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【ライムスター宇多丸のお悩み相談室82】子連れで飲み会に参加するのは控えるべき? 「母と酒」についてどう思いますか?


✳️今週のお悩み✳️
お酒が好きで、毎日晩酌の瞬間を気持ちよくするために仕事も頑張っているようなものです。でも帰宅して飲んでしまうと、家事をやる余力がなくなって……、家の中はとっ散らかっています。また酒が入ると素直になってしまって、普段我慢している夫への不満が子どもの前でも爆発してしまうことがあって、翌朝死にたいくらい反省します。また飲み会・食事会に行くことも出産後減ったとはいえ、たまにはやはり行きたくて行きます。夫にお守りを頼むより連れて行った方が楽な ので息子連れで参加。たいてい可愛がってもらって楽しく過ごすのですが、深夜に幼子を抱えてへべれけの母が帰宅……、冷静になれば、褒められたもんじゃないということもわかります。やはりお酒はやめる、または控えるべきでしょうか? 外飲みは子どもが大きくなるまで諦めるべき? また、酒飲みのママは息子の目にどう映っているのでしょうか? 今のところ、ママが一番好きと言ってくれますが、飲まないでほしいと思っているのかなあ、と気になります。宇多丸さんは「母と酒」についてどう思います か?
(ミセスDrunk・35歳)


宇多丸:
前に「お酒が適量で止められない」って悩みがあって、僕もまったく同じタイプです!なんて話をしましたけれども、今回はそこにさらに「まだ子どもも幼いお母さんとしてどうか?」という問題が加わってると。前のはまだまだ呑気だったね!

たしかに、飲み屋にまだ小さめな子どもを連れてきてる人もたまに見かけるけど、それがあまりにも深い時間だったりすると、正直どうなのって思っちゃうところはあるよね。
もちろん子どもの健康や教育上よろしくないんじゃないのっていうのもあるし、店の種類によっては、そもそも大人の空間を乱すようなことはできるだけ控えてくれよマナーとして……と思うことはやっぱりありますよ。

またそういう親に限って、子どもが店の中を騒いで走り回ったりしてても、たしなめたり叱ったりあんましてくれなかったりするんだよな……。

僕的な許容範囲は、せいぜい22時くらいまでかなぁ。
そのあたり過ぎたら、あんたらそろそろ帰ったほうがいいんじゃないの?ってぶっちゃけ思っちゃうかも。

こばなみ:
友達とか飲み会に子どもを連れてきても、19時くらいには帰りますよ。あと、個室が基本かも。私、どうしていっつもチェーン店の個室ばっかり予約 するんだろう、もっと美味しい居酒屋あるのにー!って思ってたんですけど、子ども連れだから周りのお客さんにも子どもたちにも気を遣ってるんだと後から気づいて。そういう配慮とかは、あったほうがいいかもなって思いました。

宇多丸:
でも、だからと言って、お酒を飲む習慣自体をいきなりすっぱり止めたりする必要もないと思うんだよね。
「お母さんになったから」人生の楽しみを捨てなきゃいけない、なんて法はどこにもないよ!

深夜過ぎまでの外飲みだって、子どもの面倒見てくれる人さえいれば別にいいんじゃない? 
まぁ程度問題もあるけど、連日連夜ってわけじゃないんでしょ。「たまには」だったら全然行きゃあいいよ!

僕の知人のお母さんでも、お酒大好き!でわりといっつもベロベロになってるけど、楽しそうで何よりですね、って人はいっぱいいるよ。
それでも子どもはみんな立派な大人に育ってるから大丈夫! 
ま、あくまで「楽しい酒」だったらば、ってとこは大事かもしれないけどね……。

ちなみに、ミセスDrunkさんのところは共働きってことですよね。
「夫にお守りを頼むより連れて行った方が楽なので」ってあるけど、あまり家事や子育てを手伝ってくれないタイプなのかな。
余裕があるなら、海外みたいにベビーシッターやハウスメイドを雇うって手も全然アリなはずなんですけどね……。

こばなみ:
息子さんの年齢にもよりますよね。けっこう自分と幼子だけ残して妻が出かけるのを嫌がる旦那さんはいますよね。子持ちの友達とかみてると、けっこうハードルが高い気も。もちろん頻度にもよりますけど、いろいろと言われるんだったら一緒に連れていったほうが楽!ってのはあるのかもしれないですね。

宇多丸:
でも、旦那は普通に同僚と飲みに行ったりもしてるんだったら、やっぱりミセスDrunkさんだけが「お母さんだから」一方的に我慢しなきゃなんないってのは不公平だよな。
家の中がとっ散らかってるのだって、半分は旦那の責任のはずだろ! 
そういうとこで非協力的だったり、なんなら性差別的だったりするような人なんだったとしたら、そりゃあさぞかし不満も溜まるでしょうよっていうね。

ただ、仮にそうだとしても、「普段我慢している夫への不満が子どもの前でも爆発」、これはやっぱり、避けられるもんなら避けたほうがいいよね。

とりあえずはイライラを溜め込まないように、「ご存じの通り自分は飲酒が何よりの楽しみである」「ただしそのためには配偶者の協力もある程度は必要である」ということを、普段からできるだけ穏やかに伝えておく、というのがやはりまず大事かもしれない。
くれぐれも怒って言っちゃダメですよ!

と同時に、ミセスDrunkさん側も、マイナスポイントは「飲酒して泥酔する頻度が高い」という一点に絞るよう努力する。

まず、対子どもとか対家庭抜きにしても、楽しく酔っぱらえないっていうのは普通にお酒飲みとしてどうかと思うから……、家飲みだと気を張ってないせいか泥酔し て荒れがちになっちゃうって人、他でもよく聞くんで、さしあたって家では飲まないようにするか、分量を制限してみては? 
買い置きとかしないようにするだけでもだいぶ違うと思いますよ。

とにかく自分に合った酒の種類、量、飲み方をわきまえるなんていうのは、特に35歳にもなったらいいかげん大人の飲んべえとしてきちんと身につけておくべきマナーの類いだと思うんで、そこはしっかりよろしくということで。酒は一番身近な「危険ドラッグ」ですからね!
 もちろんときには完全に羽目を外すようなときがあってもいいんだけど、そこはできるだけ家族を巻き込まないようにするとか、まぁ当たり前の話ですよ。

それから家事問題も、飲んで酔っぱらっちゃう前に片付けるようにするとか、あと一歩、きちんとこなせるよう気合いを入れる!
 「飲む」というマイナスをクリアするために、あらかじめ「家事やる」というプラスポイントを稼いでおく、みたいなイメージというか。

それに、家の中が荒れ放題っていうのこそ、飲み屋に連れてくことなんか以上に、一番教育上問題な部分ですよ!
 子どもはホント、そういうとこばっちり受け継いでいっちゃうからね……。
こないだ久々に実家に帰ったら、自分の「片付けられない」性質が、完全に母親譲りだったんだってことを目の当たりにして、愕然とさせられましたから。「あ、これがルーツか……!」って。

いずれにしても全般に、旦那の協力も得つつ、というのは必須でしょうね。
夫婦間のコミュニケーション、ちゃんと取ってこーっ! しっかり声出してこーっ! あ、それと「酒飲みのママは息子の目にどう映っているのでしょうか?」って件ね。

子どもは基本的に酔っぱらいの大人は嫌いだから、ホントは内心「ちょっとイヤだなぁ」くらいは思ってるかもしれないけど……、それでもまだ「ママが一番好き」なんて、可愛いこと言ってくれちゃってるわけでしょ。
だからたぶん、「(自分の)ママっていうのは、そういうもんだ」って受け容れてるだけですよ、単に。
要は、完璧な親なんていないし、子どもは親を選べないからさ。
特に幼いときは、誰だってそうするしかないんだよね。

こばなみ:
もっと子どもが大きくなったら、しょもないキャラとして認識できることもありますよ。
うちの母、前にも少し話したかもしれませんが、気が強いというか、家族で一番威張ってるんですけど、昔はけっこう酒飲みで、祭りの夜とかにものすごい酒を飲んで帰って来たと思ったら、ネゲロしていて……。お父さん(気弱)が一生懸命片付けてました。とほほ。

宇多丸:
前も聞いた気がするけど、どっちかって言うとお母さんがグイグイ派で、お父さんは大人しい人なんだよね? 
夫婦としてはいいバランスかもしれないけど、さすがにネゲロはどうよ……?

こばなみ:
そこまできたらもう逆にウケちゃいましたけどね(笑)。でも、それでも家族の中で冗談になってたのは、ネゲロ以外はちゃんとしてたからかもしれま せん。飲みに行くときでもごはんをちゃんと作っていくとか、部屋もきちんと片付いてるとか。ま、私は汚部屋体質なので、それが遺伝しなかったのは残念です が。

宇多丸:
なるほど、まさにさっき僕が提案した通り、マイナスポイントを一点に絞った成果ですね。

子ども目線の話に戻すと、そういう風に親のダメなところを客観的に認識できるようになる、たとえば他の家のお母さんと比較して「うちのママは酔っぱらい方がひどいなぁ」なんてことがわかるようになってくるっていうのも、人間としての立派な「成長」の一過程ですからね。
むしろ、親が至らないとそのぶん子どもは早めに成熟する、という傾向はちょっとあるかもしれない。それがいいことなのかどうかは場合によるでしょうが……。

とは言え、母親になったからって、いきなり聖人になれるわけじゃないからね。
世の中的には、冗談抜きでそういう「母たるものすべからく“聖母”たるべし」的な、「母性」幻想の押しつけみたいのって、いまだに根強かったりもするんでしょうけども……、そんなとこに合わせようとして苦しんだり悩んだりする必要は、いっさいナシ! そもそも無理なんだから。
参考までに、ライムスターの『Hands』って曲なども聴いてくださいまし。

結論を整理すると、「普段我慢している夫への不満が子どもの前でも爆発」「深夜に幼子を抱えてへべれけ」だけは、後々いろいろ問題も起きかねないので、できるだけ早く改善しましょう!
 
「子連れ外飲みは22時まで」
「へべれけになるまで飲むなら、お子さんは預けて、外で」
「お家で飲むときは、最低限の片付けなどやるべきことをクリアした上で、適量を守る」
「普段から夫にも相応の家事・育児への協力と負担をお願いし、不満を溜め込まない」
以上を心がけて楽しく酔っぱらうぶんには、な~んの問題もないはずです!


【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2015年2月7日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
こちら
※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
こちら


女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。



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