見出し画像

「二人で観て盛り上がり、また観に行こうと約束した映画を、映画評論家の低い評価により『もう行かない、面白くない映画だから』『考え方は変わるものだから』と言う彼。正論だけど納得できず……」の、その後【ライムスター宇多丸のお悩み相談室_事後報告26】 

【事後報告(No.412)】

宇多丸さん、こばなみさん、こんにちは。 第412回「二人で観て盛り上がり、また観に行こうと約束した映画を、映画評論家の低い評価により『もう行かない、面白くない映画だから』『考え方は変わるものだから』と言う彼。正論だけど納得できず……」で、私の悩みを取り上げてくださりありがとうございます。お二方のアドバイスすごく嬉しかったです。この件に関して事後報告があるので良かったら聞いてください。
私なりにお二方のアドバイスを参考にしていろいろ考えてみまして、気まずいからってこの話題に触れないようにするのは逆に良くなかったのかなと。徹底的にこの映画のどこがどう面白いと思うのかを言葉にして全部伝えてみようと決心しまして。頑張っていろいろな評価を調べ(当然彼の好きな評論家の方の意見も)その意見について私なりの考えをまとめてみました。例えば、展開がまるでダイジェストのようだ、という批判があったので、これは連作短編形式なんじゃないか。描かれているのはまったく関係ないバラバラの話というわけではなく、あくまでどのエピソードも中心にあるのは同じテーマなんじゃないか、みたいなことを結構な文量でまとめて(プロの方からすれば浅い意見かも知れませんがw)直接話すにはちょっと長いし上手くしゃべれないかも知れないのでLINEで彼に送ってみたんです。喧嘩腰だと思われたくなかったので予防線として、「ごめんね急にたくさん送っちゃって。読むの時間かかると思うからお返事はホントいつでも。よかったらあなたの意見もドンドンください」と添えて。それから数時間して彼から返信が来まして……、「もっと映画のこと勉強した方がいいよww」と一言。 なんか……、張り切ってた自分が恥ずかしくなってガックリ来ちゃいました……ww。そして……、今後は映画デートは控えめにしようって結論になってしまいました。
せっかくアドバイスをくださったのにモヤモヤする終わり方でごめんなさい。でもこれまで映画の評価は点数ぐらいしか見てなかった私ですが、宇多丸さんとこばなみさんのおかげでたくさんの具体的な意見に触れるのは純粋に楽しいということを知りました。本当にアドバイスありがとうございます。

(パクチー本当無理・22歳・学生・静岡県 )

パクチー本当無理さん、まずはご報告、ありがとうございます!

しかしこれ、なんかちょっとあんまりいい方向には行かなかったみたいで、僕らとしても大変残念ですね……。

というより! 僕はですね、彼の返答の予想外なひどさに、怒りのあまり一瞬めまいがしてしまったほど、というのが正直なところでして。

なので、ひょっとしたらパクチー本当無理さんには「いや、自分的にはそこまでのことでもないんですけど……(笑)」みたいな剣幕になってしまうかもしれませんが、お許しくださいね。

だってさ、なんであれパートナーが、明らかに一生懸命、コミュニケーションを取ろうとしてきているわけじゃないですか。時間と手間をかけて自分なりの考えをまとめて、長文にしてさ。

それを彼は、あろうことか、冷笑とともに一蹴してみせたわけですよね。

まともに議論を返してこなかったのは、それだけのしっかりした論理が彼のなかにホントはまだないから、というのもあるだろうけど、何よりまずは、予想外にがっつり反論されて傷つけられたプライドを回復させたい、ということしか頭になかったからでしょう、はっきり言えば。

端的に失礼で不誠実なふるまいだと思います。本当に、呆れ果てるし許し難い。

ちなみにその相談回のアドバイスとして僕らは、これは映画の評価うんぬんの問題では実はまったくなく、要は二人の楽しかった思い出を一方的な都合でネガティブなものに書き換えてしまった、という点ではっきり彼はあなたに失礼を働いているのであって、そこに彼は無自覚でもあるから、まずはそこに関してしっかり抗議はしてもいいんじゃないか、ということを言ったんですよね。

お互いの感じ方や意見を尊重できないのであれば、二人で行く意味ないじゃん?というド正論をちゃんと伝えましょうよ、と。

で、そこで彼が、幼い逆ギレなどで返してきたりせず、ある程度きちんと聞く耳を持ってるようならば、こちらもちょっとは歩み寄って、たとえば彼が影響を受けてる映画評論などの話も二人で忌憚なくできるようなったりすれば理想的だよね、というようなことを言ったわけですが。

でも、パクチー本当無理さんはやっぱり、たぶん彼のことがすごく好きで、余計にモメたくない、という気持ちが強かったんでしょうね……。彼に己の非を突きつける段階はさらっと飛ばして、自分なりにさらにしっかりその作品の話ができるようになる、というところを目指された。

もちろん、それ自体はすっごくいいことだと思います! その経験は間違いなく今後、身になってゆくだろうし。

同時に、そこから彼ともなんだかんだ上手く行ったという可能性だって、やはりぜんぜんあったはずだと思うんです。

彼が、人の話をちゃんと聞ける人でさえあれば!

しかるに実際の彼は……、約束を自分の勝手で反故にしたこと、二人の思い出をやはり自分の勝手で踏みにじったことが悪かったとは、案の定みじんも思ってない。というか、おそらく事態をそのように認識することもできていない。

さっき言ったように、パクチー本当無理さんがこれだけの労力をかけて伝えてきたことも、自分のプライド優先で足げにできちゃうような人だから、道理を理解させ心から反省させるというのも、おそらく今は困難。

せめて、こちらはお前からアンフェアな扱いを受けたんだぞ!ということくらいはわからせてやりたいもんだけど……。

まぁ、ついいろいろと口汚く罵ってしまいましたけど、パクチー本当無理さんは、つくづく優しいし賢い方だなぁ、とも改めて思いましたよ。

映画の見方に関しても、人の意見をよくわかんないまま鵜呑みにして、それ以上自分で考えたり調べたりはまるでできていないであろう現状の彼なんかより、よっぽどオープンで豊かな鑑賞体験が、すでにばっちりできてるんだと思いますよ、パクチー本当無理さんは。

「たくさんの具体的な意見に触れるのは純粋に楽しいということを知りました」って、まさにその証でしょう。 

たとえばさ、友達とかと改めてその同じ映画を観に行ってみる、というのもいいんじゃない?

そしたらまた、ぜんぜん違う視点とかに気づかされたりもするだろうしさ。

少なくとも、彼が思い込んでるような固定的な「正解の見方」があるってわけじゃないこと、さらに確信できたりするんじゃないですかね。


それいいですね!


とにかく、「もっと映画のこと勉強した方がいいよww」ってその言葉、まんまてめえに返すわ!ってことですよ!

自称映画好きの一番タチが悪い例を見るようです(笑)。

今回の報告を読んだ方々も、この彼にはさすがに腹の虫が治まらないんじゃないですかね。


パクチー本当無理さんには申し訳ないですが、これ、100人中100人ブチ切れる系の話ですよ。


僕もさ、最初の相談の段階では、若干彼のことをフォローしてもいたじゃない? 評論に強く影響を受けてしまう気持ち自体はわからないでもないし、今はそういう段階なんでしょう、と。

でも、彼のこの人としてのなってなさは、ちょっとこっちの想像以上というか、そういう情状酌量の余地もあんまりないレベルでしたよね。

相談の答えも、「は? なに知ったようなクチ聞いてんだボケ!っつって、一発ケツに蹴りでも入れてやればいいよ!」だけで良かったのかもしれない。

それにしても、彼もこんだけ人として幼いと、どんな映画を観たって、結局まるっきり本質とかはわかってないことのが多いんじゃないの、って気もしちゃうけど。

この一件から、いろんなモノの見方が知れる喜びを学んだ、とおっしゃるパクチー本当無理さんとは、マジで大きな差がすでについちゃってますよね。

あとはもう、僕から言えるのは、パクチー本当無理さんこそ、今後もその調子でいろんな作品を観ては、自分なりに調べたり考えたりを続けていってほしいな、ということくらいですかね。

念のため繰り返しておけば、無論、一連の成り行きにあなたの落ち度はまったくないし、どっちが映画をよりわかってるかなんていうぶっちゃけどうでもいい問題でも当然なくて、ただただ彼が無礼で未熟な人間であるという、その一点に尽きる話だと思いますので。

「自分も悪かったかも」なんて考える必要はいっさいなし! それはホント、やめましょう。

まぁいつか彼も、己が犯した過ちの救い難いダサさと、そこでパクチー本当無理さんがいかに努力して歩み寄ろうとしてくれてたかに、気づく日が来るといいんですけどね……。

おそらく、再度この件を蒸し返し直すのも現実的にはもう気まずい感じなんでしょうし、彼はなんなら「一撃で言い負かしたったw」気分のまま、もちろんパクチー本当無理さんは本当にイヤーな気持ちを飲み込んだまま、とりあえずは終わってしまった感じですかね。

正直、そんな人と付き合うの嫌じゃない?とは、お節介と重々承知しつつ、我々としてはどうしても思ってしまうあたりですけど……。


ただ、私たちは彼とのこの出来事しか聞いてないのでね、ほかにすごく素敵なところがあるのかもしれないですし。

でもホント、パクチー本当無理さんは、こんな状況でも非常に前向きで、素敵な方だなぁとしみじみ思いました。私が付き合いたいわー(笑)。

気になっていた相談だったので、事後報告を送っていただき、ありがとうございました!


そしてそして!

パクチー本当無理さん、やはり、できるならば!

改めて、その作品名と、評論家はどなたなのか……、掲載はしないから、僕らだけには内緒で教えてくれませんかね?(笑)

僕自身の後学のためにも、めちゃくちゃ知りたいっす。どうかご検討くださいませー!



【全国書店やAmazonで発売中】
「ライムスター宇多丸のお悩み相談室」、ついに書籍化!! 幻冬舎より発売中!
執拗に、フェアに、意外と優しく、時に興奮しながら、とことん考え答えた人生相談34!
★詳しくはこちら


<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

※日本ヒップホップ・シーンの正統が、伝統JAZZクラブに降り立つ日!
ライムスター「King of Stage at Blue Note Tokyo」が11/12に開催決定!

SOIL&”PIMP”SESSIONSにRHYMESTERを添えて「初恋の悪魔 -Dance with The Devil-」(日テレ系ドラマ『初恋の悪魔』最終章テーマ曲)が発売中!

※ワンマンライブの新シリーズ「ライムスターインザハウス」やその他のライブ情報は
こちら


女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。



☟☟☟ 新着記事情報はTwitterでお知らせしています ☟☟☟
よかったらフォローお願いします!


最後まで読んでいただきありがとうございます!! 新着記事はX(Twitter)でお知らせしています☞