考にするだけでも、けっこう気分が違うんじゃない?
小顔マッサージとかもありますけどね。

こばなみ:
わたし一度、小顔になろう!って取材で、韓国のコルギに行ったんですね。そしたら、これまでに体験したことがないくらい痛かった。言われてみれば一時的に小顔になっていたのかもしれないですが、くしゃおじさんみたいに顔がぎゅっと詰まった、というか。続けて施術しないと2~3日で戻るみたいで、見事に復元しましたけども。
もちろん個人差はあるので否定はしませんが、私はむくみをとるなどのマッサージくらいでいいのかな、と思いました。やっぱり根本的な顔の大きさ、骨格は変わらないのかなぁって。

宇多丸:
しかしホント、顔が小さい方がいいなんて、誰が言ったの?って感じだよ。
たとえばモデルさんっていうのは、一種「抽象的な美」を商売にしてる人たちなだけで、実際に会ってみると、人間としての異様なバランスに、マジで引いちゃったりしますよ。決してストレートにステキ!って感じでもなかったりするよね。

こばなみ:
モデルさんたちは、身体も本当の細くて、肝臓とかどうなってるんだろう?とか、確かに余計なお世話で思ってしまいますね。

宇多丸:
で、たぶん彼女彼らだって、普通とは違う体型ゆえにいじめられたりして、コンプレックスを持ってて、でもそれをプラスに転じた結果がモデル、っていうパターンも結構多いんじゃないかな。

だからまずはその「顔が大きい=かわいくない、むしろ醜い」という認識を改めた方がいいんじゃないかなぁ。
顔のアピール度は高いわけだから、メイクをばっちりつくり込むとかしてそこの戦闘力だけを集中して上げれば、結構な武器にもなると思いますけどね。

とにかくその、「顔が大きい」「顔が小さい」「太ってる」「やせてる」「背が高い」「背が低い」「胸が大きい」「胸が小さい」「年上だ」「年下だ」etc. そのすべてが自分にとってのコンプレックスとなりうるし、他者にとってのツボにもなりうるってことなんですよ!!!
だって、たとえば女子みんなが福山雅治が理想のタイプってわけじゃないでしょう? 彼はもちろん美しいけど、本当の好みって、そういう最大公約数的なものとは違うはずなんだからさ。
太ってる人が好きな女子もいれば、疲れたおじさん好きの女子もいるわけで。
若い男の子たちは雑誌の広告記事読んで「すね毛ボーボーだと女の子に嫌われるのか・・・」とか思い込んでたりするもんだけど、毛深い人じゃないとダメだっていう女子もいるんだから! 俺も大人になってから知ったよ!

「そこが好きだ」って言ってくれる人もいるんだし……現にもじさんは彼氏もいるんだからさ!
あと、「顔が大きい」を冗談で言ってきたっていうのは、たとえば「貧乳」ネタで親しい同士がじゃれあってるみたいなもんで、ある種記号化した「からかってもいいこと」なんだよね。
これがたとえば「顔が小さい」とか「胸が大きい」ってからかってると想像してみると・・・、なんか笑えないマジさが生じちゃうじゃん?
まぁ、記号化してればからかっていいのか、という問題もあるけれども・・・。とりあえず彼氏が、顔の大きさというのをそれほど重たい「欠点」とはまったく思っていないのは確かだと思います。

こばなみ:
そう考えると、だいたいの見た目の悩みは解決されますね。

宇多丸:
たとえば「ハゲ」とか「髪が薄い」っていうのは、それこそ完全に記号化したからかいポイント、っていうか蔑視ポイントじゃん。第一回の髪型問題のときにも言ったけど、ホントそういうの、レベルが低い話だと思うけどさ。

でも、俺はそんなくだらないことを弱点にしたくなかったから、自分でスキンヘッドにした。すると今度は「ハンパじゃなく頭のカタチがいい」とか、それこそ体型全体で見たら、頭が小さく見えてスタイルの良さがすごく際立つようになったとか、どんなスタイルのファッションも似合うようになったとか、プラスの面もいっぱい出てきたんだよね。

これがコンプレックスを「隠す」方に行ってたらどうだったか・・・、それはそれでまた別の鬱屈を生んでいたかもしれないし、ひょっとしたら全然調子よくやってた可能性ももちろんあるし。
いずれにせよ、しょせん違う人間にはなれないんだから、自分の持ってるカードで、それぞれがベストを尽くして勝負をするしかないんですよ! そして、誰もが自分に配られたカードには不満を持ってるもんなんです。

こばなみ:
知人男性がワキガなんですが、ワキガ好きな女子はわりといるって言ってましたよ。だからあまり悩まなかったって。

宇多丸:
僕もワキガ好きですよ。度合いやタイプにもよるけど、香ばしい系は男女問わずけっこう好き♡


結論:
「顔がデカい=かわいくない」って誰が決めた?
それに、顔がデカい、太ってる、胸が小さいetc.
コンプレックスがツボな人は必ずいる!


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2013年11月16日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。

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