✳️今週のお悩み✳️
私はこの歳まで男性が苦手でお付き合いしたことがなかったのですが、最近、既婚者の元上司に上手く言い寄られて、肉体関係を持ってしまいました。 その後何回か自宅で会っていました。ですが周りの反対などから相手に不信感が出てきて、関係が悪くなり、今は連絡をとっていません。しかし考えてみるとモテない私にとって男性のことを知る滅多にないチャンスだった気がして、すぐ会わなくなったことを後悔し始めました。 もう一度連絡して会いたいと言おうかずっと迷ってます。 そこでお聞きしたいのが、いくらモテなくても不倫はダメだと思いますか？　本当は独身の彼氏か男友達が欲しいけどできないです(/ _ ; )

（よっこ・26歳）

宇多丸：
相談文を読んでてちょっと気になるのはさ、「上手く言い寄られて」って、なんでそんな言い方するの？
　だって別に、一服盛られたとか、催眠術かけられたとか、そういう話じゃないんでしょ？
　曲がりなりにも大人同士が合意の上でやったことだろうに……一方的に「騙された」みたいなニュアンスを入れてくるのって、なんかフェアじゃない感じがしますよ。
「私の責任じゃないもん！」みたいな。
自分のことは棚に上げときたいっていうズルい気持ちが、図らずもこの一文ににじみ出ちゃってる。

こばなみ：
活字でみるとよくないとは思うんですけどね、ついつい自分も恥ずかしかったりなんだりで、「相手から誘ってきたし…」とかってのを強調しちゃうことってありますわ……。でも、ここ最近のお悩み相談を読んでいて思ったんですけど、自分も含めですが、自分に言い訳してると余計にモテないんですよね。とほほ。

宇多丸：
もちろん、男にもよくある話ですけどね。
「だって、思わせぶりな態度とってくるから……」とかさ。
誘ってきたのは女からで、つまりそいつがビッチだったからこうなったんだ、みたいなサイテーの責任転嫁。

そういう、自分の行動や選択に責任が取れない人、すなわち「子供」は、そもそもセックスとかする資格ないですから！
　で、よっこさんの場合、その「自分に言い訳」の度合いが、この相談文を読む限り、やっぱりちょっと強めではあるかもしれない。
だって、「上手く言い寄られて」関係を持ち、「周りの反対などから相手に不信感が出てきて」疎遠になっちゃうって……、もし本当にこの言葉通りなのだとしたら、あなた、どんだけ流されてるだけなんだって話でしょ！　自分の意志というものはないの？

こばなみ：
相談文の後ろのほうにありますよ。「会いたい！」という意志が出てきてます！

宇多丸：
でも、最終的にはやっぱり、その「会いたい」って気持ちに自分で責任を取るのを、なんとか避けようとしてるように見えるなぁ。
「不倫はダメだと思いますか？」って聞かれりゃ、そりゃ一般論として「まぁ、ダメでしょうねぇ」って答えるしかないですよ。
でも、そんなことはよっこさんだって百も承知の上で、ヤッちゃったし、また会いたいとか思っちゃってるわけじゃん？

つまり、「正しいか正しくないか」で言えば結論はわかりきってる。このまま関係を断って、記憶の彼方に葬り去ってしまうのが一番。
でも、そんなわかりきった「正しさ」の話で済むんだったら、よっこさんもこんなにズルズルと悩み続けてないはずでしょう。

たぶん、よっこさんの一番の問題は、これはあくまで自分の「欲望」の話なんだ、という事実を、自分でちゃんと認められてないことなんじゃない？　
「男性の事を知る滅多にないチャンス」とかキレイな言い方してるけどさ、早い話がこれ、
「ようやく出来たオトコなんだから、もっとヤッとけば良かった……」ってことでしょ！

しかもよっこさん、別にこの人のことが好きで好きでしょうがないってわけでもなくて、他に選択肢もないので、やむなく……って感じじゃん。彼という特定個人というより、「男」に対する興味や欲求を満たしたいって話を実はしてるんだよね。

こばなみ：
これはもしや、セ……!?

宇多丸：
「セフレ」でしょ!!　
これが、「不倫は良くないってわかってるけど、やっぱり好きで、忘れられなくて……」って話ならまた別だけどさ。この場合はやっぱ、もうちょっと即物的なものを求めてる感じがしちゃう。

どっちにしろさぁ、「周りの反対」とかって言うけど、そんな、元上司との不倫関係を周囲にペラペラペラペラしゃべったりして……そりゃ友達は反対するに決まってるし、噂が広まっちゃったりしたらどうするつもりだったんだろ？
　最悪、向こうの家庭が崩壊したりする可能性だってあるのに、そこで責任取るほどの覚悟があるようにも到底見えないわけで。なんか全体にそういう、思慮を欠く感じもちょっとありますよね。

こばなみ：
宇多丸さんは「セフレ」ってどう思われます？

宇多丸：
そんなの大人同士なんだから好きにすればいいでしょう。
リスクに対する責任込みで本人の勝手。
不倫でもセフレでもなんでも、大の大人同士が合意の上でしかも個人的にやってることを、まわりがいいの悪いのって言うのは意味がわかんないです。ほっとけよ、バカ！って。おまえになんか迷惑かけてんの？って思っちゃう。

こばなみ：
結局コレ、どう解決していくのでしょうか？

宇多丸：
「本当は独身の彼氏か男友達が欲しいけど」ってことなんだから、真の解決はそりゃ、そっちを実現することに尽きるんだろうけどさ。
よっこさんはまず、「自分に自信が持てない」というのがすべての元凶になってる気がするので、言い方は悪いけど、この元上司を「練習台」にして異性とのコミュニケーション力を培ってゆく、というのも、確かにひとつの手としてアリだとは思います。ま、ちょっと失礼は失礼だけども……。

ただ、それとは別に、セフレならセフレで全然いいとは思うんだけど、よっこさんの場合、さっきも言ったように、すでにちょっと第三者に知られすぎてるよね、この関係が。
本当にうかつもいいところだと思うけど、とにかくそれによって、いつか向こうのご家族の知るところになってしまったりするリスクが以前よりずっと高くなっている、というのはちゃんと覚悟しておくべきだと思います。そうなったらもう、「上手く言い寄られて」なんて都合のいい被害者ヅラは通用しないですからね！　
……僕、厳しすぎますかね？　女性から見てどう？

こばなみ：
時々厳しいですけど、それが売りのコーナーなのでw。
でも、今回はやっぱり、元上司のことを好きっていうよりは、セフレの話なわけだから……。不倫っちゃ不倫ですけど、それって不倫になるの？　なにがいいのか悪いのか、わからなくなってきた！

宇多丸：
さっきも言ったけど、「正しい／正しくない」では決して割りきれないのが恋愛ってもんじゃん？　
もちろん徹底して「正しい」道を行く人もいるんだろうけどさ。
そんな人はこんなところに相談してこないよね！

たとえば、お互い完全にフリーな者同士が出会って、お付き合い。これが一番「正しい」かたちだというのは当然なんだけどさ。
そんないつも、完璧にタイミングが合うとは限らないじゃん！　
素敵な人ほど、誰か相手がいる。そりゃそうだよね。
でも、そこで自動的に諦めちゃってたら、人生の幅、ものすごーく狭まっちゃうよ！

こばなみ：
独身で彼女もいなくて素敵！なんて人、なかなかないですよ！　ここ数年会ったことないですし!!

宇多丸：
それはさ、出会いが生まれる場所に行ってないからでしょ！　もう、わかった!!　まずiPhone女子部全員、ジェーン・スーの本を読もう。「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」に、世の女子たちは付箋をつけて読んでるらしいよ。iPhone女子部公式図書に認定!!

結論：
不倫はダメ？と聞かれりゃ、そりゃダメだけど……
でもひとつの手として元上司を練習台として
異性とのコミュニケーション力を培ってゆくのもアリかと……

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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2014年3月1日に公開したものを再編集し、掲載しています。

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