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男の先輩たちとの飲み会が楽しい! 結婚したら行けなくなるかと思うと結婚が嫌に……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室133】


✳️今週のお悩み✳️
私には付き合って3年の彼氏がおり、今年結婚することになりました。結婚が決まった当初はものすごく嬉しかったのですが、最近結婚しなくてもいいかなと思い始めてきました。というのは、半年くらい前から仕事が忙しくなり、そのストレス発散で男の先輩2~3人と一緒に飲みに行く機会が急に増えました。先輩たちは曜日関係なしにかなり飲む人たちであり、私もかなり飲める方なので平日からハイペースでワイワイ飲んで、しゃべって、笑って、と毎日とても楽しいです(しかも女は私1人だけなので気分もいいです)。先輩たちも飲める子と飲めるのは楽しいようでよく誘ってくれるようになりました。でももしここで結婚することが先輩たちの耳に入ったら気を使って誘ってくれなくなるだろうし、この先結婚したら今までのように飲みに行けなくなるのかと思うと結婚したくなくなってきました。飲まない人から見ればそんなことで……と思うかもしれませんが、平日にこうやって飲むことは最高に楽しいんです。彼氏や女友達とでは味わえない楽しさがそこにはあるんです。この先この楽しさを味合うことは諦めなければならないのでしょうか。
(みー・34歳・東京都)


宇多丸:
飲みに行けなくなるんじゃないかと思って結婚したくなくなっちゃったって……、
なんでいきなり、そんな極端なイチかゼロか思考になっちゃうのかな(笑)。
どうしても二者択一しなきゃいけないようなことじゃないと思うんだけど……。

ちなみに、男たちのなかに女1人、いわゆる紅一点状態って、みなさん心地よく感じるもんなんですかね? 
カジュアルに「姫」気分が味わえるみたいなことなのかな。

こばなみ:
わかりますよ。なんだかいい気分ではあります。
逆はどうですか? 男1人状態は?

宇多丸:
いや~、よっぽど寄ってたかってチヤホヤし続けてくれて、自分が福山雅治なんじゃないかと思えてくるくらいの場なら別かもですけど(笑)、たいていは、なんとな~く、それほど単純に嬉しいってことにはならないような気がしますね。

それこそ、こないだの年末の女子部のクリスマス会とかさ。あれだけ圧倒的な人数差があると……、僕の第一声も、普通に「怖い!」だったでしょ(笑)。

まぁあれはちょっと特殊な例としても、たとえば女性3人に僕1人の飲み会というのを想像してみても、どう考えても3対1になるのが目に見えてるというか。

こばなみ:
なるなる(笑)。

宇多丸:
少なくとも、持ち上げてもらえる気はしないよね……、落とされることはあっても!
 その意味で、紅一点状態とはやっぱり対照的なのかもしれない。

だって、どうしたって話題は、「男ってさ~!」って方向になってくるんじゃないの?
そうなると、その場に唯一いる野郎としては、オトコ全体の原罪を背負わされたような気分にならざるを得ないっていうかさ。
「いやそれ、別に僕がやったことじゃないんですけど……、でもなんかたしかに、すんません……」的な。マジメな男の人ほどしょんぼりしてきちゃうんじゃないですかね。女性陣の怒りも理解できるぶん。

小学校のころ、女子チームに吊るし上げられたトラウマが甦ってきますよ(笑)。

こばなみ:
で、みーさんの場合ですけど、男の先輩と飲んでるのって、彼氏に内緒なんですかね? やきもち焼くから?

男の人からすると、仕事相手とはいえ、男性と彼女が飲みに行くのは嫌なものですか?

宇多丸:
僕は当然、「どうぞご自由に」派ですけど。

もちろん、飲みすぎに気をつけてねとか、安否確認の連絡だけは入れてねとかは言うかもけど、それは別に、男性と出かける場合に限らないことだからね。
とりあえず「本人の意に反した事態」に遭ってしまわないかということを心配してるんで、嫉妬とかとはまた別の話だから。

そりゃ僕だって、たとえば、「結局、○○クンの部屋に私だけ泊まっちゃった~」とかヘラヘラ言われたら、たとえ何もなかったってことだとしても、さすがにそれはちょっと、もろもろ配慮がなさすぎるんでは……とは思っちゃうかもだけどさ。
単に、飲みに行く側も、パートナーに対しては最低限のデリカシーを持とうよってだけのことですよ。

こばなみ:
結婚したら、先輩たちも誘うのに遠慮するのかな?

宇多丸:
それはたしかにちょっとあるかもしれないけど、性別は関係なくない? 
男同士だって、あいつ新婚だから早く帰らせなきゃとか、子供生まれたばっかりだから今回は誘うの遠慮しようとか、普通に気をつかったりしますよ。
でも、だからって、永久に飲み会メンツから除名!ってわけじゃないじゃん。

先輩たちには、「これからも今まで通り飲みに行きたいんで、お気づかいは無用でお願いします!」って言っとけばいいだけのことじゃないの?

こばなみ:
極端に諦めたりしなくてもいいですよね?

宇多丸:
要は、旦那さんを納得させられてればなんの問題もないわけでしょ。

なのに、彼がそういうことに対してどういうスタンスの人なのかっていう、けっこう肝心な情報がいっさい書いてないからさ……。

こばなみ:
ちなみに私の友達の彼氏は、男の人とサシで飲みに行くとか絶対ダメなんですって。
だから仕事でそうなったとしても報告しないって言ってました。

宇多丸:
まぁたしかに、サシとなると、少なくとも相手側がネクストレベルな期待を抱いてしまう可能性が若干上がるのは否定できないからね……、特にそのパートナーが「惚れられやすい」タイプだったりすると、余計なトラブルが生じるリスクを減らすという意味で、二人っきりは避けてくれ、と言いたくなる気持ちも、ちょっとだけわからないじゃないけども。

でも、基本はやっぱり、大の大人同士の話なんだからさ。全部自己責任でよろしく!ってだけのことでしょ。

問題は、みーさんの彼氏が、そういう風にちゃんとパートナーの意志を尊重してくれるような人なのかどうか、そしてみーさん自身も、彼が嫌な気持ちにならないよう配慮できているのかどうかっていう……、つまるところ、「お互い“最も大切な他者”に対してきちんと敬意を払えているか?」、ってことに尽きるんじゃないですかね。

みーさん側もさ、泥酔するまで飲まないとか、変な絡みかたをしないとか、そういう酒飲みとしての一応のマナーを守るのは前提として、たとえば、飲みに行く相手が誰か、場所はどこかみたいな情報をできるだけオープンにして、連絡もこまめに入れるようにするとか、家で待ってる彼が余計なモヤモヤを抱えないで済むように、もろもろ気をつかってあげることは全然できるわけでしょ。

実際、そこにいるメンツの「顔が見えている」状態なら、安心度もだいぶ違うと思うんですよね。
だから、日頃からコミュニケーションをしっかり取り合って、飲みに行くにしたって、「ああ、○○さんたちと一緒なら安心だね」くらいの感じにしておくというのが、大事かもしれない。

いっそ、彼を一度その飲み会に呼んで、先輩たちに直接紹介する機会を作ってもいいくらいだと思いますけどね。

こばなみ:
それするだけで少なくとも、結婚をやめるとか、飲み会を諦めるとかにはならないでしょうね。

宇多丸:
ひょっとするとみーさんも、さっき言ったような「姫」気分に、実は若干のうわつき要素が含まれてるのを自覚してるから、結婚したらナシかな、と思っちゃってるのかもしれないけどさ。
その程度のことにいちいち後ろめたさを感じて、妙に隠しごとしたりするほうが、もっと気まずい事態を招きやすいよ!

こばなみ:
でもみーさん、いま本当に楽しいんでしょうね。

宇多丸:
いま振り返ると、僕もちょうどそのくらいの年齢って、仕事的にも経済的にも余裕が出てきて、なおかつまだまだ気ままな立場で……、人生で一番、「好きなときに好きなことをやる」というのを、本当に実行してたころかもしれないですね。
それこそ毎日のように、友達と延々、キャッキャキャッキャキャッキャやってましたよ。
そう言えば、そのときのメンツも、紅一点シフトだったわ。

とにかく、前に二十代後半~三十代初めは「第二思春期」って持論を話したと思うけど、その悶々さえ通り抜けて、あらゆる意味で思いっきりハジけられる、言わば「最後の青春期」というか。

こばなみ:
最後の青春か~。たしかに、私もそのくらいのとき、新宿に住んでて毎晩のように近所に住む同僚と飲んで帰ってまた誰かの家で飲んで、また会社行って、ってのが楽しかったです。いまはもうできないけど。

宇多丸:
そうなんだよ! 
アラフォー越えると、仕事上の責任がさらにぐっと増してきたり、結婚したり出産したりで、前ほど好き勝手やってられない立場になってくるというのもあるけど、それ以前に、体力的にそこまで元気がなくなってきて、毎日飲んで騒いでとか、できないし、したくもなくなってくるんだよね。

もちろん、いくつになろうが青春気分になるときはまた来るかもしれないけど、経済力や社会的地位の裏付けがある「本当の自由」と、知力体力の充実が一番一致してるのって、やっぱりそのくらいの年ごろなんじゃないかな~。

なので、みーさんたちのその勢いも、はっきり言って、今この時期ならでは、のものなのかもしれない。
結婚に対する躊躇も、ひょっとしたら、この先に待っているであろう「青春の終わり」を、どこかで予感してるからこそ生じちゃったものだったりするんじゃない?

だったらますます、いずれ「私はもう、あのころ一生分遊びまくったから、そういうのは卒業でいいです」と言えるくらい、悔いを残さないよう、今を思いっきり楽しんだほうがいいよ! 
そのためにもやはり、彼の理解を得られるよう、誠意を尽くせばいいんだと思うけど……。

ただ、ここまで話しててやっぱりちょっと気になるのはさ、みーさんは、こういう件に対して彼がどういう反応をするような人なのかってこと、よくわからないまま結婚しようとしてるのかな?
 だとしたら、それこそが問題なんじゃないだろうか……。

それこそ彼が、これまで話してきたようなことがまったく耳に入らないような、ものすごーく嫉妬深い野郎だった、みたいな可能性だってあるわけだよね? 
それって、相手の人間性に関わる、とっても重要な部分じゃん。
つまり、結婚を決めるはるか手前の段階で、しっかり見極めておくべきことじゃん!

こばなみ:
3年間、彼氏のどこ見て付き合ってたんだと。

宇多丸:
この程度の問題を、直接話し合って解決するような関係じゃないっぽいっていうのが、余計なお世話かもしれないけど、ちょっと心配になっちゃうあたりですよね……、だって、曲がりなりにもこれから、一生一緒に過ごすことになる相手なんだよ?

個人的には、これは男女問わずですけど、一方的に嫉妬深い人っていうのは、誰かと永続的かつ安定的な関係を築いていくの、難しいと思いますよ。
だって、結局自分のエゴを押し通してるだけなんだもん!
 そんなのは上手く行ったところでただの「支配」なんだけど、そういう人に限って、執着の深さこそが愛の証しだと思い込んでたりするから、ホント始末に負えないですよ。

スティングがソロになって最初に出した『If You Love Somebody Set Them Free』って曲、知ってます?
なんでこの曲を作ったかっていうのを、当時スティング自身がインタビューで話してたのをよく覚えてるんだけどさ。これ実は、ポリス時代の言わずと知れた大ヒット曲『見つめていたい』の、セルフアンサーというか、アンチテーゼなんだって。
つまり、みんな『見つめていたい』を、「美しい愛の歌ですね」とかなんとか言って褒めてくるんだけど、とんでもねぇよと。
あれは、相手のすべてを監視し支配したいっていう、恋愛という美名のもとで正当化されがちな、恐ろしい心理を描いた歌なのに……という。
だからソロ一発目で、「誰かを愛していると言うなら、その人を自由にしてやるべきだ(若干意訳)」っていう、これ以上ないほどまっとうなメッセージをバシッと歌っておこうと思った、みたいなことだったと思いますよ、たしか。
ホント、とってもいいこと言ってるからみんな聞いて~!って感じだよ。

そりゃ、時に好きな人を独占したいって気持ちが内心湧いてしまったりするのもまた、人間だから仕方ないだろうけどさ。
それを大いばりで振りかざして人に押しつける、みたいなことは、少なくとも大人なら、自ら厳しく戒めていかなきゃダメでしょ。

ということで、みーさんの彼も、そういう風に束縛を良しとするような、幼稚な恋愛~人間観の持ち主というわけじゃないといいですよね……。
もし、幸いにもそんなんじゃなくて、むしろ、「相手のことを思いやり、幸せを願って、そのためにできることをやる」っていう、要はちゃんとした意味で「他者を愛する」ことができるような人なんだったら、たとえば目下みーさんがこれほど楽しみにしてることを、頭ごなしに奪おうとは考えないはずだと思いますよ。

なので、ある意味これは、正式に籍を入れてしまう前に、彼の人間性を改めてジャッジする、最後の機会でもあるんじゃないですかね。
快く送り出してくれるのか、逆に、問答無用で禁止してくるのか。
後者だった場合は……、まぁそこからは自分で考えて、決めてくださいよ。

前者だった場合も、さっき言ったように、彼への心づかいというのを、決して欠かしちゃならないのは言うまでもない。

要約すれば、彼という人をもっと理解する努力と、自分を理解してもらう努力、その両方を、仮にも結婚しようと言うならば、もうちょっとしっかりやっといたほうがいいんじゃないか、ということですかね。

で、晴れてゴーサインが出たら、周りに迷惑をかけたり身体を壊したりしない範囲で、今この瞬間、オトナの青春期を、思う存分満喫しちゃってくださいよ!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2016年2月13日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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