社長と上司の板挟みになり、双方の愚痴を聞いたり謝ったり……。本当はどちらかの肩を持つなど、態度をはっきりしたほうがいいのでしょうか?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室243】
✳️今週のお悩み✳️
仕事でよく板挟みになることが多く、毎回悩んでいます。私の仕事場は社長を含め上司が多いのですが、最終決定権は社長が持っている、といった感じの上司同士はフラットな仕事場です。私は社長と関わることが多いので、社長の指示や考えをほかの上司に依頼したり、その逆の場合に間に入ることが多々あります。社長も年配のためすぐ忘れてしまったり、毎回意見が変わったり、書類がなくなったりするのですが、その怒りをほかの上司に怒られたり、たまに社長に逆ギレされたりします。大抵は、ひたすら謝ったり双方の愚痴を聞いて当たり障りのないことを言って流してますが、本当はどちらかに肩を持つなど、はっきりさせた態度のほうが良いのでしょうか。お二人が実践されてる、働く上でのトラブル防御策などあれば教えてください。よろしくお願いします。
(やん・29歳・東京都)
宇多丸:
やんさんは社長と上司の間に入る立場ってことだけど、上司と部下の板挟みになって困ってる中間管理職、みたいな人なら普通にたくさんいるわけだもんね。
こばなみもそんな感じ?
こばなみ:
大枠そうですね。社長と部下がいますので。
さすがに逆ギレとかはあまりないですけど、うまくいかないことはあったりしますね。そんなときはシンプルに考えるようにはしています。
その仕事がうまくいくためにはどうしたらいいかっていうのだけを考えて、なにか言ったりやったりする。心を閉じるってわけでもないんですけど、なるべく余計な感情を排除して考えるようにはしてますけど。
宇多丸:
やんさんは、「ひたすら謝ったり双方の愚痴を聞いて当たり障りのないことを言って流して」いるということだけど、このくらいが会社員としては妥当な振る舞いという感じなのかな。
こばなみ:
なんとかなるはなるんでしょうけど、でもそれを続けているうちに、自分の意見ってなんなんだろう?とか、自分がどっちにも合わせてる感じとかで、わかんなくなって嫌になっちゃったりしそうですよね。まさにやんさんも今そうなのかもしれませんが。
宇多丸:
でも、間に入ってる立場だからこその強み、みたいなのもあるはずじゃない?
ある意味、双方の言い分を唯一客観的に把握できる人なわけだからさ。
間違っていることは間違っているとしっかり主張してくのも全然ありなんじゃないのかなぁ。
こばなみ:
この会社がどういうところなのか詳細はわかりませんけど、そういうふうに主張をちゃんとする人って、結果重宝がられますよね。
宇多丸:
はっきり言って両者とも、やんさんに甘えてるわけじゃないですか、現状すでに。
社長も上司もお互い、直接は言い合えないことを、やんさんに託してるってことじゃん? だからこそやんさんは悩んじゃってるわけだけど、ホントはその立場って、すごく強くもなりうると思うんですよ。
たとえばやんさんが、「それぞれ言ってることが違いすぎて私も困っちゃうんで、直でやってくださいます? 取り継ぎますんで」とか言い出したら、きっと両者とも、いきなりアワワワワってなりますよ。
こばなみ:
こういう人が辞めちゃうと大変なことになるんですよね。
宇多丸:
間違いなくそうだろうね。
そうそう弱みを下の者には見せられないような、なまじ偉くなっちゃった人ほど、そういう風に甘えられる存在を必要としがちなんですよね。
こばなみ:
宇多丸さんはこういう間に立つ状況はないですか?
宇多丸:
僕は今はどっちかと言うとその年配の社長サイドの人間でしょうけど(笑)、もしやんさんみたいな板挟みポジションにいたとしたら……、もちろんそれぞれの人間性や関係性にもよるだろうけど、やっぱり、その場その場でわりとはっきり言うようにはしてくんじゃないですかね。
いや、わかんないな。いざ本人を前にすると、やっぱビビって黙っちゃったりするのかも。
こばなみ:
逆ギレとかで、男の人に大きな声で言われるの、すごく嫌ですよね。
宇多丸:
やっぱり怖いよね。いきなり怒鳴ったり、威圧的な態度取ってくる人って。
たださ、そういうヤツってたいがい、いったん攻められる側に回ると、超ヨワヨワだったりするから。 必要以上に威張り散らしてる時点で、中身は気が小さいに決まってるじゃん。 まさしく虚勢というやつで、やたらと攻撃的になっちゃうのは、「ホントは弱い自分」をとりつくろおうとしてるだけだから、たいていは。
僕はだからやっぱり、「あっ、コイツ言うときは言うんだ」ってことになれば、やんさんがあっという間に優位に立つのも、全然可能だと思うんだけど。
こばなみ:
怖いから言えないっていうのもあるかもしれませんが。
宇多丸:
ま、もちろん、ガチで空気悪くしちゃうのもそれはそれで望んでないでしょうからね。
だからそこはさ、この前言ったことにも通じるけど、うまーくユーモアというオブラートに包めたりするとさらにいいんだけどね。
こばなみ:
それに、はっきり言ったとしてもクビとかになるわけじゃないですしね。
宇多丸:
そうそう。
別に仕事上のことなんだから、最低限の礼儀さえ守ってれば問題ないはずだし、まして言ってることにそれなりの理があるなら、評価してくれる人は必ずいるはずだと思いますよ。
あとはさ、食事会とか飲み会とか、ちょっとくだけてもいいタイミングがあるのなら、そこを利用して、それこそ冗談交じりで釘を刺しとく、とかもアリじゃないかなと。 「社長、すぐ書類なくすから困っちゃいますよね~(笑)」「まぁまぁまぁ、いつもすまないと思ってるよ~」くらいの感じでさ。
とりあえずは上司たちに、「ちょっとそれ、私にガーガー言われても困るんで、社長に直接言ってくださいよ」とでも言って、お前ら私に甘えてるんだぞって、一度わからせてやればいいんじゃないですかね?
こばなみ:
にしても、やんさん、大変ではあるけど、お若いのに貴重な経験をされているなぁと思いました。この経験はきっとその後のキャリアにも役立つんじゃないですかね。いい立場が確立できますよう、応援しております!
【今週のお絵描き】
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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2018年7月14日に公開したものを再編集し、掲載しています。