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【福岡】寄附で集まった医療用ウィッグをレンタルで再提供する「NPO法人ウィッグリング・ジャパン」

日本全国でがんばっている女性を紹介する「のぼり坂47」プロジェクト。今回は、がんなどの治療で脱毛してしまった女性へ医療用ウィッグをレンタルする「NPO法人ウィッグリング・ジャパン」の代表理事・上田あい子さんと事務局・村岡美佳子さんに聞きました。


がん治療時などに必要となる医療用ウィッグを寄附してもらって再活用

「ウィッグリング・ジャパン」は医療用ウィッグのレンタルを中心に活動しています。がん患者さんが治療で抗がん剤を使うようになると脱毛する方もいらっしゃいます。そういった女性の方に1年間11,000円(税込)でウィッグをレンタルしています。
レンタルで貸し出しするウィッグはどこから来ているかというと、すでに治療が終わった方が、ウィッグリング・ジャパンへ寄付してくれたもの。それを、事務局で預かり、専用の機械でクリーニングし、貸し出しています。

医療用ウィッグは結構高価です。安くても6万円くらい、ものによっては30〜40万ほどかかってしまいます。
がんになって今から治療するというだけでも不安ですが、その上抗がん剤で髪の毛が抜けるからウィッグが必要となると、治療費にプラスして出費が増えることになります。そのため、治療にかける費用を優先して、ウィッグを諦める方も多いんです。

一方、ウィッグは治療が終わり髪の毛が生えてきたら不要になる、言わば期間限定ものです。とはいえ、使わなくなったからと言って簡単には処分できないようで「もし誰かが使ってくれるなら、寄附したい」と思っている方が多くいらっしゃるようです。

そこで、不要になって快く寄附してくれる方のウィッグを再利用して、現在治療中の方に貸し出し、不要になったら返却してもらって、また別の治療中の方に貸し出すというサイクルで運営しています。

抗がん剤の副作用で脱毛した方を中心にお話しましたが、もちろん、脱毛症や産後のストレスで脱毛された方などにも貸し出しを行っています。


もっと、医療用ウィッグがレンタルできることを知ってほしい!

現在、全国どこからでもレンタル可能です。自分に合うものが見つかるように工夫して運営しています。

もし、実際にアドバイスを受けながら試着したい場合は、来店という方法があります。それは、ウィッグリング・ジャパンのサロンがある福岡市で試着会(月2回)に参加すること。当日は、美容師さんやがんサバイバー(元がん患者)の人にも来ていただいて試着のお手伝いをしてもらっています。なので、自分に合ったウィッグを見つけることができると思います。

でも、福岡市まで来られない人もいますよね。その場合、電話で事務局がお話を伺います。そのときに、髪の長さや髪型、色などをヒアリング。そのなかから、いくつかこちらでピックアップしたものをお送りするので、自宅でかぶり比べてもらって、いいものを選んでもらうようにしています。

実は、活動をはじめてから毎日のようにウィッグが事務局に届いていまして、現在、3,000個ほどあります。しかも、年間最大3個まで借りられるので、雰囲気がちがうものをお貸し出しすることも可能です。

ウィッグをかぶるとみなさん、表情がパッと変わるんですよね。今まで脱毛でお出かけもできないと言っていた方が似合うウィッグをかぶった途端に顔色も明るくなるし、表情もにこやかになるんです!

ちなみに貸し出しの際には、申込書に担当医のサインが必要となります。ウィッグが必要な病気に罹患していない人への貸し出しを避けるため、さらには病院の先生に認知してもらうことで、ウィッグをレンタルできることを口コミで広げてほしいという期待もあります。
というのも、現在、年間で100人くらい利用者がいますが、もっと増えてほしいという願望があるから。だから、病院の先生からはもちろん、入院や通院時期が同じになった患者さん同士の口コミなどの力で知ってもらえるとうれしいですね。


きっかけは幼なじみに貸したウィッグとカリスマがん患者のアドバイス

活動をはじめるきっかけとなったのが、私、上田の幼なじみが35歳で乳がんになってしまったこと。彼女から、「まわりにがんの経験者もいないし、仕事も続けられなくなるし、どうしよう」と相談がありました。
私のママ友でがんの経験者がいたので、連絡をとってみたところ「使わなくなったウィッグがあるけど、どう?」と言ってもらい、おせっかいながら彼女に渡したんです。

そのときは反応が薄かったので、気分を損ねたんじゃないかと不安でした。でも、後々聞いてみると、それまでは、「どうして私だけこんな目に遭わなければいけないのか」と、やさぐれてたところ、ウィッグを手にしたことで、闘っている人は自分ひとりではなくて、ほかにもたくさんいるんだと思えたと。ウィッグのおかげで前向きな気持ちになれ、「借りた人に笑顔で返せるようにがんばって乗り越えよう」と勇気がもらえたそうです。

そんな体験があった直後に、カリスマがん患者と出会う機会がありました。

彼女は、自身の乳がん闘病後約30年間、人工乳房を販売しているのですが、最近はひとつ3万円前後の人工乳房も買えない経済状況の人が多いと感じていました。ちょうど彼女が患っていたバブル期には、躊躇なく買う人が多かったそうです。

人工乳房も買えないのなら、もっと高価な医療用ウィッグも買わないですよね。
そう考えていたとき、彼女が「バブル期に患った人たちのウィッグがタンスのなかにあるはずだから、それを集めてリサイクルすればいいと思う」と言ったんです。

今でも彼女は発起人としてウィッグリング・ジャパンに関わっているのですが、年齢的にも代表として動くのは厳しいとのことで、私が代表となって活動することになりました。

幼なじみから相談されたのが2010年の2月。そこから、発起人のウィッグレンタルの構想を聞いて動きはじめ、活動の予告記事が新聞に掲載されたのが5月。数が集まらないと好きな髪型が選べないので、ウィッグが100個集まったらスタートすると決めたところ、約2ヵ月で集まり7月7日に本格始動しました。

短期間で活動を開始しましたが、今年で11年目。累計で1,000人以上の人に利用してもらうまでになりました。


ウィッグだけでなく、闘病中、闘病後のサポートもしていきたい

ウィッグレンタルの活動のほかに、月1回、「カフェで学ぼうがんのこと」という主にがんに関するセミナーを行っています。
「カフェで―」という名前をつけたのは、医療セミナーは堅苦しい、難しい、敷居が高いというイメージを変えたかったからです。10人くらいの少人数で、先生を囲んでお茶やお菓子を食べながらカフェでくつろいでお話を聞くような、カジュアルな雰囲気を大切にしています。
現在はコロナ禍ということもあり、会場とオンライン配信を並行して行っていますが、そのおかげで、福岡以外の方からも参加してもらえるようになりました。

また、患者さんは退院したり、病気が治ったりしても、その後も不安がつきまといますよね。「そういう方たちが相談できる場があれば」と思い、「認定サポーター」という制度をつくりました。
女性がよく利用する美容院や、エステサロンなどで、気軽に相談してもらえるような仕組みです。

これは、がんに関する勉強をする認定講座を美容院やエステサロンなどを営む方に受けてもらい、ウィッグリング・ジャパンが認定すれば、そこに相談できるという活動です。
たとえば、大阪に住んでいて郵送でウィッグを借りるとします。でも自分に合っているかどうかわからないときに、大阪の認定美容院に行けば、美容師さんと一緒に選んでもらったり、ウィッグがかぶりやすいように地毛を切ってもらったりすることが可能です。こういった病院を出たあとのがんにまつわる外見の相談や心のケアをしてもらえる場所になっています。

今後は、がんになって仕事を辞める人を、サポートしたいというビジョンもあります。治療が長引いたり、体調の管理が難しかったり、職場の理解がないと厳しいのが現状です。みんなに迷惑をかけるかもしれないというプレッシャーで、辞めてしまう方もいます。でも、実際には治療でお金がかかるので、仕事はやめないほうがいい。
まずは、働き続けられる環境をつくるため、職場の理解を深めるための企業研修を行っていきたいです。また、社会復帰したいというときに、先述の認定サポーターとしておうちサロンを起業することが、選択肢の1つになればと思っています。


太陽のように自ら輝き、まわりを照らしていきたい!

女性は、太陽のような存在で、社会のなかでもまわりを笑顔で照らす存在でもあり、それが魅力につながっていると私は考えています。だからいつでも自ら輝けるようにしてほしいと思っています。そして、その輝きがまわりのエネルギーになるのが理想かもしれません。
そのためには、人を照らせる余力を持っていることが必要。誰でも浮き沈みはあると思います。それでも、いつでも輝けるような精神力を身につけられるといいですよね。

★好きな言葉★

一隅を照らす

うちの会社の理念でもあります。輝く人が増えると世の中も明るくなり、子どもたちも安心して暮らせるようになるはずです。それが未来につながって、笑顔が増える社会になることを願っています。

ウィッグのレンタルなどの活動を通してがんと闘う女性をサポートする「NPO法人ウィッグリング・ジャパン

ウィッグリング・ジャパンの活動は、がん治療を終えた患者様から使用していたウィッグを提供いただき、今まさにがんと闘う女性たちへと再提供するサイクルとなっています。がん治療を乗り越えたサバイバーの皆様から、闘病する女性へウィッグを提供することでがんと闘う勇気を繋ぎ、笑顔と希望を届けます。そして女性としての自信や喜びを取り戻していただきたいと私たちは願っています。
ウィッグが勇気のバトンになります。
その他にウィッグリング・ジャパンでは治療中に必要になる商品の紹介、新品のウィッグの販売、また、医療セミナーを通じてヘルスケアと医療に関する情報提供など、様々な形でがんと闘う女性をサポートしていきます。

ホームページ:http://wig-ring.info/
ブログ:https://ameblo.jp/wig-ring/
Instagram:https://www.instagram.com/wigringjapan/?hl=ja
Facebook:https://www.facebook.com/wigringjapan/

ウィッグリング・ジャパンが取り組みをはじめた女性の健康美容支援について学べる「ウィッグリングアカデミー」
https://cheers-online.mystrikingly.com/
女子学生向けの外見ケア学割サービス
https://gakuwariwigrental.mystrikingly.com/

ウィッグリング・ジャパンが運営するメディア「チアーズスタイルTV」のYouTube
https://www.youtube.com/c/cheersstyleTV





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