仕事でミスを連発したとき、どうやって気持ちを切り替えていますか?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室247】
✳️今週のお悩み✳️
仕事でミスを連発してしまいました。私はまだぺーぺーなので、上司が責任をもって処理してくれたり、尽力していただいたのですが、申し訳なくて仕方ありません。もちろん、今後のがんばりでお返しするしかないのですが、またミスするのではないかと怖くなったり、ミスした後ろめたさで積極的に話しかけられなかったり、会社に居づらいです。お二人はそんなこととは無縁だと思いますが、ミスしたときはどうやって持ち直していますか。気持ちの切り替え方を教えてください。
(カッパ・32歳・会社員・東京都)
宇多丸:
まず、「お二人はそんなこととは無縁だと思いますが」って、そんなわけないでしょ!
こばなみ:
振り返ればミスだらけですよ。
宇多丸:
振り返れば、っていうより、普通に現在進行形でしょ(笑)。
どんな人間だって、ミスは避けられない。 それで怖さや後ろめたさを感じてしまうというのも、もちろん万人共通だろうし。
カッパさんの相談は、そこからどう持ち直していくか、気持ちの切り替えをどうしていくかってことだけど……、僕はどうしてるかなぁ。 とりあえず、どんどん次の仕事をしてって、そっちの精度を反省を生かしてちょっとでも上げてくことで、前の失敗の濃度を薄めていく、みたいなイメージかなぁ。
人間の心のキャパにも限界があって、新しいことが次から次へと入ってくれば、古いのは自然に出てくしさ。
とにかく、昔のミスが気にならなくなるくらい成功体験を重ねてく、ってことじゃない? 半ば無理矢理、機械的にでも先に進む、というか。
こばなみ:
会社に居づらいとかも、そりゃありますよね。
20代の頃とか、失敗してクライアントに呼ばれて、社長に一緒に謝ってもらったりしましたよ。
帰り道、無言ですよね(苦笑)。
でも挽回するしかないし、それにこんなこと言ったらアレですが、派手に怒られたり、やらかしたほうが、もう上がるしかないから、割り切れたりするかもですね。
宇多丸:
実質的な損失、たとえばミスでお得意様の信用をなくしてしまいました、もうおたくには頼みません、みたいになっちゃったらどうする?
こばなみ:
もちろん一筋縄にはいかないけれども、それに代わるようなお客様を連れてくる、いきなり連れてくるのは難しいならその計画を立てるとか、がんばってなんとかする、そういうことでしか挽回できないんじゃないですか。
あとはとにかく原因を探る!
宇多丸:
そうだよね。なにか失敗したら、その原因、こうだからこうなった、というのをできるだけ明確にして、なら今後はどう備えてゆくべきか、という対策を練るのは大事だよね。
こばなみ:
なにかわからないミスに怯えてるのが、一番怖いじゃないですか。
宇多丸:
カッパさんの場合、「またミスするのではないかと怖くなったり」という一文から察するに、ミスの原因を突き詰めて、予防策や対応策を練るということを、まだしっかりやりきれてないんじゃないか、という感じもするんだよな。
なにはともあれ、いったんそこまでは持っていかないと。
もちろんまたいずれ、なんらかの予期せぬミスやトラブルは必ず起こるだろうけど……、そしたらまた「想定内」の範囲が広がって、以降は打てる手もさらに増えていく。要は経験値が上がっていくわけだから、むしろ大歓迎!くらいに考えられないかな。
いま話をしていて思い出したんだけど、「ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ」にゲストで来てもらったw-inds.の橘慶太くんが、すごいいことを言ってて。
「失敗は成功の母」って言うけど、彼の考え方はまさにそれで。 負けたり失敗することは決して悪いことじゃなくて、そこから学ぶことができる、自分ののびしろを確認できるいい機会なんだ、と。 むしろ、なんでも問題なくこなせてしまう状態のほうが危険で、それ以上は成長しないってことじゃないか、って言うんだよね。
たとえばゲームでも、最初のほうの何試合かは、わざと負けてみることもあるんだそうで。 それによって相手の出方とかゲームの特性とかを学んで、こうなるとこうなる、というシミュレーションができる材料を増やしたうえで、じゃあどうするべきかってことを合理的に考えられると。 だから、その負けは負けじゃないんだ、というね。
免疫と同じだよね。 病気して強くなって、病気して強くなって、の繰り返し。 一個ずつ能力がインストールされていく感じ。レベルアップ!みたいなさ。
そんな風に、毎回きちんと対処していけば、ミスのたびに実はレベルアップ、なんだという。
こばなみ:
立派だぁ。
宇多丸:
素晴らしいですよね。
ということで、気持ちの切り替え方として、ミスはプラスなんだ、っていう慶太くん式の思考術はいかがですか?
あとさ、たしかにミスはしたけど、同じようなことでもっと大きな失敗する前に、いまこのくらいの傷で済んでよかった~!みたいなこともあるよね?
こばなみ:
それはありますよね。
いまコケて、気づいてよかった!みたいな。
宇多丸:
その意味では、早い段階でいっぱい失敗しといたほうがいい、っていう面もありますよね。
だから、カッパさんが仕事でミスを連発したのも、むしろいいこと!
こばなみ:
今の時期でよかったかもしれませんよ。おそらくですけど、30代前半でカッパさん、中堅くらいですかね?
だって、上司側の立場になって失敗するほうが、もっと辛いですよ。
上司になれば、今よりもっと責任ある仕事を任されていくわけですから、それで失敗したら……、あわわわわ……。
宇多丸:
とにかく、まずはミスを合理的に分析して、必要以上に怖がってる状態からは脱してみましょうよ。
本気で責任を感じているのであればなおさら、再発防止のためになにができるかちゃんと正面から考える。
あと、いつまでもウジウジしていることで、周りも余計に気を使っちゃって、さらなる迷惑をかけている可能性もあるから。
なので、ひとまず前にグイッと足を踏み出してみて……、そしたらいつか、あのとき失敗した甲斐があったね、ってときも来ますから。
こばなみ:
辛いと思うけど、まずはミスと対峙してみてください。がんばって!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2018年8月18日に公開したものを再編集し、掲載しています。