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給与もよく残業も少ないホワイトな会社に勤めているけど、「何かを成し遂げたい」という焦燥感があります……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室254】


✳️今週のお悩み✳️
漫然と日々生活していることに焦燥感があります。私はかなりホワイトな会社に勤めており、残業も少なく、給与もいい方です。仕事の後はほとんど趣味の時間に充てられて、毎日楽しく過ごしています。しかし心の底で「自分はこんなもんじゃないはず」「何かを成し遂げたい」という思いが消えません。学生時代の同期が遊ぶ暇もなく働いていたり、テレビなどで同世代の人が活躍している姿を見ると自己嫌悪で胃が痛くなります。面倒くさがりで明確なビジョンもないくせに向上心だけは一丁前です。転職をして心機一転がんばってみようと考えるたび、趣味に時間とお金を割ける現在の恵まれた生活と比べてしまい、一歩が踏み出せません。こんな私に喝を入れてほしいです。
(ペンシル・25歳・会社員・東京都)


宇多丸:
仕事ラクめで給料はいい……、世の中にはこういう会社、ホントにたまにあるようですね。

こばなみ:
こんなにブラックブラックと騒がれている中でね。でも、それに焦燥感ですからね。

宇多丸:
つくづく人間というのは、苦悩を抱えずには生きられない存在なんだなぁ、と改めて思い知らされるような相談ですよね。

僕、フツーにペンシルさんの環境、うらやましいですけどね。

こばなみ:
わたしも~!

宇多丸:
結局、ないものねだりしちゃうんですよ、人というのは。
安定してない人は安定を求めるし、いざ安定しだすと、なんか安定してない人のほうが立派なことをやってるように思えたり、安定が罪のように感じちゃう、という。

こばなみ:
忙しくないとダメ、みたいな。

宇多丸:
ペンシルさんの場合は、「何か成し遂げたい」って焦ってるんだけど、まずその「何か」がなんなのかも自分で把握できてないから、当然ただただ悶々としてるしかない、っていうことになっちゃってる。

でもさ、何かを成し遂げたとか、活躍してる人っていうのは、漠然と「成し遂げるため」とか「活躍するため」にやってるんじゃなくて、あくまで具体的なその「何か」がやりたいからとか、好きだから、というところに突き動かされて、努力するなり突き詰めるなり、をしてるわけでしょ。
順番が逆なんですよね。
みんな、がんばること自体が目的でがんばってるわけじゃないし。

こばなみ:
ペンシルさん、趣味と時間とお金はあるんですよね。

宇多丸:
それ以上必要なものなんてある?(笑) 最高じゃん!

せっかく時間とお金があるんだから、趣味を人並み以上のレベルに持っていく、とかもしやすいわけでしょ。

例えば、「友人が海外留学から戻る2年後に音楽活動を始めることに。だけど、そのつもりでいまの人生を決めてもいいものか……」の相談ときも話したけど、音楽でそれこそそこそこ「活躍」してるような人たちでも、メイン収入はほかの仕事でしっかり確保してる、とか別にホントに普通のことですから。

ペンシルさんの趣味がなんなのかわからないけど、その恵まれた環境を生かして、そっちをグイグイ伸ばしていくんじゃダメなの?
 例えば、それで本が出せる級にさ。
そしたらアトロク出てくださいよ!

こばなみ:
いいですね!

宇多丸:
実際、ライターで本を出してるような方でも、昼間は会社勤めしてますとか、全然いらっしゃいますし。

こばなみ:
私の後輩も働きながら、趣味の盆踊りの本を出していますよ!

宇多丸:
そんなもんだよね。

その意味でペンシルさんはむしろ、「何かを成し遂げる」のに向いた場所にいる、とも言えるんじゃないかな。

これ、ヘタなとこに転職なんかしちゃったら、今度はまず最低限「食うため」に、たくさん働かなきゃいけなくなる。
余計に何もできなくなっちゃいますよ。

こばなみ:
転職はちょっと待った~! 転職したからって「何か」が見つかるわけじゃないですしね。

宇多丸:
日本人は特に、「それ一本」でやってる人こそ偉い!的な、「ストイックな専門職」幻想みたいのが強い
っていうのもあると思うよ。
夢を諦めなくちゃいけない……とか言ってる人のうち、実はけっこうな割合が、ただそういう思い込みにとらわれちゃってるだけなんじゃないか、って気もするくらい。

仕事やめるかどうかとかは、その「何か」をやりながら、そっちがよっぽど軌道に乗ってから考えることでしょ、と僕は思うけど。

とにかくペンシルさんは、楽して生きるのも、がんばるのも、どっちにも向いた生活環境にいるわけですよ。
UNOでワイルドカード持ってるのにいきなり捨てちゃう、みたいな話だよ! 「え、それ何にでも使えるやつだけど?」っていう。

こばなみ:
本当にもったいない!

宇多丸:
あと、ペンシルさんにわかっておいてほしいのは、何かを「成し遂げて」「活躍」するようになったら、失われてしまうものもある、ということ。
たとえば、それこそ自由な時間とか……、僕自身、今ほど仕事がなかった時代にこそ、もっとこういうことやっておけばよかった、みたいな後悔、いっぱいあるし。
だから、今この時期しかできないようなこと、思いっきりやっとくのも大事だと思いますよ、マジで。

と、いうことで! 
何に対してかわからないけど、がんばってくださいね(笑)。

こばなみ:
「何か」決まったら、ぜひ事後報告をお待ちしています!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2018年10月13日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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※シングル「世界、西原商会の世界! Part 2 逆featuring CRAZY KEN BAND」が配信中! Victorサイト限定CD盤もリリース!
詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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