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【ライムスター宇多丸のお悩み相談室16】ナンパをする男性って信用できる?


✳️今週のお悩み✳️
先日店先で30代前半の男性から声をかけられました。見るからにチャラチャラした人、という感じでもなく、外見は普通の人です。饒舌で、ナンパに慣れている人なのかなと思い、少し警戒したのですが、女性しかいない職場で出会いもなく、いい機会かもしれない、と考えて勢いで連絡先を交換してみました。ですが、ナンパされて連絡先を交換するなんて軽薄だったのかなと軽く後悔しています。向こうから何度か連絡が来たのですが今は保留にして返していません。 同性の宇多丸さんから見て、ナンパをする男性ってどうでしょう。
(メイ・25歳)


宇多丸:
まず、皆さん言わなくてもおわかりだろうけど、僕自身はナンパとか、全然するタイプじゃないです。そりゃ若い頃はクラブで酔っぱらって声かけて・・・くらいはたまにしてたかもだけど、シラフで、しかも路上で!とかは絶対ありえない感じ。なんでかって言ったら、やっぱり恥ずかしいし、無下にことわられて傷つくのも嫌だっていう、まぁ普通の理由なんだけどさ。

で、これはあちこちで話してることなんだけど、積極的に道端でナンパするタイプの友人に、一回単刀直入に聞いてみたのよ。
「なんでそんなことが平気でできちゃうの?」って。

そしたら彼は、
「いや逆に、なんでしないの?って聞きたいよ」って。
で、その理屈をちゃんと聞いたら、
これがまたものすごく正論で、ちょっと納得させられちゃったんですよね。

要はさ、普通に人生送ってるだけだったら、実は、ものすごーく限られた範囲から相手を選ぶしかないわけじゃん。学校か、職場か・・・。
まして、ちゃんと両思いになれる人となると、さらに可能性が絞られる。

で、皆さんしょせん、その限られた中から選んでるだけなのに、それをなにか特別な出会いであるかのように錯覚して、やれ運命だとか、やれ上手く行かなかったとか、
あーでもないこーでもないやっていると。
それって不毛だし、もったいなくない?っていうことですよね。

だったら、すれ違いざまだろうがなんだろうが、オッと思った相手にはとにかくアプローチしてみて、できるだけ可能性を広げていったほうが、人生良くないスか?
ダメでもともとなんだから、断られても仕方ないってわりきれるし、っていう・・・
正論!
ぐうの音も出ませんでしたよ。
逆に、なんで僕にはそれができないのか、よく考えてみると、実はこの、「ダメでもともと」って考え方ができてないからなんだよね。

早い話が、無駄にプライドや自意識ばっかり高くて、それが臆病さにつながっている・・・。
うわーん! 俺、かっこわるいよ~!
確かにその、ナンパとかガンガン行くヤツは、別にすげえハンサムとかじゃないんですよ。むしろ・・・。
「俺なんかこんなブサイクじゃないですかー。だから、なんもしなかったらそれこそ出会いもないし、フラれて当たり前って思ってるからいちいち傷つきもしないし、問題ないス」って感じで、結果ちゃんとすごい美人や、イイ子と付き合ってたりするわけよ。
いやホント、こっちのがよっぽど合理的なんだよな。

ということで、
とにかくナンパ自体はまったく悪くない、
ていうかむしろ行けるならどんどん行けばいいじゃん!

俺は行けないけど・・・、というのが僕の基本的なスタンスです。

こばなみ:
なるほど。たしかに納得の理論ですね。ナンパ、そして出会い系なども、そのもの行為自体が悪いわけではないっていう。

宇多丸:
ナンパする人っていうのは、しない人よりは当然、異性との経験が多いことは間違いないわけだけど、そこに対する悪いイメージってあるじゃん。

でもさ、実は限られた選択肢の中から選ばれただけ、ってより、広~い選択肢の中からあえて自分を選んでもらうほうが、嬉しくない?
僕はわりとそういう考え方をするほうでもあるんですが。

こばなみ:
つまり、ナンパされたメイさんは選ばれたってことですよね。ナンパする側の気持ちはわかりました。さて、される側としては・・・?

宇多丸:
もちろん、「可能性が広がる」っていうのは、良い方向ばかりとは限らない。
これって、ナンパとか恋愛に限らず、「他者と知り合うということ」、もっと言えば「この世界で生きてゆくということ」全般に付きまとうリスクではあるよね。

「信じられないくらい素晴らしい人と出会う」可能性があるということは、
同時に、「信じられないくらい最悪な人と出会う」可能性もあるということ。

ちなみに三池崇史監督の『オーディション』っていう映画は、クライマックスの激痛描写ばっかり話題になりがちだけれども、まさにそういう「他者と出会ってしまう」喜びと恐怖を描いた哀しい作品だと思うので、気が向いたらぜひ参考に観ていただきたいんですが・・・。
極端な話、できるだけ家に閉じこもって人と付き合わなければそういうリスクはゼロにできるかもだけど、その代わり、予想を超えた楽しいことも起こらない。
世界に出ていくと、楽しいことは増えるけどリスクも増える。

こばなみ:
出会いに限らず、なんでもそうですよね。

宇多丸:
そう。だから、ナンパをしてくる男性自体が悪い訳ではなく、どっちの人生をチョイスするかっていう問題。

こばなみ:
まだメイさんはこの男性に返信してないんですよね。

宇多丸:
少なくともパッと見でビビッと来るほどじゃなかったみたいだね。
ナンパに応えることそのものは悪いことじゃないし後悔しなくてもいいと思うけど、この一回にこだわりすぎないっていうのも大事じゃないですかね。
さっきも言ったように、肝心なのは選択肢を広げることなので。
今後もガンガン、ナンパされてきゃいいじゃん!
そこでこばなみに聞きたいんだけど、女の人の場合、さっき言ったようなリスクをヤバくない程度におさえるために、どのあたりに気をつければいいですかね? こばなみはどうしてる?

こばなみ:
基本的に、見た目が好みじゃないと連絡しないですね。もしも好みであったら連絡すればいいと思う。ただ、以前、電車の中で「今、何時ですか?」って聞かれて、その男性が降りるときに手紙を渡されて「時間を教えてくれてありがとう。で、僕の連絡先です~」的なナンパがあったのですが、そういうのは手法もあやしいし、その人も変なんじゃないかって思っちゃいますけどね。

宇多丸:
どういうナンパの仕方だったのかは相談文に書いてないから、判断できないところはあるんだよなぁ。
でもさ、なんにせよある程度コミュニケーションを重ねていかないとわかんないじゃん、いい人かどうかなんて。

こばなみ:
1回、ご飯にいくとかどうですか? お互いに友達も誘ってどうですか?とか。

宇多丸:
それって難しくない? お互いに全然知らない同士が友達を連れてくるって。

こばなみ:
でも一人でいくのって怖くないですか?

宇多丸:
そうだよねぇ。そう考えると、知り合うって本当に難しいよな~。

こばなみ:
あ、でも男性の上司の話なんですけど、「HUB(英国風パブ)」かなんかで、女性2人組がちろちろこっちを見てて、じゃぁみんなで飲もうってことになって、そのうちの1人の女性と気があって抜け出しちゃったって。

宇多丸:
聞くところによると、PRONTO -プロント-」もそういう場らしいよ。夜の「PRONTO」。
そこそこ社会的にちゃんとした男女のグループがそれぞれ軽く飲んでて合流して、気があったら、じゃ次いこうよ!ってなるみたい。
スタートラインとしていいんじゃないの。メイさんはまず、「PRONTO」にいこう!

こばなみ:
私も「PRONTO」、行こうかしら!

宇多丸:
今回のナンパで気持ちがぐらぐらしているようだったら、いっそ積極的に社交に乗り出してみよう。
要は、ナンパされてついていってもいいなと思わせる、頭の回転の良さだったり、最低限の清潔感だったり、そういうところがちゃんとしてる人なら、他のこともまぁ、大丈夫だろうって考えるわけじゃん。ルックスも含めて値踏みをするというか。
で、その値踏みを正確にできるようになるには、ぶっちゃけ経験を重ねるしかない。
たぶんだけど、メイさんはまだ経験値が低いと思うのね。だから、遊び慣れた友達にガイドしてもらって「PRONTO」にいくこと!
それで、男を見る目を養う。こればっかりはいくら本読んだりしてもダメだしね。実戦をくぐり抜けてゆくしかない!

こばなみ:
いざ、戦場へ!

宇多丸:
そう。射撃訓練だけじゃどうにもならないよ!
ただ、新兵がいきなり戦場に出ても危ないので、最初はちゃんと古参兵の指導をあおぐこと!

そしてもう一度いいますが、ナンパそのものは悪いことではありません。
店先で声かけて、連絡先を交換するところまでいくなんて、すごいコミュニケーションスキルだと思うし、そういう人は社会にもそれなりに上手く適合してるはず・・・ってことですよね。

こばなみ:
そしてナンパされるメイさんにも魅力があるってことを忘れずに!

宇多丸:
そうそうそう、自信を持っていいんじゃないですか! 魅力ある女性とナンパのスキルのある男性、けっこうなことじゃないですか!


結論:
ナンパ自体が悪いわけじゃない。
でもこの男性だけに賭けるのは危険。
戦場(=PRONTO)に行って男を見る目を養おう!


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2013年10月19日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。

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