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復帰後1年経たないうちに妊娠発覚。職場に何と伝えようか悩んでいます。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室172】


✳️今週のお悩み✳️
こんにちは。いつも楽しく拝見しています。さて、私の悩みは「第二子妊娠」についてです。昨年1月に第一子を出産し、育児休業を経て今年の春から復職しております。正規職員ではないですが、制度の整った職場のため育休取得が認められました。実は上司は、それを面白く思っておらず、休みに入る前には「辞めてもらいたい」というようなことも言われましたが、労働組合&人事課に駆け込み何とかクリア。当初は辛かったですが、それでもお休みさせて頂いたことにはとても感謝していますし、復帰後の上司との関係は良好で、誠実に真面目に働いています。が、10月に入り、第二子妊娠の兆候が……。妊娠自体は嬉しく思っており、夫も楽しみにしてくれていますが、復帰後1年経たないうちに妊娠発覚ということで、職場に何と伝えようか悩んでいます。制度的には、私が申請すれば上司の意思に関係なく育休は取得できるようですが……。ネットを見たら「無計画」「無責任」「そうまでして金が欲しいか」「だったら仕事辞めてくれ」など心無い言葉も多く見られて落ち込んでいます(ネットを見たからいけないのですが)。計画的になんて、言うのは簡単ですが、子どもは「今欲しい!」から出来るような簡単なものではないですし、リミットもあります。日本政府も「少子化対策が大事!」と言っている……はずですが現実は風当たりが強いように感じます。お腹の子のためにも、自分のためにも、妊娠を心から喜びたいのに、迷惑をかける、申し訳ない、わがまま、自己中……などなどの言葉が巡ります。私は悪いことをしているのでしょうか。

(ちゃ・32歳・徳島県)


宇多丸:
育休取ろうとしたら「辞めてもらいたい」って、いまどきそんなこと言って許されるもんなの!?(怒) そりゃ少子化、進むいっぽうなわけだわ!

とはいえ、ちゃさんの会社は、制度的にはわりと整備が行き届いているほうなのは間違いないっぽいもんね。現状の日本の企業のなかでは、マシなほうではあるのかもしれない。
逆に言えば、そういう風にある程度進んだとこでさえ、空気としてはまだ、旧態依然とした差別体質が残っちゃってることもあるってことだもんな……、気が重くなる話ですね。

もちろん、「私は悪いことをしているのでしょうか」っていうちゃさんの問いにシンプルに答えるなら、子どもを産む選択をするのも、労働者の権利として休みを取ることも、「悪いことなわけないだろ!」って一語に尽きるわけだけど。
こばなみのまわりには、こういうことで悩んでる人、いる?

こばなみ:
うちの会社も、ワーキングママはいますよ。
人数も少ないので、システムがきちっとはしてるわけではないけれども、産休、育休を経て、時短で働いています。
十分じゃないところもあるかもしれないけど、出来る限り、みんなで助け合ってはいますよね。だって、ママになった彼女たちにも働いてもらいたいし。

やりやすいようにコミュニケーションをとっていて、雰囲気が悪いとかはないと思うけど……。

宇多丸:
僕の仕事相手でも、ちゃさんととてもよく似た状況になった人、だいぶ前ですけど、いましたよ。
同じような感じで、一年産休・育休とって、職場復帰したら、わりとまたすぐ妊娠・産休ということになり。ただそのとき、ぶっちゃけ他の男性社員の空気が、ちょっと悪くなったのは覚えてる。「え、また? 」みたいな。
でも、僕からするとその女性は、そうやって文句を言ってるほかの誰よりも断然仕事ができる人だったから、いっとき休まれるより彼女が完全にいなくなる損失のが大きいだろ! お前ら給料泥棒こそ辞めちまえ!とは思ってましたけど。

ホント、「人材」って一番かけがえのないものだからさ。産休・育休制度って、結局は企業にとっても、絶対プラスに働くはずのものなんだけど。

こばなみ:
こんなに正面から言ってくる上司の話は聞いたことないけど、そう思っている人がいるのはちょいちょい聞きます。ただ、それをすべて気にしちゃいられない。

だからネットも気にしちゃダメですよ、つか見ちゃダメ!

宇多丸:
ネット自体がというより、見るとことか検索の仕方間違っちゃってない?
って話じゃないのかな。
もっとちゃんとした、働く母親のことを支援したり、励まし合ったりするようなサイトというか、場所だっていっぱいあるはずでしょ。そういうとこなら、それこそその上司の発言に一緒になって憤ってくれたり、普通にしてくれると思うんですけど。

こばなみ:
以前、女子部JAPAN(・v・)でもセミナーにも参加させてもらったんですけど、働くママを応援するアイデアを考える取り組み「Woman Will」とかもありますよ。

宇多丸:
それにしても、いつも思うんだけど、少子化対策担当大臣ってポストは前からずっとあるけど、歴代の彼らは、いったいどんな手を打ってきたわけ?
 前に、新国立競技場の建設費一発で、たとえば待機児童ゼロと出産費用無償化が一気に実現するって話を聞いて、マジ?って心底呆れちゃったんですけど。だとしたら、どう考えても今の政治の優先順位、おかしくね?
 もちろん、少しずつ個別の件については良くしてってるところもあるのかもしれないけど……、はっきり言って少子化って、たとえは悪いけど時限爆弾みたいなもんで、できるだけ早くなんとかしないと、国として結局、間違いなく一番デカいダメージを食らうことになる案件なわけじゃん? なのに、ずーっと有効な対策が立てられてないわけでさ。あの人たちは今までなにをやってたの?とはどうしても思っちゃう。

まぁ、先進国の出生率が下がるのは、ある程度の必然ではあると思うんだけど……、たしかフランスだっけ? 政府がガッツリ手を打ったら、きっちり上がったんだよね?

こばなみ:
この記事、参考になりましたよ。

参考:フランスにおける少子化社会脱却への道程の段階的考察 -出生率2.0を早期達成したフランスの少子化対策を日本に活かすことはできるのか-

宇多丸:
そんな話を聞くとつい、日本政府は何やってんの?とも思っちゃうよね。

でも実際はさ、国民が前ほど子どもを産まなくなったのを、意識とかモラルの問題にして済ませちゃうようなバカな政治家とか論者が、後を絶たなかったりするわけでしょ。ヘタすりゃ、肝心の少子化対策ポストにいるような人がそんなこと言ってたりするときもあるからね! 
そういう人たちって結局、たいした根拠もなく「昔は良かった」って言いたいだけだから ―実際んとこ、特に女の人にとっては、そいつらが言う「昔」なんかちっとも「良く」なかったと思うんですけど― 少なくとも現在の少子化に対する有効な手立てなんか、そんな考えから出てくるわけないですよね。

こばなみ:
少子化の原因は日本に頼もしい男が減ったから、とか誰か言ってましたね。

宇多丸:
どっから突っ込んでいいかわからないほどの、救い難いアホですね(笑)。

でも、実際そういう政治家とかを、平気で選挙で勝たせて、権力の座に就かせちゃってるのもまた、我々の社会なわけで。
おそらく今の世の中に不満タラタラであろう女子部JAPAN(・v・)の皆さんも(笑)、だったら最低限、しっかり選挙権は行使しときましょうね、ホント……。

こばなみ:
そういえば、フリーライターの友達が言ってたんですけど、その子の住んでる地域だけかもしれないし、職業によるのかもしれないけど、子どもを学童とかに入れるのに会社の判子がないとダメらしくて、厳しいなぁって言ってましたよ。
「働くママ」ということは同じなのにね。

でも最近は、ママになってもバリバリ働いてほしいっていう会社のほうが多いんじゃないですかね?

宇多丸:
ねぇ。
ちゃさんの会社だって、それだけ制度としては整ってるくらいなんだから、その上司みたいな人もまだいるはいるけども、全体としてはそこそこまともな人のほうが多かろうというか、一応は現代的な良識が浸透している状態ではあるんでしょうからね。
労働組合もいまどきにしてはしっかりしてるようだし……、きっと、ちゃさんの先輩方がさ、いろいろ戦ってきてくれたんじゃないですか? そのおかげで、今の比較的悪くない環境があったりもするんじゃないか。

だから、そういう諸先輩方で、相談できるような人っていないんですかね? 
もしいるなら、確実にその人たちが一番力になってくれそうですけど。

もしも、そういう前例があんまりないようだったら……、それこそちゃさん自身が「良き先例」となるよう、先陣きって既成事実を作ってゆくべき局面、ってことなのかもしれないですよね。後から来る世代のためにもさ。
ま、なんかあるたびにいちいち戦ってかなきゃなんないってのも疲れる話だけど……、ちゃさんは実際もう妊娠してるんだから、どうせだったら、前向きに進んでゆくほうを取りましょうよ! 職場にも味方はいっぱいいるはず!

いまどきだったらさ、育休か完全復帰かっていうようなゼロかイチか的な発想だけじゃなくて、在宅でできる業務もいっぱいあったりするでしょ。そういう段階含めて、もっとうまくソフトランディングしてくようなやり方、いろいろ考えられる時代のはずだとも思うんだよなぁ。

こばなみ:
職種によりけりですけど、デザイン会社で働いていた友達は子どもを産んでからは在宅勤務で続けていますよ。

宇多丸:
そんな感じで、ちゃさん自らが、「あ、これで全然イケるんじゃん」ってみんなに気づかせるような、後に続く女性たちに希望を与えるような、そういうモデルケースとなっていければ、理想的ですよね。
ま、そこまで理念的に気張んなくても、要はちゃさんがご自分の人生の幸福をしっかり追求してゆくこと自体が、それすなわち正義!って話ですから。

それにしても……、そもそも産休や育休をどう取るかについて、まーだこうやって、女の人だけが一方的に悩んだり不利益を被ったりしてるこの状況自体が、ホントはおかしいんだけどね! 
何度も同じことを言うようだけど、そうやって性差別的な状態が続く限り、優秀な人材を、最低でも人口に対して半分は、むざむざ取り逃がしてるわけだからさ。そんなの、企業とか、社会全体にとっても巨大な損失なのは明らかなのにね。

いずれにしても、我々があくまでメインに考えるべきは「自分の」人生であってさ。
そこで、まず会社の事情みたいなことを忖度してしまうというのは、いかにも日本人っぽい生真面目さの現れではあるんだろうけど、本末転倒だと思うんだよね。
だって、別に会社が、こっちの人生全体を保証してくれるわけじゃないじゃん。

むしろ、社員に無理を強いた結果、体や心を壊してしまってリタイアされるより、充実した実人生を送ってもらって、持続的な労働力と安定した職場環境を確保するってことのほうが、企業にとっても明らかにプラスなはずで……、必要な休みはきっちり取ろうよ、っていうのも、そういうことでしょ。

こばなみ:
たしかに、出産に限った話ではないですね。

宇多丸:
なので、とにかくちゃさんは、なんも悪いことしてない、どころか、いろんな意味で明日のより良き会社と社会のために貢献すらしようとしてるってことなんだから、堂々としてりゃいいんです!

ちなみにさ、ちゃさんの会社はそれでもまだマシなほうなわけで、これよりもっとひどい目に遭ってる人、いっぱいいるはずだよね。

女子部JAPAN(・v・)もさ、そういう人たちのための、駆け込み寺みたいなコーナーをやったらどうですか?
 悪質な会社は、実名を挙げてつるしあげ!とか(笑)。
僕が知り合いから聞いたなかでも、けっこう最低なとこ、多いよ。

こばなみ:
声を受け取る場所は必要かもしれないですね。せっかく女性のコミュニティ・メディアなので。メモメモ。

あと、現場レベルの話でいうと、やっぱり宇多丸さんのいつも言ってる「素直」と「優しさ」が必要なんだと思いました。

たとえば、ワーママが復職して、突然お子さんの具合が悪くなっちゃったときとか、「ちょっと帰らなきゃいけないので、あとお願いしてもいい? ごめんね」とかだと、残った側の我々も「大丈夫だよ、それ私やっとくよ。早く帰ってあげなー」とかって気持ちよく受け取れる。
もちろん逆もしかりで、具合悪いとか、そういった事情は誰にでもあるわけだから、別にワーママだけに限った話ではないんですけどね。

迷惑とか悪いとかそういうふうに責めるのではなく、職場みんながいい雰囲気で働けるような気遣いは、一人ひとりに必要なのだな、と改めて思いました。
そういう素敵な職場にしていったら、みんな気持ちよく、末永く、働けるし、業績も上がるし、いいんじゃないですかね。
私も心がけます!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2016年12月10日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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