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【岐阜】日本の伝統技術をあらたな魅せ方で伝える 陶芸家「大倉真汝」

日本全国でがんばっている女性を紹介する「のぼり坂47」プロジェクト。今回は、岐阜県多治見市で活動されている、陶芸家の大倉真汝さんに聞きました。


陶芸作品を通して日本の伝統技術の素晴らしさを伝える

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朝ドラなどで陶芸がフィーチャーされる昨今ですが、皆さん、美濃のやきものはご存知でしょうか。
美濃の伝統的なやきもの—志野、織部、黄瀬戸—は桃山時代にうまれ、茶道とともに発展しました。桃山は日本のルネサンスとも呼ばれ、素晴らしい日本文化が花開いた時代です。
私は、一度は途絶えながらも復活したこの伝統技術を受け継ぎ、そこに現代人の美意識を重ねながら陶芸作品を作っています。

こうした作家活動の一方、学閥も所属団体もない自由さを生かして、イベントなどのさまざまな活動も実施。いずれも、同業の夫ともども、私たち自身が楽しませてもらい、次の制作への刺激をもらっています。

・自宅工房を開放してのイベントやチャリティー活動(カナダ大使館後援「カナダと陶芸を楽しむ会」、「日・伊 芸術の出会い」「Ferrari Art Experience
“Ferrari + Togei Touring 2013″」など)
・東京(女子部JAPAN主催の作陶会など)、神戸、岐阜などで作陶体験イベント
・こどもたちへの作陶指導

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2019年9月7日に女子部JAPAN(・v・)とコラボで行った陶芸教室の様子。
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大倉さんのご自宅で開催したイベントにて。自作の器に、自作のちょっとした家庭料理を。



「結婚してから好きなことをしよう」と思い、ものづくりの道へ


私は古い窯跡の残るやきものの町、岐阜県多治見市小名田町でうまれました。

当時はデザインの勉強がしたくて芸大への進学を希望しましたが、陶芸家の父の猛反対で断念。一般大学の文学部を卒業し、企業に就職しました。私が住んでいた地方では、女性がキャリアを積める仕事は少なく、2~3年働いて結婚し、専業主婦になるのが理想とされた時代でした。

そこで「早々に結婚してそれから好きなことをしよう」と決意。こどもの頃からの「ものづくりをしたい!」という思いと、よい意味でのあきらめ—理想をあきらめて、泥臭く今できることに目を向けた結果、その時に身近にあった陶芸を選びました。そして、結婚後に工業高校に入り直してやきものの勉強をすることになりました。

入学したのは、窯業科を卒業した生徒がさらに研究を進める専攻科というクラスです。昨日まで高校生だった子や、シニアの方、海外からの留学生と机を並べ、実技はもちろん数学や化学、焼きものの歴史など勉強することはとても新鮮でした。かつて、イヤイヤ行っていた受験勉強とは全然違って、おもしろかったです。
当時は名古屋に住んでいたので、JRで多治見の学校まで通うのですが、定期券を買うときは高校生扱い。 25才なのに大変安く買えて感激しました!

ちなみに主人は、会社員時代(ハウスメーカー)の同僚でした。大学で建築を学び、施主と一緒にひとつひとつこだわった家を作りたいと思って入社したのですが、時代がバブル期に向かう中、中身よりも数をこなすという会社のスタイルに疑問を抱くように。

東京転勤を機に退職し、私の田舎に腰をすえ、家づくりとは大きさも手法も違えど、同じもの作りをしたいということで陶芸の道に進みました。

今はプロの方でも、土や釉薬(やきものにかけるうわぐすり)を業者から買う方が多いと思いますが、私たちはすべて手作り。山の土をふるい、ねかせ、石をたたいたり、灰を洗うところから始まります。

緻密な模様をつける際のアシスタント(アニメや漫画制作と同じようなイメージ)や、長時間の窯焚きなどの修行のかたわら、あいた時間に自分の作品を作ってきました。次第に東京、名古屋、岐阜、山形、広島などで声をかけていただき個展をするように。

2000年に独立してからは、作陶会やイベントなど自分たちがおもしろいと思う活動も積極的に行っています。



現代のカッコよさをプラスして、手仕事や日本文化の良さを伝えたい


グローバル化やデジタル化が進み、どんどん世の中が便利になるなか、手仕事の良さや古き良き日本文化を伝え、残していきたい。
そのためには、伝統技術の良さに「現代人の価値観にあうカッコよさ!」をプラスした作品を作ることが、その1つの答えになるはずです。たから私は、今までとは違うやきものの見せ方、魅せ方を探していきたいと思います。

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犬ともみじの柄が印象的な、和洋折衷な雰囲気の蓋つきの花器。



全国の女性へメッセージ


私の若い頃とはちがい、今は女性も社会で活躍し、色々な可能性を試せる時代です。
その中で、結婚、出産、育児……は仕事と同じくらい、いやそれ以上に女性をパワーアップさせてくれる貴重な経験、修行の塲、キャリアだとしみじみ感じます。

ぜひ貪欲に、そしてバランスをとりながら…あれもこれもあらゆる可能性にチャレンジし、人生を楽しんでください。

★好きな言葉★

「元気があれば何でもできる」

へこんだ時に自分自身に言い聞かせます!

陶芸家 大倉真汝

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1963年 若尾利貞(県無形文化財)の長女として生まれる
1981年 岐阜県立多治見北高校卒
1985年 南山大学文学部卒
1989年 多治見工業高校窯業専攻科卒
2004年 自宅工房にて食と器のフェアー(カナダ大使館後援)開催

Instagram @sam_ookura




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