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子どもを産みたいけれど、結婚を前提に付き合っている彼との子どもを妊娠する可能性は低いことがわかり……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室311】


✳️今週のお悩み✳️
1年半付き合った彼氏との結婚について相談です。私は子どもを持つことに憧れが強く、人生の大きな目標として子どもを産みたいと思っています。しかし、結婚を前提に付き合っている彼氏と、いわゆるブライダルチェックをお互いにしたところ、彼氏のほうに問題があり、ゼロではないが、妊娠の可能性は低いと言われてしまいました。不妊治療を行なっているクリニックに2人で相談に行き、不妊治療のコストを現実的に考え、半年の間に自然妊娠しなければ別れようという話になりました。彼氏も子どもは望んでいますが、養子や里子は愛せる自信がないとのことでした。もうすぐ、期限の時期になります。できなければ別れる、と決めたものの、やはり好きになった人ですし、本当に別れるべきなのかとても悩んでいます。彼氏とは、週に一度会う程度で同棲の経験もありませんが、とても誠実で、収入も申し分なく、一緒にいて癒される存在です。ただ、結婚し、不妊治療をどんなに頑張っても子どもが出来なかった時のことを考えるとどれほど後悔するのかと予測がつきません。かと言って約束通り別れたとして、これから婚活をし、同じように一緒にいて癒されるような存在で、かつ子どもを作ることに問題のない方と出会うことはとても難易度が高いのではないかと思います。この人だったら子どもができなくてもいい、と思えるかどうかが肝だと思うのですが、そこでどちらにも決められない状態をどう抜け出せばいいでしょうか。なにか、決断の決め手になる考え方や方法があれば教えていただけたら幸いです。
(あまいしお・29歳・公務員・東京都 )


こばなみ:
ブライダルチェックって調べたら、たくさん出てくるし、やってる人もいるんですね。でもこれ、まさか私たちに限って……!という感じだったでしょうね。こうなったときのことって、想像してやってないですよね。

宇多丸:
こればっかりは、僕らがあんまりとやかく言うこともできないというか、人生において何にプライオリティをおくかなんて、人それぞれだからね。

あまいしおさんにとっては、とにかく子どもを産むというのが絶対的な最優先事項で、そこがダメなら他が全部良くても意味ない!ってことなわけでしょ?

僕個人はそれとはまったく違う人生観でここまで来ているので、そっか、そこまでのマスト事項かぁ……って感じだけども。

しかしこれは彼も辛いよね。自分を責めてしまいそう。

こばなみ:
大黒摩季さんも、自分は子どもが産めなくて、それで罪悪感みたいなのを感じちゃって、離婚したそうですね。

ダイアモンド☆ユカイさんは、そういうチェックでまさかの自分が原因で、で、ものすごい不妊治療して子どもが生まれたそうですね。でも不妊治療はコストがかかるからできないんですもんね。

宇多丸:
まぁ、あまいしおさんのところに関して言えば、ぶっちゃけこんなテンションのまま結婚しても、間違いなく禍根を残すことになるんじゃないですか。

何かにつけ「あぁ、ホントは私、子ども産めたのに」と思い返したりして、どっちも延々苦しむだけ、ということになりかねない。

実際あまいしおさんは、「子どもは産めないかもしれないけど、彼のことが好きだからなかなか別れられない」っていうよりは、どっちかと言うと、「彼級に申し分ない人で、なおかつ子どもが産める相手と今後出会えるかどうかがわからないから」、つまり身もふたもない言いかえをすれば、「損するかもしれないから」迷ってるわけでしょう。

こばなみ:
「なにか、決断の決め手になる考え方や方法があれば教えていただけたら幸いです」ってことですが。

宇多丸:
それはだから……。

なんにしたって今の彼とでは、あまいしおさんの絶対的ファーストプライオリティは、満たせない可能性が高いわけだからさ。

それでもいいからこの人と一緒に人生を歩みたい、つまり、それまでの人生設計や損得勘定は後回しにしてもいいやと思えるくらい、彼でなきゃ!という思いが現時点でそこまで強くないんだったら、もうその先はないでしょう。

そういう現状を、しっかり直視する、ってことじゃないですか。

幸いにもと言うべきか、付き合って一年半、「週に一度会う程度で同棲の経験もありません」ってことだから、実はまだ、後戻りできないほどの深い関係、ってわけでもなかったりするんじゃない?

それこそ彼だって、子どもを産むっていうのが絶対条件じゃないお相手と出会う可能性、これからぜんぜんあるわけだからさ。

そのための貴重な人生の時間を、内心不満たらたらな相手とむざむざ浪費させてしまうのも、かわいそうでしょ。

だから本当に、あまいしおさんカップルに関しては、結婚する前にわかってよかったね、チェックしといて正解だったね、ってことですよ。

こばなみ:
そうですね……。

最初私は、この相談を読んだとき、自分の価値観で「検査なんかしなきゃよかったのに」と思っちゃったし、「んな検査なんなんだよ!」とかも思ってたんですけど、子どもマストな人にとっては良い検査になりうるのですね。

宇多丸:
そう、あくまで彼ら、というかあまいしおさんタイプの人にとっては、ね。

しかしまぁ、人生観ってホント、いろいろだなぁ。

個人的には、いつも同じこと言ってますけど、子どもを産んだって不幸になる人はなるし、そうじゃなくたって幸せな人はいっぱいいるしで、要は人生の選択肢や幸せのあり方って、本当はもっといっぱいあるはずだよね、ってことは言っておきたいですけどね。

出産や子育ての件に限らず、「人生、こうでなきゃ」って決めつけると、むしろ不幸になりやすい、その確率が高くなるんじゃないかと僕は思うんですよね。

だって、思い通りにゆかないことのほうが、絶対に多いんだから。

子どもを産まなきゃ、結婚しなきゃ、金持ちにならなきゃって……、でも、どんなところにも幸せは見つかるし、どんなところにも不幸はあるんだよ。

それこそ、こんな思いをして産み育てたガキが、まさかこんなザマになろうとは!みたいなことだって、余裕でありうるわけじゃないですか。

でも、それさえも人生の糧なんだ、というような考え方だってあるだろうし。

要は、何をもって幸とするか不幸とするかなんて、そうそう単純に線引きできるもんじゃないわけでしょう。

なんて言うのかなぁ、自分はそうじゃない!って決めつけるだけじゃなくて、もっといろんな生き方や幸せのあり方を、謙虚に参考にするのもいいんじゃない?と思います。

そういう意味では彼だって、養子や里子というシステムに対しては先入観があるようだけど、当然ながらそれで最高にうまくやってる人たち、いーっぱいいますから。

前にもこの連載でおすすめした古泉智浩さんの漫画、読んでほしいですけどね。

とにかく、人生にはいろんな選択肢があるんだ、ってことくらいは念頭に置いといてさ。

もし仮にもろもろが事前の思惑から外れてどうにもならなくなっても、「まぁ、思い描いてたのとは違うけど、こっちもありか?」くらいの感じで、事態にできるだけ柔軟に対応できるよう心がけといたほうが、少なくとも前向きではいられると思うんですよね。

こばなみ:
私は子どものことはどうするか決められないで、ここまで来ちゃいました。今もはっきりは決められない。なりゆきでいくしかないですねぇ。

宇多丸:
職だってなんだってさ、最初の夢とは違うけど、こっちも悪くねぇか、っていうもんだったりするわけじゃん。

何事もどうせなるようにしかならないんだから、あとはそのなかでいかに腐らずに生きてゆくか、ってことでしょ。

そんな感じで、さしあたってはそんな考え方も頭の片隅に置いてもらいつつ……、とは言えもちろん、あまいしおさんの子どもが欲しいって願いも、間違いなく切実なものではあるわけだから。そこに関しては彼とはご縁がなかったということで、やっぱりお互い、涙をぬぐって先に進むのがいいんじゃないですかね。

まぁ、まだ比較的お付き合い期間が短い段階で問題点を顕在化できたのは、むしろいいことだった、という風に考えておきましょうよ。

彼のほうも、検査や率直な話し合いにも応じてくれて、いい人だったのは間違いないよね。そのことも、恵まれていたんだと感謝しつつ……。

いずれにせよこれは、あまいしおさんの今後の生き方全体を左右する、本当に重大な局面だと思うんで。

彼と別れても、あるいは子どもを産まなくても、どっちにしたっていずれ後悔はするかもしれないんだとしたら、どっちを取るか?

もう一度よーく天秤にかけて、悩み抜くしかないっすよ、ご自分自身でね。

こばなみ:
じっくり悩み抜いて、それで決めたことなら、いいと思いますので。少しでも役に立てていたらいいですが……、またなにかできることがあれば、ご連絡ください!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2020年2月22日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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