毎回送り迎えをしてくれる美容室のオーナー。休日にランチや買い物に行くこともあるのだけど、彼はどういう気持ちで私と出かけているのか……?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室396】
✳️今週のお悩み✳️
私の周りに気軽に聞ける男性がいないので、男性側の意見も聞いてみたくて応募しました。2年前くらいに、自宅から車で10分くらいのところに美容室(オーナーさんが1人でやっている)ができて、ちょうど探していたところだったので通うようになったのですが、私が車を持っていないのと、本人曰くずっと店にいるから気分転換のため、そのオーナーの彼は毎回送り迎えをしてくれます。通い始めて2度目のときに、お互いに歴史やお城が好きと分かり、彼の方が1人じゃ行くのを躊躇している場所(歴史のテーマパーク)があるから一緒に行かないかと言われ、そこへは私も行きたかったので2人で行きました。その時のランチ代や、帰りに寄った店でケーキもお土産に持たせてくれて、その時はなんでこんなに良くしてくれるのかすごく不思議だったんですけど……。
その後から美容室への送り迎えと、ランチの美味しいお店があれば教えてほしい&ぜひ一緒に行きましょうと言われ、今までに4回ほどお互いの休日が重なる日にランチ(いつもご馳走してくれます)や、たまに買い物などもしていて、ちょっと気になる存在になりつつあります。ただ、普段LINEで話したりはしていなく、直接会った時に話すくらいなので、ただのランチ友達なのかなぁとも思ったり。
第三者から見てこれはどういう状態だと思われますか? 本人に聞くのが一番早いけど、ちょっと勇気がなくて……。
ちなみに彼は、地元の人の役に立ちたくて今の場所にお店を持ったそうです。他のお客さんに対する姿を見てもとても真面目な印象を受けました。穏やかで優しく、でも締めるところは締める、そして仕事が大好きです。ちょっとせっかちだけど(笑)、私と同い年で、確認はしていませんが、会話の中で「元奥さん」というのが出てきたので結婚経験があり、SNSを見る限りお子さんも2人いるようです。私としては珍しく、初めて会ったときから素直になんでも話せる相手なので身近なパートナーになれれば一番嬉しいけれど、関係や立場に関わらずひとりの人間として大切にしたいと思っていて、このまま一歩踏みだして今の関係が崩れてしまうのも怖いというのがあります。ただ、この状態がずっと続くというのもなんだかなぁと思ってしまって、どうしたものかと悩んでます。彼はどういう気持ちで私と出かけているのか、宇多丸さん、こばなみさん、 お二人はどう考えますか?
(まるも・41歳・事務職・岐阜県)
宇多丸:
あのー、一応確認しておきたいんですけど……、これ、まるもさんは独身、なんだよね?
こばなみ:
書いてないですけど、このテンション的には、独身前提の相談なんじゃないですかね!?
宇多丸:
そうだよね?
そうじゃないと、要は不倫一歩手前ということになっちゃって、話もだいぶ変わってくると思われますので……(笑)。
まぁ、家まで直接送り迎えしてるんだから、既婚者ってことはないよな、やっぱ。
ということで、まるもさんはフリー、ということでとりあえず話を進めさせていただきますが。
だとしたらさ……、んー、これはもう単純に、今のところ超いい感じですね!ってだけのことじゃない?
この関係が今後、はっきり「恋愛」といったような領域に入ってゆくかどうかまではまだ断言しきれないけれども、現状だけでもすでに、少なくとも「ただの客」とは異なるレベルの好意をまるもさんに対してその人が抱いている、というのは、どう見たって明らかなように思えますもん。
かといって、下心丸出しでグイグイ来る、みたいなところもまったくなく。
とはいえこの時点では最低限保つべき距離感、みたいなものも、きっちり守ってる感じですもんね。
それゆえにまるもさんは真意を図りかねてるわけだけど、この段階としてはまぁ、おそらくそこまでマズい人ではないっぽいという、ひとつの証明にはなってるんじゃないですか?
あとは、普段のやりとりはそんなにない、というのをどうとらえるかだよなぁ。
会っているときは申し分ないんだからね。
ただ、つっても客商売してるわけだし、たぶん向こうからこれ以上積極的なアクションを起こすということは、なかなかできないんじゃないかという気もする。
LINEとかも、関係ないタイミングで頻繁に送ったりすると、まるもさんにその気がない場合、引かれてしまったり、最悪、悪評が立ってしまうリスクもあるわけだからさ。
いずれにしたってこの段階では、まともな人ほどある程度は遠慮もしていて当然ではあると思いますよ。
こばなみ:
一歩踏み出して今の関係が崩れてしまうのも怖いっておっしゃっていますけど、向こうはもっと怖いと思ってるってことですよね。
宇多丸:
そういうことかな。
アプローチしても空振りだった場合に失うかもしれないものが重大というのもあるし、なんにせよ慎重になって当たり前の立場ではありますよね。
こばなみ:
じゃあやはり、まるもさんから勇気を出すしかない……?
宇多丸:
ここから先、もう少しどうにかなりたいならね。
まずはストレートに、ちょっとプライベートに踏み込んだことをうかがってよろしいですか?と断ってから、今お付き合いされてる方とか、パートナーにあたる方はいらっしゃるんですか?と聞いてみるというので、ぜんぜんいい気がしますけどね。
そこから、まるもさん自身の置かれている状況や心情なども、あちらが自己開示してくれるベースやテンションに応じて、少しずつ伝えていって……、要は、順当に手順を踏んで、徐々に距離を詰めてゆく、というだけのことですけども。
そしたらたぶん、さっきも言ったように現時点ですでに、こっちのことを憎からず思っているというのは明らかなわけで、少なくともググッと心理的に近づいた感じには、わりとあっさりなるんじゃないですかね?
こばなみ:
いや~、私なんだかちょっと今、ほっこりしちゃってます!
宇多丸:
ねぇ。
お互い大人で、気も合って、今んとこは別に社会的な障壁もないっぽくて。
ひょっとしたら連載史上、最もなんの問題もない案件かもしれないよ!(笑)
まぁもちろん、こっから先、何があるかはまだわからないっちゃわからないわけだけども。
ただやっぱ今のところは、そこまでダメな面が後から出てきたりしそうな気配も、特にないしねぇ。
もし仮に、結果的に残念ながら恋愛関係というところまでは行かなかったとしても、その人ならきっと、お互い気まずさを残さないよう、ちゃんと気を使ってもくれそうじゃない? あちらだって、そうでないと困るわけだしさ。
その意味では、こちらからアクションを起こしてもリスクは比較的少ない、という予測もできる。
いずれにしても、とりあえずはこちらから一手一手、順を踏んで歩を進めてみる、ということでいいんじゃないですかね。
あとは、さらに自然に距離が縮まるような機会で言うと、お互いの誕生日とかじゃない?
誕生日にわざわざ二人きりで会ってディナーまでしてたら、それはやはりかなり特別な関係、と考えていいでしょ。
こばなみ:
そうなったらもう、帰り際に袖引っ張るしかないですね!
ただ……、ひとつちょっと気になったんですけど、お客さんみんなこうやって送り迎えしたり、サービスが行きすぎてたりしないですよね……?
宇多丸:
あー、なるほど。
まるもさんにだけでなく、わりとみんなにサラッとしてる「サービス」だった、というような可能性ね。
まぁそれも、さっき言った「プライベートに一歩踏み込む質問」タイミングで、一緒にしちゃえばいいんじゃない?
「私だけかなと思っていて勘違いしていたらご迷惑をおかけしてしまうので、失礼ながら一応確認しておきたく……」みたいな。
そこで即座に「いや、あなただけですよ」と返ってきたら、もう! いきなり雰囲気変わるわけじゃん!
「正直とても嬉しいです」とか、頬を染めながらモジモジ言えばいいんじゃないですか(笑)。
こばなみ:
あー、またほっこりした気分に戻ってきました。よかった。
宇多丸:
万が一、万万が一、「ええ、お店がちょっと不便な場所にあるもので、一部のお客様はこうして送り迎えしてるんですよー」とかだったとしたら……。
もろもろをググッと飲み込み、「親切なんですね」と笑顔で返してでもおけば、少なくともそれ以上傷を深めるようなことは回避できるかと。
でも実際、そっちの可能性はそんなに高くない気がしますけどね。
だって、一人で店やってて、そこまで「みんな」に割く時間は、さすがにないはずでしょう? 現実的に考えても。
なんにしてもさ、「彼はどういう気持ちで私と出かけているのか」って、そりゃあまず間違いなく、まるもさんと一緒にいて楽しいから出かけてるんでしょうよ!ってことなんだからさ。
こばなみ:
ですよね! 店が終わった後に飲みに行くぐらいはあるかもしれないけど、好意がなかったら、わざわざ休日に2人で出かけませんよ!!
宇多丸:
悪いようにはならない……はず! たぶん!
ということで、僕たちが相談文から受けた印象そのままにコトが運ぶことを、心からお祈りしております。
我々としても成り行きがとても気になるので、もちろん気が向いたらでけっこうなので、事後報告もぜひ、お待ちしておりますね……!