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【ライムスター宇多丸のお悩み相談室406】アプローチされ付き合ったのに3カ月後「気持ちの準備ができない」云々で振られた! 私は何を反省すればいいのでしょうか?


✳️今週のお悩み✳️
前の恋がトラウマで5年以上恋人がいなかったのですが、この人なら大丈夫かもと思い11歳年下の男性と交際を開始したものの、交際3カ月程で先日別れてしまいました。歳の差を感じないしっかりした素敵な子で、出会いはジムのインストラクターと客、という関係性でした。彼のレッスンに行き始めて4カ月くらいたったころDMでのやりとりがはじまり(ファーストアプローチは彼からです)、週に1~2回外に食事に行くようになりました。ある程度仲が深まった時点で彼が上司に相談し、彼がその施設の担当をはずれ、私もその施設の会員を辞めることになり、退会後に交際を開始しました。出会ってから食事に行くまでは4カ月ほど、そこから交際までが更に2カ月ほど、合計半年ほどありました。 しかし、交際開始前・直後はあんなにマメで「してくれたら嬉しいことの常に上をいくなぁ」と思っていた彼の言動が、交際1カ月を過ぎた頃から、(会う頻度は変わらなかったのですが)LINEは数日既読がつかないのにインスタはたくさん更新されたり、彼が1番好きなアーティストのライブに一緒に行こうと話していたのに相談もなく1人分だけ申し込みしていたり等、「おや?」と思うことが続き、5月に話し合いの末、彼から別れを告げられました。
理由や彼の考えを色々聞いたのですが、
「本来付き合うまですごく時間をかけたいタイプで(交際開始前も確かにチラッと言っていました) 、過去に1年半かけて付き合わなかったこともあるが、相手の時間もあるからあまり時間をかけないようにしなければならないと思っていた。お話しするうちに(私ならば)時間をかけずに付き合っても大丈夫と思い、自分の気持ちを追いつかせようとマメな言葉かけや行動をしていたが、いざ交際開始すると彼氏彼女という関係性にずっと違和感があった」
「感覚がすごく似ているので、こういうことすれば喜んでくれるというのがわかるのに、何故かそれをできない自分にギャップを感じていた」
「(インスタの件)本来SNSの使い方もすごく自分は気を使えるはずなのに、なぜかできなかった」
「(ライブの件)1番好きなものを共有したいとそんなに思っていない自分がいた」
「今まで会った人の中で1番尊敬しているという思いは今も変わらない」
なんかこれらの言葉がわりとキツいというか、じわじわボディーブローのように効いています。やった方がいいとわかっている、やらないと相手が傷つくのをわかっていてそれでもやれないってなんだ?と。 あとは、お互いいろいろ調整した上での交際で、自分から上司に相談してたはずなのに、たった数カ月でこれ言われてどうすればいいのか……という思いが少なからずあります。この交際の経緯でまさか彼側から「気持ちの準備が」的な理由を言われるとは夢にも思っておらず、今回の恋愛に関して何を反省すればいいのかあまりわからずモヤモヤしてしまいます。
(ふたば・32歳・メーカー勤務・埼玉県)


宇多丸:
はっきり言えば、とにかく最初から最後まで、その彼に一方的に振り回される格好で終わった、という話ですよね。

こういう恋愛系の相談ってさ、第三者である僕たちは、当然ながら対象となるお相手のことを好きでもなんでもないわけだから(笑)、主に嫌な面や困った面を訴えられている時点で、単純にネガティブな印象しか抱けなくなりがち、という構造的な傾向は、間違いなくあると思うんですよね。

実際にはきっと素敵なところもたくさんある、魅力的な人だからこそ相談者も好きになったんだろうけど……、僕らはそこは知らないから、ただただ「クソじゃんそいつ! そんなヤツのどこがいいわけ?」という剣幕にもなりやすい、という(笑)。

今回なんかまさにそう。正直、彼のいいとこというのが、文面からは見つかんない!

「初期はマメだった」も、この場合はむしろ、結果マイナスに転じてしまっていますしね。

なので、「何を反省すればいいのか」も何も、反省できる余地がどこにもなさすぎて……。

こばなみ:
なんかこういうよくわかんない彼の相談、やっぱりけっこう多いですよね。

宇多丸:
たぶんだけど、「よくわかんない」的に感じるのは、悲しいかな好きになった弱みで、なんだかんだそいつの人間性を高く見積もりすぎてるからで、ホントはもっとシンプルに、単にそれなりのダメ人間だった、と考えれば済む話なのかもしれないですよ?

まず、そういう立場の人が自分からお客にアプローチかけるってこと自体、本来は、厳に戒められるべきことなわけじゃん。

その一線をわざわざ越えてきて、ふたばさん側はジムを辞めることにまでなってるのに、わりと時を置かずしてその心変わり……、まぁ端的に言って、大変軽率で無責任な男だというのは明らかですよね。

その後の、手前勝手で意味不明な理屈をこねくり回すばかりな感じも、まるで誠意を感じさせないし。

こばなみ:
ジムとかって、生徒さんに言い寄られても、かなり厳しめにセーブしてる印象ありますけどね。なので、これ読んで、そんな展開もあるんだってびっくりしました。

彼、プロ意識ないですよね……。

この前、美容師さんと今一歩、恋愛関係に進めないっていう相談がありましたけど、ふつうはお客さん相手なんだから慎重になりますよね。

宇多丸:
ねぇ。

そこでつい考えちゃうのは、あんまり年齢のせいにはしたくないけども、その男、まだ21歳なんだよね? ということで……、要は、フツーに年相応のしょーもないガキだった、ってことではないんですかね?

こばなみ:
「実年齢-15歳=男の精神年齢」ということを宇多丸さん言ってましたけど、そうすると6歳ですよ!? 小学校入学前!?

そう思うとこの行動も少しは理解できますね。急に気が変わっちゃった、みたいな。

宇多丸:
で、「ボクは悪くないもん!」って言い張ってる感じ。

ということで、一から十までそいつのひとり相撲に巻き込まれただけで、ふたばさん側が反省できるような余地は、したくてもないんですよ!

そりゃあ「見る目がなかった」とは言えるかもだけど、そんなのは結果論でしかないんだから。

あえて言えば、どう考えたってそいつがハズレだった、というだけの件に、ふたばさんがちょっとクソまじめに喰らいすぎ、ということくらいじゃない?

久しぶりにこれだ!と確信してトライした結果がこれで、さぞかしお辛いことでしょうが……、冷静に考えれば、「久しぶりにトライした一発目」が外れる可能性は、そりゃ高いに決まってるでしょ!ってことですよ。

人選のカンは鈍ってるわ確率としても低いわで、そりゃ当たり前だわな、ってだけのことなんじゃないですかね。

こばなみ:
ブランクあるから打てるわけないですよね。

宇多丸:
いやもちろん、いきなり打てる可能性だってぜんぜんあるんだけど、たとえ空振りに終わったとしても、納得できるなりの理由は普通にあるでしょ、と。

その意味で今回のこれは、悪球も悪球、悪質なビーンボールみたいなもんですから(笑)。

そこに「ホームランになると思ったのに……、どうしたらせめてヒットにできたでしょう?」なんて固執しても、意味ないですよ。

なんなら深入りする前にあっちがさっさと馬脚をあらわしてくれて、比較的少ないダメージで済んでまだ良かった、的には考えられないですかね?

前から言ってるけど、「御縁」がない人と無理やり一緒にいると、本来その間にもっと出会えたはずの真の良縁を、むざむざ取り逃がすことにもなりかねないんですから。

今回のそいつなんか、僕に言わせりゃ、秒で切るべきとこ!

もちろん、好きという気持ちを急には消せない、というのもあるだろうけども……さっきも言ったように、僕らにはそこは、どうしたって理解しえない部分なんで。

でも、だからこそ見えるもの、というのもあると思いますから。

たとえば、五億歩譲って、立場に関わらず好きになってしまったものは仕方ない、そして、どれだけ責任があろうとも気持ちが冷めてしまったものは仕方ない、のだとしても……、その後にふたばさんに対して言うべきこと、取るべき態度、もっとあるだろうが!って思えてならないんですよね。

現にふたばさんは、その人と付き合うために、通っていたジムを辞めているわけで。

「なのに本当に申し訳ない、今度こそ自分側がジムを辞めるので、よろしければふたばさんは戻ってください、絶対に後腐れはないようにしておきますので……!」とかなんとか、必死になって言ったっていいわけじゃん。

まぁ、ふたばさんも実際に戻るのは嫌かもしれないけど、なんかそういう……、誠意大将軍! 見せろよ!って。

こばなみ:
なつかしすぎるフレーズ!

宇多丸:
でも実際には、「ボクいつもはもっといいコなのにおかしいなぁ」みたいなこと言ってるだけでしょ。

なんつーか、話にならない。

だから、つまるところ毎度おなじみ、「いいから次行こう次!」って結論しか、ないですよね。

こばなみ:
それがいいですよ。この話を聞いた人、みんなこの彼、は~?って思いますよ。

宇多丸:
変な人だよねぇ。

「ライブに1人分だけ申し込み」とか、なんなのそれ?(笑)

思うに、「歳の差を感じないしっかりした素敵な子」というのも、インストラクターと客、という仕事上の関係だからそう見えがちなだけ、でもあるんじゃないかなぁ。

当人エキスパートの領域だから頼もしいのはそりゃあ当然だろうし、接客上のやりとりが年齢関係なく「しっかり」して見えるのも、「敬語というマニュアル対応」含めて職種限らずある種当たり前のことであって……、そういうのと、本当に人間的に「しっかり」してる、というのは、また別の話でしょう。

これ、意外と多くの人が肝に銘じたほうがいいことかもしれないですよね。

というわけでね。

とにかくこんなヤツのために、これ以上くよくよしない! ふたばさんが反省するとしたら、そこだけ!

とはいえ一時は好きになった人のことボロクソ言って、ごめんなさいね……、でもホント、もっといい人は絶対いるから。

こばなみ:
はい! 絶対いますよ!! 

次に行く勢いつけるために「相手の嫌いなところを10個書き出す作戦」もぜひご活用いただければと思います。

とにかく、早めにくよくよを脱せることを祈っております!!



【今週のお絵描き】

画・宇多丸




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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

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女子部JAPAN こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。


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