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私は仕事ができません。わかってもらうにはどうすれば……?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室80】


✳️今週のお悩み✳️
私は仕事ができません。資料や事務用品を整理するのが苦手で、物事の飲み込みも遅いです。しかし、声が大きくて堂々として見えるからか、周りからは仕事ができそうだと思われています。この結果、自分のキャパを上回る仕事が流れ込んできて辛いです。仕事をこなせるように努力してはいますが、追い付けません。自分はできない人間なんだとわかってもらうには、どうすればいいでしょうか。
(とかげ・27歳)


宇多丸:
この「自分のキャパを上回る仕事」っていうのがさ、分量的に無理!ってことなのか、それとも技術とか経験が不足してて無理!ってことなのか、要は量の問題なのか質の問題なのかによって、微妙に話も違ってくるとは思うんですけど。

もし仮に後者なんだったら、それはとかげさんの成長のために必要な試練だっていう可能性もあると思うんですよね。
ひょっとすると上司なり先輩なりが、とかげさんの今後の成長を見込んだ上で、今の段階ではあえてちょっとキツめの課題を与えてる、とかさ。ない話じゃない。

一般論になっちゃうけど、何事もさ、「最初は無理だと思ってたものが、頑張ったら、あるいは試行錯誤してみたら、最終的には意外とできちゃった」的な経験の積み重ねから、スキルとか自信ってついてくるものだからさ。
逆に、いつまでも普通に「できること」ばっかりやってると、なかなか成長ってできないわけで。
だから、なんにせよ自分を「できない人間」なんて決めつけないほうがいいんじゃないかな、とは思いますけど。
最初からなんでも「できる」人なんていないよ! 「できるようになった」人がいるだけでさ。

こばなみ:
ほんと、そうですね。私も昔はこのやろー仕事ぼんぼん振ってきやがってー!って思ってましたよ。だけど、結果いまがありますから。といっても27歳の頃は、そんなこと思えなかったなぁ。今は当時の先輩に心から感謝しています。

宇多丸:
だいたいさ、仕事がホントに「できない」タイプの人っていうのは、得てして自分が「できてない」っていう自覚すらできてなかったりするよ!

以前この連載で、「友人に嫉妬してしまってイヤ」って相談に、そうやって自分のマイナス面を客観的に見ることができてる時点でアナタ十分立派だよ!ってなことを言ったけどさ、とかげさんもそれと同じで、「資料や事務用品を整理するのが苦手」「物事の飲み込みも遅い」っていう自分の不得手な部分を、一応客観的に評価できてはいるわけだからさ。
その時点で実は、まるっきりダメな人ってことはないんじゃないかなぁって気がしますけど。

ちなみに「声が大きくて堂々として見える」から「仕事ができそうだと思われ」やすいっていうのも、立派な長所というか、あらかじめ身についているスキルのうちじゃんねぇ。
少なくとも営業方面では明らかにプラス要素ですよ。

僕の古い知人で、昔から妙に老けてというか、貫禄あるように見えるおかげで、ホントはまだ20代そこそこなのにいきなり店長任されるとか、異常に出世ペースが早いっていう人が現実にいますよ。本人も「この見た目ですごい得してる」って言ってたし。
その人、今はとある有名事務所の社長ですからね!

あと「物事の飲み込みが遅い」っていうのだってさ、特に僕みたいに子どものころから何かって言うと早合点で失敗してる人間からすると、「落ち着いて物事を捉え、きちんと理解してから行動に移す人」って感じで、いちがいに欠点とは言えないんじゃないかって気もしますし。

とにかく、誰だって得手不得手はあるんだからさぁ。
得意なところを伸ばしつつ、不得意なところは自覚的にカバーしていく。
どっちにしろそうやって頑張ってくしかないわけでしょ。

こばなみ:
たとえば編集業でも、まぁでも段取り悪かったら致命傷ではあるけど、ラフ書きが下手だから=仕事できない、とか、タイトル付けが下手だから=仕事できない、とかではないですからね。職種にもよるけど、トータルでの話だし。
だけど、何回も同じことを注意してるのに直らないのは、つまり直す気がない? う、仕事できないなー!とか思っちゃいますけども。

宇多丸:
単純に姿勢として怠惰っていうのはまた別問題だよね。できるできない以前にやる気がないっていう。
ただ、さっき言った話と同じだけど、そういう人は自分がやる気ないこと、っていうか、ハタから見るとやる気ないように見える態度を取っちゃってるってこと自体にも、気づけてなかったりするから。
だから、なんでそんなに怒られてるのかよくわかってない風だったりしてね。

こばなみ:
それは非常に困るパターンですね。あと、とかげさん、今27歳ですよね。おそらく勤めて3~5年くらいだと思うんですけど、まだそれくらいでは、何が自分の強みかとかって模索中だと思うんです。ここで白旗あげるのは、あまりにももったいない。

宇多丸:
まぁ、とかげさんだってね、きっとわかってて言ってるんですよ。
だって、「自分はできない人間なんだとわかってもらうには、どうすればいいでしょうか」って、そんなの簡単なんだもん。
要は、来る仕事来る仕事、ガンガン手を抜いて失敗しまくればいいじゃん! そしたら自然に仕事来なくなるよ!

こばなみ:
嫌ですよ、そんなの。

宇多丸:
でももちろん、とかげさんもそうはしてないし、そうするつもりもないんだろうからさ。
要はそういう泣き言を言いたくもなるほど、頑張ってるぶん辛い、ということですよ。

で、さっきも言ったように、スキルや経験不足ということに関しては、「自分の現状キャパをある程度上回るタスクをどうにかこうにかクリアしていく」という実績の積み重ねでしか、まさにそのスキルだの経験だのは身についてゆかないものなので……というのが一般論としてはあると。
なので、そこに限って言えば、あんまり自分の能力の限界を決めつけたりしないほうがいいのは確かだと思います。

普通に先輩なり上司なりに助言をもらうのもいいと思いますよ。とかげさんは恐らく、「何が現状自分に足りてないのか」をある程度把握できてると思うからさ、向こうもアドバイスしやすいはず。

むしろ、さしせまって問題なのは、そんなとかげさんの「成長」なんて待ってられないような、単純に仕事量的にキャパオーバー、このままだと納期や〆切に間に合わない!みたいな場合だよね。

だったら当然、結局できませんでした!で周囲に本格的に迷惑かける前に、しかるべき立場の人に相談して、改めてより現実的な仕事分担を組んでもらうとか、なるべく早く動いたほうがいいわけだけどさ、そりゃ。
そこで何も手を打たず、ズルズルと事態を放置したあげく結果空中分解、みたいのが一番「仕事できない」ってことでしょ。

逆に言えば、自分の能力の見極め含め、個々の問題に適切に対処できさえすれば、それはまだ全然「仕事できる」うちに入るんじゃないですかね。

あと、よく考えてみるとその「こなせる仕事量の物理的限界」の問題もさ、仮にさしあたって今すぐなんとかできる範囲は超えていたとしても、もうちょっと長い目で見れば、結局さっきのスキル・経験の件と同じようなことは、やっぱり言えるんじゃないかな。
いっぱい仕事をこなすうちに、より能率のいいやり方を見つけたり、力の入れ加減がわかってきたりで、トータルでこなせる分量がどんどん増えていく、とかは全然考えられると思うんですよ。

たとえばさ、学生時代って、そのときは授業やらバイトやらサークル活動やらで忙しい忙しいって言ってるけど、本格的に仕事始めてから振り返ってみると、自由な時間いっぱいあったなぁとしか言いようがなかったりするじゃん? 
僕自身、数年前ですら、振り返って「あの頃はまだ全然ヒマだったなぁ」って思うのが延々更新され続けてる感じですよ。逆に、その時点から今の自分の仕事量を見たら、「絶対無理! キャパオーバー!」って感じると思うし。

つまり、「自分のキャパ」なんてさ、経験次第でどんどん変動していくもんなんだってことですよ。

なので、とかげさんにもいつか、「なんであのくらいでヒーヒー言ってたんだろう……、今やってることにくらべれば、あんなのほんのチュートリアルだよ!」って日が来るかもしれない。

それに、とかげさんがホントに「できない」人なんだったらさ、どっちにしたっていずれすぐ結果は出ちゃうわけで、周りの人に「わかってもらう」のは、そのときでも遅くないでしょ!

でもそこでね、さっき言ったみたいに手を抜いてたりやる気がないから「できなかった」のか、それとも今まさにとかげさんがそうしてるように、自分の現状の能力の限界まで挑戦してそれでも「できなかった」のかで、周囲の評価やその後の処遇、それにとかげさん自身の伸び率は、大きく違ってくると思いますよ。

20代後半、「死にたい」連発期って話も前に出たし、人生になにかと不安や悲観を抱きやすい時期ではあるんでしょうけども……、まぁみんなそんなもんだってことだからさ、気を楽に持って!



【今週のお絵描き】


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この記事は、女子部JAPAN公式WEBで2015年1月24日に公開したものを再編集し、掲載しています。


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(毎週月曜日から金曜日18:00-21:00の生放送)をはじめ、TOKYO MX「バラいろダンディ」(隔週金曜日21:00~21:55)など、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。
※ワンマンライブの新シリーズ
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その他のライブ情報は
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女子部JAPAN(・v・)こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。現在はコミュニティ&メディア「女子部JAPAN(・v・)」として、スマホに限らず、知りたいけど難しくて挑戦できないコトやモノをみんなで一緒に体感する企画を実施。最近はフェムテックなど、女性ならではのコンテンツを発信中。



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