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2年間も名前を呼んでくれない彼氏。どうしたらいいの?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室13】


✳️今週のお悩み✳️
付き合って2年近くになる彼氏(32歳)が、一度も名前を呼んでくれません(普段は、ねぇなど)。とにかくなぜか恥ずかしがってしまい、なんと言ってもだめです。過去の彼女も呼んだことがないそうです。半ば諦めていますが、自分を認められていない気がするし、先を考えるとやはり嫌です。どうしたらよいのでしょうか?
(いわQ・28歳)


宇多丸:
こんな人、いるんだねぇ。おい! おまえ! って小津安二郎映画の笠智衆か!? まぁ、でもこういう些細な1点がけっこう深刻だったりするんだよね…。

こばなみ:
でも、気になりますよね。なんか…。恥ずかしいって歳でもないでしょう。

宇多丸:
僕の個人的な考えは、何度か言ってるけれど、どれだけ親しくなろうとも本来は他人なんだから、そのことを忘れない関係であったほうがいいんじゃないかと思うんだよね。「ねぇ!」「おい!」とかで済ます、昔の夫婦みたいな関係ならではの良さもあるんだろうけどさ。結局「身内だからいいや」「家族だからいいや」っていうのは、意地悪な言い方をすると、内面的に「他者」と自分との線引きがちゃんとできてない人って感じがしちゃうんだよな。

で、いわQさんは今そこに不満を感じてるわけでしょ。これ実際、結婚でもした日には、その他者性の欠如というのは、別の問題でも吹き出てくるかもしれないよね。
よくいるじゃないですか。「気が利かない」とかで不機嫌になったりするタイプ。「だったら言えよな!」って思う。言わなきゃわかんないのに、「そんなことも言わなきゃわかんないのか」って怒るヤツっているよね。

こばなみ:
いるいるいるー! そんなにいつも察するなんてことしてたら、疲れちゃいますよね。

宇多丸:
それって勝手な「イズム」でしょ?

でも、結婚して家族になって、伴侶だろうって人に対して、自他の線引きが消えることをよしとしてる人もいるわけです。それで家族や奥さんとうまくいくんだったらいいけど。

旦那さん「おーい!おまえ、あれ!!」
奥さん「はい、お茶」
ってな感じでね。

でも、いわQさんの彼氏はそういうマッチョな方向性ってわけでもないのかな…。
ちなみに僕の父は母のことを、下の名前に「さん」付けで呼ぶんですよ。その夫婦の距離感は、僕は好ましいなぁと思っています。
少なくとも、乱暴な言葉使いをする親だったらすごく嫌だったろうなって思うので。

僕も奥さんの呼び方は、基本「さん」で、くだけた時なら「ちゃん」という感じ。「おい」とか「おまえ」とか考えられない!
どれだけ親しくても丁寧な言葉で話そうとはしてますよね。

やっぱりどこか「他人」なんだっていう意識がないと、実はどっちかが我慢してたりして、いずれ結局ギクシャクしてくるのではないかと思う。

まぁ、そういう自他の線引きが薄れてくるような関係性も、「それがいいんだよ!」と言われると、「そうですか」としか言えないけれども。でもたぶん、いわQさんの違和感の本質はそこじゃない?
私だって1人の人間なのよ!!っていう。

こばなみ:
恥ずかしがってしまうと書いてありますが、さん付けとかちゃん付けなら、そんなに恥ずかしくない気も。それに彼女に何度も言われてるんだったら、呼べばいいじゃん!

宇多丸:
もし我慢できないなら一度、怒ってみてはどうかな?
これだけが問題であとはうまくいっているのなら、譲ってもいいかもしれないけど、その先にある「嫌」という気持ちを予感しているなら…。

ただこれ、もしかしたら、名前を呼ぶ、呼ばないだけじゃなく、会話自体があんまり盛り上がってないのかもしれないよね。だって、いつも会話が楽しく成り立っていれば、名前をどう呼んでるかなんて、実はそんなに気にならない問題じゃない?
名前を呼ばれてないことで、自分が認められてないって思ってしまうのは、コミュニケーションがちゃんと取れていないように感じる、ということが根っこにあるのかもしれない。

こばなみ:
それは大問題! なおさらちゃんと話した方がよさそうですね。

宇多丸:
相手が馬鹿で嫌な人じゃないかぎりは言った方がいい。
だいたいさ、好きで付き合ってる相手であり、付き合っていきたい相手なんだったら、なんだって真摯に話した方がいいよ。

話してダメなら別れてしまえ!

そして、いわQさんもそうだよ。
もし、まだきちんと話してないのに不満だけを抱えているのだとしら、それはお互いイライラしちゃうだけじゃん。なんでわかってくれないの?っていうのは不毛だよ。

こばなみ:
ずっと悶々、イライラしているのは、ストレスたまる…。

宇多丸:
それにきちんと話してみたら意外とケロッと直ることもあるかもしれないしね。

男って鈍感だからさ、言われないとわかんないんだよ。

たとえば、前にあった結婚の相談の件もそうだけど、
彼女は結婚したくて、それが付き合っていく上の条件なのに、彼にはそれが伝わってない。
だって言ってないから。

それで急に「もう別れましょう」なんて言われた日には、
えええーーーーー?
なんでそうなるの?
寝耳に水とはこのことか?と。

結婚しなければ別れる級のことをなんで早く言ってくれないのか?
だったらもっと真剣に考えたのに! なんでいきなり最後通告からはじまるの? って男は思うわけ。
話、飛んでない?って。男にとっては本当にそうなの。決してふざけてるわけじゃないんだよ。僕も何度かそういうこと、あったし…。
ま、男性に限らずですけどね。なんか不満があったら言った方がいい!

こばなみ:
でも言いづらいこともあるじゃないですか…。

宇多丸:
でもだよ。「本当はあのときそう思ってた」みたいなのも、それはそれで問題あるでしょ。

男女に問わず、僕はすごくイヤなんだよね。言わなかったんだから、君の責任でもあるだろ、それは!って言いたい。
でもそこで「怖くて言えなかった」と言われると…、そっか…って凹むんだよね。

だからこそ、僕もオトナになったいまは、日頃からソフトな態度を取ろうと心がけているわけです。この人怖いと思われながら付き合いたくないよ! 僕の場合、その怖いとこが「口」なんだけどね(笑)。
ワイルドな男の人が好きって人もさ、最初はちょっと怖いとこがセクシー!とか思ってても、そのうちそれが単なる恐怖になってきちゃったら、キツいよね。

こばなみ:
男性って基本的にはおっかないですからね。女性が怒るのとはワケが違いますし。

宇多丸:
話はズレるけどさ、この人は怖いって気づいちゃって、それでも付き合ってる人ってけっこういると思うんだよね。いつも彼女側がびくびくしてるっていうか。

この間も映画館で暗くなってから入ってきたカップルのうち、女の子がなんか落としたの。そしたら男が、「てめぇ、わざとだろ!」って怒鳴って…。20代半ばくらいかなぁ、けっこうな美男美女同士だったんだけど。
要は、お互いルックスだけで選んでるな、と。お互い見せびらかし用で、でもそこにももう飽きてる。

余計なお世話だけど、やっぱりつい思っちゃうよね、「なんでこんな男と付き合うの?」と。
どんなにちんちくりんでも優しい人のがよくない~?

こばなみ:
それはそうですよー! でもですよ、こういう些細なことに対して、変に頑固な人っていますよね。私も以前、朝起きて歯を磨かないというメンズがいて、何度言っても「汚れてない」と言い張って直してくれなくて、本当に嫌でした。臭いし。

宇多丸:
とはいえ、人間だから歪な面もある。
それをぜんぶ矯正できるわけじゃないしねぇ。だからまぁ、もしも彼に関して気になることが本当にこの名前の件1点だけなら、「それだけ我慢すればいいなんて、ぜいたくな悩みかも」と考えてみるとか。

これは、『お熱いのがお好き』のラストのセリフですよ。
「完璧な人間なんていないよ」っていうさ。
いかがでしょうか?


結論:
「所詮は他人」という意識がないと思いやりは生まれない。
このままだと「おい!」と呼ばれる結婚生活も免れないので、
きちんと話すか、それはもう譲って気にしないか、決めましょう。


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2013年9月28日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。

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