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取引先の男性との2人ご飯、できれば行きたくないのですが……。【ライムスター宇多丸のお悩み相談室261】


✳️今週のお悩み✳️
私は営業職の仕事をしています。そのため仕事で取引先として関わる男性がいます。取引先なので無下に出来ないのですが、仕事としてかプライベートかあいまいな線引きで、2人でご飯に誘われることがあります。取引先のため、断れず行きますが、なぜかいつもラストオーダー後がすごい嫌な気持ちになります。男性の方の心が分からないのですが、何を持ってご飯を誘ったのか、アフターをあわよくば期待する心が少しでもあるのか、それとも普通にただのコミュニケーションご飯なのか……。そろそろ帰りますというのが失礼になるのかも良くわかりません。そしてできたら2人ご飯は行きたくありません。男性の心の中を教えてください。

(ヤサオ・26歳・埼玉県)


こばなみ:
まったくの初回でサシは、よっぽどじゃないとないけど、仕事相手とサシで飲むこと自体については私もあります。
そして、実は好意を持たれていて、それが嫌だったことは1回だけあります。
そのときは怖くなっちゃって、早々に切り上げるようにして、逃げ帰りましたけどね。
まぁ、その後は担当から外れたようで、顔を合わせることがなくなりホッとしましたが。

宇多丸:
なるほどねぇ。
ヤサオさんの場合、そこに「取引相手だから断りづらい」っていうファクターが加わるわけだけど。

たださ、こういうとき、「じゃあ、いい機会なんで◯◯さんも同席させていただいて」とかなんとか言って、上司や同僚と一緒に行く方向に持ってくのはナシなの? 普通に考えて。

こばなみ:
ヤサオさん、26歳だったら、先輩とかもいそうですしね。

宇多丸:
そうだよね。
そこで先方も当たり前のように「どうぞどうぞ」とならず、「ヤサオさんと2人がいい」とかゴネだしたら、そのときこそ要警戒、絶対行っちゃダメなヤツ!ってことになるわけだけど。

まぁそれ以前にさ、相手が何を考えてようが考えてなかろうが、そもそも気が向かない人との会食なんか、無理して行くことないよ!と僕としては言いたいけど。
もちろん、失礼な言い方をしたり、相手を必要以上に傷つけたりはしないようできるだけ配慮するのは当然としてさ。

ヤサオさんには、このあたりの回も参照していただきたいけど、とにかくなんであれ「上手な断り方」というのをおぼえておかないと、極端な言い方すれば、無限に搾取されてくことになりますよね、生きてる間じゅう。これは僕らみんなに言えることだけど。

僕は基本、嫌だと思うことはしなくていい!というのがまずは大前提、だと思いますけどね。一応、「自由な社会」ってことになってるんだし。
その上で、「それでもこれだけはやっておかないと、後でまた別の嫌なことを招く危険性が高い」件に関しては、メリットデメリットのバランスをよく考えて、前者が大きいと思われる方を、もちろん自分の責任で選んでゆく……っていうことでしょ。

それに対して、ひょっとしたらヤサオさんは、実際にはありもしないし守る義務もない漠然とした「社会のルール」をいつのまにか内面化してしまっていて、それでたとえば「帰りたいときに帰る」という当然の権利さえ、これも失礼なのかも?と考えてしまうようになってしまっているんじゃないか。
言うまでもなくだけど、「そろそろ帰ります」なんて失礼でもなんでもないよ!

こばなみ:
その日に誘われているのだったら、当然「用事あるんで」で断ってもいいですよね。

宇多丸:
というか、別にどんなタイミングのどんな誘い方だろうと、断りたきゃ基本断るべき、なんだけどね、本来は。
そのためにどういう「方便」を使うのが効果的か、みたいな表面上のテクニック以前の、基本的な考え方としてね。

もちろんこばなみの言う通り、「先約がある」は最強の断り文句だよね。前の回答でも話しましたけど。

こばなみ:
それだったら断りやすいし……、いついつに行きましょうという展開だったら、誰か連れていく。
お世話になっているんでうちの上司も紹介します、一緒に行ってもいいですか?とかもいいかもですね。

宇多丸:
とにかくさ、いきなりサシご飯の約束なんかしちゃう前に、何段階も打てる手はあるはずじゃんよ。
なのになんで、ホントは嫌だと思ってることをやすやすと容認してしまうのか。

大人とか社会人になるって、なにも「奴隷化を受け入れる」ことじゃないはずでしょ。むしろその逆で、自分の意志と責任で人生のもろもろを選択してゆく、その覚悟を持つ、ってことじゃないの?
 ま、教育や社会が前者的なほうを良しとする傾向もたしかにあるので、100歩譲ってこれはあくまで僕個人の考え方、ということでもいいけども。

なんにしてもさ、ご飯のお誘いを断ったからって得意先との関係が悪くなって職場での立場が危うくなるとか、そんなのいまどきないでしょう?
ないと思いたい……。

こばなみ:
取引先だって、強引になんかするとかは、今はこんな時代ですし、怖くてそんなことできないですよ。

でも、その場になると飲み込まれちゃうこともありますよね……。

宇多丸:
それはもちろんわかりますよ。
僕だって、仕事でもなんでもないのに、コンバットRECからのしつこい飲みの誘いが断れないんだから(笑)。

こばなみ:
でもRECさんのは、行ったら楽しいからいいじゃないですか。

宇多丸:
まぁね。
それはつまり、「行ったら行ったで楽しい/でもスケジュールや体力がきつい」っていうメリットデメリットをはかりにかけて、あくまで僕が自分の意志と責任で、「今回は、行っとく」とかを選んでいる、という話だから。
それはそれでなんの問題もないんですけど。

でも、ホントは気乗りしない人との目的不明な会食に貴重な仕事外の時間を費やすとか、僕ならなんとしても、全力で回避しますよ! それでも、どうしても行かなきゃいけないんだとしたら……、それはもう、さっきから言ってるメリットデメリット計算の結果があまりにも明白とか、そういうことだろうからさ。
それこそ「これは、自分が選んだことなんだっ!」っててめえに言い聞かせながら、なんとか楽しく思えるよう、無理してでも前向きに振る舞うだけですよ(笑)。
そうすると、意外とホントに楽しくなってきたりすることもあるし。

その意味で一番よくないのはやっぱり、「イヤイヤ行ってしまう」ことじゃないかなぁ。
そっちのがよっぽど相手にも失礼だし、時間のムダ! 誰得ってやつですよ。

それでも営業という立場上、やっぱりなかなか断れるもんじゃないっていうんなら、せめてこちらも、「これは業務の範囲内!」という意識を、より明確に持って臨むべきなんじゃないかなと。
たとえば、会話のなかにもちょいちょい「なるほど~! この件、社の者とも共有させていただきますので!」的な確認フレーズをさりげなく放り込んで、先方にも仕事モードを絶えずキープさせるようにする、とか。
その上で、相手がその範囲を越えてきたと思ったら、言うまでもなく拒絶すべきことはしっかり拒絶して、速攻上司に相談、ってことじゃない?

いずれにせよ、「男性の心の中を教えてください」的なことは、意中の人に対してだけ考えればいいことだよね~、ホントは。
あっちがどう思ってようが、嫌なもんは嫌!ってだけなんだから。そこを無闇に譲ることはないと思いますよ。
ということで、なんとかうまい回避術、身につけられるといいですね……。

こばなみ:
年末ですし、これからまた誘いも増えるかもしれませんが、うまいこといくよう祈っております。そして、少なくとも会社の人とか、まわりは力になってくれると思いますので~!


【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2018年12月8日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
「ライムスターインザハウス」や
その他のライブ情報は
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詳しくは
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。




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