クラスに馴染めません。言いがかりをつけてくる男子にもストレス……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室53】
✳️今週のお悩み✳️
高校でずっと同じクラスだった人たちの中に、違うクラスだった私が入ることになりました。もうみんなの仲ができあがってる状態で馴染めるよう頑張ったつもりですが、からかい合うときも除外されてしまって居心地が悪いです。さらに先日BBQの行事があり、まあ楽しくできてると思いきや、私が買ってきた普通に人数分のはずの野菜を、目の前で男子に「バカで買い過ぎちゃったから食べてー!」とあげられたのが胸に引っかかっています。あげるのはいいですが、買った私がバカ?と(笑)。しかし微妙なことなのと、面倒くささから怒れず、ストレスが溜まります。これからどのような態度で接するべきでしょうか。
(つぶ・17歳)
宇多丸:
これ、普通のクラス換えじゃなくて、つぶさんひとりだけが元からあった他のクラスに転入させられたってこと?
僕がいた中高でも、数学ができる順に組み込まれるトップのクラスがひとつあって、そこだけはテストの成績次第で部分的にメンツが流動してたように記憶してるんだけど、そんな感じかな。よくわかんないけど。
いずれにしても、たぶんこの4月からの話だよね。 だとしたら、自然に馴染むのにはもう少し時間がかかるかもね、どうしても。 当然、中心的グループに食い込んでくのが一番話は早いんだろうけど、こればっかりは……、そういうキャラでもないのに、やたらとグイグイ前に出ればいいってもんでもないしね。 まぁ、行事への参加を重ねるなかで次第に存在感を増してゆくっていう、順当なプロセスを経るしかないですよ。 何かお役目があったら積極的に買ってでるとか、それなりに頑張りようはあるかもね。
でもさ。 それ以前の問題として、つぶさんはちょっと、「クラス」っていう単位にこだわりすぎなんじゃないの?っていう気もする。 僕は中高一貫校だったんだけど、特に高校では、例えば休み時間になると仲がいい友達がいる隣の教室にすぐ行っちゃうヤツもいれば、逆に別の教室からいっつも遊びに来てるヤツもけっこういたりして、要はみんな、クラスっていう枠組みにあんまり囚われなくなってくる、っていう印象があるんだけど。
それってつまり、ちょっとだけ成長して視野が広くなった、ってことだと思うんだよね。 それこそ、高校になるとイジメが激減、というか、イジメなんかしてるヤツはバカ、的な空気にどんどんなってこなかった?
こばなみ:
たしかに。高校で無視とかしてる人のほうがイケてない人って感じでしたね。
宇多丸:
イジメって、ちょうど中学までの「クラス」みたいな、閉じられた、固定的な人間関係のなかで一番起こりやすいものだからね。
逆に、人間関係が開かれていて流動的なほど、例えば「無視」とかって、そもそもイジメとして成立しづらいわけで。
こばなみ:
ちなみに私はクラスよりも、結局は部活の友達と仲良くしていた気もします。今でも部活の友達とは会いますし。
宇多丸:
それに高校になると、大学ほどじゃないけど選択科目とかも出てきたり、予備校に通い出したりで、「基本そこでしか会わないけど、意外と話が合うヤツ」みたいのに、改めて出会ったりもするじゃない。
「普段から遊んだりするわけじゃないけど、会えばちゃんと話が弾む」っていう相手がクラスの外にも複数いるっていうのが、なんだかすごく嬉しかったのをよくおぼえてますよ。
あとは、朝の通学電車でたまに会う、超イケてる先輩とかね。ちなみにその人は、後に「不純異性交遊発覚で退学!」っていう、中高一貫男子校の生徒として最高に名誉あるキャリアを歩んだ男なんですけど。退学後半年くらいしてから池袋西武の屋上でばったり会ったときも、女の子とトイレから出てきてたもんね。「おっ、お前ら元気か?」っつって、カッコ良かったなぁ……。
とにかくそんな先輩に、電車のなかで会うたびに「佐々木、最近夜遊びしてる?」なんて話しかけられるのがまた、すごく誇らしくてさ。 そうやって、ひとつひとつ自分のチャンネルが増えてゆくのが楽しい時期でしたよ。 だからつぶさんもさ、クラスにとけ込む努力はそれはそれですればいいけど、あんまりそこにこだわりすぎる必要もなくて、今はもっと、外に目を向けてみるのもいいんじゃないかな。
クラスの人間関係がすべてじゃないし、もっと言えば学校や近所、家族だって世界のすべてじゃない。
それこそ今はインターネットもあるんだから、それはより実感しやすくなっているはずでしょ? SNSでイジメたイジメられたやってる場合じゃないよ! まぁ、つぶさんは未成年だし女の子だから、いろんな人と知り合うことで生じるリスクも間違いなく大きいので、あんまりうかつな焚き付け方しても良くないとは思うんですが……。
こばなみ:
あ、そうだ! 学校以外の人との出会いなら、iPhone女子部のイベントに来て欲しいですね。
宇多丸:
それ、いいじゃない!
素敵なお姉さんたちとお友達になれるといいね~。
いったんそういう人たちに囲まれてみればさ、この男子に言われたことなんか、あまりにもガキっぽくてどうでもよくなってきますよ。
こばなみ:
「バカで買い過ぎちゃったから食べてー!」ってなかなか、小学生みたいなからかい方ですね。
宇多丸:
ホントに小学校男子レベルだよね……ん? ということは?
この男の子は、ひょっとすると、つぶさんのことが好きですね!
相手への好意をどう伝えていいか、というか自分でもどう処理したらいいかがよくわからなくて、ついつい「意地悪」というかたちでそれが表出してしまう……、色気づいて、下心ゆえの優しさを身につけるより前、だいたい小学校高学年くらいまでの男子の、典型的な対異性行動パターンですよ。
たぶんですがコイツ、周りからも「あいつホント、ガキだよなぁ」と呆れられている可能性が大なのではないかと。 だからつぶさんも、彼に関しては、「アタシのこと、好きなくせに……」くらいの気持ちで、生暖かく見守ってあげればいいんじゃないですかね。
【今週のお絵描き】
クラスだけが世界じゃない!
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2014年7月19日に公開したものを再編集し、掲載しています。