1年半カラダの関係を続けている彼とちゃんと付き合いたい。今さら無理?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室84】
✳️今週のお悩み✳️
私には好きな人がいます。その彼とは元々職場が一緒で仲良くなりました。最初はたまに2人で飲みに行くくらいの関係だったのですが、ある時飲み過ぎて酔った勢いでカラダの関係をもってしまいした……。その後も月1くらいで彼から誘いがあり、飲みに行ったあと私の家に泊まるという関係がずるずる続いてしまっています。今は彼が転勤になってしまい遠距離ですが、それでもかれこれ一年半ほどこういう関係が続いています。私は彼の事が好きなので出来ることならちゃんと付き合いたいと思っていましたが、どうしてもはっきり言い出せずいわゆるセフレの関係を続けしまいました。 一度ちゃんと話し合って彼の考えを聞いてみたいのですが、はっきりと振られるのが怖くてなかなか切り出せません。もう今さら無理なのかなと感じたりもしていますが……、どうしたら上手く話し合う事が出来るでしょうか。
(ゆうき・27歳)
宇多丸:
映画で言うと『ステイ・フレンズ』とか『抱きたいカンケイ』みたいな、要は「最初はセフレ的に始まった関係なんだけど、次第に本気の恋愛感情が湧いてきてしまい……」な話って、現実にもあるんだなぁ~!って、ちょっと感心してしまいました。
こばなみ:
観ました! すったもんだはあるけれど、カラダの関係から始まって、こんなふうにカップルになれればいいですよねぇ。でも、実際はどうなんだろう? そんなうまくいく話はあるのかと思ってしまったり……。
宇多丸:
たださ、前も言ったけど、セフレになれるくらいそこんとこの相性がいいカップルは、他の部分でもきっと、かなりのレベルで「合う」二人なんだろうと僕は思いますけどね。
それに、遠距離になってからも一年半関係が続いてるって、それはちょっともう、手近な発散相手としてのセフレ、って領域はすでに超えてない? だって、彼がもしただホントに手軽にヤリたいだけなんだったら、転勤先でまた新しい相手を見つけて、ゆうきさんとはすっかり疎遠になっててもおかしくないと思うんですよね。
それでもこの関係を切ることはしない、できてないっていう時点で、彼にとってゆうきさんが、すでにそれなりの位置を占める存在になってるってことは間違いないんじゃないかなぁ。 勝算、結構あるんじゃないかって気がするんですけどね。
こばなみ:
もうちょっと会うペースを上げたり、自分からも誘えばよかったのかな。
宇多丸:
ものすごーく希望的な観測をすればさ、ゆうきさんは二人の関係をセフレって表現してるけど、彼側は実は「えっ? 俺たち付き合ってたんじゃないの?」っていうテンションだった……という可能性も、まぁゼロではないしね。
あ、そう考えると、まずはやっぱさ、基本的な質問として、「今、他にちゃんと付き合ってる彼女や、好きな人とかっていたりするの?」ってことを彼に改めて聞いてみるべきじゃない? 別にこの程度は普通の会話として全然アリな範囲だと思うし。 そこでの返答によって、彼がゆうきさんのことをどう思ってるか、ある程度は推し量れるはずでしょ。 「うん、彼女いるよ! 言ってなかったっけ?」とか、「そうそう、最近こんな子が気になっててさぁ……」とか悪びれもせず言ってくるようなら、まぁ完全にセフレ確定ですよね。 逆に「えっ? いるわけないでしょ!」とか、ちょっとでも「心外」ニュアンスが入ってくるようなら、かなり脈アリ!ってことになるだろうし。
そこまで短距離でハッピーエンドじゃなくてもさ、「(間があって)……いないよ」とかだったら、ひょっとしたら彼側も、ゆうきさんとの関係をもうちょっとちゃんとしたものに発展させたいと思って悩んでた、なんて可能性も出てくるわけじゃん? 「いつからいないの?」 「(やはり間があって)……ずっと」 「じゃあ、ずっと相手は私だけだったんだ……、だったらいっそさぁ、ちゃんと付き合っちゃわない?」 とかとかー! ヒューヒュー!
こばなみ:
「ほかに付き合ってたり、好きな人とかっているの?」って質問、いいですね。
でも、彼女がいたら、やっぱり諦める方向なんですかね……?
宇多丸:
そこも彼の返答のニュアンス次第だろうけどね。
さっきも言ったように、あまりにも悪びれる様子もなく答えてくるようなら、セフレ扱いは確定なんだから、それでも関係を続けていきたいのかどうか、自分の気持ちと要相談でしょうし。もちろん、本人がそれでもいいって思えるなら、僕はそれも全然アリだと思いますよ。
そうじゃなくて、ものすごーく言いにくそうにしてるとか、とにかくゆうきさんを傷つけたくない、こっちの関係を終わらせたくもない、という配慮がちょっとでも見えるようなら、あるいは彼の気持ちもグラグラ揺れ動いてるのかも……くらいの脈は見えますよね。
はっきりしてるのはさ、「本当は好きだったんだけど言えなかった」って告白されて、嫌な気持ちになる人って、いないと思うんだよね。
こばなみも自分の身に置き換えて想像してみてよ! 完全に男女の仲ではあるけども、正式に付き合うとか、心の底からの好意を確認し合うみたいなタイミングを逸してしまい、それでも淡々と、確実に関係は続いている、というような相手がいたとしてさ。 その彼から、一年半経ったところで突然、「今まで言えなかったけど、本当はちゃんと付き合いたいんだ! ずっと好きだったんだ!」と告白されたら? ただただ引いちゃいますか?
こばなみ:
うわっ、うれしいわわわ~(即答)。
宇多丸:
だよね?
こっちは本来そこまでのテンションじゃなかったとしても、相手の好意を知ったことで、こっちもついつい憎からず思えてきてしまうというか、つられて気持ちが盛り上がってしまうってこと、人情としてあるよね?
小学校の頃とか、「誰々がお前のこと好きって言ってたぞ~」とか聞かされると、それまで意識してなかった相手でもなんだか気になり出しちゃって、気がつくとこっちがすっかり好きになっちゃってた、みたいなことってよくあったじゃん? あれと同じ理屈でさ。
なので、それで結果として無事付き合えることになるかどうかは別にしても、ゆうきさんが正直に想いを伝えることによって生じるマイナスって、実はどっちにしろ、そんなにないんじゃないかって気もするんですけど。よっぽど押しつけがましく言わない限り、それで嫌いになるってことはたぶんないと思いますよ。
こばなみ:
しかしですよ、男性のタイプにもよるかも……。最近読んだ本(今さらながら『負け犬の遠吠え』を読破)には、面倒くさがる、つまりは責任を持ちたくないから、好きってことを言わせないようにしてるって男もいて……。ダル夫だったっけなぁ。たしかにそういうメンズ、いますよね。
宇多丸:
それこそ、がっちり「結婚」に向けて照準合わされちゃってるんじゃないか?とビビられてしまうとかは、まぁ考えられなくもないですよね。
まぁ、彼もだいたい同年代なのだとしたら、まだまだ遊んでたい、縛られたくない、って気持ちが強いってこともたしかに考えられるけど……。 でも、そこで相手の気持ちや事情も考えずいきなり距離を詰めたりしないほうがいい、というのは、別に今回のケースに限った話じゃないですからね。たとえダル夫であっても、ちゃんと自分の生き方や行動原理を尊重してくれない人とは特に付き合いたくない、と感じるのは当たり前のことで。
それに、もしそうだとしたら、彼には本命の彼女っていうのも今はいない、ってことにもなるわけだからさ。 そんななか、カラダの関係を持つっていう段階をすでに突破してるゆうきさんは、他の人よりはむしろカジュアルに彼の懐に入っていきやすい立場、って考え方もできるじゃないですか? なのでやっぱ、そうそう悲観するのは早い気がしますよ。
いずれにしても今回の相談、セフレなんていう、いわゆる「割り切ったオトナの関係」そのものに見えるもののなかに、実はとってもピュアな純情が息づいていたっていう……、なんだか、すっごく可愛らしいな、って思いますね。
こばなみ:
同性から見ても応援したくなりますよ!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2015年2月21日に公開したものを再編集し、掲載しています。