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女性メンバーの自己肯定感を上げたい! こんなとき、どうする?

リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。

そこで、
女性リーダーたちが実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。

今回は、広告系企業で部長職を担うルイさんが経験した、部下の育成における課題について。男性主体の組織のなかで、どうしても声が小さくなりがちな女性メンバーを育てるために取り組んだ方法を紹介します。

ニックネーム:ルイさん(50代)
金融系の営業事務職、編集プロダクション、広告制作会社を経て、広告プロモーション会社では部長職に。持ち前の体力と気力をもって、猪突猛進で仕事に取り組む体育会系の自覚あり。2022年度から新天地で活躍中。


男性社会で女性はマイノリティ。プレゼンが通らず、自信をなくすことも


もともと男性社会の広告業界では、女性は言わばマイノリティ。今でこそ、私が所属していた広告系の会社は女性の従業員が30%程度になっていますが、以前はもっと少なかったんですよね。

そんななかで20年以上働いてきた私の肌感としては、やっぱり男性と女性っておもしろがる部分がちょっと違うな、と。

もしかしたら性差というより、広告業界に古くからいる人たちの傾向かもしれないですが、男性はとにかくドカンと大きいことをしたい、「世界初」とか「日本一」とか分かりやすいネタが大好き。

一方、部下の女性メンバーを見ていると、ちょっとした心の機微や共感性をすごく大事にする傾向があるな、と。だから、細かくて繊細な企画を出すんですが、それが男性の上司には伝わらず、企画が通りにくいんですよね。

そういうことが続くと「どうせ、企画も通らない」「どうせ、私なんて」と感じてしまう。プレゼンも自信がないような話し方になってしまい、なおさら伝わらない……というメンバーもいました。

いろいろなことが悪循環になってしまっているのですが、それを打開するためには、根本的な部分で「自己肯定感を上げる」ことが大切だと思っています。

女性社員の自己肯定感向上につながる、アイデア創出プロジェクトを立ち上げ


企画を提案する際には、自分の気持ちを言語化して、きちんと話せることが大事。自分にとっての「好き」や「おもしろさ」、「正義」がどこにあるかを理解できているからこそ、「だからこそ、この企画」と自信を持って提案できるはずです。でも、自己肯定感や自信がないと、それができない。

私自身も、もともと自己肯定感が低いタイプでした。今でこそ、本当にベラベラしゃべりますが、昔から自分の話はしないし、言語化をするのもの苦手。人におしつけられるのも好きじゃない。いつか読んだ占いにも「もともと押しつけられることが嫌いなので、自分の考えを押しつけることを悪だと思っている」って書いてありました(笑)。

なにしろ親が厳しくて、中学から大学まで10年間女子校育ち。礼儀作法や言葉づかいから、立ち居振る舞い、服装、男女交際までとにかくうるさくて。そんな経験もあってか、責任感が強くてくそ真面目な性格に育ってきたんです。

だから、自分がしゃべることは、「武士に二言はない」の精神で、絶対に成し遂げられることのみ。真実しかしゃべってはいけないと思っていたから、「何が好き?」と聞かれても、「今はこれが好きな気がするけれど……変わっちゃう可能性もあるからあんまり好きなことって言えないな」って考えていました。そうすると、なかなか自分の言葉が出てこないんですよね。信条は「不言実行」です(笑)。

そのため言葉ではなく、行動と態度で信頼感を得ていくタイプ。長い付き合いの中で態度や振る舞いで唯一無二のコミュニケーションを取っていくやり方なので、「わかりにくい」とよく言われていました(笑)。

「みんな、そうなふうにしゃべっているんだ」という気づき


でも、5年ほど前に通った青山学院大学の「ワークショップデザイナー育成プログラム」でコミュニケーションの方法論を学ぶことで、大きな気づきがありました。それは、「今思っていることが、たとえ明日変わったとしても、今は自信をもってしゃべればいい」ということ。武士にだって、二言はあってもいいのかも。みんな、そんなふうにしてしゃべっているんだと、50代になってようやく気づいたんです。

そこで学んだワークショップやコミュニケーションの手法を用いて、社内の女性社員によるアイデア創出プロジェクトを立ち上げました。女性社員たちに、企画のアイデアを持ち寄ってもらい、ブレストをしたり、アイデアの背景や想いを語ってもらったり。決して大きい声での話し合いではないですが、「わ〜か〜る〜!」と小さな共感が飛び交うような場です。

実施後のアンケートでは「私の考えていることが間違っていないんだと思えた」といった声が返ってきました。

自分の思いやオリジナリティって、自分にとっては当たり前なので、それが特殊なのかどうか、おもしろいのかどうか、自分には分からないことが多いと思います。でも、人と話しをするなかで、「そこ、おもしろいですね」「そこをもう少し聞かせてもらえますか?」と言ってもらえたら、自分でも発見できるはず。

1 on 1でのコミュニケーションでも応用


だから、例えば、1 on 1でも、相手を否定しないで、メンバーの「好き」や「おもしろい」を引き出せるまで問いかけをする。トヨタ式のなぜなぜ分析のように「なぜ?」を繰り返して、本質に迫っていく。

ついつい、上司としての意見を言ったり、勝手に相手の意見をまとめたりしがちですが、そこは我慢。相手も「『なぜ?』って言われても……」って怒っちゃうかもしれませんが(笑)、それでも、認識の違いもすり合わせながら、相手を否定することなく、掘り下げていく。

そんなふうに、少しずつ自分を掘り下げてくれる対話ができていったら、それはチームメンバーにとって、自分のことに興味をもって自分も気づかない自分に気づかせてくれるようなコミュニケーションとなり、きっとものすごく楽しい作業になると思います。

イラストレーション:高橋由季




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